後遺障害の結果が出るまでの期間や行われることは?データを元に解説
「後遺障害認定の結果が出るまでどのくらい?」
「申請してから結果が出るまではどういう流れで進んでいるの?」
このように、後遺障害の申請をしたけれど結果が届かず、今どのような状況なのかと不安を感じていませんか?
結論からお伝えすると、後遺障害認定の結果が出るまでにかかる期間は、最短で30日以内、長引く場合は90日以上にも及びます。
基本的には約2~3ヶ月を目安として考えると良いですが、認定が困難なケースでは、通常よりも時間がかかることもあります。
このため、申請後1~2ヶ月程度結果の連絡がなくても全く焦る必要はありません。焦らず冷静に、結果が出るまでの期間に、できることを進めておきましょう。
そうすることで、スムーズに示談交渉を進めやすくなります。
この記事では、後遺障害認定の結果が出るまで、あなたが落ち着いて有意義に過ごせるように、結果が出るまでの期間や、その間にできることなどを解説します。
ぜひ最後までお読みください。

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目次
1.後遺障害認定の結果が出るまでにかかる期間

記事冒頭でもお伝えしたとおり、後遺障害認定の結果が出るまでにかかる期間の目安は、約2~3ヶ月です。
後遺障害の申請を行った後、自賠責損害調査事務所において実施される調査に基づいて結果が出ますが、この調査にかかる日数について以下のようなデータがあります。
| 30日以内 | 31日~60日 以内 | 61日~90日以内 | 90日以上 | |
| 【後遺障害】 自賠責損害調査事務所における 損害調査所要日数 | 72.2% | 14.7% | 7.0% | 6.1% |
※被害者請求の場合の、損害調査所要日数です。本部、地区本部で審査中の日数及び事前認定事案は含みません。
出典:損害保険料率算出機構 自動車保険の概要 2024年度(2023年度統計)
こうした調査は、あなたが申請を行った後、即開始されるとは限りません。
少なくとも、後遺障害認定に必要な書類は、加害者側の自賠責保険会社または任意保険会社を介して自賠責損害調査事務所へ届くことになります。
ですから、認定結果が出るまでは、上記の調査日数+αの日数を要するのです。
こういったことから、後遺障害の申請をした後、結果が出るまでは2~3ヶ月程度かかると考えておくと良いでしょう。
2.後遺障害認定の結果が出るまで行われていること

1章をお読みいただき、後遺障害認定の結果が出るまでに大体どのくらいかかるのか、ご理解いただけたでしょう。
しかし、なぜ時間がかかるのかと疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
後遺障害等級の認定は、損害保険料率算出機構の「自賠責損害調査事務所」が担当しています。
結果が出るまでの間に、事故による後遺症かどうか、そしてどの等級に該当するかを中立的かつ慎重に判断しているのです。
後遺障害について申請してからの流れは、下記の通りです。
申請方法によって多少流れは異なりますが、あなたが提出した書類が専門機関に届いてから、調査がはじまるのが一般的です。

このように、後遺障害の等級認定では、申請書類があなたの手元を離れた後、調査を含め複数の工程を経ることになります。
調査に基づいた慎重な判断がなされることに加えて、こうした工程を要するため、結果が出るまでにはどうしても一定以上の期間がかかるのです。
3.認定が困難なケースは外部に調査を依頼するため通常より時間がかかる

1章、2章では、後遺障害認定の結果が出るまでの期間や、結果が出るまでに行われていることを解説しました。
前述したように、後遺障害認定の結果が出るまでの期間は約2~3ヶ月が多い傾向にあります。
しかし、中には90日以上経たないと結果が出ないケースもあるのです。
具体的には、認定が困難なケースや異議申立てがあったケースなどについては、外部に調査を依頼することもあるため、通常よりも時間がかかる傾向にあります。
ここでは、そのような通常よりも時間がかかるケースを3つ紹介します。
| 1.脳外傷による高次脳機能障害の事案 2.脳の損傷を伴わない精神障害の事案 3.異議申立事案 |
当てはまる方はご確認いただき、ご自身の認定結果がいつ頃になりそうかを判断するのにお役立てください。
3-1.脳外傷による高次脳機能障害の事案
脳外傷による高次脳機能障害の事案は、後遺障害の結果が出るまでに時間がかかりやすいです。
なぜなら、高次脳機能障害の症状は目に見えにくく第三者が判断しづらいため、専門的な審査が必要となるからです。
例えば、専門医や外部の専門家などが審議に参加して、より慎重に後遺障害認定の審査を行うなどの対応が取られることもあります。
このため、通常よりも結果が出るまでに時間がかかりやすいです。
3-2.脳の損傷を伴わない精神障害の事案
脳の損傷を伴わない精神障害の事案も、後遺障害の結果が出るまでに時間がかかりやすいです。
なぜなら、脳の損傷を伴わない精神障害は、交通事故によるものであると証明するのが難しいからです。
目に見えない症状を医学的・法的に判断するために、外部の専門家などが審議に参加して慎重に後遺障害認定の審査を行います。
そのため、結果が出るまでに時間がかかるでしょう。
3-3.異議申立事案
異議申し立ての事案(一度後遺障害の結果が出たあと、結果に納得いかず再申請すること)も、後遺障害の結果が出るまでに時間がかかりやすいです。
再申請した場合、外部の専門家などが審議に参加して慎重に後遺障害認定の審査を行う場合があります。
異議申立てが行われた事案では、初回審査で使用された資料に加え、新たな検査結果や意見書などが追加提出されることが多いです。
必要に応じて専門家を交えた会議で慎重に行われるため、通常よりも時間がかかるでしょう。
4.後遺障害認定の結果が遅くても焦らず、できることを進めておこう

