むちうちの痛み・しびれは毎日記録すべき?後遺障害申請に役立つ症状日誌の書き方と限界

「毎日痛みを書けば、後遺障害14級が認められやすくなりますか」

「症状に波があり、診察の日にうまく説明できません。日誌を見せてもよいでしょうか」

「事故から数か月たってから、過去の症状を思い出して記録しても意味がありますか」

追突事故によるむちうちでは、首の痛み、頭痛、肩の張り、腕や手のしびれなどが日によって変化することがあります。診察時間は限られているため、どの動作で悪化したか、仕事や家事にどのような支障があったかをその場で思い出せず、十分に伝えられない方も少なくありません。そこで役立つのが、日々の症状と生活への影響を簡潔に残す「症状日誌」です。

結論からいうと、症状日誌は、毎日必ず作らなければならない法的書類ではなく、それだけで後遺障害等級が決まるものでもありません。後遺障害申請では、診療録、診断書、画像、神経学的所見、通院経過、事故態様などの客観資料が中心になります。症状日誌は、その資料を補い、診察時の説明や仕事・生活への影響を時系列で整理する補助資料として使うものです。

有用なのは、事故後の早い時期から、同じ項目を短く、事実に沿って継続した記録です。反対に、申請直前に数か月分をまとめて作る、毎日まったく同じ表現を並べる、診察時の申告と食い違う、症状を大きく見せるために誇張するといった記録は、信用性を損なうおそれがあります。

この記事では、症状日誌に残すべき項目、毎日書けない場合の考え方、医師への伝え方、後遺障害申請での位置づけ、保険会社へ提出するときの注意点を順番に解説します。

この記事でわかること

まずは、症状日誌に期待できることと、期待しすぎてはいけないことを整理します。すでに記録を始めている方は第4章、毎日続かない方は第5章、後遺障害申請を予定している方は第7章・第8章から確認するとよいでしょう。

  • 症状日誌は法的に必須ではなく、補助資料であること
  • 痛み・しびれ・通院・服薬・仕事・生活の記録項目
  • 毎日書けない場合に無理なく続ける方法
  • 診療録や後遺障害診断書と記録を整合させるポイント
  • 申請直前の一括作成や誇張が逆効果になり得る理由
  • 後遺障害申請・異議申立てで症状日誌を使うときの限界

ケース別の読み方
事故直後でこれから記録を始める方は第3章・第4章、記録が数日空いてしまった方は第5章、整形外科の診療録と内容が違うかもしれない方は第6章、非該当後の異議申立てを検討している方は第8章を確認してください。

弁護士 山田 洋斗

この記事の監修者
弁護士 山田 洋斗

弁護士法人サリュ千葉事務所
千葉県弁護士会

交通事故解決件数 1,200件以上
(2025年9月時点)
【略歴】
2014年 明治大学法科大学院卒業
2014年 司法試験合格
2015年 弁護士登録、弁護士法人サリュ入所
【獲得した画期的判決】
【2021年8月 自保ジャーナル2091号114頁に掲載】(交通事故事件)
【2022年 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻(赤い本)105頁に掲載】
会社の代表取締役が交通事故で受傷し、会社に営業損害が生じたケースで一部の外注費を事故と因果関係のある損害と認定した事例
【弁護士法人サリュにおける解決事例の一部】
事例333:弁護士基準の1.3倍の慰謝料が認められた事例
事例343:相手方自賠責保険、無保険車傷害保険と複数の保険を利用し、治療費も後遺障害も納得の解決へ
事例323:事故態様に争いがある事案で、依頼者の過失割合75%の一審判決を、控訴審で30%に覆した

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1. 結論|症状日誌は有用ですが、後遺障害申請の決め手ではありません

症状日誌は、事故後の痛みやしびれの変化、通院、服薬、仕事・生活への影響を忘れないうちに残すために役立ちます。医師へ症状を正確に伝える準備になり、保険会社や弁護士へ経過を説明するときにも利用できます。

