鎖骨骨折の後遺症は主に3種類!詳しい症状や影響まで徹底解説

「鎖骨を骨折して腕や肩が動かせない」

「ずっとこのまま痛みが残ったらどうしよう」

交通事故などが原因で突然鎖骨を骨折してしまったあなたは、このように後遺症が残らないか不安に思っているのではないでしょうか。

鎖骨の骨折は大きな後遺症が残ることが少ない怪我ですが、中には、下記のような後遺症が残る場合があります。

・鎖骨周辺に痛みやしびれなどが残る
・肩や首にこりを感じる
・骨がきれいにくっつかず変形する
・肩回りがうまく動かせなくなる

この記事では、鎖骨骨折でよく見られる後遺症の症状や日常への影響を詳しく解説するほか、症状ごとに受けられる可能性のある後遺障害等級についても説明します。

この記事でわかること
・鎖骨骨折で起こりうる後遺症の症状と、日常への影響がわかる
・それぞれの症状に当てはまる後遺障害等級や慰謝料について詳細な情報がわかる
・鎖骨骨折で後遺障害等級を認定された際の慰謝料が実例つきでわかる
・鎖骨骨折の後遺障害等級認定を正当に認めてもらうための弁護士の選び方がわかる

記事の中では、鎖骨骨折の後遺症の症状や生活への影響を細かく解説するので、骨折の後遺症へ抱えている不安が解消できます。

また、後遺障害等級の認定についても解説するので、交通事故で鎖骨骨折をしたという方は、慰謝料の相場も合わせて確認してください。 

この記事の監修者
弁護士 馬屋原 達矢

弁護士法人サリュ
大阪弁護士会

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1.鎖骨骨折でよく見られる後遺症の症状

この記事をご覧になっている方は、鎖骨骨折でどのような後遺症が残るリスクがあるのかが気になっているのではないでしょうか。

鎖骨骨折の後遺症には、下記のような症状が見られます。

症状後遺症の
残りやすさ
日常生活への
影響度
どんな影響があるか
痛みやしびれなど
が残る
★★★★☆★★★★☆・気候や気圧の影響でしびれや痛みを感じる
・日常の中で肩や首に違和感がある
・重いものやリュックなどが持てなくなる
肩や首にこりを
感じる
★★★★☆★★★☆☆・怪我をする前よりこりを感じやすくなる
・肩や首が疲れやすくなる
骨がきれいに
くっつかず変形する
★★★☆☆★★★★☆・肩や腕に動かしづらさを感じる
・日常の中で肩や首に違和感がある
肩回りがうまく
動かせなくなる
★★★☆☆★★★★★・肩や腕に動かしづらさを感じる
・腕が上げられなくなる

鎖骨の骨折は、骨がくっつくまでおよそ4週から12週が必要と言われています。

しかし、骨が癒合した後も痛みや違和感が残るケースは多く、マッサージやストレッチなどで対処しながらリハビリを続けていくことになります。

後遺症はリハビリが進むごとに出なくなる人もいれば、年単位で続いて苦しむという人もおり、ケースごとに治りやすさは異なっています。

2.鎖骨骨折の後遺症1│神経障害(痛みやしびれ)

ここからは、鎖骨骨折の後遺症の中でも、後遺障害認定を受けられる可能性がある、代表的な症状について解説します。

症状後遺症の
残りやすさ
日常生活への
影響度
どんな影響があるか
痛みやしびれ
などが残る
★★★★☆★★★★☆・気候や気圧の影響でしびれや痛みを感じる
・日常の中で肩や首に違和感がある
・重いものやリュックなどが持てなくなる

最初に説明するのは、肩や首の周辺に痛みやしびれなどが残る、神経症状についてです。

2-1.神経症状の後遺症について

神経症状は、骨折は治っているのに、怪我をした周囲に痛みやしびれなどが残る後遺症です。

常に痛みやしびれを感じるという方もいれば、天候などの要因でときどき痛みが出るというような方もいます。

2-2.生活への影響

肩や首に痛みやしびれなどの違和感が残るのが神経症状の後遺症です。

肩回りの症状なので、強い肩こりのように感じられる方もいます。

天候や気圧などの影響で痛みやしびれなどの違和感を感じる方も多いようです。

対処法としては、鎮痛剤などの薬での対処や、マッサージやストレッチで痛みを緩和する方法があります。

頻繁に症状が出ると、生活への影響も大きくなります。

長く続くという方も多い後遺症なので、このような症状が残ってしまった場合には、できるだけ症状を緩和する方法を模索し、うまく付き合う方法を探すのが最適解となりそうです。