3章では、認定が困難なケースを紹介しました。
ただ、後遺障害認定は「何日で結果が出る」という決まりがないため、認定が困難なケースに当てはまる方も、そうでない方も、焦る必要はありません。
落ち着いて、後遺障害認定の結果が出るまでの間に、できることを進めることが大切です。
なぜなら、後遺障害認定の結果が出ると示談交渉がはじまるため、その準備に時間を使うべきだからです。
示談交渉では、入通院慰謝料や休業損害、後遺障害認定の結果で金額が左右される後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益などの賠償金について話し合います。
その際、事故前の給料を証明する書類や、入通院履歴を証明する書類なども必要になります。
後遺障害認定の結果が出てからこれらの準備をすべて行うのは、時間も手間もかかるため大変です。
そのため、後遺障害認定の結果が遅いなら、落ち着いて後遺障害の申請状況を確認しつつ、示談交渉のための準備を進めておきましょう。
5.後遺障害認定の結果が出るまでにあなたができる5つのこと

本章では、後遺障害認定の結果が出るまでにあなたができる5つのことを紹介します。
後遺障害認定の結果を待っている方は、下記のように後遺障害の申請状況を確認しつつ、示談交渉へ向けた準備をおこないましょう。
| やるべきこと | 対象の方 |
| 保険会社に連絡し、申請状況を確認する | ・全員 |
| 事前認定から 被害者請求への切り替えを検討する | 事前認定で後遺障害認定を申請していて、 ・加害者側の保険会社の対応が遅く、信頼できないと感じる方 ・まだ自賠責損害調査事務所に書類を送っていないと言われた方 |
| 時効を確認し 延長手続きの準備をする | ・事故による怪我の治療が長引いた方(事故から2年以上治療されている方) ・後遺障害の申請に時間がかかっている方 |
| 示談交渉に向けて 後遺障害認定以外の準備を進める | ・全員 |
| 交通事故に強い弁護士に相談する | ・全員 |
それぞれ詳しく説明しますので、早速対応していきましょう。
5-1.保険会社に連絡し、申請状況を確認する
まずは保険会社に連絡し、申請状況を確認しましょう。確認する先は、事前認定(加害者請求)で申請している場合は加害者側の任意保険会社、被害者請求で申請している場合は加害者の自賠責保険会社となります。
なぜなら、保険会社が損害保険料率算出機構に調査依頼をしておらず、まだ審査事態がはじまっていない可能性があるからです。
催促してすぐに対応してもらえたら、損害保険料率算出機構での調査がはじまります。
ただ、「すでに損害保険料率算出機構に審査を依頼しています」と回答された場合は、保険会社にしてもらえることは何もありません。
該当する方は、「5-3.時効を確認し、延長手続きの準備をする」以降を読み進めてください。
5-2.事前認定から被害者請求への切り替えを検討する
事前認定(加害者請求)で申請しており、申請状況を確認した際に加害者側の任意保険会社の対応に不信感を持った場合は、被害者請求への切り替えを検討しましょう。
なぜなら、相手保険会社が書類を用意して提出するのを待つより、被害者請求に切替えて自分で申請するほうが早く手続きが済む可能性があるからです。
必要な書類や証拠を揃えるのに相手保険会社が手間取っているようなら、これ以上無駄な時間を生まないため、あなたの方で引き取ることも一つの手です。
ただ、被害者請求に切り替えると、必要書類や症状を証明する証拠をすべて自分で集める必要がある点に注意してください。
提出書類に不備があったり、必要な証拠が足りていなかったりした場合は、申請完了までに時間がかかります。
そのため、被害者請求に切り替えれば、必ず早く結果が出るとは限りません。
かえって、被害者請求に切り替えることにより、より多くの時間を要する場合がある点については注意が必要です。
不安がある方は、交通事故に強い弁護士に相談するのが安心です。
5-3.時効を確認し、延長手続きの準備をする
治療期間や症状固定後の期間が年単位で長引いている場合は、時効を確認しましょう。
交通事故に遭い、損害賠償できる期間は決まっているからです。
| 対象 | 時効 |
| 傷害分 (治療費、入通院慰謝料、休業損害等) | 事故翌日から5年 |
| 後遺障害分 (後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益など) | 症状固定日の翌日から(※)5年 |
