後遺障害11級はどんな状態?主な症状と賠償金を徹底解説

「医師や保険会社から後遺障害11級に認定されそうと言われたけど、認定を受けるとどうなるの?」

医師や保険会社の指示で後遺障害の認定に向けて申請の手続きをしているものの、具体的にどのようなものなのかよくわからず、困ってはいませんか?

後遺障害11級に認定されると、交通事故による怪我の後遺症が残ったことに対する補償を請求できるようになります。

具体的には、後遺障害慰謝料(後遺障害が残ったことの精神的苦痛に対する慰謝料)や逸失利益(後遺症の影響がなければ本来得られたはずの利益の補償)などの賠償金を得られます。

項目だけを聞いてもあまりイメージができないと思うので、実際に後遺障害11級の認定を受けた方が獲得した賠償金の例を挙げると、以下のようなものがあります。

後遺障害の内容保険会社の提示額獲得金額詳細
ケース1・肩の機能障害について12級6号
・鎖骨の変形障害について12級5号
→併合11級程度の後遺障害であると判断
約80万円約500万円事例の詳細
ケース2・腰椎の圧迫骨折の怪我。11級に認定約460万円約1000万円事例の詳細
ケース3・右橈骨遠位端開放骨折、両側恥骨骨折、両側坐骨骨折の怪我
→併合11級の認定
約700万弱約1000万円事例の詳細
ケース4・脊椎圧迫骨折の怪我。11級に認定約1300万円事例の詳細
ケース5・脳の症状について12級13号
・複視の症状について13級2号
→併合11級の認定
約582万円約1400万円事例の詳細
ケース6・腰椎圧迫骨折の怪我。11級に認定約2300万円事例の詳細

ここで、保険会社の提示額と実際の獲得金額に大きな差があることにお気づきいただけたでしょうか?

実は、同じ後遺障害等級に認定されても、同じ金額の賠償金を獲得できるとは限らないのです。

この記事では、後遺障害11級の認定を得られそうな方に向けて、以下の内容をまとめて解説します。

この記事でわかること
・後遺障害11級に認定される症状の条件
・後遺障害11級に認定された人がもらえる賠償金の内訳と相場
・実際に後遺障害11級に認定された人が獲得した賠償金の事例
・同じ等級に認定されても同じ賠償金を獲得できると限らない理由
・適正な金額の賠償金を獲得するために被害者ができること

後遺障害11級の認定を受けるということは、身体にも不調が残り、生活への影響も計り知れないはずです。

そのような状況の中で適正な賠償金を獲得できるよう、あなたができることを知って行動してください。

この記事の監修者
弁護士 籔之内 寛

弁護士法人サリュ
大宮事務所
埼玉弁護士会

交通事故解決件数 1,700件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
2009年 中央大学法科大学院修了
2009年 司法試験合格
2011年 弁護士登録 弁護士法人サリュ入所
【セミナー】
・自賠責後遺障害等級認定基準の運用と裁判(暮らしの中の言語学「ことばの機能障害と言語学」国立民族学博物館主催セミナーにおける講演)
・生保代理店向け 相続、交通事故セミナー 
【獲得した画期的判決】
【自保ジャーナル1966号53頁、1973号41頁に掲載】(交通事故事件)
東京高裁平成28年1月20日判決(一審:さいたま地裁平成27年3月20日判決)
【弁護士籔之内の弁護士法人サリュにおける解決事例の一部】
事例86:高次脳機能障害|約8000万円の提示を裁判で1億9000万円に増額
事例79:死亡事故 過失割合が争点 刑事記録や現地調査によりご遺族が納得できる解決に
事例208:会社役員であった被害者の休業損害が訴訟で認められた
事例66:訴訟提起により自賠責等級認定制度に一石を投じる 非該当から14級獲得!
事例204:自賠責14級の膝高原骨折の後遺障害について、異議申立てにより12級に等級変更。
事例209:自賠責非該当・家事労働を行う男性被害者が、賠償金270万円を獲得できた。

