事例244:てんかんの持病があったことを理由に非該当にされた頬の痺れを紛争処理機構へ申請し、14級の認定をさせた事案

Sさん(男性)は、自転車で通勤していたところ、交差道路から出てきた乗用車と衝突・転倒し、左頬骨骨折・頚椎捻挫の傷害を負いました。
 Sさんは約2年間の治療を受けましたが、左頬部シビレが残存したため、自賠責保険に対する後遺障害等級の申請を行いました。ただ、Sさんには子どもの頃から「てんかん」の治療歴があり、交通事故時においても実際に医師から抗てんかん薬の処方を受けていました。その点が後遺障害9級に相当する既存障害であると評価されてしまい、左頬部シビレについては後遺障害に該当しないと判断されました。
 しかし、Sさんのてんかん発作は3年以上も発症しておらず、日常生活や仕事においても特に支障が出ることはありませんでした。Sさんは、抗てんかん薬を処方されている事実だけをもって既存障害があると評価されたことに納得ができず、交通事故専門の法律事務所であるサリュの無料相談へ行くことにしました。
 相談を担当した弁護士からは、「難しい案件ではあるが、Sさんの気持ちをしっかりと自賠責保険に主張していくべきである。」というアドバイスを受けて、Sさんは、結果が伴うかは分からないけれども、あらゆる手を尽くそうと決意して、サリュへ依頼することにしました。
 サリュでは、自賠責保険に対する異議申立てを行うため、主治医から意見書を取り付けるとともに、すでに自賠責保険へ提出されていた各種資料を徹底的に精査しました。また、顧問医の見解も聞き、Sさんの脳波には異常所見が認められないことが分かりました。
 これらの点を踏まえて異議申立てを行いましたが、結局、自賠責保険の判断を変えることはできませんでした。そこで、裁判以外の手段としては、後遺障害等級を争う最後の手段とされる自賠責保険・共済紛争処理機構での紛争処理申請を行うことにしました。審査期間に相当長い時間を要しましたが、紛争処理機構は自賠責保険の結論を変更し、Sさんの左頬部シビレについて14級9号に該当すると判断しました。事故発生から実に5年余りの歳月が経過していました。
 この結果を踏まえて、サリュでは、相手方の任意保険と示談交渉を進め、最終的に545万円(このうち後遺障害分は約386万円、自賠責保険金75万円を含む)の賠償金を受領することができました。
 Sさんのように自賠責保険の一方的な判断によって、思いがけず既存障害があると評価されてしまう方もおられます。サリュでは、ご依頼をいただければ、その判断が妥当であるかどうかを調査します。もし、その判断が妥当でないということであれば、Sさんのケースのように徹底的に戦い、適正な賠償を受けられるよう最大限の努力をさせていただきます。