交通事故の慰謝料は8400円ではない|誤解と適正な慰謝料相場を解説

「交通事故の慰謝料は8400円と聞いたけど、なんでその金額なの?」
「知り合いに慰謝料は8400円と聞いていたのに自分のは違ったけど、どうしてだろう」
あなたはそんな疑問を抱いてこのページを見ていませんか?
結論からお伝えすると、交通事故の慰謝料が8400円あるいは8600円というのは自賠責基準という計算基準の日額をもとにしたものであり、正確な情報ではありません。
なぜそのような情報が流れたのかというと、過去にごく限定的な条件で慰謝料が8400円になることがあったからです。
具体的には、令和2年4月1日より前の事故であり、以下の条件を満たしている場合、慰謝料が8400円になることがありました。
しかし、これはかなり限定的な条件での慰謝料であり、ほとんどの人には当てはまらないものです。
「じゃあ、自分の場合は本当はいくらもらえるのだろう」
そのような疑問を抱く方が多いと思いますが、交通事故の慰謝料は一律にいくらと決まっているわけではありません。
被害者の怪我の程度や入通院の状況などによって細かく異なります。
この記事では、交通事故の慰謝料が8400円と誤解される理由に加えて、慰謝料の相場や適正な慰謝料を獲得するために必要な知識をお伝えします。
本当に適正な慰謝料の金額を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

この記事の監修者
弁護士 梅澤 匠
弁護士法人サリュ福岡事務所
福岡県弁護士会
交通事故解決件数 1,700件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
2009年 3月 明治大学法学部 飛び級入学のため中退
2012年 3月 同志社大学司法研究科 修了
2012年 9月 司法試験合格
2013年 弁護士登録 弁護士法人サリュ入所
【公職】
同志社大学司法研究科兼任教員(民法演習担当)
-獲得した画期的判決-
【大阪高裁平成30年1月26日・判例タイムズ1454号48頁】(交通事故事件)
歩行者との非接触事故につき,自動車運転者の過失責任が認められた事例
【神戸地裁令和元年6月26日判決・自保ジャーナル2054号110頁】(交通事故事件)
転回時の衝突事故について有利な過失割合が認定された事例
【神戸地裁令和元年7月24日・交通事故民事裁判例集52巻4号913頁】(交通事故事件)
併合14級の後遺障害逸失利益の算定について、減収がなかったものの逸失利益を認定した事例
その他複数
【弁護士梅澤の弁護士法人サリュにおける解決事例の一部】
事例336:死亡事故で被害者参加制度を利用。遺族の気持ちを加害者に直接伝えたい
事例344:異議申立てで、むちうち症状の後遺障害等級を第14級9号から第12級13号へ覆した事例
事例158:後遺障害申請サポートで13級を獲得。示談交渉時256万円の提示だったが、訴訟提起で1030万円を獲得
目次
1.交通事故の慰謝料は8400円ではない
「交通事故の慰謝料は8400円って聞いたけど、本当?」
この疑問の答えは、NOです。交通事故の慰謝料は8400円と決まっているわけではありません。
この慰謝料8400円という金額は、
・令和2年4月1日より前の事故 ・1回しか病院へ行っていない ・入通院慰謝料のみ ・自賠責基準の計算式で求めた金額 |
という、かなり限定されたケースでの金額です。
このように、一部の限定的なケースでは慰謝料が8400円になることもありましたが、これが一般的な慰謝料の相場というわけではありません。
また、上記の説明も難しくてよくわからない、という方も多いと思うので、次章で8400円という金額になる根拠を詳しく解説します。
まずは、「交通事故の慰謝料は8400円ではない」ということを頭に入れておいてください。
2.なぜ交通事故の入通院慰謝料は日額8400円といわれるの?
前章を読んで、なぜ交通事故の入通院慰謝料が8400円と言われるのか、疑問に思われませんでしたか?
ここからは、その誤解が広まった理由として考えられる説を解説します。
そのような誤解が広まった理由としては、令和2年の法改正までは、自賠責基準の入通院慰謝料が以下のように計算されていたからと考えられます。
【自賠責基準の計算式】
(1)治療期間×4200円(今は4300円) (2)実治療日数×2×4200円(今は4300円) (1)か(2)の、いずれか少ないほうを適用する ※自賠責基準は令和2年4月1日に改正。旧金額は法改正前のもの:損害保険料率算出機構『「自賠責保険支払基準」改定の推移』 |
病院に行った回数が事故当日以外の1回だけの場合、
【実治療日数1日×2×4200円(今は4300円)=8400円(今は8600円)】
という計算式が適用され、入通院慰謝料は8400円(今は8600円)です。
このことから、特に令和2年の法改正以前に交通事故に遭った人や、その話を聞いた人たちの中で、
「交通事故の慰謝料は日額8400円」
という誤解が広まることになりました。
3.被害者にとって適正なのは弁護士基準の慰謝料
ここまでの説明を読んで、
「じゃあ、日額8400円は自分には全然当てはまらない」
「結局、いくらくらいになるの?」
と思いませんでしたか?