弁護士法人サリュは、交通事故の被害者側専門で20,000件以上の解決実績を誇る法律事務所です。

交通事故被害に遭われたら、できるだけ早期に、交通事故の被害者側専門弁護士に相談することをおすすめします。これは、弁護士のアドバイスを受けることで、もらえる損害賠償金が大きく変わる場合があるからです。
弁護士法人サリュは、創業20年を迎え、交通事故の被害者側専門の法律事務所として累計20,000件以上の解決実績があります。所属弁護士の多くが1人あたり500件~1000件以上の交通事故解決実績があり、あらゆる交通事故被害者を救済してきました。その確かな実績とノウハウで、あなたのために力を尽くします。
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1.後遺障害11級が認定される主な症状

「脊柱の変形が残ったから、医師や保険会社に後遺障害11級に認定されるんじゃないかと言われた」

後遺障害11級に認定されるかもしれないと聞いて、自分の症状は該当するのか疑問に思いませんでしたか?

後遺障害11級に認定されるための条件は、「自動車損害賠償保障法施工令」の障害等級表に記載されており、その条件を満たしていると認定機関に認められることで認定を受けることができます。

どのような症状が後遺障害11級に当てはまるのか、具体的な認定の条件と、症状の例を紹介します。

等級認定の条件症状の例
11級1号両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すものピントを合わせる機能や、上下左右に眼球を動かす機能に著しい障害が残った場合など
11級2号両眼のまぶたに著しい運動障害を残すものまぶたの開閉がうまくできない状態が両目に残った状態。
完全に開けられない、または閉じられないなど
11級3号一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの片方のまぶたの一部が失われた場合や、修復が難しいほどの欠損が残った場合など
11級4号十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの歯科補綴とは入れ歯や差し歯、ブリッジなどで失った歯の機能を補う治療法のこと。
10本以上の歯について治療を行わなければならない場合など
事例
11級5号両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの両耳の聴力低下が顕著で、近距離での小声の会話が困難になるレベルの障害が残った場合など
11級6号一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの片耳だけでも普通の声を聞き取るのが難しいほど聴力が低下した場合など
11級7号脊柱に変形を残すもの骨折などの後遺症で、背骨の彎曲やねじれなどの変形が残った場合など

事例
11級8号一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの片手の人差し指・中指・くすり指のいずれかが指の第一関節を超えて欠損している状態になった場合など
11級9号一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの一つの足で、親指を含む複数の指が機能を失っている場合など

事例
11級10号胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの肺や心臓、腎臓などの障害により、通常の労働や日常生活に支障が出るほどの機能障害が続く場合など

参考:国土交通省「後遺障害等級表

この条件に当てはまっている場合は、後遺障害11級の認定を受けられる可能性があるでしょう。

上記の条件に当てはまらなくても併合11級に認定されることもある
上記の条件に当てはまらない場合でも、「併合11級」という認定を受ける可能性があります。

併合11級とは、複数の後遺障害を組み合わせ、11級に相当すると認められることです。

交通事故では、後遺障害が2箇所以上に残った場合、「1番重い等級」と「2番目に重い等級」をかけ合わせて最終的な等級が決まるというルールがあります。

例えば、
「12級と13級の2箇所の後遺障害が認められた」
という場合、後遺障害の併合ルールでは
「1番重い等級から+1級」で、併合11級となります。

このように、ケースによっては11級の症状に当てはまらなくても、併合11級として11級相当の認定を受け、11級の認定を前提とした補償を受けることになるのです。

2.【計算例つき】後遺障害11級に認定されると受け取れる主な賠償金と相場

前章では後遺障害11級に認定される症状をお伝えしました。

「自分の症状だと認定されそう」

と思った方に向けて、ここでは後遺障害11級に認定された人が受け取れる賠償金について解説します。

後遺障害11級の認定を受けると、主に以下のような賠償金を請求できます。

1.後遺障害慰謝料(後遺障害が残り、精神的苦痛を感じたことに対して支払われるお金)
2.逸失利益(後遺障害が残らなければ受け取れたはずの利益を補償するお金)
3.労災
4.その他の賠償金(治療関係費、休業損害など)

ここでは、それぞれの賠償金について獲得できる相場や計算式を解説するので、自分がどのくらい請求できそうか想定する目安にしてください。

2-1.後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、後遺症が残ったことによる精神的・肉体的苦痛に対して支払われる賠償金です。