2-3.認定される後遺障害等級と慰謝料の相場

交通事故で負った鎖骨骨折で後遺症が残った場合、後遺障害認定を受けられる可能性があります。

痛みやしびれなどの神経症状が残った場合の等級と慰謝料について、それぞれ解説します。

2-3-1.神経症状の後遺障害等級

鎖骨骨折の後遺症で神経症状が残った場合、後遺障害の状態に応じて下記の後遺障害認定が受けられる可能性があります。

等級症状の定義認定のポイント
12級13号局部に頑固な神経症状を
残すもの
神経症状の原因に客観的な所見がある
14級9号局部に神経症状を残すもの客観的な所見がなくとも、症状が医学的に認められる

参考:国土交通省『後遺障害等級表

12級と14級の差は、レントゲンやMRIなどで客観的な所見が認められるかどうかとなります。

もしMRIなどで所見が見つからなくとも、その他の医学的な判断が認められれば14級に認定される可能性があるので、痛みなどの後遺症を感じる場合は、医師に相談しましょう。

肩や首のこりは後遺障害として認められない!
肩や首にしびれや違和感が残っているとき、医師に「肩こり」「首こり」として症状を伝えてしまうと、後遺障害として認められなくなってしまいます。 しびれや痛みが残存している場合には、症状に応じて「しびれを感じる」「痛みが残っている」など、適切に伝えるようにしましょう。

2-3-2.慰謝料の相場

それぞれの慰謝料の相場は、下記の通りです。

等級自賠責基準弁護士基準
1294万円290万円
1432万円110万円

保険会社が提示してくる基準が任意基準、任意基準の下限が自賠責基準、被害者が弁護士に依頼して請求するのが「弁護士基準」という違いがあります。

後遺障害慰謝料の相場は、任意保険会社が自賠責基準で慰謝料の提示をしてきている場合 弁護士に依頼するかどうかで2~3倍ほども差が出るので、後遺障害が残った場合には弁護士への相談がおすすめです。

弁護士に依頼することで後遺障害等級の認定がスムーズに進み、賠償金が増額した例については、6.弁護士に依頼して正当な後遺障害等級を認定された実例4つで解説しています。

3.鎖骨骨折の後遺症2│変形障害(見た目が変わる)

症状後遺症の
残りやすさ
日常生活への
影響度
どんな影響があるか
骨がきれいに
くっつかず変形する
★★★☆☆★★★★☆・肩や腕に動かしづらさを感じる
・日常の中で肩や首に違和感がある

続いて、骨折した部分に膨らみやでっぱりなどの見た目にわかる程度の変形が残る変形障害についてです。

3-1.変形障害の後遺症について

変形障害は、主に見た目に生じる障害です。

変形したことで痛みや違和感が生じる場合もあれば、特に感じないという場合もあります。

3-2.生活への影響

変形のみで痛みなどがないケースでは、生活への影響は小さいです。

しかし、見た目に違和感が出てしまうことがあり、夏場の露出の多い服が着づらくなったり、人前で着替えなどがしづらくなったりすることがあります。

また、変形障害と合わせて痛みなどの神経障害も一緒に訴えるケースも多くあるため、そちらにも気を付ける必要があるでしょう。

3-3.認定される後遺障害等級と慰謝料の相場

変形障害が認められた場合の等級と慰謝料について、それぞれ解説します。

3-3-1.変形障害の後遺障害等級

鎖骨骨折の後遺症で変形障害が残った場合、後遺障害の状態に応じて下記の後遺障害認定が受けられる可能性があります。

等級症状の定義認定のポイント
12級5号鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの裸の状態で変形が目視できるかどうか

参考:国土交通省『後遺障害等級表

記載されている通り、認定のポイントは変形が目視で確認できるかどうかです。

レントゲンでのみ確認できるというようなケースでは、後遺障害認定は受けられません。

3-3-2.慰謝料の相場

変形障害の慰謝料の自賠責基準と弁護士基準の違いは、下記の通りです。

等級自賠責基準弁護士基準
1294万円290万円

4.鎖骨骨折の後遺症3│機能障害(動かない・動かしづらい)

