後遺障害8級とは?認定される症状や請求できる賠償金を徹底解説

「医師や保険会社から後遺障害8級になりそうと言われたけど、どんな症状で認定されるのかよくわからない」

「8級の認定を受けるとどうなるのか知りたい」

 あなたはこのような悩みを持って、後遺障害8級について調べているところではありませんか?

 後遺障害8級は、以下のような症状に当てはまると認定機関に認められることで、認定される可能性がある後遺障害です。

8級1号

一眼が失明し、
又は一眼の視力が〇・〇二以下になったもの
8級2号脊柱に運動障害を残すもの
8級3号一手のおや指を含み二の手指を失つたもの
又はおや指以外の三の手指を失つたもの
8級4号一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの
又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
8級5号一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
8級6号一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
8級7号一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
8級8号一上肢に偽関節を残すもの
8級9号一下肢に偽関節を残すもの
8級10号一足の足指の全部を失つたもの

 後遺障害8級は労働能力喪失率45%、つまり、後遺障害の影響で通常の45%程度仕事や生活の能力が低下するとされています。

 治療後の生活への影響も大きいため、示談交渉では適正な賠償金を獲得することが重要です。

しかし、このように影響の大きい障害だと認められているにも関わらず、加害者の保険会社主導で示談交渉を進めていると、被害者にとって不当に低い金額の賠償金で事故を解決させられてしまう可能性があります。

 この記事では、後遺障害8級の症状の解説に加え、慰謝料などの賠償金の相場や、適正な賠償金獲得のためのポイントを実際の獲得事例と一緒に解説します。

記事の内容を適正な等級の認定と賠償金獲得のための参考にして、後悔なく事故を解決できる手引きにしてください。

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この記事の監修者
弁護士 河村 和貴

弁護士法人サリュ
大宮事務所
埼玉弁護士会

交通事故解決件数 600件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
中央大学法科大学院
【獲得した画期的判決、和解、示談等】
むち打ち自賠責14級認定も、訴訟により13級相当の労働能力喪失率が認定された勝訴的和解
保険会社から2250万円の賠償金提示を受けたものの、示談を提起し3600万円を認定させた勝訴的和解 など
【弁護士河村の弁護士法人サリュにおける解決事例(一部)】
事例332:事前提示賠償額2000万円から、交渉で3500万円まで増額解決した事例
事例335:専業主夫として休業損害を認定させ、後遺障害も異議申立で獲得した事例
事例345:相手方保険会社の提示額から500万円以上増額し、スピード解決事例

弁護士法人サリュは、交通事故の被害者側専門で20,000件以上の解決実績を誇る法律事務所です。

交通事故被害に遭われたら、できるだけ早期に、交通事故の被害者側専門弁護士に相談することをおすすめします。これは、弁護士のアドバイスを受けることで、もらえる損害賠償金が大きく変わる場合があるからです。
弁護士法人サリュは、創業20年を迎え、交通事故の被害者側専門の法律事務所として累計20,000件以上の解決実績があります。所属弁護士の多くが1人あたり500件~1000件以上の交通事故解決実績があり、あらゆる交通事故被害者を救済してきました。その確かな実績とノウハウで、あなたのために力を尽くします。
相談だけで解決できることもありますので、まずはお気軽に無料法律相談をご利用ください。

1.後遺障害8級に認定される症状

後遺障害8級は、目や上肢、下肢、手足の指などに障害が残った際に認定される可能性がある等級です。

 具体的な症状については、以下の通りです。それぞれの詳細は、表内の各等級をクリックするとご覧いただけます。

8級1号一眼が失明し、
又は一眼の視力が〇・〇二以下になったもの
8級2号脊柱に運動障害を残すもの
8級3号一手のおや指を含み二の手指を失つたもの
又はおや指以外の三の手指を失つたもの
8級4号一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの
又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
8級5号一下肢を五センチメートル以上短縮したもの
8級6号一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
8級7号一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
8級8号一上肢に偽関節を残すもの
8級9号一下肢に偽関節を残すもの
8級10号一足の足指の全部を失つたもの