計算基準には大きく分けて「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3種類があります。

後遺障害11級の後遺障害慰謝料の相場は、それぞれ計算基準ごとに以下の通りです。

【後遺障害11級の場合】

自賠責基準弁護士基準
136万円420万円

2-2.逸失利益

逸失利益とは、後遺障害によって労働能力が低下し、将来得られたはずの収入が減ってしまうことに対する補償です。

後遺障害11級に認定された場合の一般的な計算式は以下のとおりです。

【逸失利益の計算式】
収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に応じたライプニッツ係数
※後遺障害11級の場合、労働能力喪失率は20%

【年収500万円・40歳で就労可能年数が27年の場合の例】
500×20%×18.327=1832.7万円

上記の労働能力喪失期間に相当するライプニッツ係数や逸失利益については下記の記事で計算方法などを詳しく解説しているので、こちらも合わせて参考にしてください。

2-3.労災

後遺障害の原因となった事故が就業中や通勤中に起こった場合、被害者が労働災害として、労働者災害補償保険から労災保険給付金を受け取ることができます。

後遺障害11級の人が受け取れる労災保険給付金は、以下の3つです。

障害補償等一時金給付基礎日額×223日分
障害特別一時金算定基礎日額×223日分
障害特別支給金29万円

※給付基礎日額や算定基礎日額は、被害者の賃金に応じて決まります。

労災保険の請求方法や詳細については、管轄の労働基準監督署で確認してみてください。

2-4.その他の賠償金

後遺障害11級に認定された場合、上記までの賠償金以外にも、さまざまな補償を受けられます。

もれなく請求するためにも、請求できる賠償金の内訳を確認しておいてください。

治療関係費治療費、入院費、手術費、付添看護費、リハビリ費用など
将来介護費将来にわたって介護が必要な場合に、近親者や職業付添人に支払うための費用
装具代・家屋等改造費義肢や車いすなどの装具・器機の費用や、家や車をバリアフリーにするための費用など
入通院慰謝料交通事故でケガをしたことによる精神的苦痛に対する補償
休業損害交通事故で仕事ができなくなったことにより減額した収入に対する補償
一般的に【1日あたりの基礎収入×休業日数】で計算する

※休業損害に関しては、詳しい計算方法や職業ごとの算出方法は以下の記事で解説します。

3.後遺障害11級に認定された金額事例

前章で後遺障害11級に認定された場合の賠償金の相場や計算式を紹介しましたが、それだけ見てもあまりピンとこない方も多いのではないでしょうか。

ここでは、そのような方がイメージしやすいよう、実際に後遺障害11級に認定された交通事故被害者の方が賠償金を獲得した事例を紹介します。

※今回紹介する事例で獲得できた賠償金は、弁護士が介入した結果受け取れた金額です。弁護士を通さない場合は、同じ等級でも賠償金額が減る可能性があります。

【サリュの獲得事例】

後遺障害の内容保険会社の提示額獲得金額詳細
ケース1・肩の機能障害について12級6号
・鎖骨の変形障害について12級5号
→併合11級程度の後遺障害であると判断
約80万円約500万円事例の詳細
ケース2・腰椎の圧迫骨折の怪我。11級に認定約460万円約1000万円事例の詳細
ケース3・右橈骨遠位端開放骨折、両側恥骨骨折、両側坐骨骨折の怪我
→併合11級の認定
約700万弱約1000万円事例の詳細
ケース4・脊椎圧迫骨折の怪我。11級に認定約1300万円事例の詳細
ケース5・脳の症状について12級13号
・複視の症状について13級2号
→併合11級の認定
約582万円約1400万円事例の詳細
ケース6・腰椎圧迫骨折の怪我。11級に認定約2300万円事例の詳細

以下では、サリュがサポートした解決事例について詳しく解説します。

3-1.【ケース1】約500万円獲得した事例

後遺障害の内容保険会社の提示額獲得金額詳細
・肩の機能障害について12級6号
・鎖骨の変形障害について12級5号
→併合11級程度の後遺障害であると判断
約80万円約500万円事例の詳細

