損害額の計算

松葉づえが必要と言われたのですが、松葉づえ代は請求できますか。
医師が必要と判断したのであれば、請求できます。カルテなどに、医師が松葉づえを必要だと考えた理由を記載しておいてもらうと良いでしょう。
私の車に同乗していた愛犬が死にましたが、保険会社から、物損に対しての慰謝料は出せないと言われました。出させることはできないでしょうか。
物損に関する慰謝料は原則として認められないのですが、このような場合には、単に「物」として考えるのは適切ではないため、慰謝料が認められる余地があります。しかし、判例を前提とすると、認められるとしても極めて低い慰謝料額であり、不当な結論に留まることも少なくないのが現状です。
愛車が壊されて、悲しみに暮れています。慰謝料は取れますか。
物損に関しては、原則として、慰謝料の請求は認められていません。もっとも、希少車や、高級車の場合、認められている事例も若干とはいえ存在します。
物損で不本意な過失割合で示談してしまいました。人身も同じ割合でしか示談できないのでしょうか。
人身について別の過失割合で示談をすることはできます。ただ、裁判になってしまった時は、物損の過失割合に同意したことを不利な事実として主張されてしまう可能性はあります。
事故でメガネや時計が破損してしまいました。レシートや領収書は保管していなかったのですが、このような場合でも補償されるのでしょうか。
補償される場合もあります。このような場合には、購入年月日、購入金額、メーカー等を記載した明細書を作成し、それを保険会社に提出した上で、交渉を行います。
自転車に二人乗りをしていて事故に遭いました。加害者に対して損害賠償請求する際、私も悪いと言われてしまうのでしょうか。
自転車の二人乗りが禁止されていることや、同乗者にも運転者の危険運転を制止するチャンスがあること等の事情にかんがみると、同乗者にも過失があると言われてしまう可能性があります。したがって、加害者に対して損害賠償請求する際には、過失相殺されてしまう(こちら側も悪いと言われてしまう)可能性があります。もっとも、加害者に対する請求ができないわけではないので、注意してください。
入院先の病院で、細々とした出費があります。すべて領収書を取っておかなければならないのでしょうか。
もちろん残しておいても結構です。しかし、全ての領収書を残すことは通常難しいため、領収書がなくても、一般的には、1日1500円の入院雑費の賠償を受けることができます。
病院へはタクシーで通い続けても良いですか。
タクシーによる通院は必要性、相当性が認められた際に認められます。一般的に公共交通機関を利用するよりも、高度の必要性が求められています。そのため、常に認められるわけではなく、症状などにかんがみ、タクシー利用が相当な場合にのみ、タクシー代の賠償を求めることが可能となります。
事故の加害者が無免許でした。このことは今後の賠償上、何か影響がありますか。

実務では、過失割合を算定する際には、『別冊判例タイムズ38』を参照しています。その中では、無免許運転の事実は、無免許運転者の過失を加重する事情(「重過失」)として挙げられています。ただし、無免許運転自体が事故発生の原因ではなく、運転技術が乏しかったことが事故の原因になるのだと思います。したがって、その事案に即して、無免許運転者にどういった落ち度があったのかを具体的に主張する必要があります。極端な話、無免許運転であったとしても、運転技術にまったく問題がなかったのであれば、無免許運転の事実だけから「重過失」を導くことはできない可能性もあります。

事故の加害者が飲酒運転をしていました。このことは今後の賠償上、何か影響がありますか。
過失割合の算定や、慰謝料の算定に影響する可能性があります。具体的には、飲酒運転があれば「重過失」に該当するため、加害者の過失割合を大きく認めさせることができます。また、悪質運転である以上、慰謝料額を大きくする方向に働く可能性があります。