1-1.後遺障害8級1号│片目の失明・視力の低下

8級1号一眼が失明し、
又は一眼の視力が〇・〇二以下になったもの

8級1号は、片眼が失明するか、視力が矯正しても(眼鏡やコンタクトレンズをつけても)0.02以下になる場合に認定される可能性がある等級です。

等級の認定は、以下のような基準で判断されます。

認定基準

・片眼の視力が矯正しても0.02以下に低下した
・片眼が完全に失明した

認定のポイント

・視力検査の結果片目の視力が0.02以下であるか
・視力低下と交通事故の因果関係を証明できるか

片目の視力が著しく低下すると、視野が狭くなり、物の距離感や立体感が掴みづらくなります。

そのため、歩行や運転などが難しくなるという影響があるかもしれません。

1-2.後遺障害8級2号│脊柱(背骨)の運動障害

8級2号

脊柱に運動障害を残すもの

8級2号は、脊柱(背骨)の運動障害が生じた場合に認定される可能性がある等級です。

背骨の運動障害とは、首や胸、腰などの可動域(動かせる範囲)が事故の前の2分の1以下になったものを指します。

等級の認定は、以下のような基準で判断されます。

認定基準

・脊柱の可動域(動かせる範囲)が事故前の2分の1以下に制限される

認定のポイント

・X線やMRIなどの画像診断の記録があるか
・運動障害について診断書に記載があるか

脊柱の運動障害が残ると、背中や腰の可動域が狭まります。そのため、身体の曲げ伸ばしが難しくなり、「物を拾う」「持ち上げる」などの動作が困難になる可能性があるでしょう。

1-3.後遺障害8級3号│手指の欠損

8級3号

一手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの

8級3号は、手指の欠損が認められた場合に認定される可能性がある等級です。

等級の認定は、以下のような基準で判断されます。

認定基準

・親指を含む2本の指を失った
・親指以外の3本の指を失った
※指を失う…親指の場合は第1関節から先、その他の指については第2関節から先を失うこと

指の欠損は、「物を掴む」「タイピング」「食事」などの生活のあらゆる場面に影響を及ぼす可能性があります。

また、等級の認定に利き手かどうかは影響しませんが、利き手の指の欠損の場合は、特に大きな影響を感じるでしょう。

1-4.後遺障害8級4号│手指の障害

8級4号

一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの
又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの

8級4号は、手指に障害が残った場合に認定される可能性がある等級です。

「手指の用を廃した」とは、以下のいずれかの基準に当てはまるものを指します。

認定基準・第1関節から先の骨(末節骨)の半分以上を失う
・指の付け根の関節(中手指節関節)に著しい運動障害を残す
・親指なら第1関節(指節間関節)、その他の指なら第2関節(近位指節間関節)に著しい運動障害を残す

※著しい運動障害…関節の可動範囲が、障害のない方(健側)の手指の半分以下になること

手指の障害では、指の曲げ伸ばしができなくなるため、「衣服の着替え」「食事」などの日常生活全般に影響を及ぼします。

利き手かどうかは認定には直接関わりがありませんが、利き手の障害では生活に及ぼす影響も大きくなるでしょう。

1-5.後遺障害8級5号│片足の短縮

8級5号

一下肢を五センチメートル以上短縮したもの

8級5号は、片脚が5センチ以上短縮した場合に認定される可能性がある等級です。

等級の認定は、以下のような基準で判断されます。

認定基準

・前腸骨棘(股関節近くの骨盤の出っ張った部分)から内くるぶし下端までを測り、障害のない方(健側)よりも5センチ以上短縮している

下肢短縮は短縮した長さによって等級が異なるので、間違いなく計測するようにしましょう。
5cm以上→8級
3cm以上5cm未満→10級
1cm以上3cm未満→13級

