交通事故の慰謝料はいくら?相場や獲得事例、計算方法を解説

交通事故に遭って怪我をしてしまった。慰謝料はどのくらいもらえるの?

交通事故の慰謝料って何種類あるの?いつもらえる?

この記事を読んでいる方は、交通事故に遭い、不安な気持ちを抱えていることでしょう。

特に、怪我をして治療している方、仕事を休んでいる方は、その分の慰謝料をもらえるのかどうか、気になるはずです。

結論、交通事故の慰謝料相場は、19万円~2,800万円以上です。

相場に幅がある理由は、交通事故の慰謝料は3種類あり、それぞれ受け取れる金額が異なるからです。下記が、交通事故に遭った方が受け取れる可能性がある、3つの慰謝料です。

交通事故の慰謝料
入通院慰謝料
(19万円~)
怪我の治療による入通院で生じた精神的損害に対するお金
後遺障害慰謝料
(110万~2,800万円)
後遺障害が残り、精神的苦痛を感じたことに対して支払われるお金
死亡慰謝料の相場
(2,000万~2,800万円)
交通事故によって被害者が命を失うことになった場合に、その亡くなった本人の無念さを補填するもの

また、それぞれの慰謝料ごとに、金額が上下するポイントも異なります。特に大きく変わるのが、算定基準です。

最低補償ラインの「自賠責基準」で計算するのか、過去の裁判例をもとにしている「弁護士基準」で計算するのかによって、慰謝料が数十万~数百万円変わることもあります。

しかし、加害者側の保険会社が提示してくるのは、最低補償ラインの自賠責基準で計算した慰謝料に近いことがほとんどであることを、ご存じですか?

この事実を知らないまま加害者側と示談交渉し、示談成立となれば、あなたは本来受け取れるはずのお金を受け取れません。

そうならないためにも、交通事故に遭った自分がどのくらいの慰謝料を受け取れるのか、どのように決まるのか理解しておく必要があるのです。

そこでこの記事では、下記についてくわしく解説します。

この記事でわかること
・【種類別】交通事故の慰謝料相場
・交通事故の慰謝料獲得事例6つ
・交通事故の慰謝料を受け取れる時期
・慰謝料の計算方法
・慰謝料が上がるポイント・下がるポイント

最後まで読めば、自分がどのくらいのお金を受け取れる可能性があるかわかり、正当な金額を加害者側に請求できます。

納得いく金額で示談成立させるためにも、慰謝料について一緒に学んでいきましょう。

この記事の監修者
弁護士 山田 洋斗

弁護士法人サリュ千葉事務所
千葉県弁護士会

交通事故解決件数 1,200件以上
(2025年9月時点)
【略歴】
2014年 明治大学法科大学院卒業
2014年 司法試験合格
2015年 弁護士登録、弁護士法人サリュ入所
【獲得した画期的判決】
【2021年8月 自保ジャーナル2091号114頁に掲載】(交通事故事件)
【2022年 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻(赤い本)105頁に掲載】
会社の代表取締役が交通事故で受傷し、会社に営業損害が生じたケースで一部の外注費を事故と因果関係のある損害と認定した事例
【弁護士法人サリュにおける解決事例の一部】
事例333:弁護士基準の1.3倍の慰謝料が認められた事例
事例343:相手方自賠責保険、無保険車傷害保険と複数の保険を利用し、治療費も後遺障害も納得の解決へ
事例323:事故態様に争いがある事案で、依頼者の過失割合75%の一審判決を、控訴審で30%に覆した

弁護士法人サリュは、交通事故の被害者側専門で26,000件以上の解決実績を誇る法律事務所です。

交通事故被害に遭われたら、できるだけ早期に、交通事故の被害者側専門弁護士に相談することをおすすめします。これは、弁護士のアドバイスを受けることで、もらえる損害賠償金が大きく変わる場合があるからです。
弁護士法人サリュは、創業20年を迎え、交通事故の被害者側専門の法律事務所として累計26,000件以上の解決実績があります。所属弁護士の多くが1人あたり500件~1000件以上の交通事故解決実績があり、あらゆる交通事故被害者を救済してきました。その確かな実績とノウハウで、あなたのために力を尽くします。
相談だけで解決できることもありますので、まずはお気軽に無料法律相談をご利用ください。

