後遺障害が非該当でももらえる示談金を解説|納得いかない時の対処も

交通事故で怪我をして後遺障害認定を申請したけれど、非該当だった

非該当の自分は示談金をもらえるの?もらえてもかなり少なくなる?

後遺障害等級は、後遺症の重さを証明するもので、示談金を大きく左右します。

認定をもらえると思っていたのに非該当だったあなたは、結果に納得がいかないと同時に、示談金が減るのではと不安を感じているのではないでしょうか。

結論から申し上げると、後遺障害非該当でも示談金は受け取れますが、等級を獲得できた場合に比べると金額は少なくなります

なぜなら、等級を獲得できた場合と非該当の場合の、受け取れる示談金の項目に大きな差があるからです。

非該当の人が受け取れる示談金治療費
入通院慰謝料
休業損害
等級を獲得した人が受け取れる示談金治療費
入通院慰謝料
休業損害
+
後遺障害慰謝料
後遺障害逸失利益

非該当だと受け取れない後遺障害慰謝料と、後遺障害逸失利益は、ほかの示談金項目よりも高額になりやすい傾向にあります。

例えば、非該当の場合と14級を獲得できた場合では、後遺障害慰謝料と逸失利益だけでも600万円ほどの差が出る場合もあるのです。

※あくまで一例です。

※後遺障害逸失利益:45歳男性平均賃金6,360,800円×労働能力喪失率5%×就労可能年数に対応するラプニッツ係数15.937=5,068,603円

しかし実は、非該当の結果が出たら、これで終わりというわけではありません

後遺障害認定で非該当だったとしても、示談金を増やせる可能性はあります。

申請時に提出した診断書に不備がある・証拠が足りない、などの理由で非該当になった可能性があるなら、異議申し立てをして等級を獲得できるかもしれません。

そこで、この記事では、後遺障害非該当の結果が出た方に向けて、以下のことを解説します。

この記事でわかること
・後遺障害非該当でも受け取れる示談金、受け取れない示談金
・後遺障害非該当でも示談金を増額できる可能性について
・異議申し立てをして等級を獲得する手順

納得いかない示談金のまま示談成立しないためにも、この記事を読んで、非該当の方がもらえる示談金や増額できる可能性について学んでいきましょう。

この記事の監修者
弁護士 平岡 将人

弁護士法人サリュ銀座事務所
第一東京弁護士会

交通事故解決件数 1,000件以上
(2024年1月時点)
【著書・論文】
虚像のトライアングル(幻冬舎MC・2015)
交通事故被害者を救う賠償交渉ノウハウ(株式会社レガシー・2017)
交通事故の賠償は不十分 被害者本意の仕組み作りを(週刊エコノミスト・2017.3)
後遺障害等級14級9号マスター(株式会社レガシー・2019)
交通事故案件対応のベストプラクティス(共著:中央経済社・2020)等
【セミナー・講演】
人身傷害分野に取り組む弁護士のための医学研修(船井総研・2018)
後遺障害12級以上の世界(共同出演:株式会社レガシー・2019)
交通事故と各種保険 全3回(弁護士ドットコム・2020)等
【獲得した画期的判決】
東京高裁平成28年1月20日判決(一審:さいたま地裁平成27年3月20日判決)
「障がい者の事故被害救済」 日本経済新聞夕刊 掲載日2015年4月8日(許諾番号30040811)

弁護士法人サリュは、交通事故の被害者側専門で20,000件以上の解決実績を誇る法律事務所です。

交通事故被害に遭われたら、できるだけ早期に、交通事故の被害者側専門弁護士に相談することをおすすめします。これは、弁護士のアドバイスを受けることで、もらえる損害賠償金が大きく変わる場合があるからです。
弁護士法人サリュは、創業20年を迎え、交通事故の被害者側専門の法律事務所として累計20,000件以上の解決実績があります。所属弁護士の多くが1人あたり500件~1000件以上の交通事故解決実績があり、あらゆる交通事故被害者を救済してきました。その確かな実績とノウハウで、あなたのために力を尽くします。
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1. 後遺障害が非該当でも示談金はもらえるが金額は下がる

