事例102:死亡事故で被害者参加。遺族の気持ちも伝え、過失割合も覆した

 交差点を原動機付自転車で走行していたNさん(18歳、男性)は、交差点に右折進入してきた乗用車にはねられ、急性硬膜下血腫で間もなくお亡くなりになりました。

この事故は、Nさんが赤信号無視で交差点に進入してしまった事故だったのですが、相手の加害乗用車も、赤信号で進入し、かつかなりのスピードを出していた可能性がありました。そのため、Nさんのご両親は、Nさんの過失を認めつつも、加害者も安全運転をしてくれていれば、息子は死ななくても済んだのではないかという気持ちが捨てきれず、加害者にも多少なりとも改悛の情を持ってほしいというささやかなご希望をお持ちでした。しかし、加害者は、自分は青信号で交差点に進入しており、事故はNさんのせいだと主張し、改悛の情が一切見られなかったことから、ご両親は悔しい気持ちを抱えて、サリュにご相談に来られたのでした。

Nさんのご両親からご依頼を受け、サリュは、まず、事故状況について調査を始めました。すると、やはり加害者側の信号は青ではなく赤であったことや、加害者が20kmのスピード違反もしていたことが判明しました。

さらに、サリュは加害者の刑事裁判に遺族が参加できる「被害者参加制度」のサポートも始めました。被害者参加制度とは、死亡事故のような大きな事故では、遺族が、加害者に対して情状について意見を述べることが出来る制度です。Nさんのご両親は、被害者参加制度に参加することで、息子の過失も認めつつ、加害者も危険な運転行為をしたことを反省してほしい旨を裁判の中で訴えることが出来ました。

こうして、結局、Nさんと加害者の過失は3:7という結果になり、当初、加害者の主張を鵜呑みにしてまったく対応していなかった保険会社も、加害者の過失が大きく、賠償金の支払い責任があることを認めざるを得ないことになりました。

しかしながら、いざ示談交渉となると、保険会社は誠意ある対応をしませんでした。そのため、サリュは、今度は民事裁判を提起しました。民事裁判でも、Nさんのご両親は、18歳で突然命を奪われたNさんの無念さ、加害者の反省の意識の低さ、子供を失った深い悲しみ、加害者が否認の言を繰り返したことによる精神的苦痛を訴えました。そして、6回の期日を経て、最終的に、人身傷害保険と損害賠償請求を併せて総額7000万円を受け取ることで解決することが出来ました。

亡くなったNさんはもう帰っては来ませんが、ご両親は、ご遺族のお気持ちを汲んだ刑事裁判や民事裁判でのサリュの対応に感謝して下さいました。