こちらのケースでは、被害者が一般道をバイクで走行していたところ、対向方向を右側走行して向かってきた自転車が飛び出してきたため、それを避けようとして転倒し、鎖骨及び肋骨の骨折の怪我を負いました。

被害者は事故後、整形外科で治療を続けていたものの、鎖骨の癒合状態が万全ではなく、肩の動きにも大きな支障が生じていました。

しかし、相手方の保険会社が独自に評価したところ、14級9号であると判断され、提示された金額は約80万円程度でした。

そこで、依頼を受けたサリュではあらためて被害者の後遺障害の症状を精査し、保険会社と交渉しました。

結果、肩の機能障害で12級6号、鎖骨の変形傷害で12級5号の後遺障害に相当し、併合11級程度であるとの判断を得て、当初の提示額の6倍以上となる約500万円での示談となりました。

事例の詳細

3-2.【ケース2】約1000万円獲得した事例

後遺障害の内容保険会社の提示額獲得金額詳細
・腰椎の圧迫骨折の怪我。11級に認定約460万円約1000万円事例の詳細

こちらのケースでは、被害者が自転車で走行中、対向車である加害車両に巻き込まれ、腰椎の圧迫骨折の怪我を負いました。

半年間の通院後、後遺障害11級の認定を受けた被害者に相手方の保険会社が提示したのは、約460万円の示談金でした。

この金額が適正なものなのか疑問に思った被害者がサリュに相談した結果、相手の提示する金額は最低限の基準で計算されているものであることが判明しました。

その後、サリュに依頼をいただき、裁判基準で計算をし直して相手と交渉を行った結果、当初の提示額から500万円以上増額した約1000万円で示談が成立。ご依頼から示談まで2か月のスピード解決となりました。

事例の詳細

3-3.【ケース3】約1000万円獲得した事例

後遺障害の内容保険会社の提示額獲得金額詳細
・右橈骨遠位端開放骨折、両側恥骨骨折、両側坐骨骨折の怪我
→併合11級の認定
約700万弱約1000万円事例の詳細

こちらのケースでは、被害者がバイクで走行していたところ、転回してきた対向車に衝突され転倒し、右橈骨遠位端開放骨折、両側恥骨骨折、両側坐骨骨折の怪我を負いました。

その後、後遺障害等級併合11級の認定を受けた被害者は、相手の保険会社から約700万円弱の賠償金を提示されましたが、適切な金額かどうかわからなかったため、サリュに相談しました。

サリュにご依頼いただき、資料を精査した結果、相手の保険会社は賠償金を低く抑えていることが判明しました。

そこで、約2週間粘り強く示談交渉を行ったところ、およそ300万円増額した約1000万円の示談金で解決しました。

事例の詳細

3-4.【ケース4】約1300万円獲得した事例

後遺障害の内容保険会社の提示額獲得金額詳細
・脊椎圧迫骨折の怪我。11級に認定約1300万円事例の詳細

こちらのケースでは、被害者がバイクを運転中、矢印信号機によって整理されている交差点を直進しようとした際、対向車線から乗用車が右折してきたため衝突・転倒し、胸椎粉砕骨折の傷害を負いました。

この事故の原因は、相手が直進の矢印信号を無視して右折をしたことによるもので、被害者に過失はありませんでしたが、相手の保険会社は「そちらにも一定の過失があります」と訴えてきました。

その後、サリュへと依頼をいただき、後遺障害等級の認定のサポートを行うことで、11級の認定を獲得できました。

これをもとにした適正な賠償額を算出した上で、保険会社との示談交渉に挑みます。

示談交渉では、まず、被害者に過失が一切ないことを訴えました。

また、仕事への支障が一定以上あることも主張し、その結果、過失相殺は一切されず、逸失利益についても一定金額を認めさせることに成功し、最終的に1331万円の賠償金を獲得できました。

事例の詳細

3-5.【ケース5】約1400万円獲得した事例

後遺障害の内容保険会社の提示額獲得金額詳細
・脳の症状について12級13号
・複視の症状について13級2号
→併合11級程度の認定
約582万円約1400万円事例の詳細

