相手方以外からの補償

仕事中交通事故に遭いました。この場合でも、健康保険は使えますか。
労災保険から給付を受けられる場合には、健康保険から給付を受けることができません(健康保険法55条1項)。 今回のように、仕事中に交通事故に遭って負傷した場合は、業務災害(労働者が業務を原因として被った負傷等を言います。)にあたり、労災より保険給付を受けることができますので、健康保険を使用することはできません。
交通事故で健康保険を使った場合の、メリット・デメリットを教えて下さい。

(メリット)
被害者側にも過失が出る場合、治療費も自己の過失割合に応じて被害者が負担します。保険診療のうち、健康保険の診療報酬単価は1点10円で、労災保険の診療報酬単価は1点12円です。これに比べて自由診療になった場合の診療報酬単価は、医療機関が自由に決定するため、場合によっては1点20円以上もの診療報酬単価となることもあり、診療報酬が高額になりがちです。
健康保険を使用すると、自由診療と比較して、治療費に関して自己負担額を少額に抑えることができるため、最終的に回収する損害賠償金を多くできます。
【具体的】 過失割合 7(加):3(被)、治療費100万円(自由診療)、休業損害20万円、通院慰謝料80万円
(1)健康保険を使用しない場合
 ・全損害額      200万円(治療費100万円(2倍の診療報酬)、その他上記と同じ)
 ・過失相殺後     140万円(200万円×0.7)
 ・既払い金控除後   40万円(140万円-100万円(治療費))
 ・最終請求額     40万円
(2)健康保険を使用した場合
 ・全損害額      115万円(治療費15万円(通常の診療報酬50万円:3割負担)、その他上記と同じ)
 ・過失相殺後    80.5万円(115万円×0.7))
 ・既払い金控除後  65.5万円(80.5万円-15万円(治療費))
 ・最終請求額    65.5万円
(デメリット)
・交通事故で健康保険を使用した場合に、特段のデメリットはありません。
・ただ、保険診療のため、自由診療で受けられる診療内容と違いが出てくる場合があります。

交通事故で健康保険は使えますか。
健康保険は、被保険者(健康保険の対象者)とその被扶養者(被保険者に扶養されている家族)を対象に、業務又は通勤災害以外の事由による病気や怪我などについて保険の給付を行う制度を言います。 したがって、交通事故により負傷した場合であっても、業務中や通勤途中の事故でない限り、健康保険を使用することは可能です。 なお、交通事故で健康保険を使用する場合には、加入されている健康保険に「第三者行為による傷病届」などの必要書類を提出しなければなりません。
交通事故で労災を使った場合の、メリット・デメリットを教えて下さい。

(メリット)
①治療段階におけるメリットは、労災保険が、被災労働者の治療費を全額負担することです(最終的には、労災保険から加害者に対して、加害者の過失割合に応じた治療費を請求するのが通例です(これを「求償」と言う))。また、被災労働者が治療のため休業し賃金が受けられない場合は、労災保険より休業(補償)給付を受けることができます。
労災保険給付の種類には、様々なものがありますが、治療段階において主要な保険給付となるものとして、療養(補償)給付、休業(補償)給付があります。
療養(補償)給付は、被災労働者が無料で必要な治療を受けることができる現物給付の制度で、労災指定病院で治療を受ける場合、基本的に被保険者の窓口負担はなく、労災保険が全額負担します。
休業(補償)給付は、被災労働者が業務上又は通勤災害の傷病による療養のため休業し、そのために賃金が受けられない場合に支給されるものです。
休業(補償)給付の額は、1日につき給付基礎日額の60%に相当する額です。さらに、休業(補償)給付の支給を受ける被災労働者には、休業(補償)給付に併せて休業特別支給金が支給されます。休業特別支給金の額は、1日につき給付基礎日額の20%に相当する額です。
なお、被災労働者は、休業による損害を100%とした場合、労災保険より休業(補償)給付を60%受け、不足分40%を加害者より受けることでその損害が補填されたことになりますが、特別支給金の20%分は別途受けることができます。そのため、通常の場合と比較して、労災保険より休業(補償)給付を受ける方が受領金額が多くなります。
②次に、被災労働者に過失が出る場合であっても、労災保険が治療費を支払うため、被害者に自己負担はありません。すなわち、被災労働者に過失が出る交通事故で労災保険を使用する場合には、使えない場合と比較して、治療費に関して自己負担がないため、被災労働者が最終的に回収する損害賠償金の金額が多くなると言えます。
(デメリット)
・交通事故で労災を使用した場合に、デメリットはほとんどありません。

交通事故で労災は使えますか。
労働者災害補償保険(労災)は、労働者の業務上や通勤途中の病気や怪我などに対して保険給付を行う制度を言います。 今回の交通事故が、業務中又は通勤途中に発生したものであれば、「業務災害」又は「通勤災害」に該当し、労災より保険給付を受けることができます。
仕事帰りにコンビニに立ち寄り、その後事故に遭いました。このような場合でも労災は使えるのでしょうか。
通勤途中の交通事故は、通院災害として労災保険の対象となり得ます。 もっとも、労災保険の通勤災害では、「合理的な通勤経路」から逸脱していた場合の事故が、労災保険適用外となることもございます。立ち寄られたコンビニの位置、滞在時間などで、労災保険の使用の可否が変わります。
仕事中事故に遭いましたので、労災を使おうと思います。しかし、会社が嫌がっています。このような場合にも労災を使うことはできるのでしょうか。
お客様が被害に遭われた事故が、労災保険の適用対象であれば、お客様は労災保険をお受けになることが可能です。もっとも、一定人数を雇用している事業者では、労災保険の利用に難色を示すケースも散見されます。どうしても勤務先との話合いにて折り合いがつかない場合には、法的手段も検討しないといけないかもしれません。
通勤途中に事故に遭いました。労災は使えるのでしょうか。

通勤途中の交通事故は、通勤災害として労災保険の対象となり得ます。
労災保険で通勤災害と認定されるためには、事故当日の通勤が「合理的な通勤方法」であったことが必要となります。
もっとも、絶対に通勤経路を外れてはいけないわけではなく、日常生活範囲の買い物等(夕食の食材を通勤経路付近のスーパーで買う。)で通勤経路から外れていた場合にも、通勤災害の対象となり得ます。
通勤災害と認定されうるかどうかは、管轄の労働基準監督署へお問い合わせされるか、サリュにご相談いただくことをお勧め致します。

仕事中事故に遭いました。労災扱いにするのと加害者の保険で対応してもらうのと、どちらが良いでしょうか。
お客様が被害に遭われた事故において、お客様に過失が生じるようなケース場合には、労災保険を使用して通院された方が良いケースも御座います。過失の有無について、お悩みの場合には一度サリュまでご相談ください。また、労災保険利用のメリットについては、Q27をご参照下さい。
相手方の保険会社から連絡があり、健康保険を使って欲しいと言われています。健康保険を使った方が良いですか。

お客様が被害に遭われた事故において、お客様に過失が生じるような場合には、健康保険を使用して通院された方が良いケースもあります。過失の有無について、お悩みの場合には一度当法人までご相談ください。