症状後遺症の
残りやすさ
日常生活への
影響度
どんな影響があるか
肩回りがうまく
動かせなくなる
★★★☆☆★★★★★・肩や腕に動かしづらさを感じる
・腕が上げられなくなる

最後に、鎖骨骨折の影響で肩や腕などを動かせなくなったり、動かしづらさを感じたりする機能障害(運動障害)について解説します。

4-1.機能障害の後遺症について

機能障害は、鎖骨骨折の影響で肩や腕の可動域が狭まり、動かしづらくなる後遺症です。

動かすと痛みを感じるときがある、というレベルから、完全に腕が上がらなくなるものまで、症状の重さは人によってまちまちです。

4-2.生活への影響

症状の重さによって影響度は異なりますが、重度の場合に荷物が持てなくなったり、高いところへの物の上げ下ろしが難しくなったりするようなケースが見られます。

また、他の症状と同じく、天候や気圧などの影響で症状の重さが変わることもあるようです。

4-3.認定される後遺障害等級と慰謝料の相場

機能障害が認められた場合の等級と慰謝料について、それぞれ解説します。

4-3-1.機能障害の後遺障害等級

等級症状の定義認定のポイント
8級6号一上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの肩関節がまったく動かない状態であるか
10級10号一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの肩関節の可動域が怪我していない側と比べ2分の1以下に制限されているか
12級6号一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの肩関節の可動域が怪我していない側と比べ4分の3以下に制限されているか

参考:国土交通省『後遺障害等級表

機能障害が認められた場合、肩関節の可動域に応じて8級、10級、12級のいずれかの等級に認定される可能性があります。

機能障害として認められるためには、上記の認定のポイントにある通りの関節の異常が、交通事故の怪我によって引き起こされているという医学的な証明も必要です。つまり、鎖骨骨折は癒合して治っているのに、どうして動かないままなのかという医学的な説明ができるかがポイントです。

4-3-2.慰謝料の相場

それぞれの慰謝料の自賠責基準と弁護士基準の違いは 、下記の通りです。

等級自賠責基準弁護士基準
8331万円830万円
10190万円550万円
1294万円290万円

5.後遺障害認定で後悔しないためには知識のある弁護士に依頼して!

後遺障害認定で後悔したくないという方は、まずは一度弁護士に相談をしてください。

そして、自分が納得できる弁護士に依頼し、後遺障害認定をサポートしてもらうのが最善のコースです。

なぜここまで弁護士への依頼をおすすめするのかというと、大きく分けて、2つの理由があります。

まず1つ目は、慰謝料の金額は、弁護士に依頼をすることで増額できる可能性があるからです。

後遺障害慰謝料の相場についての解説で、自賠責基準と弁護士基準では慰謝料の相場が大きく異なることを説明しました。

例えば、鎖骨の神経症状で14級の後遺障害認定を受けた場合、自賠責基準と弁護士基準では下記のように金額が変わります。

等級自賠責基準弁護士基準
1432万円110万円

保険会社が、自賠責基準ではなく、弁護士基準で被害者の方に賠償金の提示をしてきている事案はほとんどなく、自賠責基準そのままで提示していることや、自賠責基準に近い金額で提示していることが多いです。 もし、自賠責基準で提示されている場合には、同じ後遺症なのに3倍以上も金額が変わってしまうことがわかります。

このような事態を防ぐためにも、弁護士に依頼していただきたいのです。

そして2つ目は、そもそも弁護士に依頼しないと後遺障害認定を受けられない可能性が高まるからです。

後遺障害認定は、ただ「こんな後遺症があります」と言っただけで受けられるものではありません。

医学的な証拠を提出し、認定される必要があります。

その認定の過程で、専門知識のある弁護士のサポートが大きな力を発揮します。

主治医もあなたの力にはなってくれると思いますが、後遺障害認定に特化した知識があるわけではありません。

診断書の書き方などで、思わず不利になるような記載をしてしまう可能性があります。

弁護士のサポートがあれば、そのような事態を避け、スムーズに後遺障害認定の申請が進められます。

6.弁護士に依頼して正当な後遺障害等級を認定された実例4つ

「弁護士に依頼することって、そんなに重要なの?」

「必要性があまりわからないけど、自分でやっても変わらないんじゃない?」

弁護士に依頼したほうがいいと言われても、そのように感じてしまいませんか?