こちらのケースでは、被害者が自転車で丁字路交差点を直進しようとしたところ、交差道路から出てきた乗用車と衝突し、外傷性くも膜下出血、外傷性硬膜外血腫、顔面骨折の傷害を負いました。

その後、5年にわたる治療の継続後、症状固定と診断され、脳の症状について12級13号、複視の症状について13級2号とされ、併合11級と認定を受けました。

相手の保険会社が提示する金額は約582万円というものでしたが、逸失利益や慰謝料が適正ではないと判断し、増額できるよう交渉を行いました。

結果、最終的に相手が提示する金額より818万円増額し、1400万円で示談が成立しました。

事例の詳細

3-6.【ケース6】約2300万円獲得した事例

後遺障害の内容保険会社の提示額獲得金額詳細
・腰椎圧迫骨折の怪我。11級に認定約2300万円事例の詳細

こちらのケースでは、被害者が自転車で交差点を横断していたところ、自動車にはねられ、腰椎圧迫骨折の怪我を負いました。

その後、治療の結果症状固定後にも腰痛などが残存したため、後遺障害11級の認定を受けました。

腰椎圧迫骨折では、逸失利益が争いの焦点となりそうでした。

なぜなら、腰椎の圧迫骨折は、後遺障害が残った場合でも労働能力の喪失にはつながらないと保険会社が主張する場合もあるからです。

ご依頼をいただいたサリュでは、被害者の方の症状や勤務体系を詳細に主張し、症状による業務への影響を伝えた上で粘り強く相手保険会社との交渉を行いました。

その結果、労働能力喪失期間を就労可能年齢の上限である67歳までとする逸失利益の獲得に成功し、総額約2300万円で示談が成立しました。

事例の詳細

4.後遺障害11級の慰謝料は計算基準によって大きく金額が変わる

ここまでで紹介した獲得事例と比較して、あなたが相手の保険会社に提示される賠償金の金額は低い可能性が高いです。

なぜなら、後遺障害11級の賠償金に含まれる後遺障害慰謝料は計算基準によって大きく異なり、保険会社は最低限に近い基準で計算した金額を提示してくるからです。

後遺障害慰謝料の計算基準には、以下の3種類があります。

後遺障害11級の場合、後遺障害慰謝料の相場の目安は以下の通りです。

自賠責基準弁護士基準
136万円420万円

このように、同じ等級であっても、計算基準が異なるだけで倍以上も金額が異なることがお分かりいただけるかと思います。

基本的に、相手の保険会社は最低限の補償である自賠責基準か、それに近い任意保険基準で計算した慰謝料を提示してきます。

実際に先ほど紹介した事例の中でも、保険会社が提示した金額から、弁護士が介入することで800万円以上増額したケースもありました。

保険会社の提示額獲得金額詳細
約582万円約1400万円事例の詳細

もし計算基準によって金額が変わることや、本来被害者が受け取れる補償に対して低い金額になっているということを知らないと、最初に提示された不当に低い金額のまま示談を成立させられる可能性があります。

「保険会社が計算した金額だから間違いないだろう」

と判断せず、相手が出す金額は不当に低い可能性があるということを知った上で交渉に挑むようにしてください。

5.11級の症状があっても必ず認定を受けられるとは限らない

ここまで、後遺障害11級に認定される症状と、11級に認定された場合に獲得できる賠償金についてお伝えしてきました。

しかし、知っておいていただきたいのが、「3.後遺障害11級に認定された金額事例」でもご紹介したとおり、11級相当の症状があるからと言って、確実に11級に認定されるわけではないということです。

後遺障害は、後遺症が残っていることを医師に診断書などで証明してもらい、認定機関に申請を行うことで認定を受けます。

この時、十分な医学的証拠が揃っていないと、非該当(後遺障害が認められない)となったり、実際の症状よりも低い等級での認定となったりする可能性があります。

例えば、脊柱の変形で11級の認定を受けることを想定して申請をした場合でも、変形していることが認められる客観的な証拠が足りないと、非該当や、14級9号(局部に神経症状を残すもの)の認定にとどまる可能性があるのです。

【脊柱の変形で11級の認定を受けることを想定して申請をした場合】

変形を証明する十分な医学的証拠があった場合11級に認定
変形は証明できないものの、痛みが残っていることは証明された場合14級9号に認定
変形も痛みの残存も証明できなかった場合非該当

