「交通事故で寝たきり」家族が請求できるお金や今後の流れを解説

「大切な家族が交通事故で寝たきりになってしまって、どうしていいのかわからない」

「この先、自分はどうすればいいんだろう…」

あなたはご家族が交通事故で寝たきりになるというつらい状況の中、何とか先に進もうと対応方法を調べられているのではないでしょうか。

何もわからなくて不安な気持ちを解消するためにも、まずはこの先どのように進んでいくのか、何をすればいいのかを簡単に5ステップでお伝えします。

事故のあとは、上記のような流れで進んでいくことになります。

ご家族の状態に応じても前後しますが、事故の直後から1~2年程度で最後のステップまで進むケースが多いです。

長い期間のこととなり大変ではありますが、家族のためにも、一歩ずつ確実に歩みを進めていきましょう。

また、家族が寝たきりになってしまった際に気になるのは、お金のことではないでしょうか。

年齢や症状によっても差がありますが、寝たきりになった人の介護や看護にかかる金額は、生涯で数千万円~2億円程度だと言われています。

そんな中で、ご家族を安心して見守り続けるためにも、向き合っていただきたいのが、加害者との示談交渉です。

交通事故の被害者は、慰謝料の他にも、逸失利益や看護費用、介護費用などを加害者から賠償金として受け取ることができます。

しかし、加害者側の提示する金額は一般的にかなり低く、事故の被害に対して正当なものとはとても言えないケースがほとんどです。

「寝たきりになった家族を見ているだけでつらくて、とても示談交渉に取り組む気になれない」

「大切な家族の怪我でお金儲けをしているように思われたくない」

被害者のご家族のそんな気持ちは痛いほどわかりますが、加害者からの償いを受け取るためには、適正な賠償金を請求することが大切です。

ご家族が安心して過ごせる看護・介護の環境を整えるためにも、あなた自身が前向きに進むためにも、示談交渉で適正な賠償金を請求してください。

この記事では、困っているあなたの力になれるよう、家族が寝たきりになってしまった際に知っておきたいことをまとめています。

この記事を読むとわかること
・交通事故で家族が寝たきりになったときに、あなたがやることが5ステップでわかる
・家族が寝たきりになった場合、生涯の看護・介護で数千万円~2億円かかるその内訳がわかる
・寝たきりになった家族のために適切な賠償金を受け取るための方法が3ステップでわかる
・適切な賠償金を請求するためには弁護士に依頼したほうがいい理由が具体的にわかる

いきなり全部を読んで覚える必要はありません。

まずは今必要な内容から、読めるところだけ読んで参考にしてください。

これから寝たきりになってしまったご家族を支える生活は、長い道のりとなります。

決して無理はせず、ご家族だけではなく、ご自身のことも大切にしながら前へ進んでくださいね。

この記事の監修者
弁護士 松葉 想

弁護士法人サリュ名古屋事務所
愛知県弁護士会

交通事故解決件数 1,300件以上
(2024年1月時点)
【獲得した画期的判決】
【加害者責任否認案件において加害者の過失を85パーセントとし、症状固定時41歳男性の労働能力喪失期間を73歳までと認定した判決】(大阪地裁平成27年7月3日判決(交通事故民事裁判例集48巻4号836頁、自動車保険ジャーナル1956号71頁))
・自賠責保険金を含んだ回収額が3億9000万円となった裁判上の和解
・自賠責保険における等級認定が非該当であった事案において、後遺障害等級5級を前提とする裁判上の和解
・死亡、遷延性意識障害、脊髄損傷、高次脳機能障害等の示談や裁判上の和解は多数
【弁護士法人サリュにおける解決事例の一部】
事例334:事前認定後遺障害非該当に対し、諦めずに異議申立て。後遺障害第14級9号を獲得した事例
事例355:本業の休業がなくても、副業を全休し収入が減少。訴訟手続きにより、副業の休業損害の多くを判決で勝ち得た事例
事例374:足首の両果骨折の賠償金が当初の相手方提示金額より2.3倍になった事例

