事例138:事故状況の詳細な分析で、死亡事故被害者や遺族の無念を晴らす

子供たちが寝静まった真夜中、自宅の電話が突然鳴り響きました。電話に出たBさんは、警察官を名乗る電話の声に凍り付きました。

「ご主人が交通事故に遭って、病院に運ばれました。」
慌てて病院に向かったBさんを待っていたのは、すでに冷たくなった夫でした。
突然夫を失ったBさんは、それでも気丈に喪主を務め、会社や保険などの各種手続きを自分一人で行いました。まだ幼い子供たちに弱った姿だけは見せまいと、歯を食いしばって生きてきました。

しかし、いざ賠償交渉となった時、自分の力だけでは不安に思い、サリュを訪れました。
交通事故が発生すると、通常は当事者双方の言い分を記した実況見分調書が作成されます。しかし、被害者が救急搬送された直後に実況見分が行われた場合や死亡事故の場合には、当事者の一方のみが立ち会って実況見分を行うこともあります。その場合、加害者が、事故態様を自己に有利に偽ったりする危険が高まります。この危険は、死亡事故の場合には、さらに高まります。被害者からは2度と事故状況が聞き取れない上、加害者も結果の重大性から自己保身を図る可能性が高いからです。

本件も死亡事故であるため、加害者の言い分のみで実況見分調書が作成されていました。そこでサリュは、刑事裁判の全ての記録を取り寄せ、事故状況を再構築する作業を丁寧に行いました。刑事裁判の証拠として提出されていた鑑定書も読み解き、加害者供述の矛盾点を洗い出しました。また、事故現場となった駐車場にも出向き、当事者双方からの見通し状況などを実際に確認しました。

このように周到な準備をした上で、訴訟を提起しました。加害者側弁護士からは、刑事裁判の記録に基づきBさんの夫の過失が大きかった旨の主張がありましたが、訴訟準備段階で明らかになった加害者の矛盾供述を示して応戦しました。

また、Bさんが今まで蓋をして必死に閉じ込めてきた悲しみ、悔しさ、苦しみ、夫への想いを、法廷で直接裁判官に聞いてもらう機会も設けました。涙ながらに、絞り出すようにして語るBさんの姿を、忘れることができません。

結局、裁判所は、被害者であるBさんの夫の過失割合は、加害者側代理人が主張するほどには高くはないと判断し、訴訟上の和解が成立しました。

どれほどお金を積まれたとしても、Bさんにとって夫に代わるものはありません。しかし、いろいろなものをたった1人で背負って生きてきたBさんにとって、サリュが少しでも力になれたのであれば幸いです。

愛する人を突然の事故で失い茫然自失としている人、湧き上がる想いを絶ち切るようにがむしゃらに生きる人。今まで、死亡事故を数多く扱ってきたサリュは、死亡事故の被害者家族もまた、たくさん見てきました。どこにぶつけていいのか分からない気持ちを、まずはサリュにお聞かせ下さい。サリュの経験と智恵を結集したお手伝いをお約束致します。