このような認定結果になった場合、後遺障害慰謝料だけでも以下のように金額の差が発生します。

【それぞれの後遺障害慰謝料の相場】※弁護士基準の場合

11級14級非該当
420万円110万円0円

このように、認定された等級によって受けられる補償は大きく異なり、もし非該当となってしまった場合には、後遺症に対する補償がまったく受けられなくなる可能性もあるのです。

適切な補償を受けるためには、医学的な証拠を集めた上で後遺障害等級の認定に挑む必要があります。

適正な等級獲得のための情報は、以下の記事にまとめているのでこちらも参考にしてください。

6.適正な賠償金獲得のためには弁護士が力になる

ここまでで説明してきた通り、後遺障害は症状が残っていたからといって必ず認定を受けられるわけではなく、等級を獲得しても正当な賠償金を得るためには保険会社との交渉が必須になります。

それらの対応をスムーズに進めるためには、弁護士のサポートが非常に重要です。

なぜ弁護士の力を借りたほうがいいのか、ここでは、その主な理由を3つに分けて解説します。

1.弁護士基準で計算した後遺障害慰謝料を請求できる
2.後遺障害慰謝料や逸失利益以外の請求できる費用ももれなく請求できる
3.適正な後遺障害等級の認定をサポートしてもらえる

6-1.弁護士基準で計算した後遺障害慰謝料を請求できる

1つ目の理由は、弁護士基準で計算した後遺障害慰謝料を請求できるからです。

4.後遺障害11級の慰謝料は計算基準によって大きく金額が変わるでもお伝えした通り、同じ後遺障害11級に認定されても、計算基準によって後遺障害慰謝料の金額は大きく異なります。

この弁護士基準の慰謝料を獲得するためには、過去の判例や症状の証拠などを添えて、保険会社と交渉する必要があるのです。

被害者が自分で交渉して弁護士基準の金額を提示しても、保険会社は、

「今回のケースでは認められない」

などと言って、条件をのまない可能性が高いです。

弁護士に依頼すれば、弁護士基準の慰謝料が適正である客観的な証拠を揃えた上で交渉を進めてくれるので、保険会社との交渉がスムーズに進みます。

被害者にとって適正である弁護士基準の後遺障害慰謝料を請求できるというのが、弁護士に力を借りるべき1つ目の理由です。

6-2.後遺障害慰謝料や逸失利益以外の請求できる費用ももれなく請求できる

2つ目の理由は、後遺障害慰謝料や逸失利益以外の請求項目についてももれなく請求できるからです。

交通事故の被害者は、上記項目以外のも加害者側にさまざまな費用を請求することができます。

治療関係費治療費、入院費、手術費、付添看護費、リハビリ費用など
将来介護費将来にわたって介護が必要な場合に、近親者や職業付添人に支払うための費用
装具代・家屋等改造費義肢や車いすなどの装具・器機の費用や、家や車をバリアフリーにするための費用など
入通院慰謝料交通事故でケガをしたことによる精神的苦痛に対する補償
休業損害交通事故で仕事ができなくなったことにより減額した収入に対する補償
一般的に【1日あたりの基礎収入×休業日数】で計算する

※休業損害の詳しい計算方法や職業ごとの算出方法は以下の記事で解説します。

しかし、相手の保険会社はこれらの費用の請求にもれがあっても、わざわざ教えてくれない可能性が高いです。

弁護士に依頼すれば、示談の前に請求可能な項目をもれなくチェックしてくれます。これらの項目が加わるだけで、賠償金の総額が大きく変わることもあるので、事前に必ず確認しておきたいポイントです。