弁護士法人サリュは、交通事故の被害者側専門で20,000件以上の解決実績を誇る法律事務所です。

交通事故被害に遭われたら、できるだけ早期に、交通事故の被害者側専門弁護士に相談することをおすすめします。これは、弁護士のアドバイスを受けることで、もらえる損害賠償金が大きく変わる場合があるからです。
弁護士法人サリュは、創業20年を迎え、交通事故の被害者側専門の法律事務所として累計20,000件以上の解決実績があります。所属弁護士の多くが1人あたり500件~1000件以上の交通事故解決実績があり、あらゆる交通事故被害者を救済してきました。その確かな実績とノウハウで、あなたのために力を尽くします。
相談だけで解決できることもありますので、まずはお気軽に無料法律相談をご利用ください。

1.「交通事故で家族が寝たきりになった」これからあなたがやること5ステップ

先ほども簡単に説明しましたが、この先やるべきことは下記の5ステップです。

ご家族のためにも、焦らず順番に進めていきましょう。

1-1.病院で治療を続ける

ご家族が交通事故で寝たきりになってしまったとき、まずは病院で治療を続けましょう

事故直後に寝たきりと思われる状態であっても、怪我をした場所や状態によっては回復の可能性があります。

1-2.弁護士へ相談する

家族が病院で治療を続けるのと並行して、弁護士へ相談するのが次のステップです。

「まだ裁判は先だし、早いんじゃないの?」

と思われる方もいるかもしれませんが、弁護士への相談は早めのタイミングがおすすめです。

なぜなら、治療の段階から弁護士に依頼することで、裁判や示談交渉で有利に働くアドバイスを受けられるからです。

また、弁護士に依頼した後は加害者側とのやり取りもすべて任せられるので、早めに任せたほうが負担を減らすことができます。

無料相談を行っている弁護士事務所も多くあるので、まずは相談だけでも行っておきましょう。

1-3.後遺障害認定を受ける(症状固定)

病院での治療が一旦終了し、医師の判断で

「これ以上治療を続けても症状に改善が見られない」

となる状態のことを、「症状固定」と言います。

症状固定されたら、後遺障害の認定を進めます。

症状固定については、下記の記事で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてください。

>>交通事故に遭い症状固定と言われたら|今すべき対処法を弁護士が解説

後遺障害認定を受けると、加害者から後遺障害に関する損害賠償金を受け取ることができます。

後遺障害認定は、申請すれば必ず受けられるというものではありませんが、被害者が寝たきりになっている状態では、認定されることが多いでしょう。

寝たきりになった場合に認められる可能性が高い後遺障害の等級
・介護を要する後遺障害等級1級1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
・介護を要する後遺障害等級2級1. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
2. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの

後遺障害が認定されるか否かで、慰謝料や受けられる補償が大きく変わってしまいます。

後遺障害認定の際には、弁護士にしっかり相談しながら、被害者の症状に対して適正な審査がされるよう取り組んでください。

必要に応じて障害者手帳申請や障害年金の申請を行う  
後遺障害認定で1級、もしくは2級の認定を受けるような状態である場合、「身体障害者手帳」の交付が受けられる可能性も高くなります。  

障害者手帳を持っていれば、医療費の助成や税金の軽減、公共料金の割引サービスなどを受けることができます。
今後の治療などの金銭的な負担を和らげるためにも、支援を受けるのはおすすめの選択肢です。  

家族が代理人として申請することもできるので、必要であれば申請を行ってください。  

また、国より「障害年金」を受給できる場合もあります。  

年齢に関係なく受け取れる年金なので、後遺障害認定で1級、もしくは2級の認定を受けるような状態であり、従来の収入が見込めない方はご確認ください。

1-4.示談金を受け取る手続きを行う

症状固定して後遺障害の等級も決まったら、加害者側との示談交渉を行い、示談金を受け取る手続きを行います。

金銭面のやりとりは気が重くなりやすいですし、相手が出し渋ってくることでストレスがあるかもしれませんが、将来的な介護や看護の費用として備えるために必要なことです。

適正な金額を受け取れるよう、交渉を行いましょう。

被害者が受け取れるお金は、慰謝料とそれ以外で、それぞれ下記のような内容となります。

【被害者が受け取れる慰謝料】

慰謝料の種類概要金額の目安
入通院慰謝料入院・通院をしなければならなくなったことに対する慰謝料。100~400万円
(12か月入院した場合)
後遺症慰謝料後遺障害が残った場合の慰謝料。
後遺障害等級の認定を受けないと受け取れない。
金額も等級によって変わる。
1650~2800万円
(介護を要する後遺障害等級1級に認定された場合)
近親者慰謝料後遺障害が重度な場合に、家族などが請求できる慰謝料。被害者本人の慰謝料の2~3割
(ケースによってかなり異なる)

