交通事故の示談でもめるのはどんな時?よくあるケースと対処法を解説

「交通事故でそろそろ示談が近づいてきたけど、このままだと相手ともめるんじゃないか心配」
「示談ではどういう時にもめやすいのか知っておきたい」
あなたは今、示談交渉に向けてこんな不安を抱えていませんか?
実は、示談交渉では以下のようなケースでもめることが少なくありません。
(1)賠償金の金額が明らかに低い (2)過失割合に納得がいかない (3)治療費の打ち切りを促してきた (4)事故と損害の因果関係が認められない (5)相手の態度や対応が悪い |
この中に心当たりがある方は、今後の交渉でトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
実際に、私たち弁護士法人サリュにもこれらのパターンで「示談交渉がこじれた」、「納得できない条件で示談を進められそうになった」というご相談が数多く寄せられています。
そのような場合に備えて、示談でもめるケースや、対処法について事前に知っておくことは非常に大切です。
ただ、実際にもめた場合に被害者が自分だけで対応しようとすると、相手のペースで話が進んでしまい、不利な条件で示談をまとめられてしまうリスクがあります。
専門的な知識や判断が求められる場面も多く、「とりあえず応じてしまった結果、後悔することになった」というケースも少なくありません。
そこでこの記事では、
・もめやすいパターンごとの具体的な事例とその対処法
・もめたときには弁護士の力を借りるべき理由
をわかりやすく紹介します。
納得できない示談にならないようにするためにも、ぜひ最後まで読み進めてトラブルに備えてください。

この記事の監修者
弁護士 平岡 将人
弁護士法人サリュ銀座事務所
第一東京弁護士会
交通事故解決件数 1,000件以上
(2024年1月時点)
【著書・論文】
虚像のトライアングル(幻冬舎MC・2015)
交通事故被害者を救う賠償交渉ノウハウ(株式会社レガシー・2017)
交通事故の賠償は不十分 被害者本意の仕組み作りを(週刊エコノミスト・2017.3)
後遺障害等級14級9号マスター(株式会社レガシー・2019)
交通事故案件対応のベストプラクティス(共著:中央経済社・2020)等
【セミナー・講演】
人身傷害分野に取り組む弁護士のための医学研修(船井総研・2018)
後遺障害12級以上の世界(共同出演:株式会社レガシー・2019)
交通事故と各種保険 全3回(弁護士ドットコム・2020)等
【獲得した画期的判決】
東京高裁平成28年1月20日判決(一審:さいたま地裁平成27年3月20日判決)
「障がい者の事故被害救済」 日本経済新聞夕刊 掲載日2015年4月8日(許諾番号30040811)
交通事故被害に遭われたら、できるだけ早期に、交通事故の被害者側専門弁護士に相談することをおすすめします。これは、弁護士のアドバイスを受けることで、もらえる損害賠償金が大きく変わる場合があるからです。
弁護士法人サリュは、創業20年を迎え、交通事故の被害者側専門の法律事務所として累計20,000件以上の解決実績があります。所属弁護士の多くが1人あたり500件~1000件以上の交通事故解決実績があり、あらゆる交通事故被害者を救済してきました。その確かな実績とノウハウで、あなたのために力を尽くします。
相談だけで解決できることもありますので、まずはお気軽に無料法律相談をご利用ください。
目次
1.【交通事故の示談でもめるパターン(1)賠償金の金額が明らかに低い

示談交渉で多いトラブルの1つが、「提示された賠償金額が明らかに低い」というケースです。
事故後、誠意をもって対応してくれていたはずの相手や保険会社から、突然納得のいかない金額を提示され、「これが限界です」と言われてしまうことも少なくありません。
ここでは、実際によくある事例と、そのような場面に直面したときの対策を紹介します。
1-1.よくある事例
保険会社は、被害者が請求する賠償金に対して
「このケースは対象外」、「仕事への影響は認められない」
などと言って請求を認めなかったり、不当に低い基準で計算したりすることがあります。
実際に、保険会社は以下のような方法で賠償金の金額を低くして被害者に提示してくることがあるのです。
・慰謝料などを最低限の計算基準で算出する ・後遺障害の認定を受けても、逸失利益の対象としない ※後遺障害とは…交通事故などで治療をしても完全には治らず、体や精神に障害が残った状態のこと。損害賠償を受けるには、基本的には専門機関による「後遺障害等級」の認定を受ける必要がある。 ※逸失利益とは…後遺障害が残ったことで働く力が落ち、将来得られなくなった収入分のこと。事故がなければ得られたはずの収入を「損害」として補償してもらうもの。 |
後遺障害については、下記の記事をご参照ください。

