事例89:遷延性意識障害の将来治療費を認めさせて、賠償金5500万円増額

Nさん(69歳、男性)は、信号のない交差点の優先道路側を軽トラックで走行中に加害者の車両と出合い頭に衝突しました。そして、Nさんは、事故の衝撃により右大腿骨解放骨折、左下腿骨開放性骨折、右下腿骨折、両側多発骨折、低酸素脳症、脳梗塞等の重傷を負い、Nさんには遷延性意識障害が残ることになりました。

事故から11か月後、Nさんは症状固定と診断され、自賠責保険より後遺障害1級の認定があり、この認定を受けて保険会社から約3300万円での示談提示が行われていました。

Nさんのご家族は、事故の早期解決がご希望でしたが、完全看護態勢によるNさんの入院治療費が今後も継続的に必要となることから、保険会社に示談提示額が本当に適正なものなのか判断してほしいとサリュに相談されました。

サリュは、Nさんに対する示談案を詳細に検討し、保険会社の示談案は、将来治療費を健康保険が適用される前提で計算した金額であり、本来受けるべき賠償より著しく低い金額になっていると考えました。そこで、サリュは、将来治療費について、健康保険制度が破綻し消滅する可能性もあることから自由診療により計算された将来治療費を確保すべきと考え、その旨を丁寧にご説明させていただき、Nさんのご家族よりご依頼をいただきました。

サリュは、自由診療を前提とした計算による将来治療費でNさんの損害額を計算しなおし、保険会社と示談交渉を始めましたが、将来治療費の計算方法については最高裁判例のない難しい問題であり、交渉は難航しました。しかし、サリュは、できる限り早期に解決したいというNさんのご家族の意向に添えるように示談交渉での解決を目指し、類似の裁判例等を指摘するなどして粘り強く交渉を続けました。

その結果、サリュは、相手方に自由診療での将来治療費が妥当であることを認めさせ、治療費等の既払金を除いて、総額8800万円で示談が成立しました。Nさんのご家族からは、示談での早期解決と大幅な示談金の増額に大変満足していただけました。