下肢短縮では、左右の足の長さの差により歩行が困難になる他、身体のバランスが悪くなることで腰痛などの原因となる可能性もあります。

1-6.後遺障害8級6号│上肢の関節の障害

8級6号

一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

8級6号は、片方の上肢の3大関節(肩・肘・手首)の可動域が著しく制限された場合に認定される可能性がある等級です。

「関節の用を廃した」かどうかは、以下の基準に沿って認定されます。

認定基準

・関節がまったく動かなくなる
・可動域が障害のない方(健側)の1割以下になる
・人工関節になる

※2つの関節の用が廃した場合には、後遺障害6級に認定されます。

この症状が残った場合、腕の曲げ伸ばしや上げ下げが難しくなる可能性があります。日常生活では、着替えや物を持ち上げる動作などに影響が出やすいです。

1-7.後遺障害8級7号│下肢の関節の障害

8級7号

一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

8級7号は、片方の下肢の3大関節(股・ひざ・足首)の可動域が著しく制限された場合に認定される可能性がある等級です。

「関節の用を廃した」かどうかは、以下の基準に沿って認定されます。

認定基準

・関節がまったく動かなくなる
・可動域が障害のない方(健側)の1割以下になる
・人工関節になる

足の関節が動かしづらくなるため、歩行や階段の昇り降りなどが難しくなる可能性があります。日常生活では、通勤や買い物などの移動時に大きく不便を感じるかもしれません。

1-8.後遺障害8級8号│上肢の偽関節

8級8号

一上肢に偽関節を残すもの

8級8号は、腕などの骨折後に偽関節が残った場合に認定される可能性がある等級です。

「偽関節」とは、骨折の治療後に骨がうまくくっつかず、グラグラと関節のような状態になる状態のことです。

偽関節については、以下の基準で認定されます。

認定基準

・骨折後の癒合不全(骨が完全にくっつかないこと)を残すもので、常に硬性補装具(プラスチックや金属製の固定用の装具)を必要としないもの

認定のポイント

・レントゲンなどの画像で癒合不全が確認できる

※常に硬性補装具を必要とする場合には7級9号になる可能性があります。

偽関節ができると腕などの動きが不安定になりやすく、日常生活では物を持つ動きや力を入れた動作が難しくなることが考えられます。

1-9.後遺障害8級9号│下肢の偽関節

8級9号

一下肢に偽関節を残すもの

8級9号は、足などの骨折後に偽関節が残った場合に認定される可能性がある等級です。

「偽関節」については上肢と同じく、以下のような基準で認定されます。

認定基準

・骨折後の癒合不全(骨が完全にくっつかないこと)を残すもので、常に硬性補装具(プラスチックや金属製の固定用の装具)を必要としないもの

認定のポイント

・レントゲンなどの画像で癒合不全が確認できる

 ※常に硬性補装具を必要とする場合には7級10号になる可能性があります。

下肢の偽関節では、足の動きが不安定になりやすく、歩行の困難や、長時間立っている姿勢が維持できないなどの影響が考えられます。

1-10.後遺障害8級10号│足指の欠損

8級10号

一足の足指の全部を失つたもの

8級10号は、片足の指をすべて欠損した場合に認定される等級です。

認定基準

・片足の指を指の付け根から先すべて失う

※両足の指がすべて失われた場合には5級8号となります。

足の指は身体のバランスを保つために大きな役割を果たしているため、片足のすべての指を失うと、歩行や立つ・座るなどの動き全般に影響があると考えられます。

他の後遺障害次第で8級以外の等級になる可能性がある
ひとつの後遺障害で8級の認定を受けても、それが正当な等級であるとは限りません。
後遺障害の等級には併合というルールがあり、他にも後遺障害が残っている場合、それぞれの等級を合わせて最終的な等級が判断されるからです。
 
(1)5級以上の後遺障害が2つ以上残存 ⇒ 重い方の等級を3つ繰り上げる
(2)8級以上の後遺障害が2つ以上残存 ⇒ 重い方の等級を2つ繰り上げる
(3)13級以上の後遺障害が2つ以上残存 ⇒ 重い方の等級を1つ繰り上げる
 
このようなルールがあるため、以下のように等級が繰り上がる可能性があるのです。
 
8級の後遺障害+10級の後遺障害=併合7級
(重いほうの8級を1つ繰り上げ)
 
・8級の後遺障害+8級の後遺障害=併合6級
(重いほうの8級を2つ繰り上げ)
 
後遺障害等級の認定時は、他にも認定される症状がないかをよく確認しておきましょう。

2.後遺障害8級に認定された被害者が受け取れる賠償金

後遺障害8級に認定されると、以下のような賠償金を受け取ることができます。

1.後遺障害慰謝料│後遺障害による精神的苦痛への補償
2.後遺障害逸失利益│将来の減収などに対する補償

 ここでは、これらの賠償金の概要や金額について詳しく解説します。

交通事故の被害者は後遺障害分以外の賠償金も請求できる

後遺障害以外の損害について被害者が受け取れる賠償金には、以下のようなものがあります。それぞれリンク先で詳しく解説するので、合わせて参考にしてください。

・入通院慰謝料(入院や通院をしたことに対する精神的苦痛への補償)
【怪我のケースで比較】交通事故の慰謝料の弁護士基準とその他の基準の差を徹底解説
・治療関係費(治療などにかかった費用の補償)
交通事故の治療費は加害者の保険会社が払う?! 請求・立替の方法を解説
・休業損害(事故による怪我の影響で減った収入などへの補償)
交通事故の休業損害|職業ごとの算出方法・受け取り方法など網羅解説