逸失利益については、下記の記事をご参照ください。

実際に、サリュが依頼をお受けした事例の中にも、最低限の基準で計算した不当に低い金額の賠償金を提示された事例がありました。
被害者の状況 | 右鎖骨骨幹部骨折を受傷し約5か月の休職、治療期間も1年2か月と長期間にわたる。 右鎖骨の変形とその周辺の痛みが残存していたことで、後遺障害12級に認定 |
相手の対応 | 保険会社は「224万円なら払える」と後遺障害等級12級に対する最低限の基準の金額を提示 |
交渉の結果 | 逸失利益等を含め、約600万円(自賠責保険金224万円を含む)で解決 |
このように、被害者に知識がないのをいいことに、不当に低い金額の賠償金を提示してくる事例は後を絶ちません。
1-2.対策
このように不当に低い金額を提示されたら、そのまま示談に応じないようにしてください。
一度示談が成立してしまうと、条件を覆すことは基本的にできません。
相手が提示してきた賠償金に納得できないときは、以下のような対策をしてください。
・慰謝料が弁護士基準で計算されているか確認する ・請求項目に抜け漏れがないか確認する ・休業損害や逸失利益がきちんと計上されているか確認する |
1-2-1.慰謝料が弁護士基準で計算されているか確認する
まずは、慰謝料が弁護士基準で計算されているかを確認してください。
交通事故の慰謝料の計算基準には、以下の3つがあります。

この中で、被害者にとって正当な金額と言えるのは、過去の判例などをもとに作られた弁護士基準です。
しかし、相手の保険会社は賠償金を低く抑えるため、最低限の補償である自賠責基準やそれに近い任意保険基準で計算をしている可能性が高いのです。
実際に、計算基準が異なるだけで、同じ期間の入通院をしていても入通院慰謝料の金額は以下のように変わってしまいます。
事故の事例 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
むちうちで3か月通院※1 | 25万8000円 | 53万円 |
腕の骨折で6か月通院※2 | 51万6000円 | 116万円 |
全身骨折で1か月の入院・6か月の通院※3 | 77万4000円 | 149万円 |
※1…実治療日数30日・総治療日数90日で計算
※2…実治療日数60日・総治療日数180日で計算
※3…実治療日数90日・総治療日数210日で計算
このように、計算基準によって慰謝料が不当に低く計算されていないか必ず確認してください。
1-2-2.請求項目に抜け漏れがないか確認する
交通事故の被害者が請求できるのは、慰謝料や治療費だけではありません。
しかし、相手の保険会社は親切にすべての請求項目を教えてくれるとは限らず、抜け漏れのある状態で示談を進めてくる可能性があるのです。
被害者が請求できる項目には、以下のようなものがあります。
・治療費 ・通院交通費 ・装具・器具購入費(コルセットやサポーターなどの購入費用) ・付添費用(家族の付添いが必要な場合にかかった費用) ・将来介護費(後遺障害が残り、将来介護が必要になった場合) ・入院雑費 ・休業損害 ・入通院慰謝料 ・逸失利益(後遺障害が残り、労働能力の低下が認められた場合) ・後遺障害慰謝料(後遺障害が残った場合) など |
これらの項目について請求するのは、被害者にとって当然の権利です。
相手が提示する賠償金に合意する前に、抜け漏れがないかをチェックしてください。
1-2-3.休業損害や後遺障害逸失利益がきちんと計上されているか確認する
交通事故で仕事を休まざるを得なかった場合や、後遺障害によって働く力が落ちた場合には、休業損害や後遺障害逸失利益を請求することができます。
休業損害 | 交通事故で仕事ができなくなったことにより減額した収入に対する補償 一般的に【1日あたりの基礎収入×休業日数】で計算する。 |
後遺障害逸失利益 | 交通事故による怪我の後遺障害で労働能力が低下・喪失したことで将来得られなくなった収入に対する損害。 年齢や後遺障害等級、収入実績などを基に算定される。 |
休業損害について、計算方法や職業ごとの算出方法は以下の記事で解説します。


