弁護士特約は後遺障害申請の弁護士費用にも使える?むちうち治療中に確認したい補償範囲
「弁護士特約は示談交渉だけでなく、後遺障害申請の準備にも使えますか」
「まだ治療中ですが、今から弁護士へ相談すると特約の対象外になりますか」
「家族の自動車保険に弁護士特約があれば、自分の事故でも使えるのでしょうか」
追突事故でむちうちの治療を続けていると、保険会社との連絡、治療費の打ち切り、症状固定、後遺障害診断書、被害者請求など、判断しなければならないことが増えていきます。弁護士へ依頼したいと考えても、費用が心配で相談を先延ばしにしてしまう方も少なくありません。
結論からいうと、弁護士費用特約の対象となる交通事故で、弁護士が損害賠償請求の一環として後遺障害申請の準備、被害者請求、異議申立て、示談交渉などを行う場合、弁護士費用が特約の補償対象になることがあります。ただし、すべての保険契約で同じ範囲が補償されるわけではなく、契約約款、補償対象者、事故類型、依頼内容、費用項目、保険会社の事前承認を確認する必要があります。
特に注意したいのは、「弁護士特約が付いている=どの弁護士費用も無条件に全額支払われる」という意味ではないことです。医師への意見書作成費、画像鑑定、事故解析、行政書士等への費用、後遺障害申請だけを独立して依頼する場合などは、商品や案件によって取扱いが分かれることがあります。依頼契約を結ぶ前に、弁護士の見積りと委任範囲を保険会社へ伝え、対象になる費用を確認しましょう。
この記事では、弁護士費用特約の基本、後遺障害申請で補償対象になり得る業務、対象となる家族の範囲、代表的な補償上限の考え方、事前承認の手順、保険会社と見解が異なる場合の対応を、治療中の方にも分かるように順番に解説します。
この記事でわかること
まずは、弁護士費用特約の基本と、後遺障害申請に使えるかを判断するポイントを整理します。家族の保険を確認したい方は第3章、費用の範囲を知りたい方は第4章・第5章、利用手順を知りたい方は第7章から確認してください。
- 弁護士費用特約が補償する「法律相談費用」と「弁護士費用」の違い
- 後遺障害申請、被害者請求、異議申立てが対象になり得る条件
- 本人以外の家族や、契約車両以外の事故で使える場合
- 補償上限・対象費目・自己負担が生じる可能性
- 治療中に確認しておきたい事前承認と連絡のタイミング
- 弁護士へ依頼してから後遺障害申請・示談交渉まで進める手順
ケース別の読み方
弁護士費用特約が付いているか分からない方は第2章、家族の契約を利用できるか確認したい方は第3章、後遺障害申請のどこまで対象になるか知りたい方は第4章、すでに弁護士へ相談した方は第6章・第7章を確認すると整理しやすいでしょう。

この記事の監修者
弁護士 山田 洋斗
弁護士法人サリュ千葉事務所
千葉県弁護士会
交通事故解決件数 1,200件以上
(2025年9月時点)
【略歴】
2014年 明治大学法科大学院卒業
2014年 司法試験合格
2015年 弁護士登録、弁護士法人サリュ入所
【獲得した画期的判決】
【2021年8月 自保ジャーナル2091号114頁に掲載】(交通事故事件)
【2022年 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻(赤い本)105頁に掲載】
会社の代表取締役が交通事故で受傷し、会社に営業損害が生じたケースで一部の外注費を事故と因果関係のある損害と認定した事例
【弁護士法人サリュにおける解決事例の一部】
事例333:弁護士基準の1.3倍の慰謝料が認められた事例
事例343:相手方自賠責保険、無保険車傷害保険と複数の保険を利用し、治療費も後遺障害も納得の解決へ
事例323:事故態様に争いがある事案で、依頼者の過失割合75%の一審判決を、控訴審で30%に覆した
1. 結論|後遺障害申請の弁護士費用も、特約の対象になり得ます
弁護士費用特約は、交通事故の被害者が相手方へ損害賠償請求をするために必要となる法律相談費用や弁護士費用を補償する特約です。むちうちの後遺障害申請も、最終的な損害賠償請求の前提となる手続として弁護士が受任し、保険会社が対象業務として承認した場合には、費用が特約から支払われることがあります。