その他、物損分の損害賠償(車の修理費用やレッカー代など)も請求可能なため、示談交渉時にはもれなく提示されているか確認しておきましょう。

2-1.後遺障害慰謝料│後遺障害による精神的苦痛への補償

後遺障害慰謝料とは、事故によって後遺障害が残ったことに対する精神的苦痛への補償金です。

8級に認定された場合の後遺障害慰謝料は以下の基準で算定されます。

弁護士基準

自賠責基準

830万円

331万円

この2つの基準についてはこの後詳しく説明しますが、被害者にとって正当な金額は弁護士基準で計算された慰謝料です。

しかし、相手の保険会社は最低限に近い基準で提示してくるケースが多いため、そのまま受け入れないよう注意してください。

後遺障害慰謝料についての詳しい内容は、以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてください。

後遺障害の慰謝料とは?等級ごとの相場や算定基準をわかりやすく解説

慰謝料の計算基準の違い

交通事故の慰謝料の計算基準には、以下の3種類があります。

このように、自賠責基準は最低限の補償となる金額です。

相手の保険会社は、この自賠責基準か、それより少し高い程度の任意保険基準で計算した慰謝料を提示するケースが多いでしょう。

しかし、被害者にとって正当だといえるのは、過去の裁判例などをもとに作られた弁護士基準です。

相手の保険会社から慰謝料などの提示があったときには、その金額を過信せず、必ず計算基準などの根拠を確認することが重要です。

2-2.後遺障害逸失利益│将来の減収などに対する補償

後遺障害逸失利益は、以下のような事情で後遺障害の影響で得られなくなった将来の収入などを補償するための賠償金です。

・後遺障害の影響で今までの仕事が続けられなくなった
・作業はできるものの、短時間の勤務しかできなくなった
・担当できる仕事の内容が変わり、給与が減った

後遺障害8級の場合は、労働能力喪失率*45%として計算されるのが一般的です。

(*後遺障害によってどの程度労働能力が低下したかを示す数字)

 これは、「後遺障害によって働く力が45%低下した」とみなされるということになります。

 後遺障害逸失利益は、以下のような計算基準で計算されます。

1年あたりの基礎収入*×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数*

*1年あたりの基礎収入とは…被害者が事故に遭う前の年収などから算出する
*ライプニッツ係数とは…交通事故の損害などを計算するための係数。年齢で決まる。

たとえば、1年あたりの基礎収入400万円、30歳の男性が8級の認定を受けた場合の逸失利益は、以下のように計算されます。

400万円×労働能力喪失率45%×22.167=3990万0600円

※実際の計算式はケースによって異なります。

逸失利益は、正社員だけでなく、パートやアルバイト、自営業、家族の家事を行う主婦・主夫なども請求することが可能です。

年齢や性別ごとの後遺障害逸失利益の目安については、以下の表を参考にしてください。

(各目安金額は、平均収入などをもとにした一例です。実際の金額は事例によって異なるため、詳しい金額は弁護士などにご相談ください)

【男性】

25歳

35歳

45歳

55歳

65歳

6301万2545円

5411万2610円

4903万7591円

3681万3043円

1597万8908円

【女性】

25歳

35歳

45歳

55歳

65歳

4473万5163円

3976万9254円

3319万9002円

2291万8116円

1246万2842円

※上記早見表では、以下を前提にしています。
【基礎収入】
25歳:男性5,908,100円・女性4,194,400円
(※令和6年の全学歴、全年齢、男女別の平均収入を前提)
35歳:男性5,897,800円・女性4,334,500円
45歳:男性6,837,700円・女性4,629,200円
55歳:男性7,242,100円・女性4,508,600円
65歳:男性4,162,800円・女性3,246,800円
(※令和6年の全学歴、年齢別、男女別の平均収入を前提)
【労働能力喪失率】
45%
【ライプニッツ係数】労働能力喪失期間に相当するライプニッツ係数はこちら

逸失利益についての詳しい内容は、以下の記事で解説しています。

【早見表付き】後遺障害の逸失利益はいくら?ケースごとの金額を解説

3.後遺障害8級の賠償金獲得事例

ここまで、後遺障害8級の症状や賠償金の金額の相場について説明してきましたが、実際にどのくらいの賠償金が獲得できるのかイメージできないという方も多いのではないでしょうか。

