事例95:加害者に任意保険がなくても、自賠責を最大限利用して全額回収

 世の中には、自動車や二輪車を運転しているにもかかわらず、強制加入の自賠責保険にしか加入していない運転手がいます。このような運転手が事故を起こした場合、自賠責保険でカバーできない賠償金は、原則として加害運転手本人に対して請求することになります。加害者に資力がない場合、被害者は、事故によって生じた身体的・精神的損害を、金銭によっても回復できないこととなってしまうのです。

 自転車を運転して道路を横断していたWさん(女性)をはねた原付バイクの運転手もまた、自賠責保険にしか加入していない運転手の1人でした。

 Wさんは、頸髄損傷で救急搬送され、3ヶ月近く入院を余儀なくされました。しびれなどは残存したものの、幸い自らの意思で手足を動かせるところまで回復しましたが、転倒時にコンクリートに打ち付けた顔面には線状痕が残存してしまいました。

 サリュは、ご依頼時から、加害者が自賠責保険にしか加入していないことが判明していたため、自賠責保険の中で可能な限り賠償金を回収し、本人が無資力であった場合に賠償金を回収できない危険を最小限にしたいと考えていました。

 そこで、後遺障害を申請する際、同時にWさんが立て替えていた治療費を自賠責に請求すると共に、顔面の醜状痕についても適切な等級が獲得できるよう、面接に立ち会うことにしました。ここでいう「面接」とは、醜状痕が残存した場合に、その大きさ等を自賠責調査事務所が確認するために行われるものです。

 その結果、Wさんの顔面醜状痕は9級と認定され、後遺障害等級に応じた賠償金と、Wさんが立て替えていた医療費が自賠責から支払われました。本件の場合、この時点で、Wさんに生じた損害額の75%近くを回収できました。
 その後、後遺障害の結果を元に加害者と交渉を行い、残りの損害額全額を、加害者本人から回収することができました。

 Wさんからは、事故直後からの加害者とのやりとりに疲弊していたが、サリュに全て任せられて精神的に救われたこと、加害者が自賠責保険にしか加入していなかったにもかかわらず全額を回収できたことへの感謝の言葉をいただきました。