事例103:過失割合|現場検証や類似裁判例の調査により裁判で覆した

Kさん(男性・会社員)は、バイクに乗って道路左端を走行していたところ、前方を走行していたタクシーが、交差点を超えてすぐに、客を乗せるため急に道路の左に寄り、停止したため、バイクの急ブレーキをかけて衝突を回避しようとしたところ転倒し、右足根骨骨折及び頚椎捻挫等の怪我を負いました。

Kさんとしては、タクシーが急に左に寄ったため進路を塞がれ、避けようがなかったのですが、タクシー会社側の主張は、Kさんがタクシーに追突したとして、Kさんにより大きな過失があるというものでした。

Kさんは、タクシー会社が治療費の支払いをしないため、仕方なく自費にて治療を受けざるを得ませんでした。

このように、Kさんは、加害者であるタクシー側から、一方的な過失割合の主張をされ、骨折等の重傷で長期の治療が見込まれるにもかかわらず治療費も自己負担であることから、不安と憤りを感じ、サリュの無料相談にこられました。

サリュでは、事故状況から考えられる過失割合と、Kさんのお怪我から考えられる後遺障害や、損害賠償請求までの流れをご説明しました。

その後Kさんは、1年以上に渡り通院を続けましたが、右足に痛みと親指の可動域制限が残り、頚部にも痛みが残ってしまいました。

そこで、Kさんの症状について適正な後遺障害認定がなされるよう、後遺障害診断書を主治医に作成していただくところから、サリュがお手伝いすることになりました。

サリュは、Kさんに、必要な検査を受けてもらうお願いをし、Kさんの症状が適正に評価されるような後遺障害診断書を作成してもらうのに必要なアドバイスをしました。その結果、右足の親指の可動域制限について後遺障害等級12級12号、頚部の痛み等について14級9号が認定されました。

それと併行して、サリュでは、警察が作成した実況見分状況書を取り寄せ、類似の事例についての判例を調べるなどして、適正な過失割合の検討をしました。

そして、認定された後遺障害等級を前提に、Kさんの損害額を算出し、Kさんの過失割合のほうが大きいなどと主張をして治療費の支払いすら応じなかったタクシー会社も被告に加えて、民事裁判を提起しました。

裁判の中で、Kさんがそれまで被った損害や精神的苦痛、残ってしまった後遺障害によって仕事や日常生活に生じている不都合や苦痛などを詳細に主張するとともに、実際に事故現場に行って道路状況をDVDに撮り証拠提出するなどして、タクシー側に大きな過失があるという主張を強く訴えました。

その結果、裁判官は、事故の主たる原因がタクシーにあることを認め、タクシーに75%の過失があるとしたうえ、損害賠償額として、既に受け取っていた自賠責保険金344万円のほか、約700万円をKさんに支払うべきとの判断を示し、和解が成立しました。

 事故により骨折等の重傷を負いながら、自分の過失のほうが大きいと言われ、きちんと損害賠償がなされるか不安な日々を過ごしていたKさんでしたが、和解の内容に喜んでいただき、解決に至ったことでほっとされたご様子でした。