【慰謝料以外に受け取れるお金】

賠償金の種類概要金額の目安
治療費病院や薬局の費用、通院費、入院費、リハビリテーション費など、怪我の治療に必要な費用。実費
将来介護費将来にわたって治療費や介護費用が必要になる場合に支払われる費用。近親者介護の場合
日額3000~8000円  
職業人介護の場合
日額8000円~2万4000円
通院交通費通院にかかった交通費。
家族が看護のため通院した場合も請求できる可能性がある。
実費
装具・器具購入費車椅子・電動ベッド・介護器具など、必要な器具を購入するのにかかった費用。実費相当額
(必要に応じて認められれば)
自宅・自動車改造費交通事故による怪我の影響で、自宅や自動車を改造する必要が生じた場合に支払われる費用。実費相当額
(必要に応じて認められれば)
休業損害怪我の影響で仕事を休んだ場合、休業期間中の収入が支払われるお金。
家族が看護のため休業した場合も請求できる可能性がある。
被害者の収入などをもとに算定
逸失利益怪我が原因で働けなくなったとき、事故に遭わなければ得られたはずの収入など。後遺障害等級、年齢、職業、年収などによって算定

これらの金額は基準となる目安に幅がありますが、これは、弁護士が介入するか否かで金額が大きく変わるからです。

実際に、交通事故で遷延性意識障害が残り、継続的な介護が必要となった下記のケースでは、弁護士に依頼する前後で約5500万円も示談金の金額が異なっています。

事例89:遷延性意識障害の将来治療費を認めさせて、賠償金5500万円増額

同じ症状であっても、交渉次第でこのように示談金の額は大きく変わるのです。

後悔をしないためにも、信頼できる弁護士に依頼して交渉を進めてください。

1-5.転院or介護施設へ移る(家で見守りたい場合は在宅介護)

症状固定後、同じ病院にずっと入院することはできないので、転院、もしくは介護施設へ移ります

自宅で家族を看たいという場合には、在宅介護という選択肢もあります。

それぞれの方法については、下記のような特徴があるので、選ぶ際の参考にしてください。

 期間介助する人保険適用金銭的負担
転院一時的看護師や
医師
医療費など
施設入居ずっと介護士や
看護師等
65歳以上
(介護保険)
入居費など
在宅介護ずっと家族
(訪問介護や訪問看護)
△※リフォーム費用
訪問介護費用
など

※障害者手帳を取得すれば一部適用になる費用もある

転院の場合、医療機関で診てもらえる安心感が最大のメリットです。

しかし、入院期間には限界があるため、一定期間後にはまた次の方法を探す必要があります。

また、ベッド数にも限りがあるため、受け入れ先がなかなか見つからないという可能性も高いです。

施設に入居すると、家族の負担が少なく、長期間家族を任せられるというメリットがあります。

しかし、若年層の身体障害で入居できる施設は数が限られているため、近隣では見つからない可能性があるでしょう。

近くで見守り続けたいという家族には不向きかもしれません。

在宅介護は、住み慣れた環境で、家族の近くで過ごせるのがメリットです。

しかし、家族の介護負担が大きくなったり、リフォームなどのお金がかかったりする可能性があるというデメリットもあります。

それぞれの選択肢は一長一短で、必ずしも「これがいい」ということはできません。

実際にどれを選ぶかは、ご家族の事情やお住いの地域の施設の問題もありますので、主治医やソーシャルワーカーなどと相談しながら、よく考えて決めてください。

2.家族が交通事故で寝たきりになってしまったら生涯で数千万~2億円以上かかる

ここまで、家族が寝たきりになってしまった際にするべきステップを紹介してきました。

しかし、実際にこの後看病、介護を続ける上で、どのくらいお金がかかるのかという部分も気になるのではないでしょうか。

家族が寝たきりになってしまった際にかかるお金は、寝たきりになった年齢や後遺障害の状況、自宅のリフォームや車の購入が必要かどうかなどの要素によっても異なりますが、おおよそ数千万~2億円かかると言われています。