後遺障害逸失利益の詳細は以下の記事で解説します。

しかし、保険会社から提示される賠償額の中には、これらの項目が過少に見積もられていたり、そもそも計上されていなかったりするケースも少なくありません。
賠償金が低いと感じたら、休業損害や後遺障害逸失利益の確認ももれなく行っておきましょう。
これらの計算は個別の事例によって異なり、専門的な知識が必要な部分もあります。
もし「不当に低く計算されているかもしれない」と思ったら、弁護士などに相談するのも一つの方法です。
2.【交通事故の示談でもめるパターン(2)過失割合に納得がいかない

交通事故の示談でもめる原因として非常に多いのが、「過失割合(事故の責任の割合)に納得がいかない」というケースです。
「自分は被害者だと思っていたのに、思ったよりも過失があると言われた」
「納得できない割合を提示されたまま示談を迫られている」
といった声は非常に多く、対応を誤ると本来受け取れるはずだった賠償金が大幅に減ってしまう可能性もあります。
ここでは、よくある過失割合でもめる事例と、示談の際に気をつけるべきポイントを紹介します。
2-1.よくある事例
実際に、保険会社は以下のような理由で、被害者に不利な過失割合を一方的に押しつけてくることがあります。
・加害者の言い分だけをもとに過失割合を決定する ・実際の事故状況を無視して「一般的には〇:〇になる」と決めつけてくる ・被害者の軽微なミスを大げさに評価し、過失割合を増やそうとする |
サリュが依頼をお受けした事例の中にも、加害者に有利な過失割合を主張されている事例がありました。
被害者の状況 | 信号に従って走行 |
相手の対応 | 当初は信号無視を認め謝罪をしていたにもかかわらず、実況見分で警察に加害者有利な証言を行う。相手保険会社もその証言をもとに、30:70の過失割合を主張 |
交渉の結果 | 刑事記録や事故当時の状況などを精査し、加害者の主張の矛盾を指摘。5:95(物損については0:100)を認めさせる |
このように、加害者が自分にとって有利な証言を行い、それをもとに過失割合を決めつけられるケースもあるのです。
2-2.対策
加害者に有利な過失割合を認めさせないためには、以下のような対策が可能です。
・相手の一方的な主張を受け入れない ・過去の判例や類似事例に照らして妥当な割合か確認する ・事故の状況に関する証拠を揃える |
2-2-1.相手の一方的な主張を受け入れない
相手の主張に納得できない場合、絶対に受け入れないようにしてください。
安易に同意してしまうと、あなたにも過失がある前提で交渉が進み、適切な賠償金を得られなくなる可能性が高まります。
「あなたにも過失がある」と保険会社などから言われると、反論しづらく、そのまま受け入れそうになってしまうかもしれません。
しかし、相手は相手方に有利になるように交渉を進めています。
相手の主張にすぐに同意せず、ここから紹介する証拠などを揃えて反論するようにしてください。
2-2-2.過去の判例や類似事例に照らして妥当な割合か確認する
納得できない過失割合が正当なものかを確認するためには、過去の判例や類似事例を確認することが重要です。
交通事故の過失割合は、事故のパターンごとに「基本過失割合」があり、個別の修正要素については過去の事例などが参考にされることがあるからです。
同じような事例で被害者の過失がないものがあれば、それを証拠として相手と交渉できます。
過失割合については保険会社や弁護士事務所等のサイトで検索して調べるか、自分ではわからない場合は弁護士に相談してみてください。
当サイトでも、以下のページで詳しく解説しています。

2-2-3.事故の状況に関する証拠を揃える
過失割合を交渉する上で、もっとも重要なのが事故状況を裏付ける証拠の有無です。
交渉に向けて、以下のような証拠を可能な限り集めておきましょう。
・ドライブレコーダーの映像 ・事故現場や破損した車両の写真 ・目撃者の証言 ・事故当時の状況を記録したメモ、日記など ・捜査機関(警察、検察)作成の事故状況の見分図面(実況見分調書等)等 |
事故後なるべく早い段階で、こうした証拠を整理・確保しておくことが、後の示談交渉や訴訟でも大きな力になります。
3.【交通事故の示談でもめるパターン(3)治療費の打ち切りを促してきた

