事例336:死亡事故で被害者参加制度を利用。遺族の気持ちを加害者に直接伝えたい

 Mさん(80代女性)は、買い物のために自宅を出て信号のない交差点を横断していたところ、交差道路から直進してきた業務中の小型トラックと衝突しました。
 Mさんは意識のないまま病院に救急搬送され、懸命な救命措置が取られましたが、頭部の出血が酷く、一度も意識を回復することなく事故から4日後に亡くなられました。
 Mさんには夫と2人の子どもがいました。Mさんご家族には、事故現場が家の近所でいつも通い慣れていた道であったにも関わらずMさんが事故にあったこと、Mさんが意識を回復することなく亡くなってしまったこと、大切な家族にもう二度と会えないことなどの事実が重くのしかかり、Mさんご家族の精神的ショックは計り知れないものでした。また、加害者は業務中に事故を起こしたにもかかわらず、加害者の勤務先の会社からなかなか謝罪の言葉がなかったこともMさんご家族を余計に苦しめることとなりました。
 そのようなやりきれない思いをかかえ、Mさんご家族はサリュに相談に来られました。サリュではMさんご家族の無念を少しでも晴らすべく「被害者参加制度」を利用することをおすすめしました。「被害者参加制度」とは、過失運転致死傷等の一定の犯罪に対して、裁判所の許可を得て被害者または被害者遺族が刑事裁判に参加し、被告人に対しての質問や、法律の適用についての意見を述べることができるという制度です。交通事故の場合、民事では加害者本人に直接思いを伝えられる機会が少ないのに対し、「被害者参加制度」を利用すれば加害者本人に思いを伝えることができます。
 Mさんご家族は「被害者参加制度」を利用し、加害者本人に対し、見通しの良い交差点での事故であること、MさんがいなくなってMさんご家族がどれだけ辛い思いをし、これから先も辛い思いを抱えて生きていかなければならないこと、加害者に反省の態度が一切見られないことなどを限られた時間の中ではありましたが遺族としての思いを伝えることができました。
 刑事裁判が終わり、民事の交渉を行い、最終的には、自賠責保険も含めて約3600万円の賠償金を回収することができました。
 Mさんご家族からは、「母は戻っては来ませんが、被害者参加制度を利用して加害者に対して直接想いを伝えることができました。少しでも母の無念が晴らせることができたかなと思います。」とお言葉を頂きました。