事例223:売上の減少のない自営業者について休業損害を認めさせた。

Aさんは、事故当時、自営業(養鶏業)に従事していました。
平成23年の冬、Aさんが右折待ちで停車していたところ、後ろから自動車(トラック)に追突され、頚椎捻挫、腰椎捻挫、右肩関節痛などのお怪我を負われました。

事故から約1年半後、Aさんは、すでに結果が出ていた後遺障害(等級は非該当)のことを気にされ、サリュへ相談に来られました。
サリュでは、これまでの治療経過や症状の推移などをAさんから丁寧に聴取した結果、現在の自賠責保険において等級が認定される可能性は極めて低いかもしれませんが、やれるだけのことをやりましょうとお話をしたところ、Aさんは、事件の解決をサリュに依頼されました。

受任後、サリュは、Aさんの医証を収集し、過去の類似事例なども参考にしながら、異議申立を行いましたが、当初の見通しのとおり、異議申立の結果は非該当でした。

その後、Aさんの要望もあり、紛争処理申請も行いましたが、結果は変わりませんでした。
Aさんは、そこまでやってくれたのだから、後遺障害はもういいですと納得した様子で言ってくださり、サリュは、相手方保険会社との示談交渉を始めました。

本件の交渉の最大のポイントは、Aさんの休業損害でした。
なぜなら、Aさんの売上は、事故の年よりも事故翌年の方が増加しており、事故によるAさんの休業の影響がどこにあるのかを立証するのが困難であったからです。

そこでサリュは、Aさんの決算書や確定申告書を集め(事故前2年分と事故後2年分)、Aさんのそれぞれの年度の仕事の状況、業界(養鶏業)の動き、養鶏業の特質(生き物を扱う業種であり、業務を止めることは容易ではない)などを検討し、事故の年と事故後の年を比較した結果、修繕費(外注)と人件費の著しい増加に着目しました。

そして、Aさんがこの事故で怪我をしなければ、鶏舎の修繕などはAさん自身ですることが出来たし(外注する必要がない)、新たに人を雇うこともなかった(増員の必要がない)というような事実を主張しました。

その結果、相手方保険会社は、Aさんの休業損害について、サリュの主張を受け入れ、休業損害として240万0230円を認め(サリュの提示した休業損害は264万2270円であり、同額の90%を認めさせました。)、賠償金として計340万円を支払うことに応じました。

Aさんは、示談交渉というスピーディーな解決方法で、上記のような内容であったことから、大変満足をして下さいました。
サリュでは、たとえ立証が困難であったとしても、その方の事実を丹念に積み上げ、被害者が被った事故による損害が正当に賠償されるよう、日々、努力を続けております。