1-1. 「申請だから対象外」とは一概にいえません
後遺障害等級は、後遺障害慰謝料や逸失利益の算定に大きく関わります。そのため、弁護士が事故資料・診療録・画像・後遺障害診断書を確認し、被害者請求や異議申立てを行う業務は、損害賠償請求と密接に関係します。ただし、約款上の「弁護士費用」の定義や、委任契約の内容によって取扱いが異なるため、個別確認が必要です。
1-2. まず確認するのは5項目です
確認するのは、①特約が付帯している契約、②補償対象となる人、③対象となる事故、④依頼する業務と費用項目、⑤保険会社の事前承認です。弁護士を決めた後ではなく、相談予約の段階から保険会社へ連絡しておくと、補償可否を整理しやすくなります。
要点
弁護士特約の有無だけでなく、「誰の契約を、どの事故で、どの業務に使うのか」を一つずつ確認しましょう。
2. 弁護士費用特約とは?示談交渉以外にも使える場合があります
弁護士費用特約は、相手方へ損害賠償請求をする際の弁護士費用等を保険で補う仕組みです。過失がない追突事故では、ご自身の任意保険会社が示談交渉を代行できないことがあるため、特約を利用して弁護士へ依頼する意義が大きくなります。
2-1. 法律相談費用と弁護士費用は分けて確認します
保険商品では、弁護士へ相談する費用と、正式に委任して交渉・手続を行う費用が別枠で定められていることがあります。相談だけであれば法律相談費用の枠、依頼後の着手金・報酬金・実費等は弁護士費用の枠として扱われる例があります。何がどの枠に入るかは約款と保険会社の案内で確認してください。
2-2. 使える場面は示談交渉だけではありません
治療中:保険会社対応、治療費打ち切りへの助言、資料保全(治療方針は医師が判断し、弁護士は法的対応を行います)
症状固定前:後後遺障害診断書・画像・診療録の確認(医師への働きかけの範囲や文書費を確認します)
後遺障害申請:被害者請求の書類整理、申請代理(申請業務が委任範囲・特約対象に含まれるか確認します)
異議申立て:非該当・等級判断の分析、追加資料の提出(外部鑑定費や意見書費用は別途確認が必要です)
示談・訴訟:損害計算、交渉、あっ旋・訴訟対応(特約上限と弁護士報酬基準を確認します)
3. 誰の保険を使える?本人・配偶者・同居親族・別居の未婚の子を確認します
弁護士費用特約は、保険契約者本人だけを対象にしているとは限りません。商品によっては、記名被保険者、その配偶者、同居の親族、別居している未婚の子などが補償対象者に含まれることがあります。また、契約車両に乗っていない歩行中・自転車乗車中の事故が対象となる商品もあります。
3-1. 自分の保険だけでなく家族の契約も確認します
事故車両の保険に特約がなくても、本人や配偶者、同居家族が契約している別の自動車保険、火災保険等に弁護士費用特約が付いている場合があります。ただし、補償対象者の定義、未婚・同居の判定時点、対象事故の範囲は契約ごとに異なります。保険証券や契約者ページで確認し、分からなければ保険会社へ問い合わせましょう。
注意
家族の範囲や対象事故を、一般的な説明だけで判断しないでください。事故日当時の契約約款と家族関係を基準に確認します。
4. 後遺障害申請のどの費用が対象?業務と費目を分けて確認します
後遺障害申請に関係する支出には、弁護士報酬、診断書・診療録の取得費、画像コピー代、医師の意見書、画像鑑定、事故解析、郵送費などがあります。すべてを一括して「弁護士費用」と扱えるわけではないため、誰に支払う費用か、何のための費用かを分けて確認します。

4-1. 弁護士が損害賠償請求のために行う業務
事故態様・治療経過の確認、後遺障害診断書の点検、画像・診療録の収集、被害者請求書類の作成、異議申立書の作成、認定後の示談交渉などは、損害賠償請求のための弁護士業務として委任範囲に含まれることがあります。依頼時には、申請までか、認定後の交渉までか、異議申立てを含むかを委任契約書と見積書で確認します。
4-2. 医療機関・専門家へ支払う費用は別途確認します