ここでは、これまで2万件以上の交通事故を解決に導いてきたサリュの解決事例の中で、後遺障害8級に認定されて納得の賠償金を獲得できた事例を5つ紹介します。

【ケース1】自営業でも過去の収入が認められ賠償金2300万円を獲得した事例
【ケース2】圧迫骨折の後遺障害でも15年の労働能力喪失期間が認められ賠償金3200万円を獲得した     事例
【ケース3】歩行が困難になる後遺障害が残り、3800万円以上の賠償金を獲得した事例
【ケース4】指の可動域制限による仕事への影響が認められ、約4100万円の賠償金を獲得した事例
【ケース5】会社役員でも逸失利益が主張通り認められ、約4800万円の賠償金を獲得した事例

3-1.【ケース1】自営業でも過去の収入が認められ賠償金2300万円を獲得した事例

怪我の内容

左上腕骨近位端脱臼粉砕骨折

認定を受けた症状

左上腕骨脱臼骨折後の左肩関節の機能障害について8級6号左手の握力低下などの症状については14級9号(併合8級)

獲得金額

約2300万円(※既払金を除く)

事例の詳細を見る

この事故では、被害者は左上腕骨近位端脱臼粉砕骨折(肩のつけ根の骨が砕けながら外れた状態)という怪我を負い、左上腕骨脱臼骨折後の左肩関節の機能障害について8級6号、左手の握力低下などの症状については14級9号(併合8級)の認定を受けました。

この事故の争点は、自営業者である被害者の基礎収入額です。

自営業の場合は収入にばらつきが生じやすく、交渉が難航しやすい傾向にあります。

しかし、サリュでは被害者の過去5年以上の確定申告書等を詳細に検証し、収入の裏付け資料をもとに妥当な金額を提示して示談交渉を行いました。

この結果、約2300万円の賠償金を獲得することができました。

3-2.【ケース2】圧迫骨折の後遺障害でも15年の労働能力喪失期間が認められ賠償金3200万円を獲得した事例

怪我の内容

胸椎圧迫骨折

認定を受けた症状

脊柱の運動障害

獲得金額

約3200万円

事例の詳細を見る

この事故では、被害者は胸椎の圧迫骨折を負い、脊柱の運動障害で後遺障害8級の認定を受けました。

圧迫骨折では、逸失利益の労働能力喪失期間が短く見積もられやすいのが問題となります。この事例でも、相手の保険会社は症状固定から10年という条件を提示してきました。

しかし、サリュは事故資料や診断書を収集し、損傷の大きさや生活への影響を丁寧に立証したうえで、67歳までの20年間の喪失を主張し、交渉を行いました。

この結果、15年間の労働能力喪失が認められ、自賠責を含め約3200万円の賠償金を獲得することができました。

3-3.【ケース3】歩行が困難になる後遺障害が残り、3800万円以上の賠償金を獲得した事例

怪我の内容

右大腿骨頚部骨折、左膝蓋骨骨折、骨盤骨折、脾損傷の傷害

認定を受けた症状

人工骨頭の挿入や歩行困難で併合8級

獲得金額

約3834万円

事例の詳細を見る

この事故では、被害者は右大腿骨頚部骨折、左膝蓋骨骨折、骨盤骨折、脾損傷の傷害という重傷を負い、人工骨頭の挿入や歩行困難で併合8級の認定を受けました。

被害者は長期間の入通院を余儀なくされ、日常生活にも大きな影響を残しました。

サリュは後遺障害申請の際に診断書の内容を丁寧に確認・訂正し、認定後は将来の不安に備えた慰謝料・逸失利益・将来治療費を全て盛り込んで強気の交渉を行いました。

この結果、慰謝料・逸失利益ともに裁判基準の満額が認められ、将来治療費も含めて約3834万円の賠償金を獲得することができました。

3-4.【ケース4】指の可動域制限による仕事への影響が認められ、約4100万円の賠償金を獲得した事例

怪我の内容

右手人差し指、中指、薬指、小指の中手骨骨折

認定を受けた症状

右手指に可動域制限で8級4号

獲得金額

約4100万円

事例の詳細を見る

この事故では、被害者は右手の人差し指・中指・薬指・小指の中手骨骨折という怪我を負い、可動域制限が認められて後遺障害8級4号の認定を受けました。

被害者が前年度に休業していた期間があることなどから、当初は適正な賠償金を受けるのが難しい状況でした。

しかし、サリュは、前年度休業中であったという事情や右手指の障害が業務に与える影響を詳細に主張し、逸失利益の基礎収入として賃金センサス(526万円)を採用。休業損害についても199日分の通院実績をもとに交渉を重ねました。