【寝たきりになったときにかかる費用】

・医療費(通院、検査、訪問看護など)
・介護費
・在宅介護の場合はリフォーム代、車両代
・施設に入る場合は入居費
・介護設備、車椅子代

実際の裁判例で、将来かかると判定された将来介護費用の例としては、下記のようなものがあります。

【30歳男性(契約社員)後遺障害等級第1級1号の事例】

将来介護費用5305万2604円
自動車改造費、転居費用、生活費323万4966円
将来の車両改造費160万2567円
器具購入費450万5546円

東京地方裁判所/平成20年5月8日判決

これらの費用だけで、6200万円以上もかかることがおわかりいただけたでしょうか。

これにプラスして、本人の生活費や、家族が仕事を休んだ分の補填などが必要になると、かなりの金額がかかることになります。

ここまでのお金がかかるにもかかわらず、相手の保険会社は最低限の補償でしかない金額の示談金を示してくるケースがほとんどです。

先ほども紹介した下記の例では、最初の提示額から約1.5倍近く受け取る金額が変わっています。

事例89:遷延性意識障害の将来治療費を認めさせて、賠償金5500万円増額

お金のことが心配で、家族のために全力を尽くしてあげられない。

そんな未来を避けるためにも、後悔のない示談交渉を行いましょう。

3.寝たきりになった家族のために適切な賠償金を受け取るための3ステップ

前章では、家族が寝たきりになると金銭的に負担が大きく、お金が必要になるということをお伝えしました。

また、相手の保険会社の言いなりになっていると、受け取れる賠償金が最低限の金額で済まされてしまうということもご理解いただけたかと思います。

ここからは、後悔なく示談交渉や裁判を終えられるよう、適切な賠償金を手にするために、あなたができることを順番にお伝えしていきます。

この3ステップが、適切な賠償金を手にするために必要な動きです。

この手順に沿って動けば、最低限の賠償金で泣き寝入りするような未来は避けられます。

それぞれ詳しく解説するので、ぜひ今後の動きの参考にしてください。

3-1.弁護士に相談・依頼する

まずは弁護士への相談をしましょう。

「どの弁護士さんにお願いしたらいいのかわからない」

という場合には、気になる弁護士複数の無料相談などに行き、自分が「この人だ!」と思えるような方を探してください。

自分に合った弁護士の選び方については、下記の記事で詳しく解説しています。

>>「後悔しない」交通事故の弁護士の選び方・見極め方のポイント徹底解説

弁護士へ依頼が出来たら、次のステップへ進みます。

3-2.適切な後遺障害認定を受ける

最初に弁護士にお願いすることになるのが、おそらく後遺障害の認定になります。

後遺障害の認定は、「認定されるかどうか」「1級なのか2級なのか」などで、金銭的な補償が大きく変わってきます。

同じ寝たきりの怪我であっても、申請の仕方によってはふさわしい等級に認定されない可能性もあるので、弁護士のアドバイスを聞いて手続きを行いましょう。

被害者本人の意思の疎通が難しければ成年後見人の手続きをする  
被害者本人が意思の疎通が難しい状態である場合、法定後見制度を利用して後見人をつけることができます。  

成年後見人がつけば、被害者本人に代わって損害賠償の請求や後遺障害の認定の申請が行えます。  

本人が動くのが難しい場合には、こちらも検討してください。

3-3.損害賠償金を請求し示談交渉

弁護士に依頼をし、正当な後遺障害の認定を受けた上で損害賠償金を請求しましょう。

弁護士に依頼をしていれば、ここであなたが直接対応する必要はほとんどありません。

安心して任せてください。

もしも示談交渉で決裂した場合には、裁判になる可能性もあります。

交通事故被害者を対象とした刑事裁判の流れについては、下記の記事で詳しく解説しているので、裁判になりそうなときはこちらも参考にしてください。

>>交通事故被害者と刑事裁判 ~交通事故被害者も刑事裁判に積極的に参加しましょう!~

4.交通事故で寝たきりになった家族のためにも弁護士に依頼するべき3つの理由

ここまで、1.「交通事故で家族が寝たきりになった」これからあなたがやること5ステップでも、3.寝たきりになった家族のために適切な賠償金を受け取るための3ステップでも、弁護士への相談・依頼を必須項目としてきました。

