事例362:自動車と自転車の衝突事故で、自動車側7割、自転車側3割との内容で過失割合が争点となっていた事案で、裁判で自動車側の無過失を勝ち取った事例
Aさんは、住宅街を自動車で走行中、右側路地から交差点に左折進入してきた大手運送会社職員が運転する自転車と衝突しました。
幸い両者共にお怪我はなく、主たる争点は物損における過失割合となりました。相手方の主張は、道路上弱者救済の理論に基づき、本件事故の過失割合は自動車側を7割とするのが相当であるとの主張でした。
道路上弱者救済の理論とは、端的にいうと、自動車>バイク>自転車>歩行者の順に重い責任を課されるべきとする考え方です。
Aさんは相手方の主張するこの過失割合にどうしても納得がいかず、弊所にご相談に来られました。
解決に至るポイント
解決に至った主なポイントとなったのは、予見可能性でした。そもそも過失とは、予見可能性を前提とする結果回避義務に違反すること、と定義されます。
例えば、自動車の運転手が、このまま自動車を運転していては歩行者に衝突してしまう、という結果が予見できた場合、運転手は自動車の速度を落としたり、車線の変更を試みたりと、歩行者に衝突する結果を回避すべき義務を負います。このような義務が生じていたにも関わらず、相応の行動をしなかったことに対する非難が過失ということになります。逆に言えば、事故の発生が予見できなければ、結果を回避するべき義務も生じえません。
私達は、裁判を提起し、Aさんが所有していたドライブレコーダーの映像を元に、相手方自転車の交差点への進入速度や進入角度、衝突時双方の位置関係など、一つ一つの事情を丁寧に精査し、Aさんには予見可能性がなかった旨、粘り強く主張しました。
その結果、裁判において、事故当時Aさんには予見可能性がなかったということを理由に、Aさんには過失が無かったとする内容の判決を勝ち得ました。Aさんのお気持ちに沿う結果を得ることができ、Aさんには大変ご満足いただけました。
確かに、過失割合は裁判例や理論の蓄積により、ある程度の方向性が定まっているといえます。しかし、過失の判断はあくまで個別具体的な事故の状況によるものです。過失割合に関してお悩みの方は、お気軽にご相談をいただけますと幸いです。
また、今回裁判で勝つことが出来たのは、Aさんが自車にドライブレコーダーを搭載し、データを保管していたという点が大きなポイントであったといえます。交通事故に遭ってしまった際に、過失割合が有耶無耶にならないよう、自動車やバイクを運転される方はドライブレコーダーを搭載していただくことをおすすめ致します。