交通事故に遭い症状固定と言われたら|今すべき対処法を弁護士が解説

「まだ治療を続けたいのに、症状固定と言われた」

「保険会社から突然、治療を打ち切る という連絡がきて戸惑っている」

今このページを見ているあなたは、怪我の治療やリハビリを続けている中で、突然「症状固定」や「打ち切り」と言い出されて、困惑しているのではないでしょうか。

怪我の状態が落ち着いていて、納得して症状固定を受け入れられる場合、基本的には後遺障害認定や示談交渉を進めていきます。

ただし、今のタイミングでの症状固定に納得できない場合、無理に従う必要はありません。

「今、症状固定をしてしまっていいのか悩む」

「まだ治療を続ける必要性を感じる」

という場合には、下記のような方法で対処しましょう。

症状固定に納得ができないときにすること

・主治医に相談する

・相手の保険会社に治療費の支払いを打ち止められても、自費で立て替えて治療を続ける

・弁護士に相談する

相手の保険会社に言われるままに症状固定を受け入れてしまうと、下記のようなリスクを抱える可能性があります。

加害者側の保険会社に言われるままに症状固定を受け入れるリスク

・治療費、リハビリ通院費が打ち切られて自己負担になる

・後遺障害認定が認められなくなる ・入通院慰謝料が低くなる

交通事故で怪我をした上に、このようなリスクを負うことにならないためにも、納得できるタイミングで症状固定を受け入れて、相手と交渉しましょう。

この記事では、あなたがベストなタイミングで症状固定できるよう、下記の内容について解説します。

・交通事故で症状固定と言われた後の動きがわかる

・相手の保険会社に言いくるめられて症状固定を認めて起こるリスクが理解できる

・どうしても自分の症状固定に納得できない場合の対処法がわかる

・症状固定を交通事故に強い弁護士と医師に相談する必要性がわかる

突然症状固定と言われて戸惑っているかもしれませんが、この記事を読めば、これからどのように相手と交渉すればいいのかがわかります。

一つずつ疑問を解決し、納得して症状固定を受け入れた上で交渉を進めていきましょう。

この記事の監修者
弁護士 西内 勇介

弁護士法人サリュ
横浜事務所
神奈川県弁護士会

交通事故解決件数 500件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
京都大学法科大学院修了
【裁判実績等】
死亡事故、高次脳機能障害や引き抜き損傷等の重度後遺障害の裁判経験
人身傷害保険や労災保険等の複数の保険が絡む交通事故の裁判経験
その他、多数
【弁護士西内の弁護士法人サリュにおける解決事例(一部)】
事例339:無保険で資力に不安な相手方に対し裁判。200万円を回収した事例
事例368:主婦の休業損害を、すべての治療期間で認められた事例
事例373:過去の事故による受傷部が悪化、新たに後遺障害申請を行い、併合7級を獲得した事例

1.交通事故に遭って症状固定と言われたら基本的には後遺障害認定を受けて示談を行おう

交通事故に遭ってしまい、怪我の治療を続けていても治療効果が期待できなくなると、主治医から症状固定を言い渡されます。

症状固定を受け入れた後、後遺症が残っているのであれば、後遺障害等級の認定手続に進む のが一般的です。

主に下記のような順番で、示談を進めていきます。(順番は変動する場合もあります)

・損害賠償の賠償期間が確定する
・相手の保険会社からの治療費の支払いがなくなる
・後遺障害等級の認定を受けて示談交渉を行う

1-1.損害賠償の賠償期間が確定する

症状固定を認めると、まず賠償期間が確定します。

損害賠償では、症状固定の前後の賠償を区別して算出しています。

損害賠償の区分では、症状固定の前後で下記のように分けられています。

傷害分 治療開始から症状固定・または治癒が認められるまでの期間
後遺障害分 症状が残って後遺障害が認められた場合の、そこからの補償

傷害分と後遺障害分では、それぞれ図のような損害賠償が請求できます。

症状固定を認めることで、始めて賠償期間が確定し、損害賠償の交渉に進むことになります。

1-2.相手の保険会社からの治療費の支払いがなくなる

これまで、治療やリハビリのために通院する費用は、加害者側の保険会社が負担していたと思いますが、症状固定をすると、治療費などの支払いはなくなります。

一見すると、損をするような感覚があるかもしれません。

しかし、治療の効果が期待できなくなっている場合、この後説明する後遺障害認定を受けることで、金銭的なフォローを受けたほうが良い場合もあるのです。

1-3.後遺障害等級の認定を受けて示談交渉を行う

症状固定をすることで、後遺障害等級の認定が受けられるようになります。

後遺症が後遺障害等級として認められることで、後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取ることができます。