記事冒頭でもお伝えしたとおり、後遺障害が非該当でも、示談金はもらえます

非該当でも受け取れる示談金は、治療費や入通院したことに対する慰謝料、仕事を休んだ分のお金などです。

しかし、等級を獲得した場合に比べると、受け取れる金額は大幅に下がる可能性が高いです

その理由は、後遺症が残ったことに対する賠償金を受け取れないからです。

非該当の人が受け取れる示談金
(怪我をしたことに対する賠償金)
治療費
入通院慰謝料
休業損害
等級を獲得した人が受け取れる示談金
(怪我をしたことに対する賠償金

後遺症に対する賠償金)
上記3項目

後遺障害慰謝料
後遺障害逸失利益

非該当だと何を受け取れて、何を受け取れないのか、次の章で具体的に解説します。

2. 後遺障害非該当の示談金|受け取れるもの、受け取れないもの

先ほどもお伝えしたとおり、遺障害非該当だと受け取れない項目があるため、示談金が下がります

ここでは、後遺障害非該当の方の示談金について、くわしく見ていきましょう。

・後遺障害非該当でも「受け取れる」示談金項目
・後遺障害非該当だと「受け取れない」示談金項目

2-1. 後遺障害非該当でも「受け取れる」示談金項目

後遺障害が非該当でも受け取れる示談金は、以下の項目です。

治療費入院や通院時の診察代、手術代などの費用
入通院慰謝料入通院したことに対する精神的な苦痛に対して支払われる慰謝料  

【金額例】
通院1ヶ月の場合:28万円
入院1ヶ月の場合:53万円
入院1ヶ月、通院3ヶ月の場合:115万円  

※骨折などの重傷を負ったケース
休業損害事故による怪我が原因で仕事を休んだ場合にもらえる賠償金  

【計算式】
事故前3ヶ月の給与総額÷稼働日数×休業日数  

【金額例】
90万円÷60日×10日=15万円  

以下の条件で計算
・事故前3ヶ月の給与総額が90万円
・事故前3ヶ月の稼働日数60日
・休業日数10日の場合

※金額例は、弁護士基準の金額で計算されたものです。

このように、事故による怪我の治療にかかった薬代や病院までの交通費、仕事を休んだ分の給与などは、後遺障害等級に関係なく受け取れます。

2-2. 後遺障害非該当だと「受け取れない」示談金項目

後遺障害が非該当だと受け取れない項目は、以下の2つです。

後遺障害慰謝料後遺症が残ったことに対する精神的苦痛に対して支払われる慰謝料  

【金額例】
12級:290万円
13級:180万円
14級:110万円
後遺障害逸失利益事故による後遺症がなければ、将来得られたはずの利益(将来の給料など)  

【金額例】
12級:1,419万円
13級:912万円
14級:507万円  

※45歳男性の場合
※収入や働く能力がどの程度失われたのかなどによって変動する
※むちうちによる後遺症だと、金額がさらに減る場合がある

※金額例は、弁護士基準の金額で計算されたものです。

※45歳男性の場合
→45歳男性の平均収入(6,360,800円)、就労可能年数(67歳まで)に対応したライプニッツ係数を前提に計算
※詳細は、「【早見表付き】後遺障害の逸失利益はいくら?ケースごとの金額を解説」の記事をご覧ください。

この2つは、後遺症が残ったと認められた人に対して支払われる示談金のため、非該当だと1円ももらえません

例えば、本当は14級相当の後遺症が残っているのに非該当の結果が出て、そのまま受け入れた場合、約600万円も損をすることになるのです。

このように、非該当だと、金額が大きい「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」を受け取れないため、示談金が大幅に下がる可能性が高いのです。

しかし例外として、後遺障害は非該当であっても、顔に深い傷が残ったり、3歯未満の歯の欠損があったりする場合には、後遺障害慰謝料(又は増額された入通院慰謝料)が支払われるケースもあります。

3. 実は後遺障害の非該当を覆して示談金を増額できる可能性がある!

