事例208:会社役員であった被害者の休業損害が訴訟で認められた

Aさんは、事故当時、会社役員(一人会社の代表取締役)でした。
赤信号で停車していたところ、後ろから自動車に追突され、頚椎捻挫や腰椎捻挫を受傷しました。
事故から約6ヶ月後、Aさんは、治療を続けていましたが、今後のことが気にかかり、サリュへ相談に来られ、事件の解決を依頼されました。

サリュでは、それまでの治療経過や症状の推移などを把握し、Aさんと話し合いながら、事故から約9ヶ月経過した時点で「症状固定」をし、後遺障害等級認定の手続きをとりました。その結果は非該当でしたが、Aさんご自身も、ご納得され、異議申立の手続きは取りませんでした。
その後、サリュでは、相手方保険会社と示談交渉進めましたが、相手方保険会社は、そもそもAさんは会社役員であるから、休業損害は発生していないというスタンスで認めず、70万1710円の提示を出してきました。
サリュは、この提示額は承服しかねると判断し、Aさんの了承を得て、裁判をすることにしました。

訴訟において、相手方は、「Aさんの治療期間約9ヶ月は長すぎる、Aさんは会社役員で給与ではなく役員報酬を貰っているのだから休業損害は認められない、会社の売上自体は事故後上がっているのだから、会社にも損害は出ていない。」との主張を展開してきました。
サリュでは、治療期間については主治医の判断を基礎とし、Aさんの休業損害については、決算書を元にAさんの仕事の状況、売上の内容、利益の減少などの事実を積み重ね、この事故によって、Aさんには間違いなく休業損害が生じていると主張(反論)しました。
裁判所は、サリュの主張立証を受け止め、Aさんの会社は、売上は増加しているものの、役員報酬を考慮しない営業利益は減少しており、これはこの事故によるものであると判断し、Aさんの休業損害を認めました。
その結果、裁判所の判決に基づく賠償金は160万9538円となりました。

Aさんは、示談交渉の際に相手方保険会社が提示した賠償額で比べ、約2倍の賠償額を受ける結果となり、大いに満足して下さいました。
サリュでは、会社役員だからといって休業損害などは生じないと安易に考えず、その方の仕事の実態を正確に把握することに努め、交通事故に遭われた被害者の損害を少しでも回復されるよう、日々努力を重ねています。