1. 交通事故の慰謝料相場は19万円~2,800万円以上

交通事故の慰謝料相場は、8600円~2,800万円以上です。慰謝料には種類があり、それぞれ金額が異なるため、相場に幅が出ます。

交通事故の慰謝料
入通院慰謝料
(19万円~)
怪我の治療による入通院で生じた精神的損害に対するお金
後遺障害慰謝料
(110万~2,800万円)
後遺障害が残り、精神的苦痛を感じたことに対して支払われるお金
死亡慰謝料の相場
(2,000万~2,800万円)
交通事故によって被害者が命を失うことになった場合に、その亡くなった本人の無念さを補填するもの

事故の状況別に、受け取れる慰謝料をまとめました。

もし、怪我をして後遺障害が残ったら、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の両方をもらえます

そのため、重度の後遺障害が残存した場合、2,800万円以上を受け取れるケースもあります。

また、慰謝料は賠償金の一部です。

慰謝料以外にも休業損害や交通費、後遺障害逸失利益など多くのお金を受け取れる可能性があることも、忘れないでください。

次の2章では、3つの慰謝料がどのようなものか、計算方法を含めてくわしく解説します。

2. 【種類別】交通事故の慰謝料相場と計算方法

交通事故の相場に幅があるのは、種類によって金額が異なる、人それぞれ受け取れる慰謝料が違う、などの理由があることを解説しました。

2章では、下記の3種類の慰謝料がどのようなものなのか、どのように計算するのかを、解説します。

・入通院慰謝料
・後遺障害慰謝料
・死亡慰謝料の相場

ご自身が受け取れる可能性がある慰謝料の内容を、確認してください。

2-1. 入通院慰謝料の相場

入通院慰謝料は、交通事故でむちうちや骨折、頭部外傷などを負い、入院や通院をした方が受け取れます。

ただ、最低補償ラインの自賠責基準と弁護士基準では、計算方法が異なります。

それぞれ解説します。

2-1-1. 自賠責基準の入通院慰謝料

自賠責基準の入通院慰謝料は、多くは実際に通院した日数をもとに計算します。

以下の2つのうち、少ないほうに日額4,300円をかけて入通院慰謝料を算出します。

・治療期間

・実際に通院した日数×2

例えば、治療期間1ヶ月の間に12回通院した場合の入通院慰謝料は、103,200円です。

【計算例】
・治療期間=90日(1ヶ月30日)
・実際に通院した日数×2=24日(12×2)

24日×4,300円=103,200円

通院日数が1日しかない場合は、1日×2×4300円=8,600円となります。

2-1-2. 弁護士基準の入通院慰謝料

弁護士基準の入通院慰謝料は、入通院した期間や怪我の程度をもとに計算します。

治療期間が1ヶ月なら、実通院日数10日でも15日でも、入通院慰謝料は同じです。

骨折や頭部外傷などの重傷を負った方は表1を、むち打ちや打撲を負った方は表2をご覧ください。

例えば、むち打ちなどの軽傷で入院期間が1ヶ月で通院期間が6ヶ月だった場合は、表2の縦軸「1月」と横軸「6月」が交わる部分を見るので、113万円です。

【表1:重傷の場合】単位:万円

入院1月2月3月4月5月6月
通院53101145184217244
1月2877122162199228252
2月5298139177210236260
3月73115154188218244267
4月90130165196226251273
5月105141173204233257278
6月116149181211239262282

参照:「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」 (日弁連交通事故センター東京支部編) 別表I

