事例101:醜状痕7級の後遺障害で逸失利益を認めさせ、3600万円獲得
Jさんは救急搬送され、緊急手術が施されましたが、頬骨や鼻の骨は折れ、右眼も陥没してしまった状態でした。手術後、顔は完全には元には戻らないと医師から言われ、Jさんは、悲しみや怒り、ショックは日を増すごとに強くなる一方、涙が止まらなかったと言います。若い女性ならなおのこと、失明の恐れもあり、不安な日々が始まりました。
しかし、家族や職場の仲間の支援、医師の励ましも受けて、Jさんはいつしか必ず元の生活に戻るのだという強い気持ちを持つようになり、何度もの辛い手術に耐えられました。顔には多数のプレートが埋め込まれ、ご自分の口腔内の皮膚や、腸骨を採取して移植するなどの難手術を何度か受けられました。そして、口を開けることも、歩行もままならない状態でしたが、治療を続けながら、懸命にリハビリも続けられました。
こうして、Jさんは持ち前の前向きな性格で、少しずつ日常生活を取り戻していきましたが、事故から1年半が経っても、顔面には醜状痕や複視、しびれなどの神経症状が残っていたことから、やはり将来には大きな不安を抱えていらっしゃいました。そんな中、きちんと後遺障害の認定を受け、しかるべく補償を受けたいとお考えになり、サリュにご相談に来られたのでした。
サリュは、Jさんのご依頼を受け、適正な後遺障害等級を獲得するべく、後遺障害診断書の準備からサポートしました。その結果、無事に、顔面の醜状痕で7級、顔面に残る神経症状で12級、複視で13級が認定され、併合6級が認定されました。
しかし、こうして無事に、後遺障害等級が認定されたものの、その後の示談交渉では、後遺障害による逸失利益がどの程度なのかという点で、保険会社と争いが生じました。いわゆる「醜状痕」による後遺障害は、労働能力に影響を与えない(逸失利益がない)という考え方もあり、例に漏れず、保険会社はそういった主張をしてきたためです。
しかし、サリュは、醜状痕も労働能力喪失に影響があるという判例や本人の陳述書を提示するなどして保険会社と交渉を続け、結局、醜状痕も労働能力喪失に相当程度の影響があることを認めさせ、Jさんは、治療費以外に3600万円の賠償金を受けることが出来ました。
今回の事故は、何の落ち度のもないJさんが、たまたまそこに居合わせたという不運で、顔に大怪我を負うという辛い事故であり、治療の経緯などを見ると、私たちも本当に心が痛みました。
しかし、Jさんの前向きな性格に私たちがむしろ励まされ、無事に最後まで解決に至ることが出来た印象深い案件となりました。