事例125:OPLL(後縦靭帯骨化症)事案で素因減額を主張されたが、粘り強い交渉で、ほぼ裁判基準同額で示談

Kさん(62歳・女性・兼業主婦)は、原動機付自転車に乗って信号のない交差点を通過していたところ、左側から交差点に進入してきた自動車に衝突され、転倒されました。この事故で、Kさんは、中心性脊髄損傷・骨盤骨折の大怪我を負われました。また、この時Kさんが、頚椎後縦靭帯骨化症(OPLL)であったことが判明しました。

Kさんは、8ヶ月にわたる長期間の入院と定期的な通院リハビリを行いましたが、症状は改善せず、四肢の痺れが残存し歩行時にもふらつきが出るなど、日常生活に大きな支障が出ました。

Kさんは、体が元に戻らないならせめて適正な後遺障害の認定を受けたいと思い、症状固定前からフルサポートしてくれるサリュに依頼されました。

サリュが、診断書作成段階からKさんをサポートできたことで、的確な後遺障害診断書が完成しました。その後、サリュが自賠責保険に被害者請求の手続きを行い、Kさんの後遺障害が5級2号と認定されました。

後遺障害が認定された後、サリュはKさんの損害額を算出して示談交渉に入りました。もっとも、相手方は、KさんにOPLLがあったから症状が悪化したとして、20%の素因減額を主張してきました。

素因減額は、もともとお身体に障害などの疾患(これを素因と言います。)があった方が事故に遭われた際に問題となります。というのも、交通事故によって生じた被害者の治療費や後遺障害などは、素因がなければ、もっと治療費も低額に収まり、また後遺障害も重篤化しなかった可能性があります。素因減額は、これに着目して、事故によって生じた損害は、被害者の素因も影響を及ぼしているとして、賠償額を素因の程度に応じて減額するという理論です。

一般に裁判上も、被害者にOPLLがある場合は、20%から30%さらに骨化の程度によっては50%の素因減額がされる場合があります。

これに対して、サリュは、確かにKさんはOPLLであったが、事故以前に自覚症状が全くなく事故に遭わなければ、このまま症状が出なかった可能性があること、バイクで転倒し相当強度の外力が加わったこと、Kさんは自宅を改造(バリアフリー化)しなければならないほど日常生活に大きな支障が出ていること等、Kさんの気持ちを酌んで粘り強く交渉しました。その結果、素因減額の割合を10%で食い止めることに成功しました。

その上で、休業損害や入通院慰謝料及び後遺障害慰謝料、そして逸失利益について、当方が主張した裁判所基準のほぼ満額を相手方に認めさせ、最終的には賠償金約2700万円を回収することができました。