とはいえ、急にそんなことを言われても、

「ただでさえ家族が事故に遭って大変なのに、弁護士への依頼なんてさらに疲れそう」

「弁護士への依頼で赤字になって損しないのか心配で、頼めない」

と思ってしまう方もいるのではないでしょうか。

大変な思いをしている中で、弁護士への依頼はハードルが高く感じるという気持ちは、とてもよくわかります。

ですが、どうしても、そこで一歩を踏み出していただきたいのです。

なぜここまで、弁護士への依頼を強くおすすめするのかというと、大きく言って下記の3つの理由があるからです。

・納得できない後遺障害認定の結果になる可能性を減らせる
・適切な額の賠償金を受け取れる
・被害者の家族の精神的な負担が少なくなる

ご家族のことで胸を痛め、苦しんでいるあなたにこそ、一歩を踏み出して弁護士の手を借りてほしいと考えています。

これらがどのようにあなたを助けるのか、ここから詳しく説明します。

4-1.納得できない後遺障害認定の結果になる可能性を減らせる

まずひとつ目の理由は、納得できない後遺障害認定の結果になる可能性を減らせるからです。

後遺障害の申請は、認定率が5%前後とかなり厳しく、後遺障害の自覚があっても必ず認定されるわけではありません。

寝たきりという状態であれば、申請が通らないということはほとんどありませんが、それでも状況に応じた適切な認定になるかどうかは申請の仕方次第です。

寝たきりの場合に認定される後遺障害等級1級と2級、それぞれの慰謝料の相場は下記の通りです。

【介護を要する場合の慰謝料の相場】

後遺障害等級1級2800万円
後遺障害等級2級2370万円

※裁判所基準の場合

もし、後遺障害等級1級程度の後遺症が残っているにも関わらず、2級に認定された場合、慰謝料だけで430万円もの差が出てしまいます。

きちんと症状や治療の過程を伝えきった上での認定ならば諦めがつくかもしれませんが、説明が不十分だったせいでそこまでの差が出ると、とても納得できないですよね。

知識のある弁護士がサポートすれば、症状がきちんと診断書に書かれているかどうかや、記載の方法に過不足がないかを確認してくれます。

また、納得いかない結果だった場合は、異議申し立てのサポートも受けられます。

このように、後遺障害の認定において、素人ではできないサポートで納得できない結果を防いでくれるというのが、弁護士に依頼するべき1つめの理由です。

4-2.適切な額の賠償金を受け取れる

2つめの理由は、適切な額の賠償金を受け取れるからです。

1-4.示談金を受け取る手続きを行うでも触れましたが、弁護士が介入するか否かで、賠償金が5000万円以上も異なるケースがあります。

加害者側の保険会社は、基本的に最低限の補償で済ませようという姿勢でいる場合があります。

また、弁護士をつけていない被害者の場合、強気の反論はできないだろうとタカをくくり、かたくなに被害者側の意見を聞き入れず、相手にとって都合のいい条件を一方的に押し付けてくる可能性すらあるのです。