1-1. 症状日誌は「補助資料」と位置づけます

後遺障害申請で中心となるのは、事故発生状況、診断書、診療録、後遺障害診断書、レントゲン・MRI等の画像、検査結果、通院経過です。症状日誌は、本人が作成する資料であるため、客観資料と同じ重みを持つわけではありません。しかし、診療録に書き切れない日々の変化や、仕事・家事で具体的に困ったことを時系列で補足する役割があります。

1-2. 「毎日書いた日数」が多ければ認定されるわけではありません

100日分の日誌があるから14級9号が認められる、日誌がないから非該当になるという一律の基準はありません。大切なのは、事故後から症状固定までの経過が自然で、診察時の申告や医療記録と大きく矛盾せず、症状が仕事・生活へ与えた影響を具体的に説明できることです。

要点
症状日誌は、医療記録の代わりではありません。日誌をつけることよりも、症状があれば早く整形外科を受診し、診察のたびに正確に伝えることが優先です。

2. むちうちの症状はなぜ記録しにくいのか

骨折のように画像で明確に確認できる外傷と比べ、むちうちでは痛み、張り、頭痛、めまい、しびれなどの自覚症状が中心になることがあります。症状の強さが日によって変わり、仕事や天候、睡眠、動作で悪化するため、診察日に全経過を思い出すのが難しくなります。

2-1. 症状の「波」を一言の平均で表しにくいからです

朝は軽いが夕方に悪化する、運転後にしびれが出る、薬を飲むと一時的に軽くなるなど、症状には波があります。診察時に「今日は少し楽です」とだけ伝えると、改善が続いているように記録されることがあります。反対に、最もつらい日だけを基準に説明すると、普段の状態と異なる印象になります。日誌で典型的な状態と変化のきっかけを残すと、より正確に説明できます。

2-2. 仕事・生活の支障は診察室で忘れやすいからです

振り向いて後方確認できない、子どもを抱けない、掃除機をかけると首が痛む、パソコン作業を30分で中断するなどの支障は、診断名や痛みの強さだけでは分かりません。その日の具体的な出来事を短く残しておくと、医師へ伝えやすくなります。

2-3. 痛みを数値化しても完全に客観化できるわけではありません

0~10の尺度は、自分の中で変化を比べるためには便利です。ただし、人によって「5」の意味は異なり、数値だけで症状の医学的な程度が決まるわけではありません。数値とともに、「振り向けない」「2時間で早退した」など具体的な支障を記録するとよいでしょう。

3. 症状日誌に残したい6つの項目

症状日誌は、毎回書く項目を決めると続けやすくなります。文章力は必要ありません。次の6項目を、実際に起きた範囲で短く記録しましょう。

症状日誌に残す6項目

3-1. 痛みの強さと時間帯

自分の中で同じ尺度を使い、朝・昼・夜の変化を残します。数値を使わない場合は「軽い・中程度・強い」などでも構いません。尺度を途中で変えたときは、そのことを書いておきます。

3-2. 痛み・しびれの部位と左右

首の中央、右肩、左腕、親指側など、場所と左右を具体的にします。新しい症状が出た場合は、いつから、どの動作で、どの程度続いたかを記載し、早めに医師へ伝えます。

3-3. 通院・検査・服薬と効果

受診日、リハビリ、検査、薬の服用、効果や副作用を残します。診療明細や処方内容と一致するようにし、自己判断で薬を増減した場合は隠さず医師に相談してください。

3-4. 仕事への影響

欠勤・早退だけでなく、長時間運転を外れた、同僚に荷物を持ってもらった、残業を断った、休憩を増やしたなどを記録します。抽象的な「仕事がつらい」より、業務と支障を具体的に書きます。

3-5. 家事・育児・睡眠への影響

買い物袋、掃除、料理、洗濯、子どもの抱き上げ、入浴、睡眠、運転など、事故前にはできたこととの違いを残します。家族が代わった家事があれば、誰が何を行ったかを簡潔に記載します。