この結果、逸失利益・休業損害ともに認められ、総額約4,100万円の賠償金を獲得することができました。

3-5.【ケース5】会社役員でも逸失利益が主張通り認められ、約4800万円の賠償金を獲得した事例

怪我の内容

大腿骨粉砕骨折・脛骨骨折等

認定を受けた症状

可動域制限や下肢短縮

獲得金額

約4800万円

事例の詳細を見る

この事故では、被害者は大腿骨粉砕骨折・脛骨骨折などの怪我を負い、下肢の可動域制限や短縮により後遺障害等級8級の認定を受けました。

後遺障害によって長時間の歩行や立ち仕事が難しくなってしまい、仕事にも大きな影響を及ぼしたにも関わらず、相手の保険会社は「会社経営には影響はない」として、逸失利益を完全に否認しました。

そこでサリュは、被害者の実際の業務(店舗巡回・接客・力仕事など)が事故後困難になった点を丁寧に主張し、会社の帳簿をもとに損害を立証。交渉での決裂を受けて訴訟を提起し、裁判で全面的な主張を展開しました。

この結果、訴訟上の和解により逸失利益も含めて満額が認められ、約4800万円超の賠償金を獲得することができました。

4.後遺障害8級の認定を受けても必ず適正な賠償金が獲得できるわけではない

後遺障害8級の認定を受けたとしても、適正な賠償金を受け取ることができるとは限りません。

その理由は、保険会社が以下のような対応をすることにあります。

・最低限に近い金額となる計算基準で慰謝料を計算するから
・適切な逸失利益を計算せず、不当に低い金額で済ませようとするから

計算基準については2-1.後遺障害慰謝料│後遺障害による精神的苦痛への補償で述べた通り、最低限の基準を採用することが金額が不当に低くなる原因です。

そして、もう一つの逸失利益についてですが、後遺障害8級は労働能力喪失率45%という大きな支障が残る後遺障害にも関わらず、保険会社はその影響を低く見積もる傾向にあります。

「その症状では事務的な業務への影響は認められません」

「会社役員であれば、後遺障害が残っても仕事への影響はないはずです」

このような判断で、不当に低い金額の後遺障害逸失利益で済ませようとしてくるのです。

実際に、先ほど挙げた事例の中でも3-5.【ケース5】会社役員でも逸失利益が主張通り認められ、約4800万円の賠償金を獲得した事例では、相手の保険会社は逸失利益を一切認めない姿勢でした。

「後遺障害が残存したとしても会社経営には支障がない」という判断で、逸失利益を完全否認していたのです。

このように、相手主導で示談交渉を進めていると、適正な賠償金を獲得できないリスクがあることを知っておいてください。

5.後遺障害8級の認定を受けた方が適正な賠償金を受け取るにはまず弁護士に相談すべき

後遺障害8級の認定を受けた方は、適正な賠償金の獲得に向けてまずは弁護士に相談してください。

なぜなら、前章でも述べた通り、相手の保険会社は最低限の金額で済ませようとする傾向にあり、被害者本人が交渉しても適正な金額まで増額するのは非常に難しいのが現実だからです。

そんな逆境であっても、被害者の力になって相手と戦えるのが弁護士です。なぜ、弁護士への相談が被害者の力になるのか、具体的な理由を解説します。

1.相手が提示した賠償金が本当に適正なものなのか判断してくれる
2.弁護士費用の負担が心配でも依頼前に確認できる

5-1.相手が提示した賠償金が本当に適正なものなのか判断してくれる

弁護士に相談するべき1つ目の理由は、相手が提示する賠償金の金額が妥当なものなのかを客観的に判断してもらえるからです。

先ほどから繰り返しお伝えしている通り、相手が提示する賠償金金額は最低限に抑えられているケースがほとんどです。しかし、感覚的に「安い気がする」と思っても、明確な根拠がなければ相手との増額交渉は難航するでしょう。

賠償金の計算は、以下のような要素によっても変動します。

・慰謝料の計算基準(保険会社の基準か、裁判所基準かによって大きな差が出る)
・請求項目の抜け漏れ(通院交通費や将来の治療費、付添費などが適切に含まれているか)
・休業損害や逸失利益の金額(不当に低く計算されている可能性がある)