このように、慰謝料や逸失利益以外の部分についてももれなく請求できるようサポートしてもらえるのが弁護士に力を借りるべき2つ目の理由です。

6-3.適正な後遺障害等級の認定をサポートしてもらえる

最後の理由は、適正な後遺障害等級の認定をサポートしてもらえることです。

5.11級の症状があっても必ず認定を受けられるとは限らないでお伝えしたように、症状が残っているからといって、必ず後遺障害の認定を受けられるわけではありません。

後遺障害等級の認定率は5%程度とも言われており、その中でも適正な認定を受けるのは狭き門となります。

そこで力になれるのが、後遺障害等級の獲得サポート経験豊富な弁護士です。そのような弁護士であれば、認定を受けるために必要な医学的証拠を揃える手助けをしてくれます。

「後遺症の症状が残っているのに、後遺障害の認定を受けられなかった」

というような事態を防ぐためにも、経験豊富な弁護士のサポートは重要です。

サリュなら、納得できる等級獲得に向けて全面的にサポートします

納得できる後遺障害等級の認定が受けられるか心配な方は、ぜひサリュにご相談ください。

サリュは、これまで2万件以上の交通事故案件を解決に導いてきた、被害者救済に特化した弁護士事務所です。

後遺障害等級の認定や異議申立ての経験も多数あり、被害者の方が納得できる等級獲得に向けて以下のようなサポートを行っています。

・弁護士、リーガルスタッフによる医学的証拠の徹底的な確認
・サリュの顧問ドクターによる医学的知見に基づいたアドバイス
・後遺障害診断書の書き方について主治医との面談、意見書の提出

実際に以下の事例では、サリュのサポートで脊柱の変形障害が認められ、11級7号の認定を獲得できました。
事例126:サリュが発見した腰椎圧迫骨折を後遺障害診断書に記載してもらい、脊柱の変形障害11級を獲得

「自分だけでは後遺障害の等級さえ獲得できなかったかもしれません。本当にありがとうございました」というお声をいただいた通り、後遺障害等級の獲得は簡単ではありません。

少しでも悩みを抱えていた李、不安があるという方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

電話で無料相談する方は、下記をクリックしてください。

メールで無料相談する方は、下記をクリックしてください。

7.後遺障害11級に関するよくあるQ&A

最後に、後遺障害11級に関するよくある質問に回答します。

疑問を解消し、等級の獲得に向けて行動してください。

Q1.11級に認定されると障害者手帳が発行される?
Q2.後遺障害の認定内容に納得いかないときはどうする?

7-1.Q1.11級に認定されると障害者手帳が発行される?

A.自動的に障害者手帳が発行されるわけではありません。

「障害」という言葉が含まれるため誤解されることがありますが、障害者手帳の発行と後遺障害認定には直接的な関係はありません。

そのため、後遺障害の認定を受けたからといって、障害者手帳が発行されることはないです。

また、障害者手帳の発行の条件に対して、後遺障害11級の症状は該当しないケースがほとんどです。

後遺障害11級の認定で障害者手帳が発行されることはないと覚えておいてください。

7-2.Q2.後遺障害の認定内容に納得いかないときはどうする?

A.異議申し立てが可能です。

後遺障害等級の認定内容に納得できなかった場合、審査をやり直してもらう異議申し立てという制度が利用できます。

ただし、同じ内容での再申請はできないので、異議申し立てをするには医師の意見書やレントゲンなどの画像所見といった医学的な証拠を集めなおす必要があります。

納得いく結果を得るためには、弁護士の力を借りることをおすすめします。

8.まとめ

この記事では、後遺障害11級の認定が想定される方に向けて、後遺障害11級の症状や受けられる補償などについて解説してきました。

内容のまとめは以下の通りです。

▼後遺障害11級に認定される条件は以下の通り

等級認定の条件
11級1号両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
11級2号両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
11級3号一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
11級4号十歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
11級5号両耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
11級6号一耳の聴力が四十センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
11級7号脊柱に変形を残すもの
11級8号一手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
11級9号一足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
11級10号胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

▼後遺障害11級に認定されると受け取れる賠償金は以下の通り

1.後遺障害慰謝料
2.逸失利益
3.労災
4.その他の賠償金(治療関係費、休業損害など)

▼後遺障害11級の慰謝料は計算基準によって大きく異なる

自賠責基準弁護士基準
136万円420万円

▼後遺障害11級の症状があっても、必ず認定を受けられるわけではない。症状を証明するためにも、医師や弁護士などのサポートを受けることも検討したほうがいい

これらの内容を参考に、適正な後遺障害等級・賠償金の獲得に向けて行動してください。