3-6. 改善・悪化のきっかけ

長時間座った後、悪路を運転した後、リハビリ後、睡眠不足など、症状の変化に関係した出来事を残します。原因を断定せず、「~の後に強く感じた」と事実の形で書くことが大切です。

4. 続けやすく、信用されやすい書き方

症状日誌は、詳しさよりも継続性と正確さが大切です。毎日1ページを書く必要はありません。1日1~3分で残せる形式を作りましょう。

役立つ症状日誌と注意例

4-1. 日付と作成時刻を入れます

スマートフォンのメモ、カレンダー、表計算、紙のノートなど方法は問いません。日付が後から分かるようにし、できればその日のうちか翌日に記録します。デジタル記録は自動保存日時が残ることがありますが、後から自由に編集できるため、それだけで信用性が保証されるわけではありません。

4-2. 事実・感想・推測を分けます

「15時に首痛が強くなり、30分休憩した」は事実に近い記録です。「保険会社が悪いので痛みが悪化した」「絶対に一生治らない」は感情や将来の推測です。感情を書くこと自体が悪いわけではありませんが、症状・行動・支障とは分けて記録すると読み手が経過を追いやすくなります。

4-3. 良い日も悪い日も正直に残します

改善した日を省き、悪化した日だけ記録すると、実際の経過を反映しないことがあります。「痛み3、仕事は通常どおり」「薬を使わず眠れた」といった改善も残しましょう。症状に波があることを正確に示す方が、毎日最大の痛みが続くという不自然な記録より信用されやすくなります。

4-4. 写真・領収書・メッセージとひもづけます

通院、薬、勤務先との連絡、家族への依頼など、関連する資料がある日は「領収書あり」「上司メールあり」などと記録します。日誌に画像を大量に貼り込むより、資料を別に保存し、日付で対応できるようにすると整理しやすくなります。

項目 短い記載例 補足資料
痛み・しびれ 首痛5/10。右手親指に10分ほどしびれ 診療録・検査結果
仕事 運転業務を同僚へ交代。15時に早退 勤怠・上司メール
生活 掃除機を5分で中止。家族が代行 家族との連絡
通院・薬 整形外科受診。鎮痛薬で一時軽減 領収書・処方内容

5. 毎日書けないときはどうする?空白がある場合の対応

仕事や体調のため、毎日書くことが負担になる場合があります。日誌が途切れたからといって、遡って同じ内容を埋める必要はありません。正確に思い出せる範囲と、客観資料で確認できる事実を区別します。

5-1. 症状に変化があった日・通院日を中心に記録します

毎日が難しければ、通院日、症状が大きく悪化・改善した日、仕事を休んだ日、家事・育児に特別な支障があった日を中心に記録します。週1回、1週間の傾向をまとめる方法もあります。その場合も、作成日を現在の日付として明示してください。

5-2. 過去を振り返る場合は「後日整理」と分かるようにします

事故から数か月後に日誌の必要性を知った場合、当時の日記、カレンダー、通院記録、勤怠、家族とのメッセージなどから経過を整理することはできます。ただし、事故当日に書いたかのように見せず、「○月○日に資料を見ながら整理」と明記します。正確に思い出せない痛みの数値を埋めないようにしましょう。

5-3. 空白期間の理由を医療記録と混同しないようにします

日誌の空白と通院の空白は別問題です。日誌を書かなかっただけで、医師の診察を継続していれば医療記録は残ります。反対に、症状があるのに長期間受診していない場合は、日誌が詳細でも治療の必要性や症状の継続性が争われることがあります。

6. 医師への伝え方と診療録との整合性

症状日誌の最大の実用的な役割は、診察時に正確な情報を伝えることです。日誌をそのまま医師に渡す必要はありませんが、重要な変化を要約して伝えましょう。

6-1. 診察では重要な変化を3点程度に絞ります

限られた診察時間で日誌を最初から読み上げるのではなく、「右手のしびれが今週3回出た」「運転30分で首痛が強くなる」「薬で眠気が出る」など、診断・治療に関係する変化を伝えます。新たな神経症状、筋力低下、強い頭痛等があれば優先して相談してください。