このような一つ一つの要素に対して、被害者本人が「適正な金額になっているか」を判断するのは難しいでしょう。

そこで、弁護士に事故の状況や相手が提示する条件を伝えて相談すれば、「その金額は妥当なのか」「増額の余地があるのか」を客観的に判断してもらえます。

このように、過去の判例や具体的な事例をもとに、適正な賠償金なのかを判断してもらえるのが弁護士に相談するべき1つ目の理由です。

5-2.弁護士費用の負担が心配でも依頼前に確認できる

弁護士に相談するべき2つ目の理由は、費用面が心配であっても依頼前に確認できるからです。

弁護士への相談や依頼をためらう人の中には、

「弁護士費用がかかって赤字になったらどうしよう」と考えている方も多いのではないでしょうか。

そのような場合、無料相談で事前に費用面の確認をしておけば、費用倒れ(弁護士費用が増額した金額よりかさんでしまうこと)を避けられます。

また、8級のような重い後遺障害が残っていて、相手が不当な賠償金を提示している場合、賠償金を増額できる可能性もあります。

実際に、サリュの解決事例の中でも最初の提示金額から数百万円以上増額したケースもあります。

このように、費用面の負担の心配が不要であることも弁護士に相談するべき大きな理由です。

6.後遺障害の認定や交渉にお悩みがある方はサリュにご相談ください

「後遺障害8級くらいになりそうと言われたけど、どんな補償がもらえるのかわからない」

「自分の後遺障害は本当に8級なのか判断できず困っている」

このようなお悩みを抱えている方は、ぜひサリュにご相談ください。

サリュなら、後遺障害の認定を受けて悩んでいるあなたのお悩みに寄り添い、納得できる事故解決に向けて一緒に伴走いたします。

なぜ、後遺障害のお悩みにサリュが力になれるのか、当事務所の強みを3つ紹介します。

1.症状に対して適正な等級の認定に向けたサポート
2.適正な賠償金獲得に向けた交渉力
3.被害者に特化した2万件以上の交通事故解決実績

6-1.症状に対して適正な等級の認定に向けたサポート

サリュでは、症状に対して適正な等級の認定に向けたサポートを行っています。

適正な等級の認定を受けることは、症状に見合った賠償金を獲得するために重要な要素です。

そこで、サリュでは法律のプロである弁護士と医学のプロである顧問医師と連携し、依頼者の方の事故の状況や症状を徹底的に分析。本当に症状に合った認定を受けられているのかを判断し、問題がある場合には異議申し立てのサポートも行っています。

このように、適正な等級の認定を受けられるよう専門的なサポートを提供しているのがサリュの1つ目の強みです。

6-2.適正な賠償金獲得に向けた交渉力

次に、適正な賠償金獲得に向けた交渉力があることもサリュの強みです。

相手の保険会社との交渉は、時に難航するケースもあります。なかなか主張が受け入れられず、それどころか相手が強硬な姿勢になり、交渉が長期化する可能性もあるのです。

しかし、サリュはそこで諦めません。事故の証拠や症状を証明する医療証拠を徹底的に洗い出して相手の主張に矛盾がないか検証し、加害者に有利な条件での交渉成立を防ぎます。

実際に、保険会社が「逸失利益を認めない」と言った事例であっても、サリュは粘り強い交渉を行い、満額の賠償金を勝ち取りました。

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このように、加害者側が一方的な主張をしてきたケースであっても、サリュは諦めずに納得できる解決を目指します。

また、示談交渉では決着がつかず、訴訟や裁判になったケースの対応事例も多数あるため、

「相手が裁判を示唆してきたから要求を呑まざるを得ない」というようなことも防げます。

過去のノウハウと粘り強い交渉力を活かし、被害者が納得できる事故解決に向けて相手と戦えるのがサリュの2つ目の強みです。

6-3.被害者に特化した2万件以上の交通事故解決実績

最後の強みは、被害者に特化した過去2万件以上の交通事故解決実績があることです。

交通事故の交渉は、個別のケースで事情が違うため、専門的な知識や経験が幅広く求められます。また、交通事故の被害者と加害者では必要な知識の分野が異なるため、「被害者に特化していること」は重要な指針になります。