後遺障害が非該当だったあなたは、「後遺症が残っているのに少ない示談金しかもらえないんだ」と、深く落ち込んだでしょう。

しかし、諦めるのはまだ早いです。

非該当を覆して、示談金を増額できる可能性があります

なぜなら、本来等級に該当するはずなのに、非該当になっているケースもあるからです。

では、なぜ等級に該当するはずなのに、非該当になるのでしょうか。

その理由を、以下にまとめました。

後遺障害等級をもらえるはずなのに非該当になっている理由の例
・後遺症を証明するMRIやCTなどの画像証拠を提出していないから
・後遺症が今回の事故によるものだと、診断書にはっきり記載されていないから

後遺障害認定を申請する際、あなたは主治医に診断書を作成してもらい、その診断書を使って申請したはずです。

この診断書の内容が不十分だと、後遺症があることを証明できず、非該当になるケースは多いのです。

しかし、一度結果が出たらそれで終了、というわけではありません。

後遺症を証明する証拠を追加で再提出し、異議申し立てをすれば、等級を獲得できる可能性があります。

そのため、非該当の結果に納得がいっていないなら、異議申し立てするべきです。

異議申し立てする際の注意点
非該当になったとき、以下の点を分析して修正しなければ、異議申し立てをしても同じ結果になります。  
・一度目の申請の何がいけなかったのか
・どこを改善すれば等級を獲得できるのか  

後遺障害等級の獲得は、簡単ではありません。 交通事故や医療にくわしい弁護士がいれば、専門知識を使って非該当だった理由を分析できます。  

弁護士に依頼すべき理由は、「5.後遺障害非該当に対して異議申し立てをするなら弁護士に依頼すべきき」でくわしく解説します。

4. 後遺障害が非該当だった場合に異議申し立てをする手順

3章でもお伝えしたとおり、後遺障害非該当の結果に納得がいかないなら異議申し立てすべきです。

異議申し立ては時効前なら何度でもおこなえますが、等級を獲得するには新たな証拠を用意しなければなりません。

異議申し立てする手順は、以下のとおりです。

STEP1:前回の後遺障害認定の結果を確認する
まずは事前認定と被害者請求のどちらで申請していたのかチェックする
STEP2:事前認定と被害者請求のどちらで異議申し立てするか決める
前回「事前認定」で申請していた方→事前認定or被害者請求
前回「被害者請求」で申請していた方→被害者請求
STEP3:必要な追加書類を用意する
なぜ非該当だったのか理由を分析し、新たな証拠となる追加書類を用意する
【例:画像による証拠が足りなかった場合は、精密検査を受けて画像証拠を用意する】
STEP4:異議申し立て書を作成して送付する
なぜ異議申し立てをするのか、何級がふさわしいと思うのかなどの情報を記載し、送付する