【表2:軽傷の場合】単位:万円

入院1月2月3月4月5月6月
通院356692116135152
1月195283106128145160
2月366997118138153166
3月5383109128146159172
4月6795119136152165176
5月79105127142158169180
6月89113133148162173182

参照:「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」 (日弁連交通事故センター東京支部編) 別表Ⅱ

入通院慰謝料についてくわしく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

2-2. 後遺障害慰謝料の相場

後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ってしまい、それが事故によるものだと認められた方が受け取れるお金です。

後遺障害とは
治療したのに残ってしまった後遺症が、交通事故が原因であると医学的に証明または説明できるもの

自賠責基準でも、弁護士基準でも、後遺障害認定を受けて1~14級の等級が認められた場合のみ、以下のお金を受け取れます。

金額は等級によって異なり、症状の重い等級(数字が小さいもの)に認定されるほど、慰謝料は高額になります。

例えば、腕を骨折して治療後もしびれが残り、後遺障害認定で14級が認められたら、後遺障害慰謝料は110万円です。

後遺障害等級後遺障害慰謝料(自賠責基準)後遺障害慰謝料(弁護士基準)
1級1,150万円
(介護を要する場合:1,650万円)
2,800万円
2級998万円
(介護を要する場合:1,203万円)
2,370万円
3級861万円1,990万円
4級737万円1,670万円
5級618万円1,400万円
6級512万円1,180万円
7級419万円1,000万円
8級331万円830万円
9級249万円690万円
10級190万円550万円
11級136万円420万円
12級94万円290万円
13級57万円180万円
14級32万円110万円

どのような症状が何級に該当するのか、請求方法なども知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

2-3. 死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料は、交通事故によって被害者が命を失うことになった場合に、その亡くなった本人の無念さを補填するものです。

自賠責基準と弁護士基準で金額が異なるため、それぞれ解説します。

2-3-1. 自賠責基準の死亡慰謝料

自賠責基準の死亡慰謝料は、本人の慰謝料と遺族の慰謝料に分けて計算します。

被害者本人に支払われるのは、350万円です。

※2020年(令和2年)04月01日以降に発生した交通事故は400万円

加えて、ご遺族に対して、以下の金額が支払われます。

被扶養者なし被扶養者あり
遺族が1人550万円750万円
遺族が2人650万円850万円
遺族が3人以上750万円950万円

死亡慰謝料を請求できるのは、は被害者の父母、配偶者および子どもです。

2-3-2. 弁護士基準の死亡慰謝料

弁護士基準の死亡慰謝料は、本人の分と遺族の分の合計額が、遺族に支払われます。

被害者が扶養している子供の人数や、配偶者の有無などをもとに計算します。

以下が、弁護士基準の死亡慰謝料の基準です。

後遺障害慰謝料
(弁護士基準)
被害者が一家の大黒柱だった場合2,800万円程度
被害者が結婚している場合2,500万円程度
被害者に子供がいる場合2,500万円程度
それ以外の場合(子どもや高齢者、独身の男女)2,000~2,500万円程度

例えば、妻と子供がいる会社員の男性が事故によって死亡した場合は、2,800万円の死亡慰謝料を受け取れる可能性が高いです。

事故に遭ったご本人が亡くなっているため、死亡慰謝料は相続人がもらうことになります。

2-4. 他に受け取れる賠償金

交通事故の被害に遭い、怪我をした方が受け取れるのは、慰謝料だけではありません。

下記の賠償金も、受け取れる可能性があります。

賠償金項目説明
治療費・怪我の治療にかかったお金
(通院、入院、検査、薬の処方代など)
休業損害・怪我の治療が原因で仕事を休んだ場合に受け取れるお金
※事故前の収入によって金額が変わる
車の修理費・事故によって破損した車の修理費や、廃車代
後遺障害逸失利益・事故に遭い怪我をしていなければ、本来受け取れたはずの労働に対する利益
死亡逸失利益・被害者が事故で死亡していなければ、将来得られたはずの収入
将来の介護費や自宅改装費・後遺障害が残った場合、将来介護にかかる費用
・後遺障害によって自宅の改装が必要になった場合の費用