後遺障害診断書、診療録、画像データ等の通常の文書取得費が実費として認められる場合がある一方、医師の詳細な意見書、画像鑑定、事故解析、医学文献の翻訳、専門家の出廷費用などは高額になることがあります。保険会社の事前承認なく依頼すると、特約から支払われない可能性があるため、必要性・見積額・依頼先を事前に伝えましょう。
確認のコツ
「後遺障害申請一式」ではなく、弁護士報酬、通常実費、外部専門家費用を分けた見積りを取り、保険会社へ確認します。
5. 補償上限はいくら?「300万円・10万円」は代表例であり一律ではありません
代表的な自動車保険では、損害賠償請求のための弁護士費用を被保険者1名につき300万円まで、法律相談費用を10万円までと案内する商品があります。ただし、これはすべての契約に共通する法定額ではありません。契約時期、商品、特約の種類、事故の種類によって上限や対象費目が異なることがあります。
5-1. 上限内でも、請求した費用がすべて認められるとは限りません
特約は、一般に必要かつ妥当と認められる弁護士費用等を、約款所定の基準・上限内で支払う仕組みです。弁護士との委任契約額がそのまま全額保険金として支払われるとは限りません。保険会社が定める報酬基準、事件の進行、回収見込み、費用の必要性などが確認されることがあります。
5-2. 上限超過・対象外費用は自己負担になり得ます
訴訟が長期化する、高額な専門家意見を複数取得する、複数の手続を依頼するなどして上限を超えた場合、超過分は本人負担になる可能性があります。弁護士へ依頼する際は、特約の範囲で進めるのか、追加費用が出る場合に都度同意するのかを決めておきましょう。
なお、複数の弁護士費用特約を利用できる場合は、ある1社の特約の上限額を超えたとしても、他の保険会社の弁護士費用特約を利用することで全額、弁護士費用特約で弁護士費用を賄える場合があります。
6. まだ治療中でも相談できる?早めの確認が資料保全につながります
症状固定や後遺障害申請を待たなければ弁護士へ相談できない、という決まりはありません。治療中に相談することで、車両写真・ドライブレコーダー・修理資料、初診記録、通院経過、症状メモ、仕事への支障など、後から失われやすい資料を早めに整理できます。
6-1. 弁護士は治療内容を決めるのではありません
治療の必要性、検査、症状固定は医師が医学的に判断します。弁護士は、医師へ正確に症状を伝えるための整理、必要資料の保全、保険会社との連絡、後遺障害申請や損害賠償請求の準備を行います。保険会社の打ち切り時期だけを理由に治療を終了せず、主治医と相談してください。
6-2. 相談時点で正式依頼を決める必要はありません
法律相談費用の補償枠を利用して、現状の争点、必要資料、依頼するタイミング、費用見込みを確認する方法があります。相談だけで終えるか、治療中から依頼するか、症状固定後に依頼するかは、事故態様、症状、保険会社の対応、資料の状態によって異なります。
治療中に準備する資料
保険証券・事故受付番号、車両写真・修理見積書、診断書・通院先一覧、保険会社からの書面、勤務資料、症状メモを一つのフォルダにまとめます。
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7. 弁護士費用特約を使う6ステップ
特約を利用するときは、先に弁護士へ費用を支払って後から請求する方法と、保険会社が弁護士へ直接支払う方法などがあります。手続は保険会社ごとに異なるため、次の順序を基本に確認しましょう。

STEP1. 利用できそうな保険契約を洗い出します
事故車両の保険だけでなく、本人・配偶者・同居親族・別居の未婚の子が加入する保険を確認します。特約名が「弁護士費用特約」「弁護士費用等補償特約」など異なることがあります。
STEP2. 保険会社へ事故と相談内容を伝えます
事故日、事故態様、相手方、けが、治療状況、後遺障害申請を検討していることを伝え、対象事故・対象者に該当するか確認します。問い合わせ内容と回答日、担当者名を記録しましょう。
STEP3. 弁護士を選び、委任範囲と見積りを確認します