主治医に症状固定を言い渡された場合、治療を続けても効果が期待できない時期に差し掛かったと考えられます。

そうなった場合には、一旦症状固定を受け入れ、残った症状については、後遺障害認定を受けられるように交渉を進めましょう。

後遺障害認定を受けてから、示談交渉を進めていきましょう。

2.症状固定を受け入れないほうがいい2つのケース

前項では、症状固定を受け入れた後の流れを説明しました。

しかし、医師や保険会社に症状固定を言い渡されたからと言って、絶対に受け入れないといけないわけではありません

とくに、下記のような納得できないケースや、不利になるケースでは、受け入れないという選択肢もあります。

症状固定を受け入れないほうがいいケース

・症状が残っていて、主治医にも治療の継続の必要性が認められているとき

・骨折を伴わないむち打ち症等の症状について、治療期間が6か月に満たないとき

2-1.症状が残っていて、主治医にも治療の継続の必要性が認められているとき

加害者側の保険会社から一方的に、

「そろそろ症状固定の時期ですよ」

などと言われた場合、その言葉を鵜呑みにして、すぐに受け入れるのはNGです。

基本的に、症状固定を決めるのは、その怪我の治療を担当する医師になります。

保険会社に症状固定を決める権利はありません。

ですが、保険会社は損害賠償などの交渉を有利に進めるため、早期の症状固定を促してくることがあります 。

また、主治医が治療を継続したほうがいいと言っているケースでは、早期に治療を打ち切ることで、怪我が治りきらなかったり、悪化したりするリスクがあります。

そうならないためにも、医師と相談しながら、医師が認めるタイミングでの症状固定としましょう。

2-2.骨折を伴わないむち打ち症等の症状について、治療期間が6か月に満たないとき

痛みやしびれ等の神経症状については、治療(リハビリ)期間が6か月に満たない場合、被害者に症状が残っていても、後遺障害認定を受けられない可能性があります。

なぜなら、むち打ち症等の神経症状に対する後遺障害の認定は、概ね6か月以上の治療行為(リハビリ)の存在が治療実績として評価されることが多いからです。

このような場合には、言われるがままに症状固定を認めず、相手と交渉しましょう。

3.相手の保険会社に言いくるめられて症状固定を認めて起こる3つのリスク

先ほど、相手の保険会社は損害賠償などの交渉を有利に進めるため早期の症状固定を促すことがある 、とお話ししました。

言われるままに症状固定を認めるとどのようなリスクがあるのか、具体例を3つ紹介します。

・治療費・リハビリ通院費が打ち切られて自己負担になる
・後遺障害認定が認められない
・入通院慰謝料が低くなる

事前にしっかりリスクを知った上で、対応しましょう。

3-1.治療費・リハビリ通院費が打ち切られて自己負担になる

相手の保険会社に言われるままに症状固定を認めてしまって起こる一つ目のリスクは、治療費やリハビリ通院費が打ち切られてしまうことです。

まだ治療が必要だと感じているにも関わらず、症状固定を認めてしまうと、それ以降の治療費などを払ってもらうことができず、自己負担で通院費を賄う必要が出てきます。

経済的な負担となってしまうので、治療を続けたい場合には注意しましょう。

3-2.​​後遺障害認定が認められない

症状固定を認めてしまうと、治療期間が短く、後遺障害認定を受けられなくなってしまうという例もあります。

例えば、過去にサリュがお任せいただいた交通事故では、下記のような例がありました。

事例352:治療が打ち切られても、健康保険で治療を継続。後遺障害認定を受けにくい若年者でも、治療実績を重ねたことで後遺障害認定を受けた事例

こちらの事例では、症状固定を受け入れる前にサリュに相談いただけたため、納得するまで治療を続け、後遺障害認定を受けることができました。

しかし、言われるがままに受け入れていた場合、後遺障害認定を受けられず、十分な損害賠償がされない可能性がありました。

このように、後遺障害認定が認められない可能性が高まるのも大きなリスクのひとつです。