怪我の治療中にもかかわらず、「そろそろ治療費を打ち切ります」と保険会社に通告されるのも、交通事故の示談でもめるケースでよくある事例です。
実は、治療費の打ち切りをきっかけに、被害者が十分な補償を受けられないまま示談を進めさせられてしまうケースが少なくありません。
ここでは、治療費の打ち切りでもめる事例とその対処法を紹介します。
3-1.よくある事例
保険会社は、次のような理由を挙げて治療費の支払いを打ち切ろうとしてくることがあります。
「むちうちは3か月程度の通院で十分治るはずです」 「これ以上通院しても医学的に意味がないでしょう」 「このまま治療を続けても後遺障害は認められません」 |
そして、治療費を打ち切った直後に、
「もう症状固定(これ以上治療を続けても回復が見込めないと医師が判断した状態)ということで、示談に進めましょう」といった流れで示談を迫ってくるのです。
治療期間が短いと、症状が残っているにもかかわらず後遺障害の認定を受けられない可能性があります。
そうすると、受け取れる賠償金の金額も数百万円以上変わってしまう可能性があるのです。
実際に、サリュがご依頼を受けた事例の中にも、治療費の打ち切りを提示されてお困りの依頼者様が多数いらっしゃいます。
被害者の状況 | 交通事故で長期間の入院・手術が必要な重い怪我を負い後遺障害が残る ・股関節可動域制限(10級11号) ・下肢短縮(13級8号) ・顔面打撲後の吐気や眩暈(14級9号) ・上腕近位骨折後の痺れ(14級9号)の併合9級の認定 |
相手の対応 | ・治療中の休業損害の打ち切り ・治療費の打ち切り ・賠償金約750万円の提示 |
交渉の結果 | 後遺障害の影響や過失割合についても相手に真っ向から反論し、約1500万円で解決 |
3-2.対策
治療が必要な状態であれば、保険会社に打ち切られたからといって治療をやめる必要はありません。
保険会社から治療費の打ち切りを言い渡されたら、以下のような対策が可能です。
・保険会社ではなく医師の判断を仰ぐ ・健康保険や自費で治療を続ける |
3-2-1.保険会社ではなく医師の判断を仰ぐ
治療を終了する時期を決めるのは、保険会社ではなく医師です。
保険会社の指示に従って通院をやめるのではなく、まずは主治医に相談をしましょう。
「痛みなどの症状がまだ残っている」という場合には、それを踏まえて治療を継続するべきか医師の判断を仰ぎます。
医師が「治療の継続が必要」と判断した場合、その旨を書いた意見書などを作成してもらうと、保険会社への交渉の材料になります。
3-2-2.健康保険や自費で治療を続ける
もしも保険会社に治療費を打ち切られても、自費や健康保険を使って通院を続けることが可能です。
保険会社からの治療費が打ち切られたからと言って、治療を無理に中断せず、医師の判断に従った通院を続けてください。
一旦自費で負担した場合でも、交通事故の怪我の治療に必要だったと証明できれば、後から請求することも可能です。
詳しい対処法については、以下の記事で詳しく説明するので参考にしてください。