併せて以下の記事もご覧ください。

治療費について

休業損害について

後遺障害逸失利益について

死亡逸失利益について

将来の介護費や自宅改装費について

基本的に、事故によってやむを得ず発生した費用は、すべて加害者に請求できると覚えておきましょう。

ただ、自分にも過失がある場合、請求した金額を全額受け取ることはできません。

3. 交通事故の慰謝料を含む賠償金の獲得事例6つをケース別に紹介

ここまで、交通事故に遭った方が受け取れる慰謝料や賠償金を紹介しました。

では、交通事故に遭った方が実際にどのくらいの慰謝料を含む賠償金を受け取っているのか、気になるのではないでしょうか。

ここからは、当弁護士事務所サリュで実際にあった、交通事故の慰謝料を含む賠償金の獲得事例を8つ紹介します。

自分の事故のケースに似ているものがあれば、金額の参考にしてください。

1.【賠償金80万円】20代女性・耳や肩に傷跡が残った事例
2.【賠償金211万円】むちうちで半年通院した事例
3.【賠償金560万円】6歳女児・自動車にひかれて大腿骨を骨折した事例
4.【賠償金1,000万円】自転車乗車中の事故・腰痛圧迫骨折を負った事例
5.【賠償金3,000万円】60代男性・硬膜下血腫、胸骨骨折などを負った事例
6.【賠償金1億4,500万円】20代女性・びまん性脳損傷を負い後遺症が残った事例

ただ、ここで紹介するのはあくまで参考です。

事故の状況、怪我の程度、事故当時の収入などで金額は大きく変わります。

自分がいくら受け取れるのかはっきり金額を出したい方は、弁護士に相談しましょう。

3-1. 【賠償金80万円】20代女性・耳や肩に傷跡が残った事例

賠償金額80万円
事故の状況知人の自動車乗車中、車外に投げ出されてしまった
怪我の種類耳や肩、指に傷跡が残る
後遺障害等級後遺症あり:非該当
通院期間

20歳の女子大生Iさんは、知人の自動車乗車中に事故に遭い、車外に投げ出されてしまいました。

耳や肩、指に傷跡が残ってしまったので後遺障害認定を申請しましたが、結果は非該当。加害者の保険会社が提示してきた賠償金は、たった11万円でした。

後遺障害等級は認められませんでしたが、Iさんは一生傷跡に苦しみます。そこでサリュは裁判を申し立て、Iさんの正当な慰謝料を含む賠償金を請求しました。

その結果、裁判官がこちらの主張に理解を示し、80万円での和解を提案。加害者側がこの和解案をのみ、和解が成立しました。

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3-2. 【賠償金211万円】むちうちで半年通院した事例

賠償金額211万円
事故の状況赤信号のために停止中に、加害車両に衝突される
怪我の種類頸椎捻挫(むちうち)
後遺障害等級なし
通院期間半年

Yさんは、信号のある交差点で停車中に加害者の車に衝突され、むちうちを負いました。半年通院したあと、加害者側に提示された金額は97万円で納得できず、サリュにご相談くださいました。

サリュが調べた結果、加害者側はYさんの休業損害や入通院慰謝料を、不当に低く計算していることが判明します。

そこで、弁護士基準で計算し直し、交渉に臨みました。

その結果、こちらの主張通りの賠償金211万円を認めさせることができました。

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3-3. 【賠償金560万円】6歳女児・自動車にひかれて大腿骨を骨折した事例

賠償金額560万円
事故の状況母親が運転する自転車の後ろに乗っていたところ、信号無視の自動車にひかれて骨折
怪我の種類大腿骨遠位端骨折
後遺障害等級後遺症あり:後遺障害14級
通院期間1ヶ月入院、2回手術