3-3.入通院慰謝料が低くなる

1-1.損害賠償の賠償期間が確定するで解説した通り、損害賠償は症状固定前の「傷害部分」と、後遺障害が残った場合の「後遺障害部分」で発生します。

症状固定の時期が早まると、傷害部分の期間が短くなり、傷害部分で発生する入通院慰謝料などの金額が低くなってしまいます。

  時期 請求できる項目
傷害部分 交通事故で怪我をしてから、症状固定するまで 治療費、交通費、付添看護費、入院雑費、休業損害、入通院慰謝料等
後遺障害部分 症状固定してから 後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料

通院期間をもとに計算される入通院慰謝料(裁判所基準)は、入院がない怪我の場合でも、通院期間が異なることで、下記のように金額が変わります。

通院期間 3か月 6か月 8か月 12か月
入通院慰謝料 53万円 89万円 103万円 119万円

「赤い本基準別表Ⅱ(むち打ち症で他覚所見がない場合等)の参考値」

このように、途中で治療を打ち切ると、怪我の程度に対して不当に低い金額の慰謝料になることがわかります。

これまでの説明でわかる通り、相手の保険会社から言われるままに症状固定をしてしまうと、事故で負った怪我に対して十分な補償がされなくなるリスクがあるのです。

それを防ぐためにも、治療の経過に納得した上で症状固定を認めるようにしましょう。

4.どうしても自分の症状固定に納得できない場合の対処法

相手の保険会社に言われるままに症状固定をした際のリスクを知った上で、

「やっぱり、今の段階で症状固定をするのはおかしい気がする」

と感じた方もいるのではないでしょうか。

納得しないまま交渉を進めると、思うように交渉が進まなくなる可能性もあります。

下記のステップに沿って、後悔しないように症状固定の時期を決めましょう。

・STEP1.主治医に相談する

・STEP2.治療費の支払いを打ち切られてもいったん立て替えて治療を続ける

・STEP3.弁護士に相談・依頼する

・STEP4.ベストタイミングで症状固定の時期を決めて後遺障害等級認定を受ける

・STEP5.加害者側(保険会社)との交渉を進める

それぞれのステップについて、詳しく解説します。

4-1.STEP1.主治医に相談する

症状固定に納得できない場合、まずは怪我の治療をしている主治医に相談しましょう。

医師の判断ではなく、保険会社から症状固定を言い渡された場合、主治医に経過を観察してもらい、まだ治療が必要だという意見書や診断書を作成してもらいます。

それを保険会社に提出することで、治療継続の必要性を認めさせることができる可能性があります。

また、主治医が治療に積極的でなく、判断に納得できない場合は、セカンドオピニオンも有効です。

その場合には、交通事故の対応に慣れた医師や 専門性の高い医師を選ぶとその後の交渉をサポートしてくれやすくなります。

4-2.STEP2.治療費の支払いを打ち切られてもいったん立て替えて治療を続ける

相手の保険会社から治療費の支払いを打ち切られた場合は、治療費をいったん立て替えて治療を続けましょう(健康保険が使える場合は健康保険を使うなど、なるべく治療費が安くなる方法で通院してください。)

必要な治療であれば、後からでも保険会社に対して請求するべきです。

治療費が打ち切られたからと言って、治療を中断すると、治療の必要性がなかったと判断される可能性が高まります。

そうすると、その時点で症状固定となってしまい、実際の怪我に対して不当に軽い扱いとなってしまうのです。

それを防ぐためにも、症状固定に納得できるまでは、自己負担で治療を続ける方が望ましいといえます。

4-3.STEP3.弁護士に相談・依頼する

「今症状固定していいの?」

「これからの示談交渉にどう影響するのかわからない」

そんな悩みは、弁護士に相談しましょう。

交通事故の対応実績のある弁護士なら、怪我の状態に応じて、どのタイミングで症状固定を認めればいいのかや、その後の後遺障害認定をどのように進めればいいのかなど、事故の交渉をトータルでサポートしてくれます。