4.【交通事故の示談でもめるパターン(4)】事故と損害の因果関係が認められない

交通事故の賠償交渉では、相手の保険会社から事故と損害との因果関係を否定されることで示談がもめるケースがあります。
「痛みがあるのに、事故と関係ないと言われた」
「壊れた物の修理費を請求したら、事故とは無関係と判断された」
など、被害者にとって納得しがたい言い分を突きつけられることも珍しくありません。
ここでは、事故と損害の因果関係を否定されるよくある事例と、その対策について解説します。
4-1.よくある事例
保険会社や相手方から因果関係を否定される場面には、次のようなパターンがあります。
・「事故直後に通院していないから、痛み・怪我と事故の関係がない」と判断される ・「修理費用の対象物が事故の衝撃とは関係ない」と言われる ・「後遺障害ではなく、持病や高齢が原因だ」と説明される |
実際にサリュにご相談いただいた事例の中でも、事故と後遺障害の因果関係を認めず、認定を受けた等級に対しても反論してくるというケースがありました。
被害者の状況 | 追突事故で外傷性頸部症候群、腰背部打撲等の受傷。しびれや痛みなどの症状が残り、後遺障害12級に認定。 |
相手の対応 | 被害者に残った症状について「事故とは因果関係がなく、等級認定結果は妥当ではない」と主張 |
交渉の結果 | 医学的な書類などを揃えて反論し、裁判で因果関係を前提とした賠償金約1100万円(自賠責保険金224万円を除く)で和解 |
このように、相手の保険会社は賠償金を低く抑えるために無理な主張を通してくることもあります。
4-2.対策
このようなケースでは、因果関係が否定されても諦めずに反論することが重要です。
事故との因果関係を証明するためには、以下のような証拠を集めて交渉に臨んでください。
・事故直後から通院記録を残しておく ・事故状況の証拠を残しておく |
4-2-1.事故直後から通院記録を残しておく
事故と怪我との因果関係を証明するためには、通院の記録を残しておくことが重要です。
相手に疑いをもたれた際は、病院のカルテや怪我の状況を証明する検査結果などを証拠に反論しましょう。
また、事故と怪我との因果関係が疑われやすい理由として、「事故から初診まで時間が経っている」、「通院の頻度が少ない」などがあります。
もし、仕事などの事情で初診が遅れたり、通院頻度が少なくなってしまったりしている場合には、その事情を説明できるような証拠(会社の出勤記録や繁忙期だったという証言など)を用意し、やむを得ない事情があったことを訴えてください。
4-2-2.事故状況の証拠を残しておく
示談交渉では、「その事故でその怪我が本当に起きたのか?」と事故状況との因果関係を疑われることがあります。
事故の衝撃や影響を証明するため、事故当時のドライブレコーダー映像や現場の写真などのデータは手元に残しておきましょう。
また、事故直後のLINEのやりとり、家族や職場への報告記録など、些細に思える記録も証拠として役立つことがあります。
事故から時間が経っていても、今ある情報を整理し直すことで、十分に証拠として活用できる可能性があるので、改めて見返してみてください。
5.【交通事故の示談でもめるパターン(5)】相手の態度や対応が悪い

加害者側の態度や対応が悪くトラブルになることも、交通事故の示談では少なくありません。
また、最初は丁寧に接していた加害者やその保険会社が、交渉を進めるごとに態度を変え、そのまま示談でもめるというケースもあります。
ここでは、相手の態度や対応が悪くてもめるケースの事例と対処法を紹介します。
5-1.よくある事例
交通事故では、加害者は罪を認めると罰金や免許停止、重大な事件の場合は裁判や実刑判決になる可能性があります。
そのため、以下のように自分の非を認めないことがあるのです。
・事故直後は謝罪していたのに、「そちらからぶつかってきた」と意見を変える ・「自分はスピード違反をしていない」と加害者側の非を隠す ・事故のショックで被害者の記憶が曖昧なのをいいことに嘘を通そうとする ・保険会社の担当者が強い口調で被害者を威圧する |
このような対応をされると、被害者は委縮して納得できない示談を認めざるを得なくなることがあります。
サリュにも、相手の対応が悪くお困りの被害者の方から多数の相談をお寄せいただいています。
被害者の状況 | 歩行中に後ろから来た車のミラーに肘部分をぶつけられ転倒 |
相手の対応 | ・ひき逃げ。その後警察の捜査で加害者が判明 ・相手方の保険会社は事故や怪我の状況を否定 |
交渉の結果 | 怪我と事故の因果関係を証明し、治療費を獲得。 相手の悪質な対応に弁護士基準の1.3倍の慰謝料を請求し、満額で示談 |
被害者の状況 | 歩行中に大型トラックに轢かれる。 脳挫傷等の怪我で意識不明の重体、事故から半年後に死亡。 |
相手の対応 | ・ひき逃げ、事故の証拠隠滅 ・示談金3000万円の提示 |
交渉の結果 | 加害者の不誠実な態度を考慮し、増額を主張して保険会社と示談交渉。 当初の提示額から約800万円増額して示談成立 |
このような事例では、きちんと反論しないと加害者の不当な主張が認められ、適正な賠償が受けられなくなる可能性があります。
5-2.対策
加害者の一方的な意見を通さないようにするためには、十分な対策が必要です。
対応の悪い相手には、以下のようなポイントを押さえて対応してください。
・相手とのやりとりの記録を残す ・事実と異なる場合は承諾しない ・弁護士などの代理人を立てる |
5-2-1.相手とのやりとりの記録を残す
相手の保険会社や加害者の対応に不安を感じる場合は、やりとりの内容を必ず記録に残すことが重要です。
口頭でのやりとりだけだと、「言った・言わない」のトラブルに発展する恐れがあります。
電話で話した内容は、日時・担当者名・要点をメモしておく、メールや書面でのやりとりをなるべく選ぶ、などの工夫をしましょう。
後から交渉の流れを振り返るときや、弁護士に相談する際にも役立ちます。
5-2-2.事実と異なる場合は承諾しない
相手からの説明や主張に納得がいかない場合、無理に同意する必要はありません。
たとえば「過失はそちらにもある」、「治療はもう必要ない」などと一方的に言われたとしても、それが事実と異なるなら、その場で了承せず、確認や再検討を求めることが大切です。
示談は一度成立すると原則としてやり直しができません。少しでも違和感があれば、慎重に対応し、後悔しないようにしましょう。
5-2-3.弁護士などの代理人を立てる
「相手の対応が悪く交渉が進まない」、「保険会社が一方的に話を進めてきて主張が受け入れられない」
など、被害者が自分で対応するのに限界がある場合、弁護士などの代理人を立てて交渉してもらうことをおすすめします。
相手が意見を受け入れない姿勢を続けていると、被害者であるあなたの負担が大きくなり、疲れ果てた結果納得できない示談で合意せざるを得ない、というような結果も考えられます。
また、示談交渉では法律知識や過去の判例に基づいた適切な主張や判断が求められるため、専門家でなければ太刀打ちできない場面も多くあります。
相手との対応でのストレスを軽減するためにも、法的な根拠に基づいて反論するためにも、自分での対応に限界を感じたら弁護士へ相談してください。
たちの悪い相手と交通事故に遭ってしまった場合の対処法については、以下の記事で事例を交えて解説しているので、こちらも参考にしてください。

