事例151:加害者側の重大な速度違反を丹念に立証。被害者側8割の過失相殺主張を4割にまで減らすことに成功した
加害者の保険会社は、制限速度を上回る速度なんか出していないし、そもそも直進車が優先なのだから、基本の過失割合は2:8であるとして、Sさんの方が悪いという主張をしてきました。
最愛の息子を突然の交通事故で亡くしたご両親は、息子が何も言えないのをいいことに、息子の方が悪いと主張されたことに納得がいかず、弁護士に相談することにしました。しかし、他の弁護士からは、直進車の方が悪いなんてことはあり得ない、と門前払いされてしまいます。
サリュは、ご両親からSさんがどんな人物であったかを聞き、こんな真面目な青年が、直進車を気にせず強引に右折して事故を起こすとは考えられない、直進車がものすごい高速度で進行していたために、あっという間に交差点まで到達して、普通に走行していたSさんに衝突した事故であるとの心証を抱き、Sさんの無念を晴らすべく事件を担当させていただくことにしました。
そして、直進車対右折車の裁判例を徹底的に調査し、Sさんの側に有利に働く論理や事実を調べ、それらを主張に盛り込むととともに、科学捜査研究所と電話や書面でやり取りをし、衝突の角度や摩擦係数などから加害者の速度が時速100~115㎞出ていたことの裏付けとなる証拠を作成してもらうなどして、裁判で戦いました。
保険会社側からも鑑定結果が出されて争われましたが、結果、サリュの主張する速度(時速100~115㎞)で認定してもらい、過失割合も6割加害者が悪いという認定をしてもらいました。
また、過失割合以外でも、死亡慰謝料2700万円・生活費控除率40%など、独身男性の場合の裁判基準よりも高い金額での損害賠償を認めさせることができ、全面勝訴判決を得ることが出来ました。
なお、この裁判は、直進車の方が悪いとした画期的な裁判であるとして、自動車保険ジャーナルにも掲載されました(№1913・135頁以下)。
裁判が終わった後、Sさんのご仏前で「Sさんの方が悪いという相手方の主張を覆すことができましたよ」と裁判の報告をさせていただき、ご両親には、Sさんの過失が低かったと裁判所が認めてくれたことで気持ちを整理することができた、これで息子も浮かばれるとおっしゃっていただきました。
保険会社は形式論を振りかざして、被害者や遺族の損害賠償を認めないと主張してきます。サリュは、このような形式論に屈せず、声なき交通事故被害者の声を、あらゆる手をつくして、相手方や裁判所に伝える努力をさせていただきます。