実は、交通事故では「慰謝料は日額8400円」というように、一律で慰謝料の金額が定められているわけではありません。
慰謝料には以下の3つの算定基準があり、それによって同じ被害でも慰謝料の金額が異なるのです。
前章までで解説していた8400円は、自賠責基準で計算されたものです。
この自賠責基準は、被害者にとって最低限の補償であり、適正な金額とは言えません。
それと比較して、弁護士基準は、過去の判例に基づいた計算基準で、他の基準と比べて金額が高く、被害者にとって正当な金額となる基準です。
実際にどの程度金額に差が出るのかと言うと、同じ通院期間であっても、以下のように異なります。
【打撲などの軽傷で2か月通院した場合の入通院慰謝料】
自賠責基準 | 弁護士基準 |
68,800円 | 36万円 |
※通院回数8回
被害者が事故の被害に対して適正な補償を受けるためには、弁護士基準で慰謝料を計算し、請求する必要があります。
「示談金を計算したのでサインをしてください」
というように保険会社から示談を促される可能性がありますが、保険会社が提示するのはあくまで提案であり、決定事項ではありません。
納得できない金額である場合、合意する必要はないのです。
もし、相手が納得できない金額を提示してきている場合は、すぐに合意せず交渉しましょう。
4.正しい交通事故の慰謝料の金額
ここまでの説明を踏まえて、
「実際の慰謝料はどれくらいもらえるのだろう?」
と気になる方も多いのではないでしょうか。
慰謝料は入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類があり、それぞれ計算方法が異なります。
ここでは、それぞれの金額の目安を、弁護士基準と自賠責基準で比較しながら解説します。
4-1.入通院慰謝料の例
まずは、交通事故によって怪我をし、入院や通院をした際に発生する入通院慰謝料の相場を紹介します。
入通院慰謝料は、自賠責基準と弁護士基準で比較すると、同じ通院期間でも以下のように金額が異なります。
通院期間 | 自賠責基準 | 弁護士基準 |
1か月 | 8.6万円 | 軽傷19万円/重傷28万円 |
2か月 | 17.2万円 | 軽傷36万円/重傷52万円 |
3か月 | 25.8万円 | 軽傷53万円/重傷73万円 |
4か月 | 34.4万円 | 軽傷67万円/重傷90万円 |
5か月 | 43万円 | 軽傷79万円/重傷105万円 |
6か月 | 51.6万円 | 軽傷89万円/重傷116万円 |
※入院0日の場合
※自賠責基準は3日に1回程度(月に10回)通院した場合で計算
4-2.後遺障害慰謝料の例
続いて、後遺障害慰謝料の例です。
後遺障害慰謝料とは、後遺障害(事故による後遺症)が残ったことに伴う精神的苦痛に対して支払われるお金のことで、等級(後遺障害の重さ)によって金額が決められています。
等級ごとの慰謝料を比較すると、以下のように金額が異なります。
弁護士基準 | 自賠責基準 | ||
別表第1 | 別表第2 | ||
1級 | 2800万 | 1650万 | 1150万 |
2級 | 2370万 | 1203万 | 998万 |
3級 | 1990万 | – | 861万 |
4級 | 1670万 | – | 737万 |
5級 | 1400万 | – | 618万 |
6級 | 1180万 | – | 512万 |
7級 | 1000万 | – | 419万 |
8級 | 830万 | – | 331万 |
9級 | 690万 | – | 249万 |
10級 | 550万 | – | 190万 |
11級 | 420万 | – | 136万 |
12級 | 290万 | – | 94万 |
13級 | 180万 | – | 57万 |
14級 | 110万 | – | 32万 |
4-3.死亡慰謝料の例
交通事故によって不幸にも被害者が亡くなられた死亡事故では、死亡慰謝料が発生します。
死亡慰謝料の金額は、自賠責基準と弁護士基準で以下のように異なります。
自賠責基準 | 弁護士基準 |
被害者本人の慰謝料一律400万円 +遺族の慰謝料550万円~950万円 (請求者の人数や被扶養者の有無で異なる) |
2000万円~2800万円 (被害者の属性や家庭での役割によって異なる) |
このように、計算基準によって同じ事故であっても受け取ることができる慰謝料の金額が大きく異なることがお分かりいただけたでしょうか。
5.弁護士基準で慰謝料を請求するには弁護士への依頼がポイント
先ほど紹介した弁護士基準の慰謝料ですが、請求すれば必ず受け取ることができるというわけではありません。
相手の保険会社はできるだけ被害者に支払う金額を少なくしたいと考えるのが通常で、被害者が弁護士基準の慰謝料を求めても、
「弁護士が介入していない以上、その金額は適用できない」
「これ以上交渉を続けるなら裁判も辞さない」
などと、被害者の意見を受け入れない可能性が高いでしょう。
そのような時に力になってくれるのが、交通事故の対応経験豊富な弁護士です。弁護士に依頼することで、以下のような交渉を行ってくれます。
・弁護士基準で交渉してくれる ・賠償項目に漏れなく請求してくれる ・相手が不当な過失割合を訴えている場合、客観的な証拠を集めて反論してくれる |
このようなサポートを受けることで、被害者にとって適正な賠償金の獲得に近づくでしょう。
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6.まとめ
この記事では、なぜ交通事故の慰謝料が8400円と言われることがあるのかについて解説しました。
内容のまとめは以下のとおりです。
▼交通事故の慰謝料は8400円ではない
▼交通事故の慰謝料が8400円と言われるようになったのは、以下の条件を満たした限定的な場面で8400円になることがあったから
・令和2年4月1日より前の事故 ・1回しか病院へ行っていない ・入通院慰謝料のみ ・自賠責基準の計算式で求めた金額 |
▼被害者にとって適正な慰謝料の計算基準は、自賠責基準ではなく弁護士基準で計算したもの
これらの内容を参考に、適正な賠償金の獲得に向けて行動してください。