症状固定のタイミングを見極めるためにも、まずは弁護士に相談・依頼しましょう。

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4-4.STEP4.ベストタイミングで症状固定の時期を決めて後遺障害等級認定を受ける

ここまでのステップで症状固定に納得したら、ベストと思われるタイミングで症状固定をしましょう。

症状固定をすると、その後の後遺障害等級の認定や、加害者側との示談交渉に進みます。

4-5.STEP5.加害者側(保険会社)との交渉を進める

納得できるタイミングで症状固定をしたら、STEP3で依頼した弁護士のサポートを受けながら交渉を進めていきます。

これらの交渉がすべて終われば、慰謝料を含む賠償金が受け取れます。

治療費の自己負担分を相手に請求できるかは交渉次第ですが、後遺障害の認定がされた場合、認めさせやすくなります。

5.症状固定は交通事故に強い弁護士と医者に相談しないと後悔することが多い

ここまでで、

「すぐに症状固定を認めていいの?」

と悩んだときには、医者や弁護士に相談することをおすすめしてきました。

とはいえ、医者や弁護士であれば、誰に相談しても解決する!というわけではありません。

なぜなら、交通事故の解決実績のない弁護士や、交通事故の対応に慣れていない医者に相談しても、示談交渉に有利なアドバイスはもらえないからです。

そうすると、せっかく相談したのに期待通りの効果が得られず、納得できる示談の結果に導けない可能性が高まります。

そんな不幸を防ぐためにも、交通事故の解決実績が豊富な、経験豊かな弁護士や医者に相談を行いましょう。

サリュは、交通事故の被害者専門の弁護士事務所です。

「これ以上つらい思いをする交通事故被害者が増えないように」

という想いで、これまでに2万件以上、年間約3000件の交通事故を扱ってきました。

サリュには、豊富な経験に基づき粘り強く交渉する弁護士、被害者の方々に親身に寄り添うスタッフ、交通事故関連の医学的知見をサポートする顧問ドクターが在籍しています。

これらのスタッフがフルサポートして、被害者の方を泣き寝入りさせない体制をつくっています。

「交通事故に遭って不安が拭えない」

「症状固定について相手の保険会社からいろいろ言われてもよくわからない」

そんな悩みのある方は、ぜひ一度サリュにご相談ください。

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6.まとめ

この記事では、交通事故で症状固定を言い渡された場合の対応方法を解説してきました。

内容のまとめは以下の通りです。

◯症状固定を認めた後は、基本的に下記のような順番で、示談を進める。

・損害賠償の賠償期間が確定する
・後遺障害等級の認定を受ける

◯下記のような条件に当てはまる場合は、納得できなければすぐに症状固定を受け入れない選択肢もある。

・症状が残っていて、主治医にも治療の継続の必要性が認められているとき
・骨折を伴わないむち打ち症等の症状について 、治療期間が6か月に満たないとき

◯納得できない状態で、相手の保険会社に言われるままに症状固定を受け入れると下記のようなリスクがある。

・治療費
・リハビリ通院費が打ち切られて自己負担になる
・後遺障害認定が認められない ・入通院慰謝料が低くなる

◯症状固定に納得できない場合は、下記のステップで交渉する。

・STEP1.主治医に相談する
・STEP2.治療費の支払いを打ち切られてもいったん立て替えて治療を続ける
・STEP3.弁護士に相談・依頼する
・STEP4.ベストタイミングで症状固定の時期を決めて後遺障害等級認定を受ける
・STEP5.加害者側(保険会社)との交渉を進める

◯今すぐ症状固定をしていいのか悩んだら、交通事故対応に強い弁護士に相談する。

この記事が、症状固定と言われて悩む人が問題を解決する助けになれば幸いです。