そんなときに、保険会社からの盾となり不条理な条件をはねのけ、相手に適正な賠償金を突き付けてくれるのが弁護士の強みであり、依頼すべき理由のひとつです。

4-3.被害者の家族の精神的な負担が少なくなる

弁護士に依頼したほうがいい最後の理由は、被害者家族の精神的な負担が少なくなるからです。

事故で身体の自由を失ってしまった被害者ご本人はもちろん、そのような状況ではご家族のつらさは想像を絶するものがあるかと思います。

「ご家族の看病に集中したい」

「たまにはゆっくりと休める時間が欲しい」

そんなお気持ちがある中で、相手の保険会社とのやりとりが続くのは、精神的な負担が大きいものです。

少しでも任せられるところは、人の手を借りて任せてほしい。

いっぱいいっぱいになって疲れ果てる前に、できる部分では誰かに助けを求めてほしい、と、そう考えています。

治療を医師や看護師に任せるように、示談や裁判のことは弁護士に任せてほしいというのが、弁護士に依頼していただきたい最後の理由です。

5.交通事故で寝たきりになった家族がいるあなたに伝えたいこと

寝たきりになってしまったご家族を懸命に支えているあなたに伝えたいことは、とにかく、無理をしないでいただきたいということです。

「交通事故に遭った本人のほうがつらいのだから」

と、自分のことは後回しにして、がんばりすぎていませんか?

そんなあなたへ伝えたい2つのことを、よかったら最後に読んでください。

5-1.介護で無理をしすぎないで

まず伝えたいのが、介護で無理をしすぎないでほしい、ということです。

ご家族が寝たきりで身動きがとれない状態となれば、やることは無数にありますよね。

お見舞いに行き、洗濯などの世話をして、医師や看護師の話を聞く。

雨の日も風の日も、簡単には休めない状態で、少しでもよくなることを祈っているのではないでしょうか。

そんな気の抜けない毎日を繰り返していると、ある日、突然糸が切れたようになってしまう可能性があります。

そうなる前に、少しでも息抜きをして、心が休まる時間を作ってほしいのです。

介護や看護については、行政や福祉施設のサービスを使うという手があります。

また、自宅の家事を代行サービスなどに頼んで、休む時間を作るというのもひとつの手です。

あなたの心と身体の健康を守るために、無理はしすぎないでくださいね。

心が疲れてしまったら、被害者家族のつながりやカウンセリングを活用して  
心が疲れてしまったときには、互助会やカウンセリングの活用も検討してみてください。  

家族が交通事故に遭い、同じような状況で苦しんでいる被害者家族のつながりや、不安な気持ちを吐き出せるカウンセリングの窓口など、被害者の家族のための仕組みはいろいろ存在しています。  

つらい気持ちはひとりで抱え込まず、吐き出せる場所や慰めあえる場所を探してくださいね。  

【被害者家族が頼れる連絡先】
全国の被害者支援センター 電話番号・開設時間一覧
各地域の相談支援団体一覧
一般社団法人 交通事故被害者家族ネットワーク|交通事故被害者の会

5-2.自分を責めないで

次に伝えたいことは、「自分を責めないでほしい」ということです。

ご家族の看病や介護をする中で、

「もっとできることがあったんじゃないか」

「代わってあげられたらよかったのに」

と、罪悪感や焦燥感に駆られることもあるのではないでしょうか。

その優しさはとても尊いものではありますが、必要以上に自分を責めることは、身を削ることにつながります。

あなたの優しい気持ちを、自分を傷つけるほうに向けないでください。

事故に遭ってしまったのも、寝たきりになってしまったのも、あなたのせいではありません。

どうしてもつらくなってしまう気持ちも、自分を責めてしまう気持ちもわかります。

ですが、「自分のせいだ」と思いつめてしまいそうなとき、思い出してください。

きっと、あなたがそうして自分を責めることを、ご家族は望んでいません。

思いつめてしまいそうなときは、深呼吸して肩の力を抜いて、温かいものを飲んで心を休めてみてください。

周りを見渡せば、あなたとご家族の味方になってくれる人は、思っているよりもたくさんいるはずです。

6.まとめ

この記事では、家族が交通事故で寝たきりになってしまったときの対応や示談交渉について解説してきました。

内容のまとめは以下の通りです。

◯家族が寝たきりになったあとでやることは下記の5ステップ

◯寝たきりになった家族には生涯で数千万~2億円ほどお金がかかることになる

◯寝たきりになった家族のために適切な賠償金を受け取る方法は下記の3ステップ

◯交通事故で寝たきりになった家族のためにも弁護士に依頼するべき理由は下記の3つ

・納得できない後遺障害認定の結果になる可能性を減らせる
・適切な額の賠償金を受け取れる
・被害者の家族の精神的な負担が少なくなる

以上の内容を参考にして、寝たきりになってしまったご家族を支えてあげてください。