6歳のAさんは、母親が運転する自転車に乗っていたところ、信号無視でノーブレーキの自動車にひかれ、大腿骨遠位端骨折の大けがを負いました。

1ヶ月入院して2回も手術を受け、ある程度回復することはできましたが、太ももの外側に傷跡が残ってしまいました。

事故から1年後、サリュの弁護士が後遺障害認定の申請手続きをした結果、14級が認められます。しかし、Aさんが小学生であり、収入が減ることもないため、加害者側は逸失利益を拒否してきたのです。

そこでサリュの弁護士は、女児であってスカートや水着を着る機会もあり、将来、多大な精神的苦痛を被ることは明らかであり、逸失利益はないとしても、後遺障害慰謝料を大幅に増額するべきであると主張しました。

結果、14級の後遺障害慰謝料が110万円のところ、350万円を認めさせ、合計560万円の賠償金を獲得できました。

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3-4. 【賠償金1,000万円】自転車乗車中の事故・腰痛圧迫骨折を負った事例

賠償金額1,000万円
事故の状況自転車で走行中、対向車である加害車両に巻き込まれる
怪我の種類腰椎の圧迫骨折
後遺障害等級後遺症あり:後遺障害11級
通院期間半年間

Yさんは、自転車で走行中、対向車である加害車両に巻き込まれて腰椎圧迫骨折を負いました。

半年間通院後、後遺障害11級が認められます。

Yさんは、加害者側に460万円の示談金を提示されたタイミングで、正当な金額かどうか確かめるためにサリュにご相談くださりました。

弁護士が確認すると、Yさんの慰謝料は最低補償ラインの自賠責基準で計算されていることが判明しました。そこで弁護士は、すぐに弁護士基準で賠償金を計算し、加害者の保険会社と交渉。

その結果、当初の提示額から約500万円増額した、1,000万円で示談成立となりました。

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3-5. 【賠償金3,000万円】60代男性・硬膜下血腫、胸骨骨折などを負った事例

賠償金額3,000万円
事故の状況青信号で交差点を横断中、後方から来た自動車にはねられる
怪我の種類硬膜下血腫、胸骨骨折、頚椎捻挫等
後遺障害等級後遺症あり:後遺障害7級
通院期間1年間

60代のMさんは、青信号で交差点を横断中、後ろから来た自動車にはねられて硬膜下血腫や胸骨骨折などの大けがを負いました。

治療を頑張りましたが、記憶力の低下やてんかんの症状などが残ってしまいます。

Mさんは、後遺障害認定の申請や示談交渉に不安を感じていたため、サリュにご相談くださいました。そしてサリュの弁護士は、後遺障害認定で適切な等級を受けるために、ご家族や医師と連携しながら準備を進めました。

その結果、症状に見合う7級が認定され、最終的に3,000万円近い賠償金を獲得できたのです。

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3-6. 【賠償金1億4,500万円】20代女性・びまん性脳損傷を負い後遺症が残った事例

賠償金額1億4,500万円
事故の状況原付バイクで走行中、自動車に衝突された
怪我の種類びまん性脳損傷
後遺障害等級後遺症あり:後遺障害2級
通院期間

20代のKさんは、原付バイクで走行中、自動車に衝突されてびまん性脳損傷を負いました。左片麻痺や高次脳機能障害などの重い後遺障害が残り、後遺障害2級が認められました。

Kさんの家族は、将来にかけて在宅介護が必要となってしまいます。サリュの弁護士は、慰謝料や逸失利益はもちろん、将来の介護に必要な費用や自宅改装費なども含めた金額を、加害者に請求します。

示談交渉では相手にも弁護士がついており、かなり減額交渉をしてきました。訴訟を起こす選択肢もありましたが、訴訟になると相当時間がかかるため、示談交渉で粘り強く交渉を続けました。

