事例70:画像所見のない高次脳機能障害 自賠責等級非該当から裁判上の和解で12級相当獲得

Dさん(30代男性・会社員)は、自転車で道路を横断中、自動車に横からぶつけられて転倒し、頭を強く打ってしまいました。

Dさんは、しばらく仕事を休んだ後、仕事に復帰しましたが、その1年後に、仕事で大きなミスをしていることが発覚し、首になってしまいました。Dさんは、1年間、同じミスをし続けていたのですが、自分ではそのことに気付いておらず、周囲もDさんを信頼していたため、そのことに気付かなかったのです。

その後、Dさんは、高次脳機能障害と診断され、記憶力や集中力など、様々な能力に問題があることが発覚しました。このように、高次脳機能障害は、周りから見ると一見普通の人に見えるので、診断が遅れることがあるのです。

Dさんは、サリュを訪れ、高次脳機能障害としての補償を受け取ることができるよう、依頼をされました。

確かに、Dさんは、高次脳機能障害と診断されていましたが、脳の画像には異常が映っておらず、自賠責で高次脳機能障害と認めてもらうのは、大変難しい状況でした。

サリュは、高次脳機能障害の専門医に診察してもらい、画像に映らない異常もあることを意見書にして、自賠責保険に後遺障害の認定を求めました。

しかしながら、案の定、顔の傷痕等の他の後遺障害は認められても、高次脳機能障害は認められませんでした。

そこで、サリュは、裁判を起こし、Dさんに別の医師の診察も受けてもらい、意見書を提出しました。

さらに、Dさんと奥さんには、裁判所で尋問を受けてもらい、記憶ができないことなどに関するエピソードを話してもらいました。

裁判所は、画像がないことの難しさはあるものの、和解としては12級相当の損害は認められるとして、当初、和解を拒んでいた保険会社もこれに応じることになりました。