• 後遺障害

逸失利益

後遺障害の逸失利益について

エッ!!後遺障害が認められても逸失利益がない?!

たとえば、骨盤骨変形や鎖骨の変形は、後遺障害等級表上12級5号に該当し、対応する労働能力喪失率は14%ですが、労働能力に影響を与えないなどとして逸失利益が大幅に減額されることがあります。

(1)判例:移植のための骨採取による変形の場合

脊柱、鎖骨・肩胛骨・肋骨の変形や、骨盤骨の一部を採骨したことによって変形が生じた場合、裁判では、加害者側から「等級に対応する喪失率ほどは労働能力に支障がない。」といった主張がなされることが多々あり、裁判所もそのような主張を認める場合があるのです。 以下にその一部の例をあげます。

大阪地判平10.4.17

頚椎前方固定術後の変形障害、その際の腸骨からの2個の骨片の採取に伴う骨盤骨変形のいずれも認めたが、後者については、労働能力に影響を与えないとした。

京都地判平14.2.14

右腓骨骨折を受傷した被害者について、「原告が自賠責保険により骨盤骨変形により12級5号、局部に神経症状を残すものとして14級10号、併合12級の認定を受けたことは前記のとおりである。しかし、骨盤骨変形障害は自賠責保険による保険金支払事由とはなり得ても、元来が、自家骨移植のため採取しても支障がないとされる腸骨から骨採取を行った結果であり、それによる労働能力に対する影響が具体化しない場合は、自賠責保険による認定だけで、それが直ちに労働能力に影響するとは考え難いのであり、本件でも、原告本人は、骨盤骨採取による痛みもない旨を本人尋問で認めて」いるとして労働能力喪失期間を10年間、喪失率を5%とした。

大阪地判平14.3.13

右鎖骨骨折により、右肩関節障害(12級)、骨盤変形(12級)、併合11級を残した原告について、併合11級の後遺症逸失利益は、骨移植による骨盤骨の変形を除外し14%の労働能力喪失で認定した。

(2)では、どうしたらいいの!?

このように、裁判所は、骨盤骨変形などについて等級どおりの労働能力喪失を認めることに消極的であるといえます。もちろん、骨盤骨採取による変形の場合であっても、現実に発生している障害を評価して標準的な労働能力喪失率を認めている例もあります。 大切なのは、労働の内容・環境、就業状況などの具体的な事情に照らして、被害者が労働能力を喪失したことを主張・立証していくことです。 そして、仮に変形障害では逸失利益が否定されたとしても、変形によって生じた痛みが労働能力に対して影響していることを立証できれば、神経症状による後遺障害が残存したとして、逸失利益が認められる可能性があります。 これらは、損害算定の問題であり、弁護士の専門分野です。ぜひ私たち弁護士法人サリュにご相談されることをおすすめします。

逸失利益に関する基礎知識

後遺障害逸失利益とは?

将来得られるはずだったけれども、後遺障害(後遺症)のために得られなくなってしまった収入のことを後遺障害逸失利益といいます。 後遺障害逸失利益は、基礎収入に労働能力喪失割合を乗じて、これに労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数を乗じて算定します。 基礎収入については、休業損害の場合と同様です。

若年者の逸失利益とは?

若年者の場合は、年齢、職歴、実収入額と平均賃金との乖離の程度、その原因等を総合的に考慮し、将来的に生涯を通じて平均賃金を得られる蓋然性が認められる場合は、平均賃金を基礎収入として考えることもあります。 また、幼児、生徒、学生の場合は、原則として平均賃金を基礎収入とします。

自営業者の逸失利益とは?

ご自分でお仕事をしていた方が、税金対策などで十分な申告をしていなかったり、副業の収入を申告していなかったなどの場合にも、低い申告額をもとに逸失利益が算定されてしまう場合があります。 このような場合、事故後に修正申告や所得申告をするとその額が収益と認められる場合がありますが、客観的な資料に基づく証明が必要とされています。

家事従事者の逸失利益とは?

休業損害の場合と同様に、家事労働を金銭に見積もることは非常に困難であり、家事従事者については、女性労働者の平均賃金額を基準とすることが原則です。 この基準をベースとして、年齢、家族構成、家事労働の内容等により増額を図っていくことになります。 たとえば、家族がたくさんいて一日中家事で重労働を強いられている方などは、基礎収入が増額される可能性があります。 仕事も持っている兼業主婦の場合は、この平均賃金額と現実収入額の高い方が基礎収入となります。

高齢者の逸失利益とは?

高齢だけれど、一生働き続けようと思っていたのに、もう働けなかったはずだからと逸失利益が認められないこともあります。 また、年金を受給していた方がお亡くなりになった場合には、これも逸失利益として認められることがあります。

収入減少がない場合の逸失利益とは?

後遺障害(後遺症)があるにもかかわらず、本人の努力で事故前と同じように仕事をこなし、収入が減少せずに済んでいるような場合、現実の収入の減少がないので、逸失利益を認めてもらうのは簡単ではありません。 このような場合でも、サリュはできるだけ逸失利益の支払いが得られるよう努力します。

ライプニッツ係数とは?

逸失利益については、将来にわたる労働能力喪失に関する賠償について、現在時点で全て賠償してもらうのですから、将来得られたはずの収入を現在の価額に計算し直す必要があります。 ライプニッツ係数とは、このような中間利息(3%)を控除するための計算式における一定の係数をいいます。

労働能力喪失割合とは?

後遺障害(後遺症)によって失った労働能力の割合を、労働能力喪失割合といいます。具体的には、1級であれば100%、14級であれば5%の労働能力が喪失したとされます。

労働能力喪失期間とは?

後遺障害(後遺症)を被ったことによって、労働能力が制限される期間を労働能力喪失期間といいます。 原則として、労働能力喪失期間の始期は症状固定日であり、終期は67歳まで、あるいは平均余命の2分の1の年数までとなります。 しかし、後遺障害(後遺症)が痛みやしびれなどの神経障害だけの場合、労働能力喪失期間が5年程度に制限されることがほとんどです。 サリュでは、できるだけ労働能力喪失期間が長く認められるよう、お手伝いします。