6.自力で対処するともめた末に不当な条件での示談になるリスクがある

ここまで紹介してきたように、示談交渉ではもめやすいポイントが多数存在し、被害者が自分で対処するのは難しい場面も多くあります。
対処法を紹介してきましたが、「自分ですべて対応するのは大変そう」と不安になってしまった方もいるのではないでしょうか。
実際に、相手ともめるような場面で自力での対処を続けると、もめた末に不当な結果で終わってしまうというリスクがあります。
なぜなら、示談交渉では被害者本人では対処しきれない場面が多く、交渉の主導権を加害者の保険会社に握られやすいからです。
示談交渉で不利にならないようにするには、以下のような知識や準備が必要になります。
・慰謝料や逸失利益などの適正な金額を判断するための法的な知識 ・過失割合に関する過去の判例や基本的なルールの知識 ・事故と怪我の因果関係を証明するのに有効な証拠の準備 ・保険会社の主張を覆す交渉スキル |
保険会社は事故対応の経験が豊富で、法律や賠償に関する知識も持っています。
一方で、知識の浅い被害者側がそれに対抗するのは難しく、交渉の場で不利になりがちです。
そこで不利にならないようにするためには、弁護士への依頼が必要です。
自力で交渉を行うのと、弁護士に依頼するのでは、以下のような点で異なります。

このように、専門的な知識と交渉力のある弁護士の力を借りることで、正当な補償を受けられる可能性が高まるのです。
「もめたくないから」と自分だけで解決しようとすると、かえって損をしてしまう可能性があります。納得のいく結果を得るためには、早めに交渉のプロである弁護士に相談してください。
7.示談で相手の言い分を鵜呑みにしたくなければ交通事故に強いサリュへお任せください