保険会社から紹介された弁護士に限らず、自分で交通事故を扱う弁護士を選べる商品もあります。後遺障害申請、異議申立て、示談交渉、訴訟のどこまで依頼するかを確認し、費用見積りを受け取ります。
STEP4. 見積り・委任契約案を保険会社へ提出します
着手金、報酬金、相談料、実費、外部専門家費用を分けて伝え、特約の対象範囲と支払方法について承認を得ます。口頭回答だけでなく、メールや書面で残すと安心です。
STEP5. 弁護士と保険会社の連絡先を共有します
事故受付番号、担当部署、必要書類、請求書の宛先を弁護士へ伝えます。保険会社が弁護士へ直接支払うのか、本人が立て替えるのかも確認してください。
STEP6. 業務追加・外部費用が出る前に再確認します
被害者請求から異議申立てへ進む、医師意見書や画像鑑定が必要になる、訴訟へ移行するなど、当初の委任範囲が変わる場合は、追加費用を発生させる前に保険会社へ確認します。
記録を残す
保険会社の担当者名、承認日、対象業務、上限、自己負担の有無を一枚にまとめ、弁護士にも共有しましょう。
8. 依頼する弁護士は自由に選べる?保険会社の紹介との違い
弁護士費用特約を使う場合でも、一般に被害者が弁護士を選べる契約があります。ただし、保険会社への事前連絡、費用基準への同意、委任契約内容の提出等が必要となることがあります。保険会社の紹介弁護士を利用するか、自分で探すかは、対応分野、相談のしやすさ、後遺障害申請の経験、費用説明などを比較して決めましょう。
8-1. 後遺障害申請を依頼するなら確認したいこと
- 治療中の資料保全から対応するのか、症状固定後からか
- 診療録・画像・後遺障害診断書を誰がどこまで確認するか
- 被害者請求と事前認定の違いを説明してもらえるか
- 非該当・低い等級だった場合の異議申立てを扱うか
- 医療照会、医師面談、外部意見書等の費用を事前に説明するか
- 認定後の慰謝料・逸失利益・休業損害の交渉まで委任範囲に含むか
8-2. 「特約だから費用を気にしなくてよい」とは限りません
保険会社と弁護士の費用基準が一致しない場合や、特約対象外の業務を依頼する場合、本人負担が生じる可能性があります。依頼前に、保険会社が認める金額、弁護士の契約額、差額が出た場合の扱いを三者で確認してください。
9. 後遺障害申請で弁護士ができること・できないこと
弁護士へ依頼すれば必ず後遺障害等級が認定されるわけではありません。認定は、事故態様、傷病、画像、診察所見、症状の一貫性、治療経過、症状固定後の支障など、個別資料に基づいて判断されます。弁護士の役割は、認定に必要な資料を漏れなく集め、矛盾を確認し、法的・医学的な争点を整理して提出することです。
9-1. 弁護士が行える主な支援
| 段階 | 主な支援 | 限界・注意点 |
|---|---|---|
| 治療中 | 事故・医療・生活資料の整理、保険会社対応 | 治療・検査は医師の判断です |
| 症状固定時 | 後遺障害診断書の記載漏れ確認、画像・検査資料の確認 | 事実と異なる記載を医師へ求めることはできません |
| 初回申請 | 被害者請求書類の準備、資料説明書の作成 | 等級結果を保証することはできません |
| 異議申立て | 決定理由の分析、追加資料・意見の提出 | 同じ資料の再提出だけでは変更が難しい場合があります |
| 認定後 | 慰謝料・逸失利益等の計算、示談・訴訟 | 過失、素因、休業、将来影響など別争点があります |
9-2. 症状固定は保険会社ではなく医師が判断します
症状固定とは、治療を続けても大幅な改善が期待しにくくなった状態を医学的に評価するものです。国土交通省の案内でも、症状固定は医師が判断するとされています。弁護士は法的影響を説明できますが、医学的判断を代わりに行うことはできません。
10. 弁護士法人サリュの解決事例から分かる後遺障害資料の重要性
以下の事例について、弁護士費用特約を利用したことが公表されているとは限りません。特約の成功例ではなく、弁護士が交通事故被害の解決をどのように支援するかの参考として紹介します。
解決事例は結果を保証するものではありませんが、証拠の集め方と交渉の進め方を知る具体的な手がかりになります。
