交通事故の弁護士費用相場はいくら?費用倒れとならない4パターン
交通事故で弁護士に依頼する際、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。今回は、交通事故を弁護士に依頼する際の弁護士費用の内訳や相場、依頼のタイミング、費用倒れとならないケースについて解説します。
この記事の監修者
弁護士 栗山 裕平
弁護士法人サリュ
静岡事務所
静岡県弁護士会
交通事故解決件数 1,100件以上(2024年1月時点)
【略歴】
2013年 京都大学法科大学院修了
2013年 司法試験合格
2014年 弁護士登録 弁護士法人サリュ入所
【獲得した画期的判決】
・平成30年01月26日大阪高裁判決
歩行者との非接触事故につき,自動車運転者の過失責任が認められた事例(判例タイムズ1454号48頁他)
・平成27年7月3日大阪地裁判決
急制動措置をとって転倒滑走した原付自転車が同交差点に進入した加害車両に衝突した事故につき、加害車両運転者に過失責任が認められた事例(交通事故民事判例集48巻4号836頁他)
【弁護士栗山の弁護士法人サリュにおける解決事例(一部)】
事例337:後遺障害併合11級の認定を獲得し、逸失利益を満額回収した建設会社経営者
事例347:異議申立により外傷性ヘルニアの後遺障害併合12級を獲得した事例
目次
1 交通事故の弁護士費用の内訳
まず、弁護士に依頼する際にかかる費用にはどのような項目があるのでしょうか。弁護士に交通事故を相談、依頼する場合には、通常は以下の項目の費用が発生します。法律事務所によって金額が変わりますので、それぞれどのような意味の費用なのか、確認しておきましょう。
弁護士費用の内訳
相談料 |
依頼前に弁護士に相談したときにかかる費用です。 |
日当 |
弁護士が遠方に出張したとき、拘束される時間の対価として発生する費用です。 |
手数料 |
事務的な手続きを行う場合に発生する費用です。交通事故の場合は、自賠責保険への後遺障害申請をする際に発生することが多いです。 |
実費 |
依頼案件を進めるにあたって実際にかかる費用です。 |
着手金 |
弁護士が交渉などの業務にとりかかる際に発生する費用です。 |
報酬金 |
事件を解決できたときに発生する費用です。 |
2 交通事故の弁護士費用の相場はいくらか
(1)相談料の相場
交通事故を弁護士に相談する際、相談料はいくらが相場でしょうか。
通常は30分5000円程度が相場です。
ただし、最近では、無料で法律相談に乗ってくれる法律事務所も多くありますので、相談料の負担が心配という方は積極的に活用しましょう。法律相談をするだけで自身の置かれている状況がわかり、モヤモヤが解消されたり、解決のための道筋がわかりますので、相談をするだけでもとても有効です。
なお、弁護士は被害者が気になっていることを相談されれば、普通は細かく丁寧に教えてくれると思いますので、無料相談でも、有料相談と内容に大きな変化はありません。
(2)着手金の相場
交通事故を弁護士に依頼する場合、被害者が心配するのが着手金の相場です。交通事故を含めた一般民事事件ですと、20万円〜50万円程度の着手金が相場となります。
もっとも、交通事故の場合、最近では、着手金を無料と定めている法律事務所も多くなってきました。交通事故はある日突然遭遇するものですし、これからの生活を考えると着手金が無料なのは被害者にとってとても助かるのではないでしょうか。
(3)成功報酬の相場
交通事故の相手方から賠償金を取得することができた場合、成功報酬が発生します。
成功報酬は、「経済的利益の○パーセント」と定めている法律事務所が多いです。割合は法律事務所によってまちまちですが、10%と定めている法律事務所が多いようです。なお、経済的利益とは、弁護士が介入したことでもらうことができた利益を指します。
通常は、獲得した賠償金が経済的利益に該当しますが、自賠責保険金相当額については、弁護士の介入の有無にかかわらずもらえた部分として、経済的利益に入れないこともあります。この点は、依頼する弁護士や、案件の難易度、自賠責保険金の請求手続きの難易度等によっても異なるでしょう。
3 交通事故の弁護士費用は相手に請求できる?