ここまでご紹介してきたように、交通事故の示談交渉では、保険会社の対応や相手の態度、補償の内容など、さまざまなトラブルが起こり得ます。
そのときに大切なのは、「このまま話を進めてしまっていいのか?」という不安を一人で抱え込まないことです。
少しでも不安がよぎったら、ぜひサリュにご相談ください。
示談のトラブルになぜサリュが強いのか、その理由を3つお伝えします。
7-1. 過去2万件以上の解決実績があり、複雑な事例にも多数対応してきたから
サリュには、これまでに2万件以上の交通事故案件を解決してきた実績があります。
これは単なる数字ではなく、軽微な事故から後遺障害や死亡事故といった複雑かつ重度のケースまで、あらゆる状況に対して粘り強く対応してきた証拠です。
・治療費の打ち切り ・不当に低い賠償金の提示 ・不当な過失割合の主張 ・不誠実な態度の加害者や保険会社担当者 |
ここまで数々の事例をご紹介してきた通り、上記のような被害者を悩ませるさまざまな問題に対して、私たちは多数の解決事例を積み重ねてきました。
交通事故の交渉では、法律の知識に加えて、過去の判例や実務経験に基づいた対応力が求められます。
経験の浅い弁護士では、相手のペースに巻き込まれてしまい、思うような結果が得られない可能性もあるでしょう。
だからこそ、過去2万件以上の実績があるサリュに、安心してお任せください。
7-2.元損保会社の知見で、相手のやり方を知り尽くした交渉が可能だから
もう一つの大きな強みは、相手方である保険会社の「内側」を熟知していることです。
サリュの創業者・谷は、もともと損害保険会社側の弁護士でした。
保険会社の論理や交渉戦略を熟知しており、「いかにして賠償金を減らすか」、「どのように被害者の主張を退けるか」といったやり方を、現場の最前線で見てきました。
その経験から、「被害者が正当な補償を受けられない現状をなんとかしたい」との思いで、サリュを立ち上げたのです。
現在では、創業者の知見が所内に共有され、弁護士・スタッフ全体で相手の主張を見抜く力と戦略を持っています。
「これが限界です」、「他の方も同じです」と言われても、それが本当に妥当かどうかを見極め、納得できる補償を得るための交渉ができる。
それが、保険会社を知り尽くしたサリュだからこそ可能なサポートです。
相手の言いなりにならないためにも、交通事故交渉の裏側まで理解している私たちにご相談ください。
7-3.被害者に特化した法律事務所だから実力も安心感も違う
サリュは、交通事故の被害者に特化した法律事務所です。
加害者や保険会社ではなく、「被害者を守る」ことに特化した組織体制を取っており、法的なノウハウも被害者目線に絞って蓄積しています。
被害者に寄り添うというのは、単に気持ちの問題だけではありません。
実は、交通事故の賠償交渉では、被害者側と加害者側で必要な知識や対応方法がまったく異なります。
例えば、後遺障害等級の申請や異議申立て、被害者の生活や収入に与える影響の評価など、被害者にしか関係しない複雑な論点も多く存在します。
そうした点を深く理解し、精神的な支えにもなりながら、法的にも強く交渉できるのが、被害者に特化したサリュの大きな特長です。
「まだ弁護士に頼むほどじゃないかも」と迷っている方にこそ、まずは安心して話せる場所として、私たちをご活用いただけたらと思います。
メールで無料相談する方は、下記をクリックしてください。
8.まとめ
この記事では、交通事故の示談でもめるのが心配な方に向けて、もめやすいパターン別の対処法をお伝えしてきました。
内容のまとめは以下の通りです。
▼交通事故の示談でもめやすいのは以下の5パターン
(1)賠償金の金額が明らかに低い (2)過失割合に納得がいかない (3)治療費の打ち切りを促してきた (4)事故と損害の因果関係が認められない (5)相手の態度や対応が悪い |
▼賠償金の金額が明らかに低い場合の対策
・相手の一方的な主張を受け入れない ・過去の判例や類似事例に照らして妥当な割合か確認する ・事故の状況に関する証拠を揃える |
▼過失割合に納得がいかない場合の対策
・相手の一方的な主張を受け入れない ・過去の判例や類似事例に照らして妥当な割合か確認する ・事故の状況に関する証拠を揃える |
▼治療費の打ち切りを促してきた場合の対策
・保険会社ではなく医師の判断を仰ぐ ・健康保険や自費で治療を続ける |
▼事故と損害の因果関係が認められない場合の対策
・事故直後から通院記録を残しておく ・事故状況の証拠を残しておく |
▼相手の態度や対応が悪い場合の対策
・相手とのやりとりの記録を残す ・事実と異なる場合は承諾しない ・弁護士などの代理人を立てる |
▼自力で対処するともめた末に不当な条件での示談になるリスクがあるため、もめそうなときは弁護士に相談するべき
以上の内容を参考にして、示談のトラブル回避に役立ててください。