6-2. 日誌と診療録に違いがあれば理由を確認します

日誌では右手のしびれ、診療録では左手のしびれとなっているなど、重要な食い違いに気づいた場合は、次回診察で正確な状態を伝えます。医療記録を都合よく書き換えるよう求めるのではなく、いつどの症状があったのか、本人の説明不足や記録上の誤りがないかを確認します。

6-3. 整骨院の記録だけに頼らず、整形外科の診察を受けます

後遺障害診断書を作成できるのは医師です。整骨院へ通う場合も、整形外科医に症状と施術内容を伝え、必要な診察・検査を受けます。症状日誌は、医師の診断、画像、神経学的検査を代替しません。

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7. 後遺障害申請で症状日誌はどう使われる?

自賠責の後遺障害申請では、後遺障害診断書、診断書、診療報酬明細書、画像等が提出され、事故状況、傷害との因果関係、損害などが調査されます。症状日誌を提出するかは案件ごとに検討します。

後遺障害申請における症状日誌の位置づけ

7-1. 14級9号では症状の一貫性・継続性が重要になります

14級9号は「局部に神経症状を残すもの」と定められています。むちうちでは明確な画像所見がないこともあるため、事故態様、受診時期、症状の一貫性、治療経過、診察所見などが重要になります。日誌は、診療録の記載を補い、症状の変化や生活への支障を説明する一資料になり得ます。

7-2. 日誌を全ページ提出するかは目的で決めます

日誌に私生活の情報、感情、事故と無関係な病歴が含まれることもあります。何を立証したいのかを考え、必要な期間・項目を抜粋する、時系列表に整理する、原本を保管して要約を提出するなどの方法があります。提出した資料は相手方や審査機関に読まれる可能性があるため、範囲を確認します。

7-3. 日誌の内容だけで医学的因果関係は証明できません

本人が「事故からずっと痛い」と記録していても、受診が大幅に遅れた、診察時に症状を申告していない、治療に長い空白があるといった事情があれば、事故との関係は争われます。医療記録と事故資料を中心に、日誌をどの論点の補助に使うかを決めましょう。

8. 非該当後の異議申立てで日誌を使うときの注意点

後遺障害が非該当となった場合、日誌を追加すれば必ず結果が変わるわけではありません。まず、非該当理由と、初回申請でどの資料が評価されたかを確認します。

8-1. 判断理由に対応する新しい資料が必要です

症状の一貫性が問題なら、診療録、経過診断書、通院記録、勤務資料と日誌を照合します。事故の衝撃が問題なら車両写真や修理資料、医学的裏付けが問題なら画像や神経学的検査を精査します。日誌は不足している客観資料の代替ではなく、資料同士をつなぐ説明に使います。

8-2. 初回申請後に作成した日誌は作成経緯を明らかにします

非該当結果を見てから過去の症状をまとめる場合は、診療記録やメッセージをもとに後日整理したことを明記します。事故直後から作成した資料と同じように扱うと、作成時期を問われたときに信用を損ねるおそれがあります。

8-3. 異議申立書では日誌のどの部分が何を示すか説明します

大量の日誌を添付するだけでなく、「○月以降も右手しびれが継続し、同期間の診療録・神経学的検査と整合する」「運転業務への支障が勤務記録に表れている」など、資料番号を付けて論点と対応させます。

異議申立ての前に
自賠責の決定に不服がある場合は異議申立てができますが、同じ主張を繰り返すだけではなく、判断理由に対応する追加資料を検討することが重要です。

9. 保険会社へ症状日誌の提出を求められたときの対応

治療費の一括対応や示談交渉の中で、保険会社から症状日誌の提出を求められることがあります。提出義務の有無や必要性は状況によって異なるため、目的と範囲を確認します。

9-1. 何の判断に使うのかを確認します

治療の必要性、休業損害、後遺障害、既往症との区別など、保険会社が確認したい論点を尋ねます。目的が分かれば、関連する期間・項目だけを提出する、診療記録とともに説明するなど、必要な対応を選びやすくなります。