10-1. 弁護士特約を活用し、複数の保険を組み合わせて解決した事例
事例343:相手方自賠責保険、無保険車傷害保険と複数の保険を利用し、治療費も後遺障害も納得の解決へ
事例の概要:バイク走行中に衝突され大腿骨骨折等の大けがを負った方の事例です。加害者は自賠責保険にしか加入しておらず資力もない状況でしたが、弁護士特約に加え無保険車傷害保険にも加入していたため、相手方自賠責への後遺障害申請で治療費等を回収して併合12級を獲得し、無保険車傷害保険との交渉も行って総額1,300万円を超える保険金の受領につながりました。
本記事との関係:第2章・第11章で説明したとおり、相手が無保険でも弁護士特約を利用して依頼できる場合があります。他の法律事務所に断られた事案でも、複数の保険を組み合わせて解決できることが分かる例です。
10-2. 弁護士の介入により、治療に専念できる環境を作った事例
事例361:加害者が任意保険の使用を拒否していた状況から任意保険を使用させ、適切な損害賠償を実現した事例
事例の概要:加害者が任意保険の使用を拒否し、被害者が治療費を自ら支出しかねない状況だった事例です。弁護士が加害者へ通知し保険使用を求めた結果、治療へ専念できる状態になり、適切な損害賠償の実現につながりました。
本記事との関係:第6章で説明したとおり、治療中から弁護士へ相談する意味は資料保全だけではありません。保険会社や加害者への対応を任せることで、治療に専念できる環境を整えられることが分かります。
10-3. 弁護士が物損・医療資料を精査し、非該当から14級9号となった事例
事例369:後遺障害非該当から14級9号を獲得。賠償金も裁判所基準相当額回収に成功
事例の概要:停車中の追突事故で頚椎捻挫となり、当初の後遺障害申請が非該当となった事例です。物損資料から頚部へ加わった外力を検討し、経過診断書から症状の一貫性と治療内容を確認し、MRI画像等も精査して異議申立てを行い、頚部の神経症状について14級9号が認定されました。
本記事との関係:第9章で説明した「弁護士ができること」の実例です。資料の収集・分析・提出という支援が異議申立てで結果につながっており、このような業務が特約の対象になるかを事前に確認する意味が分かります。
10-4. 画像・神経学的所見を精査し、14級9号から12級13号へ変更された事例
事例344:異議申立てで、むちうち症状の後遺障害等級を第14級9号から第12級13号へ覆した事例
事例の概要:頚椎捻挫後の上肢しびれ・頚部痛について当初14級9号が認定されていた方の事例です。レントゲン・MRIの検討、主治医から得た神経学的検査結果などから、症状と画像所見・神経学的所見の整合性を主張し、異議申立てで12級13号へ変更されました。
本記事との関係:等級の違いは慰謝料・逸失利益に大きく影響します。第4章で触れた医療照会や検査結果の収集など、費用が生じ得る業務だからこそ、特約の対象範囲を事前に確認しておく意味があります。
10-5. 弁護士依頼により、自賠責基準の提示から裁判基準近くへ増額した事例
事例358:ご依頼から約1か月でスピード解決。損害賠償額を、自賠責基準から増額させた事例
事例の概要:停車中に追突されむちうちを負った方が約3か月の治療で完治したものの、保険会社の提示が最低基準である自賠責基準で算定されていた事例です。資料一式を取り寄せて損害額を再計算し交渉した結果、裁判基準に近い金額へ増額した内容で、約1か月で示談を締結しました。
本記事との関係:後遺障害が残らなかった場合でも、弁護士へ依頼する意味があることが分かる例です。過失のない追突事故では自分の保険会社が交渉を代行できないため、第2章のとおり特約を活用して依頼する意義が大きくなります。
解決事例を読むときの注意
解決結果は、事故態様、傷病、医療記録、年齢、仕事、相手方の対応などによって異なります。公開事例は対応の考え方を知る参考であり、同じ等級・金額・治療費の支払を保証するものではありません。
11. よくある質問
11-1. 弁護士特約を使うと翌年の保険料は上がりますか?