交通事故の弁護士費用は相手に請求できるでしょうか。この点は、一般的には裁判で解決した場合と示談交渉で解決した場合とで異なります。
裁判で解決した場合、裁判手続きをするためには弁護士に依頼することもやむを得ないといえるため、裁判における認容額の1割程度が弁護士費用相当分として賠償金に上乗せされます。実際に依頼者が弁護士と合意した弁護士費用が支払われるわけではないので注意しましょう。
ただし、弁護士費用相当額として支払われるのはあくまで訴訟提起後、判決に至った場合であり、訴訟提起後の裁判上の和解で終了した場合は支払われません(もっとも、遅延損害金も含めた「調整金」として上乗せされることがあります)。
他方、示談交渉で解決した場合は、その段階では必ずしも弁護士に依頼することがやむを得ないとはいえないので、弁護士費用相当額が支払われるケースはほとんどないでしょう。すなわち、弁護士費用相当額は依頼者の自己負担となるということです。
ただし、この場合でも、次に説明するように弁護士費用特約(弁護士特約)があれば、多くのケースで自己負担なく弁護士に依頼することができるので、もし弁護士特約を付帯している場合は、積極的に活用しましょう。
4 弁護士特約とは
交通事故の被害に遭われた方が加害者への損害賠償請求手続きを弁護士に依頼した場合、弁護士費用は被害者自身が負担します(前記のとおり、裁判に発展した場合は弁護士費用の一部を加害者に請求することができます)。
弁護士特約は、その際にかかる弁護士費用を保険会社が負担してくれるという保険商品です。弁護士特約があれば、ほとんどの被害者が弁護士費用を自己負担することなく弁護士に依頼することができます。
弁護士特約の使い方やメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。
5 弁護士費用を抑えるコツ・弁護士の選び方
(1)着手金無料で成功報酬型の弁護士を選ぶ
弁護士費用を抑えるためには、着手金無料の成功報酬制の弁護士を選びましょう。最近では、着手金を無料に設定している法律事務所が多くなってきました。
交通事故はどのような人でもある日突然起きるものですし、交通事故後の生活費が不安になることも、自然なことです。そのような方は、着手金を無料としている法律事務所を選ぶといいでしょう。
なお、着手金が無料だからといって、弁護士の質が落ちたり、対応が悪くなったりということはありませんのでご安心ください。
(2)交通事故直後から相談だけでもしておく
前記のとおり、法律相談のみの場合は無料で受け付けている法律事務所も多くあります。弁護士への依頼は費用倒れが心配という方は、まずは無料相談だけでも受けてみることをおすすめします。
法律相談で、適切な賠償金を獲得するためのポイントや弁護士への適切な依頼のタイミング、費用感だけでも把握しておきましょう。
(3)事案によっては依頼するタイミングは事故直後からでもOK
「費用倒れを避けられる4つのケース」でも説明しますが、例えば、脊髄損傷、脳挫傷、骨折、外貌醜状、靭帯損傷などの重傷の場合は、治療期間が長期に及んだり、後遺障害の認定可能性が高かったりと、賠償金が高額になることが想定されます。
特に、重傷かつ過失割合の少ない被害者の場合は、獲得できる賠償金が弁護士費用を大きく上回るケースが多く、事故直後から弁護士に依頼しても費用倒れとなる可能性は低いです。
こちらも、個々の案件によって異なりますので、弁護士の無料相談を受けてみて、費用倒れの可能性を確認するといいでしょう。
(4)物損事故はまずは自分で交渉してみる
人身事故の場合は、弁護士が慰謝料の増額交渉をすることで大幅な賠償金の増加が期待できますが、人身事故が発生していない物損事故の場合、弁護士によって大幅な賠償金の増加が期待できないケースがあります。物損のみの場合、弁護士が介入したことで修理費用が上がったり、車両時価額が大幅に上がったりすることは稀ですので、弁護士を入れるよりもご自身で交渉したほうが、経済的メリットが大きいケースがあります。
ただし、物損だけでなく、人身損害も発生しているようなケースでは、慰謝料の交渉のために早期に弁護士に相談・依頼することが有益なケースがあることは前記のとおりです。
6 費用倒れとならない4つのケース
(1)追突事故などで過失割合が少なく、一定期間通院しているケース
追突事故など、加害者の一方的な過失により発生した事故の場合、被害者は当然、100%の賠償金を獲得することができます。弁護士に依頼した場合の賠償金の上がり幅も、被害者に一定の過失が生じるケースに比べて大きくなりますので、費用倒れの心配も少ないでしょう。
ただし、追突事故でむちうちになり、事故から間もない(事故日〜2ヶ月程度)場合は注意が必要です。弁護士基準の慰謝料は整形外科への通院期間の長さによって金額が変わるため、事故直後に弁護士に依頼したものの、思った以上に通院期間が伸びない場合は、その分もらえる慰謝料も少なくなり、費用倒れとなる可能性が出てきます。治療期間ともらえる慰謝料の関係については以下のリンク先のコラムをご覧ください。
なお、この場合でも、事故直後から弁護士に相談しておくことは、その後の通院方法や弁護士を入れるタイミングを理解するうえでも非常に有効ですので、積極的に弁護士との無料相談を検討しましょう。
(2)骨折などの重傷のケース
骨折などの重傷の場合、治療期間が長期になることが想定されますし、後遺障害の認定可能性も高くなります。被害者がもらえる慰謝料等の賠償金は高額になり、弁護士費用を考慮しても弁護士に依頼した場合の経済的メリットが大きくなるケースが多いです。