9-2. 個人情報や事故と無関係な記載を確認します

日誌に家族の病気、職場の秘密、事故と無関係な相談などが含まれる場合は、提出範囲を検討します。ただし、不利な症状の改善日だけを削除するなど、経過を歪める編集は避けてください。原本を保管し、抜粋・要約を作成した場合はそのことを明示します。

9-3. 提出前に診療録・通院日と照合します

受診日、服薬、症状の部位、欠勤日が、領収書・診療録・勤怠と一致しているかを確認します。誤記に気づいた場合は、元の記録を消して作り直すのではなく、訂正日と訂正理由を残す方法が安全です。

10. 解決事例から分かる「一つの資料だけに頼らない」重要性

症状日誌そのものの有無で結果が決まったと公表されているわけではありませんが、弁護士法人サリュの解決事例からは、事故資料、症状経過、診療記録、画像などを組み合わせて主張する必要性が分かります。

解決事例は結果を保証するものではありませんが、証拠の集め方と交渉の進め方を知る具体的な手がかりになります。

10-1. 物損資料・経過診断書・MRI等を精査し、非該当から14級9号となった事例

事例369:後遺障害非該当から14級9号を獲得。賠償金も裁判所基準相当額回収に成功
事例の概要:追突事故後の頚椎捻挫について、初回の後遺障害申請は非該当でしたが、異議申立てで物損資料から外力を検討し、経過診断書から症状の一貫性や治療内容を確認し、MRI等の医学資料も精査した結果、14級9号が認定された事例です。
本記事との関係:第7章・第8章で説明したとおり、認定の中心は客観資料です。日々の記録を使う場合も、このような事故資料・医療資料と対応させることで初めて意味を持つことが分かります。

10-2. 通院できない日も痛みを記録するアドバイスが14級獲得につながった事例

事例349:復職後の通院頻度減少や事故前年の年収減少があったが、適切な賠償額を獲得
事例の概要:頚椎捻挫を負った方が、復職後に通院頻度を維持できなくなる不安を抱えていた事例です。通院のない日でも痛みがあることを記録として残す対処方法をアドバイスし、後遺障害申請書類の精査も行った結果、14級を獲得し、基礎収入の主張と合わせて納得の解決となりました。
本記事との関係:本記事のテーマである「症状の記録」が実際のサポートに使われた例です。第5章で説明したとおり、通院が難しい期間こそ、症状の継続を示す記録が診療録の空白を補う役割を果たします。

10-3. 通院時の症状の伝え方から準備し、1回目の申請で併合14級となった事例

事例377:Aさん(60代・家事従事者)停車中の追突事故で併合14級、270万円を獲得
事例の概要:家事従事者の方が停車中に追突され、頚椎捻挫・腰椎捻挫の症状が残った事例です。日常の通院に関する対応や後遺障害診断書作成時の準備をサポートし、1回目の申請から併合14級が認定され、家事への影響の立証と合わせて270万円で示談に至りました。
本記事との関係:第6章で説明した「医師への伝え方」の実例です。診察のたびに症状と生活への支障を正確に伝えることが、診療録と後遺障害診断書の質を高め、認定につながります。

10-4. 日常生活での支障を具体的に説明し、異議申立てで14級となった事例

事例364:運転手だけが14級が認定され、同乗者は非該当。異議申立てによって同乗者も14級獲得
事例の概要:追突事故で頚椎捻挫などを負った同乗者の方が非該当とされた事例です。異議申立てでは、被害車両の修理額から見られる衝撃の大きさとともに、日常生活での支障から見られる症状の重篤さを説明し、14級が認定されて約170万円の増額につながりました。
本記事との関係:第3章で挙げた「家事・育児・睡眠への影響」の記録が活きる場面の実例です。生活上の具体的な支障は、症状の重さを説明する材料として異議申立てでも使われます。