確かに、弁護士に依頼するのはハードルが高いし、難しそうに思ってしまいますよね。

そんな方に向けて、実際に弁護士に依頼することで正当な後遺障害認定を受けられた事例を紹介します。

実際の解決事例を見れば、弁護士へ依頼するメリットがわかるはずです。

気になる事例だけでもいいので、チェックしてみてください。

事例1│相手の提示した示談金を2倍近く増額させた例
事例2│裁判で怪我の重さを主張し、相手保険会社の提示額から約550万円増額させた例
事例3│減給や解雇のリスクが少ない公務員でも逸失利益を含んだ損害賠償を獲得した例

6-1.事例1│事故の初期から弁護士に相談することで逸失利益を含めた示談金を獲得した例

参考:事例239:逸失利益をゼロとする保険会社の不当な提示も、粘り強い交渉により増額させ解決。

最初に紹介する事例では、左鎖骨骨幹部骨折の怪我を負った方が被害者です。

怪我の後遺障害は14級9号で認定されましたが、相手の保険会社は「仕事への影響はない」と言い張り、逸失利益0円を提示してきました。

しかし、サリュが証拠を持って徹底的に交渉を行ったところ、相手保険会社は言い分を認め、最終的には逸失利益114万円が認められました。

後遺障害認定後は、慰謝料だけでなく逸失利益などの交渉も含めて行う必要があります。

納得できる解決のためにも、トータルでサポートしてくれる弁護士を選びましょう。

6-2.事例2│相手の提示した不当に低い示談金を2倍近く増額させた例

参考:事例191:サリュに依頼して2週間で示談額倍増!早期解決のサリュ|鎖骨骨折

続いての事例の被害者は、衝突事故で右鎖骨骨折の怪我を負われた方です。

この件では、被害者の方はサリュへのご相談前に12級6号の認定を受けられていました。

しかし、相手の保険会社が約300万円という、不当に低い示談金を提示してきたため、納得がいかずサリュへとご相談いただきました。

サリュでは、被害者の方の症状や事故の状況を改めて確認し、適切な賠償額を計算しなおしました。

その結果、当初の提示金額の倍近い約550万円という金額で示談が成立し、被害者の方にも納得していただけました。

このように、同じ等級で認定されても、受け取れる示談金に大きな差が出てしまうケースは多数あります。

そのような事態を防ぐためにも、弁護士への依頼は必須です。

6-3.事例3│裁判で怪我の重さを主張し、相手保険会社の提示額から約550万円増額させた例

参考:事例117:鎖骨変形で12級認定。裁判でサリュの主張を概ね認めさせ550万円増額

最後に紹介する事例は、バイク同士の衝突事故で右鎖骨骨折等の怪我を負った方が被害者です。

サリュでは、被害者の方の鎖骨の変形を変形障害として申請のお手伝いを行い、12級の認定を獲得しました。

また、相手の保険会社が提示する150万円という示談金を不当に低いものだと反論し、最終的に、700万円で和解を成立させました。

この事故の場合、被害者側にも過失があったため、その部分に対する対処についてもサリュがしっかりとサポートを行い、被害者の方が満足できる結果へと導きました。

被害者に過失がある場合の事故であっても、弁護士のサポートを受けることで納得できる解決へと近づきます。

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7.まとめ

この記事では、鎖骨骨折の後遺症について解説してきました。

内容のまとめは以下の通りです。

◯鎖骨骨折の後遺症は、下記のようなものがある。

・鎖骨周辺に痛みやしびれなどが残る
・肩や首にこりを感じる
・骨がきれいにくっつかず変形する
・肩回りがうまく動かせなくなる

◯鎖骨骨折の後遺症の中でも、後遺障害認定を受けられる可能性がある症状は下記の通り。

・神経症状(痛みやしびれ)
・変形障害(鎖骨の変形)
・運動障害(肩関節の可動域の制限)

◯正しい後遺障害認定等級の認定を受けるには、専門知識がある弁護士に相談・依頼する必要がある。

以上の内容を参考に、鎖骨骨折の後遺症に対応してください。