ただし、被害者の過失が多い(概ね5割以上)場合は、このようにいかない場合もありますので、費用倒れの不安がある方は弁護士に相談してみましょう。
(3)後遺障害認定を受けているケース
すでに後遺障害認定を受けているケースも、弁護士依頼による費用倒れの可能性は低くなります。後遺障害が認定されると、一番低い等級の14級の後遺障害でも、110万円の後遺障害慰謝料に加え、後遺障害逸失利益をもらうことができるので、被害者がもらえる賠償金は高額になります。
そのため、後遺障害認定を受けているケースの場合は、弁護士への依頼を検討しましょう。
(4)弁護士特約があるケース
弁護士特約(弁護士費用特約)は、被害者の代わりに保険会社が弁護士費用を支払う保険商品です。もし、弁護士特約を付帯していた場合は、多くの被害者は弁護士費用を自己負担することなく弁護士に賠償手続きを依頼することができます。そのため、事故直後だろうが、後遺障害認定を受けた後であろうが、どのタイミングであっても弁護士に依頼して費用倒れとなることはほとんどありません。
もし、弁護士特約を付帯していた場合は、積極的に活用しましょう。なお、交通事故の弁護士特約のことについては以下の記事で詳細を解説しているのでこちらもご覧ください。
7 交通事故を弁護士に依頼するメリット
(1)弁護士基準の慰謝料を請求することで賠償金の増額が可能になる
交通事故では、多くの場合に弁護士に依頼することで慰謝料が劇的に増額します。これは、弁護士に依頼することで弁護士基準を前提にした慰謝料の交渉が可能になるからです。
自賠責基準の慰謝料と、弁護士基準の慰謝料は、倍以上の金額差になることもあります。ご自身のケースで慰謝料がどれくらいあがるのか、気になった場合には弁護士に相談してみましょう。
(2)妥当な過失割合を主張できる
保険会社は慰謝料を計算する際、被害者側に事故発生について不注意な点があると、過失相殺を主張し、支払う慰謝料を減額しようとします。
しかし、保険会社が算出する過失割合は、不当な場合もあります。この時、交通事故に精通した弁護士であれば、妥当な過失割合を主張し、もらえる慰謝料を増やすことが可能になります。
もし、保険会社から言われた過失割合に納得できないのであれば、弁護士に依頼して妥当な過失割合を主張しましょう。
(3)妥当な後遺障害等級を獲得できる可能性が高くなる
もし、治療したにもかかわらず、症状が残っているのであれば、後遺障害申請をして妥当な後遺障害を認定してもらいましょう。
後遺障害の認定を受ければ、後遺障害慰謝料はもちろん、後遺障害逸失利益(後遺症による仕事への影響を金銭換算した賠償項目のことです)も別途もらえます。後遺障害の申請をすべきか否か、申請時の有効な証拠は何か、妥当な後遺障害の等級は何か、示談をする前に、弁護士に相談しましょう。
(4)請求漏れを防ぐことができる
交通事故の被害で発生する損害は、慰謝料をはじめとした精神的損害だけでなく、仕事を休んだことによる損害(休業損害)や、入通院時に家族に付き添ってもらった場合の付き添い費用など、被害者によって発生する損害項目は異なります。
保険会社の担当者は、個々の被害者の状況に合わせた賠償金を支払うとは限りません。このような請求漏れを防ぐためには、弁護士に依頼して適切な賠償金を算定してもらうことが確実です。
(5)弁護士が被害者に代わり、言い分を伝えることができる
保険会社の担当者は、示談交渉のプロです。そのため、被害者は保険会社の担当者に言いくるめられてしまい、言いたいことを十分に言えないケースもあります。
そのようなとき、弁護士に依頼すれば法的に有利な主張を十分に保険会社の担当者に伝えることができますし、被害者はそういった保険会社との交渉を気にすることなく、仕事や治療に集中することができます。
8 交通事故を弁護士に相談・依頼する流れ
交通事故を弁護士に相談する場合、まずは法律事務所にメールや電話などで相談を希望する旨申し込みましょう。
当事務所の場合、お問い合わせいただいた際に交通事故の相手方や事故の概要などを簡単にお聞きし、法律相談の日程を調整いたします。急ぎで相談したい場合はその旨スタッフに述べていただければ可能な限り早い日程で相談日を設定します。
法律相談の日は、弁護士に気になることを遠慮せずに聞いてください。できるだけ具体的に、分かりやすく弁護士が回答いたします。
もし、弁護士に依頼した方がいいと思った場合は、依頼を申し込みましょう。すぐには依頼せず、一度検討したい場合は、その旨弁護士に伝えましょう。法律相談を終えてから、一度ゆっくり考えたり、他の弁護士に相談したりして、吟味しましょう。当事務所も、ご依頼を強制することは一切ありませんのでご安心ください。
ご依頼となった場合、弁護士は相手方保険会社に対し、被害者の代理人になった旨の通知を出します。この通知を受任通知といいますが、この通知が送られた段階で、相手方保険会社との連絡窓口が弁護士に切り替わります。その後、ご依頼内容に応じて交渉が始まります。
9 まとめ
今回は、交通事故の弁護士費用の相場や費用倒れとならない4つのケースについて解説しました。弁護士に依頼するときは「費用が心配」という方はたくさんいらっしゃいます。弁護士に依頼した結果、損してしまわないように、今回のコラムが少しでも役に立てば幸いです。
なお、当事務所は、
- 相談無料
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- 初期費用無料で報酬後払い
ですので、「弁護士へ依頼したいけど費用が心配」という方は、まずは当事務所の無料相談をご利用ください。