10-5. 治療費対応終了後も治療実績を重ね、後遺障害申請につなげた事例

事例352:治療が打ち切られても、健康保険で治療を継続。後遺障害認定を受けにくい若年者でも、治療実績を重ねたことで後遺障害認定を受けた事例
事例の概要:保険会社の治療費対応が約3か月半で終了した後、健康保険を使って治療を継続し、その後の後遺障害申請で14級9号が認定された事例です。立て替えた治療費も後の交渉で支払われました。
本記事との関係:第5章で説明したとおり、日誌の空白と通院の空白は別問題です。症状が続く間は治療と医療記録を継続することが、記録づくりよりも優先されるべきことがよく分かります。

解決事例を読むときの注意
解決結果は、事故態様、傷病、医療記録、年齢、仕事、相手方の対応などによって異なります。公開事例は対応の考え方を知る参考であり、同じ等級・金額・治療費の支払を保証するものではありません。

11. よくある質問

11-1. 症状日誌は紙とスマートフォンのどちらがよいですか?

どちらでも構いませんが、あとで編集可能なものより、ノートなどの手書きで、その時点で記載されたことが記録されるもののほうがよいです。また、仮にスマートフォンを利用する場合は、データの消失に備えてバックアップし、紙は写真を撮って保管するとよいでしょう。

11-2. 毎日同じ痛みなら「同じ」とだけ書いてよいですか?

同じ状態なら「前日と同程度」と記録して構いません。ただし、毎日全く同じ文章を機械的にコピーすると、実際にその日に確認したか分かりにくくなります。仕事や服薬など変化がある項目だけ追記します。

11-3. 痛みがない日も書くべきですか?

症状が軽い・ない日も記録すると、症状の波を正確に示せます。悪い日だけを選ぶより、改善日を含む方が実際の経過に近くなります。

11-4. 日誌を毎回医師に見せる必要がありますか?

必要はありません。重要な変化を要約して伝え、医師が確認を希望する場合に見せます。診察を日誌の読み合わせだけにせず、医師の質問に答え、必要な診察・検査を受けてください。

11-5. SNSの投稿や家族へのメッセージも証拠になりますか?

事故当時の状態を示す補助資料になる場合がありますが、文脈や公開範囲、作成者、改変可能性が問題になります。必要な部分を日付・送受信者が分かる形で保存し、私生活情報を含むため提出範囲を慎重に検討します。

11-6. 日誌に誤りを見つけたら削除してよいですか?

元の記録を消すより、訂正日、誤記、正しい内容、訂正理由を追記する方が経緯を説明しやすくなります。重要な左右・日付の誤りは、次回診察でも正確に伝えます。

12. まとめ|短く正確な記録を、医療資料とつなげて使いましょう

むちうちの症状日誌は、法的に必須の書類でも、後遺障害等級を決める単独の証拠でもありません。しかし、痛み・しびれの変化、通院・服薬、仕事・生活への支障を事故後から短く継続して記録すれば、医師への説明、休業損害の整理、後遺障害申請の準備に役立ちます。

正確さを最優先し、良い日も悪い日も記録し、診療録・通院日・勤怠などと整合させましょう。毎日書けない場合は、変化があった日や通院日を中心に記録し、過去を整理するときは作成時期を明らかにしてください。

大切なポイント
日誌の完成度を上げることに集中しすぎて、受診や治療を後回しにしないでください。症状があるときは整形外科で診察を受け、医師へ正確に伝えることが最優先です。

サリュは交通事故の被害者専門の弁護士事務所です

サリュは、被害者側専門の弁護士事務所です。
解決実績は業界トップクラスの26,000件以上あり、多くの被害者を救ってきました。

サリュには、経験豊富な弁護士が在籍しています。
被害に遭ったあなたがこれ以上つらい思いをしないよう、多くの実績や経験をもとに、最後までサポートいたします。

本記事でお伝えしてきたとおり、車の損傷が軽いことを理由に、治療費や慰謝料が争われるケースは少なくありません。

「治療費の打ち切りを予告された」「提示された慰謝料が正当かどうか確かめたい」など、どのようなことでもかまいません。

治療費や慰謝料に不安を抱えている方は、ぜひ一度ご相談ください。

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