異議申し立ての手順については、「後遺障害の異議申し立てのすべて|認定を覆すための全プロセス解説」でくわしく解説していますのでこちらも目を通してみてください。

5. 後遺障害非該当に対して異議申し立てをするなら弁護士に依頼すべき

4章では、後遺障害非該当の結果に納得がいかず、異議申し立てする場合の手順を紹介しました。

等級を獲得するために異議申し立てを検討しているなら、弁護士に依頼すべきです。

前回と同じやり方で再申請しても、結果が変わることはないでしょう。

ここでは、異議申し立てするなら弁護士が必要な理由を解説します。

・異議申し立てにおいて強力なサポートが可能だから
・万が一覆らなくても、示談金増額のサポートをしてくれるから

5-1. 異議申し立てにおいて強力なサポートをしてくれるから

弁護士なら、以下のような異議申し立てを成功させるためのサポートができます

弁護士が異議申し立て時にできるサポート
・非該当だった理由の分析
・等級獲得のために必要な証拠集め
・再申請の書類の作成サポート

弁護士を頼らずに異議申し立てすることもできますが、ひとりでおこなうと、

・前回の申請が非該当だった理由がわからない

・どのような証拠が足りなかったのかわからない

などの状況になる可能性が高いため、等級を獲得するのは難しいでしょう。

後遺障害等級の審査は、簡単ではありません。

自賠責保険が重視する画像証拠が一つ抜けているだけで、非該当になるケースもあります。

あなたは、何度も非該当の結果になり、最終的に示談金が減る状況になるのは避けたいはずです。

そうならないためにも、非該当を覆すための知識がある弁護士に依頼するのがおすすめです。

5-2. 万が一「非該当」が覆らなくても、示談金増額に向けてサポートをしてくれるから

非該当の結果を覆せなくても、弁護士なら示談金増額のために引き続きサポートできます

実は、しっかりと準備して異議申し立てをしても、非該当になるケースは多いです。

後遺障害認定を審査する損害保険料率算出機構の調査によると、2022年度に異議申し立てした事故のうち、等級を変更できたのは約11%でした。(高次脳機能障害・非器質性精神障害を除く)

この数字から、異議申し立ては簡単ではないことがわかるでしょう。

ただ、非該当の結果を覆せなかった場合は、専門機関に調査を依頼したり、訴訟を起こしたりして、示談金増額を目指せます。

専門機関への調査や裁判などを、交通事故や後遺障害の知識がない状態でおこなうのは、誰にとっても難しいことです。

交通事故や法律の知識がある弁護士なら、非該当になっても最後まで諦めず、不安を感じるあなたのためにサポートを続けます

サリュの弁護士により、非該当が覆らなくても納得いく示談金(賠償金)を獲得できた事例もあるので、ぜひご覧ください。

非該当だったが、裁判で勝訴し1,083万円の賠償金を獲得した事例

非該当だったが、売上の減少のない自営業者の休業損害を認めさせ賠償金を獲得した事例

非該当だったが、被害者が納得できる賠償金270万円で和解できた事例

参考:自動車保険の概要 2023年度

後遺障害で非該当になり、示談金に不安を感じている方は、弁護士法人サリュにご相談ください。  
 
サリュは、交通事故の被害者専門の弁護士事務所です。
事務所全体で約2万件の解決実績を誇り、法律と医療の知識が豊富な弁護士が在籍しているのが強みです。  

サリュにご依頼いただければ、あなたの示談金を増額できるよう、弁護士が顧問ドクターと協力して  

・後遺障害非該当の原因の分析
・後遺症を証明する新たな証拠探し  

などをおこないます。  

以下は、後遺障害非該当だった方が、等級を獲得できた実際の事例です。  
【非該当から14級】示談金が170万円増額したケース
【非該当から14級】示談金が約6倍になったケース
【非該当から12級】示談金が約10倍になったケース  

サリュは、原則相談料や着手金がかかりません。

非該当の結果が出て示談金に対する漠然とした不安を抱えている方は、ぜひ私たちにご相談ください。

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6. まとめ

この記事では、後遺障害が非該当だった場合の示談金について紹介しました。

後遺障害が非該当でも、示談金を受け取れます

しかし、受け取れる示談金の項目が減るため、金額は下がります。

非該当でも、後遺障害認定の結果を覆して示談金を増額できる可能性があるため、諦めるのは早いです。

以下のような理由で、本来等級に該当しているのに、非該当になっているケースもあります。

後遺障害等級をもらえるはずなのに非該当になっている理由の例
・後遺症を証明するMRIやCTなどの画像証拠を提出していないから
・後遺症が今回の事故によるものだと、診断書にはっきり記載されていないから

非該当の結果を覆したいなら、異議申し立てをしましょう。

異議申し立ての手順
STEP1:前回の後遺障害認定の結果を確認する
STEP2:事前認定と被害者請求のどちらで異議申し立てするか決める
STEP3:必要な追加書類を用意する
STEP4:異議申し立て書を作成して送付する

弁護士に相談すれば、異議申し立てや、非該当を覆せなかった場合のサポートも受けられます。

サリュは、非該当でも納得いく内容で示談成立させた事例、非該当から等級を獲得できた事例が多数ある弁護士事務所です。

非該当のまま示談交渉を進める前に、ぜひ一度私たちにご相談ください。