被害者の弁護士に必要な知識

・加害者側の保険会社との交渉力
・過去の判例から適正な賠償金を算定
・後遺障害の認定に関する知識

目的→被害者の被害に対する損害賠償の獲得

加害者の弁護士に必要な知識

・過失割合の交渉力
・賠償金減額のための交渉力

目的→加害者の負担を最低限に抑える

このように必要な知識が異なる中で、サリュは被害者側専門の法律事務所として、豊富な解決実績を積み重ねてきました。

この経験により、被害者一人ひとりの状況に応じた最適な解決策を迅速に導き出すことが可能です。

過去のノウハウと豊富な知識で被害者のために戦えることが、サリュの大きな強みとなっています。

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7.後遺障害8級に関するよくあるQ&A

最後に、後遺障害8級に関するよくある質問をまとめました。

疑問を解決して、事故解決に向けての行動の参考にしてください。

Q1. 後遺障害8級の認定を受けると、障害者手帳の交付を受けられますか?
Q2. 後遺障害8級の認定を受けたら労災保険の対象になりますか?
Q3.収入のない主婦(主婦)であっても逸失利益は請求できますか?
Q4.後遺障害8級で障害年金はもらえますか?

7-1.Q1. 後遺障害8級の認定を受けると、障害者手帳の交付を受けられますか?

A.後遺障害8級の認定を受けた場合でも、必ず障害者手帳が交付されるわけではありません。

障害者手帳の交付は、行政による「身体障害者等級」の認定を受けることで行われます。

障害者手帳の交付の認定基準に対して、後遺障害8級の症状で認定を受けるのは難しいケースが多いでしょう。

交付されるかどうかは症状やケースによっても異なるため、気になる方は住んでいる地域の役所(区役所や市役所)の障碍者福祉担当の窓口へ相談してみてください。

7-2.Q2. 後遺障害8級の認定を受けたら労災保険の対象になりますか?

A.はい、交通事故で負った怪我が業務中または通勤中のものであれば、労災保険の対象となります。

後遺障害8級の認定を受けた場合、労災保険では以下の給付金を受けられます。

・障害補償給付金 給付基礎日額×503日分
・障害特別給付金 算定基礎日額×503日分
・障害特別支給金 65万円

労災についての詳しい情報は以下の記事にまとめているので、こちらも参考にしてください。

「通勤途中に事故に遭った…」労災の使い方や今後の流れを解説

7-3.Q3.収入のない主婦(主夫)であっても後遺障害逸失利益は請求できますか?

A.はい。主婦(主夫)も請求可能です。

このような家事従事者の逸失利益は、基本的に賃金センサスの女性の全年齢平均賃金を基礎収入として計算する場合があります。

具体的な金額の計算例については、以下の記事を参考にしてください。

【早見表付き】後遺障害の逸失利益はいくら?ケースごとの金額を解説

7-4.Q4.後遺障害8級で障害年金はもらえますか?

A.後遺障害等級8級に該当する場合、障害年金を受給できる可能性があります。

ただし、受給するには以下の条件を満たしている必要があります。

・初診日の時点で年金に加入していたこと(国民年金または厚生年金)
・保険料を一定期間きちんと納めていたこと
障害の程度が障害年金の等級(1〜3級)に該当すること

また、障害年金の等級は、後遺障害の認定とは別で判断されます。

実際に障害年金の受給対象になるかどうかは、お住いの地域の年金事務所などで相談してください。

8.まとめ

この記事では、後遺障害8級の認定を受けた・受ける見込みという方に向けて、詳しい症状や認定後に受け取れる賠償金についてまとめました。

内容のまとめは以下の通りです。

▼後遺障害8級は、以下のような症状に当てはまると認定機関に認められることで認定される可能性がある

8級1号

一眼が失明し、 又は一眼の視力が〇・〇二以下になったもの

8級2号

脊柱に運動障害を残すもの

8級3号

一手のおや指を含み二の手指を失つたもの
又はおや指以外の三の手指を失つたもの

8級4号

一手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの
又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの

8級5号

一下肢を五センチメートル以上短縮したもの

8級6号

一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

8級7号

一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの

8級8号

一上肢に偽関節を残すもの

8級9号

一下肢に偽関節を残すもの

8級10号

一足の足指の全部を失つたもの

▼後遺障害8級に認定されると、以下のような賠償金を受け取ることができる

・後遺障害慰謝料│後遺障害による精神的苦痛への補償
・後遺障害逸失利益│将来の減収などに対する補償

▼後遺障害8級の認定を受けても必ず適正な賠償金が獲得できるわけではない。後遺障害の認定や交渉にお悩みがある場合は弁護士への相談が重要

これらの内容を参考に、納得できる後遺障害等級の認定と賠償金獲得に向けて行動してください