※原則として症状固定日の翌日から5年とされていますが、実際には、事故翌日から5年以内に対処しておくと安心です。
時効が過ぎて正当な賠償金を受け取れないことにならないためにも、事前に対処しておくことが大切です。
ただ、時効は延長可能です。
「催告(加害者に内容証明などで支払いの請求を行う)」などの手続きにより、時効の延長を図ります。
交通事故の損害賠償における時効や延長手続きについては、下記の記事でくわしく解説しているのであわせてご覧ください。
5-4.示談交渉に向けて後遺障害認定以外の準備を進める
後遺障害認定の結果が出るまでに、示談交渉に向けて準備を進めておくことも大切です。
なぜなら、示談交渉で話し合うべき項目は多数あるからです。
認定結果が出てから慌てて準備を始めると、資料の不足によって不利な条件で示談が成立するリスクがあります。
以下は、示談交渉で話し合う項目と、準備すべき代表的な書類です。
| 示談交渉で話し合う項目 | 準備すべきものの一例 |
| 治療費について | 診療報酬明細書、領収書など |
| 入通院慰謝料について | 診断書、診療報酬明細書など |
| 休業損害について | 休業損害証明書、事故前の給与明細や源泉徴収票 |
| 後遺障害逸失利益について | 事故前の収入証明書類等 |
これらの書類や証拠を一気に揃えるのは簡単なことではありません。
あらかじめ入手先を確認しておき、万全の状態で示談交渉に臨めるようにしましょう。
5-5.交通事故に強い弁護士に相談する
後遺障害認定や示談交渉を少しでも有利に進めたいなら、交通事故に強い弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談すれば、保険会社とのやり取りから時効延長の手続き、示談交渉に向けた準備まで、すべてを任せることが可能だからです。
これまでご紹介してきたように、後遺障害の結果を待つ間にできることは多くあります。
とはいえ、どれも交通事故や保険制度に関する専門知識がない状態では、不安を感じる局面が出てくるでしょう。
また、ようやく結果が出ても納得いかない等級(例えば、12級ではなく14級とされたなど)になることもあります。
その場合は「異議申立て」という再申請手続きが可能ですが、そこでも医学的な主張や追加資料の提出が求められるでしょう。
このような示談交渉に向けた準備や、異議申し立て手続きにおいて、弁護士はあなたの力になります。
ぜひ一度、後遺障害認定の結果が出るまでの間に、交通事故に強い弁護士に相談してみてください。
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6.まとめ
本記事では、後遺障害認定の結果が出るまでに行われていること、待つ間にすべきことなどを紹介しました。
最後に、重要なポイントをまとめます。
〇後遺障害認定の結果が出るまでにかかる期間
→目安は約2~3ヶ月
〇後遺障害認定の結果が出るまでに行われていること
→事故による後遺症かどうか、そしてどの等級に該当するかを中立的かつ慎重に判断されている
〇認定が困難なケースは外部に調査を依頼するため通常より時間がかかることがある
| 1.脳外傷による高次脳機能障害の事案 2.脳の損傷を伴わない精神障害の事案 3.異議申立事案 |
〇後遺障害認定の結果が遅くても焦らず、できることを進めておくことが大事
〇後遺障害認定の結果が出るまでにあなたが準備できる5つのこと
| やるべきこと | 対象の方 |
| 保険会社に連絡し、申請状況を確認する | ・全員 |
| 事前認定から 被害者請求への切り替えを検討する | 事前認定で後遺障害認定を申請していて、 ・加害者側の保険会社の対応が遅く、信頼できないと感じる方 ・まだ自賠責損害調査事務所に書類を送っていないと言われた方 |
| 時効を確認し、延長手続きの準備をする | ・事故による怪我の治療が長引いた方(事故から2年以上治療されている方) ・後遺障害の申請に時間がかかっている方 |
| 示談交渉に向けて 後遺障害認定以外の準備を進める | ・全員 |
| 交通事故に強い弁護士に相談する | ・全員 |
本記事を参考にして、現在自分がどの段階なのか、確認してみてください。
そして、これからはじまる示談交渉に向けての準備をする中で新たに不安な点が出てきたら、いつでもご相談ください。