代表的な商品では、弁護士費用特約のみを利用しても事故件数として扱わず、等級や保険料に影響しないと案内される例があります。ただし、車両保険や人身傷害保険等を同じ事故で利用する場合や、契約内容が異なる場合があります。ご自身の保険会社へ確認してください。
11-2. 保険会社が紹介する弁護士でなければ使えませんか?
自分で選んだ弁護士へ依頼できる商品があります。ただし、依頼前の連絡、費用見積りの提出、保険会社の承認が必要となることがあります。候補の弁護士名と依頼内容を保険会社へ伝えてください。
11-3. 後遺障害申請だけを弁護士へ依頼できますか?
弁護士が申請業務だけを受任すること自体はあり得ますが、特約の補償対象になるかは約款と保険会社の判断によります。認定後の示談交渉まで含む委任なのか、申請のみなのかを明確にし、事前に承認を得ましょう。
11-4. すでに弁護士へ着手金を支払った後でも使えますか?
事後申請が認められるかは保険会社と契約によって異なります。領収書、委任契約書、見積書、業務内容を用意して早急に問い合わせてください。事前承認が条件となる費用は支払われない可能性があります。
11-5. 相手が無保険でも弁護士特約は使えますか?
相手方が任意保険に加入していなくても、対象事故・対象者等の要件を満たせば利用できる場合があります。自賠責の被害者請求、相手本人への請求、無保険車傷害等の検討が必要になるため、事故状況を保険会社と弁護士へ伝えましょう。
11-6. 弁護士特約を使えば必ず14級9号が認定されますか?
特約は弁護士費用を補償する制度であり、後遺障害等級を認定する制度ではありません。認定は事故・医療・症状経過等の資料に基づいて判断されます。弁護士は必要資料の収集・分析・提出を支援しますが、結果を保証することはできません。
12. まとめ|契約・対象者・業務・費用・事前承認を確認しましょう
弁護士費用特約は、むちうちの後遺障害申請、被害者請求、異議申立て、示談交渉等について、弁護士が損害賠償請求の一環として対応する場合に利用できることがあります。ただし、補償範囲は保険会社・商品・契約時期・約款によって異なります。
利用を検討するときは、事故車両の保険だけでなく、本人・配偶者・家族の契約も確認し、対象者と対象事故に該当するかを問い合わせます。弁護士へ相談する前後には、委任範囲、費用見積り、通常実費、外部専門家費用、上限、支払方法を保険会社へ伝え、事前承認を得ましょう。
特約を利用したこと自体が後遺障害等級を左右するわけではありません。治療中から事故資料、初診・診療録、画像、症状経過、仕事・生活への影響を残し、医師の判断に沿って治療を続けることが、申請の基礎になります。
最終チェックリスト
- 事故車両と本人・家族の保険契約を確認した
- 事故日当時の特約・約款・補償対象者を確認した
- 後遺障害申請・異議申立て・示談交渉のどこまで依頼するか決めた
- 法律相談料、着手金、報酬金、実費、外部費用を分けた見積りを受け取った
- 委任契約前に保険会社へ連絡し、対象業務と上限の承認を得た
- 保険会社の担当者名、回答日、承認内容を記録した
- 業務追加や医師意見書・画像鑑定等の前に再承認を確認した
- 治療中の事故・医療・生活資料を保存した
大切なポイント
「特約が付いているか」だけで終わらせず、依頼前に補償範囲を具体化してください。確認が早いほど、費用の行き違いと資料の取りこぼしを減らしやすくなります。
| サリュは交通事故の被害者専門の弁護士事務所です |
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