最終的に、自賠責保険金を含めて1億4,500万円で示談成立となりました。

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4. 交通事故の慰謝料を受け取るまでの流れ

3章では、交通事故に遭い、慰謝料を受け取った方の事例を紹介しました。

自分がどのくらいの慰謝料を受け取れる可能性があるのか、イメージできた方も多いでしょう。

では、事故の被害者は具体的にどのような流れで慰謝料を受け取れるのでしょうか。

慰謝料を受け取るまでの流れは、下記のとおりです。

交通事故の慰謝料は、通院・治療、後遺障害認定の申請、加害者との示談交渉などが、すべて終わってから受け取れます

後遺障害が残らず、後遺障害認定の申請をしない場合は、治療終了後にすぐ示談がはじまり、示談成立後に慰謝料を受け取れる流れです。詳しくは下記の記事をご参考ください。

5. 交通事故の慰謝料を受け取れる時期は事故から3ヶ月〜1年以上

4章では、交通事故の慰謝料を受け取るまでの流れを解説しました。

交通事故の被害者が慰謝料を受け取れるのは、事案により異なりますし、治療が終了しない限り見通しをたてること難しいですが、概ね事故から3ヶ月~1年以上経ってからです。

早く治療が終わり、資料が早く揃えば、事故から3ヶ月程度で慰謝料を受け取れる場合もあります。

しかし、怪我の程度が重く治療が長引いたり、示談交渉が長引いたりすれば、お金を受け取るまでに1年以上かかるでしょう。

慰謝料が振り込まれるのは、示談が成立してから、2~3週間程度です。

慰謝料をスムーズに受け取れるケースと、受け取りまでに時間がかかるケースを、以下にまとめました。

慰謝料を比較的早く受け取れるケース慰謝料の受け取りが遅れるケース
・軽傷で治療がすぐ終わる
・後遺障害認定を申請しない
・加害者側と示談交渉で揉めない
・重傷で治療が長引いている
・後遺障害認定を申請する
・加害者側と意見が合わずもめている

慰謝料を受け取れる時期について、よりくわしく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

6. 加害者の保険会社は不当な慰謝料を提示してくることが多い

ここまでの解説で、交通事故の被害者が受け取れる慰謝料の種類や金額、受け取るまでの流れをご理解いただけたはずです。

ただ、本記事で紹介してきた正当な慰謝料を、加害者側が提示してくれることはほとんどない、というのが現実です。

加害者側は支払う慰謝料を少しでも減らそうとして、最低補償ラインで計算する自賠責基準の慰謝料を含む賠償金を、提示してきます

もし明らかに加害者が悪い事故で、あなたが大けがをしたとしても、

「その程度の怪我なら、もっと早く治療が終わったはず」

「被害者にも責任があるので、過失割合は5:5です」

などと言い、慰謝料を減額してくるでしょう。

事故の被害者は本来、正当性が高い高額な弁護士基準で計算した慰謝料を、受け取れます。

不当な慰謝料で示談成立させず、納得いく金額を受け取るには、提示された金額が正当かどうか、しっかり確認することが大切です。

納得いかない慰謝料を提示された場合の対処法は、下記の記事で解説しています。

7. 交通事故に遭った方が正当な慰謝料を受け取るためのコツ

加害者の責任が重い事故でも、加害者側の保険会社は不当な慰謝料を提示してくることが多いとお伝えしました。

被害に遭った側なのに、正当な金額を受け取れないのは、悔しいでしょう。

そうならないためにも、7章では事故に遭った方が正当な慰謝料を受け取るためのコツを紹介します。

・弁護士基準で慰謝料を計算して保険会社へ伝える
・正当な過失割合を算出する
・主治医の指示に従って通院する
・交通事故に強い弁護士に依頼する

これらは、加害者側の思い通りに示談を進めずに済み、納得する慰謝料を受け取ることにつながるため、必ずチェックしてください。

7-1. 弁護士基準で慰謝料を計算して保険会社へ伝える

交通事故に遭った方が正当な慰謝料を受け取るには、弁護士基準で慰謝料を計算して、加害者側の保険会社に伝えることが大切です。

なぜなら、「6. 加害者の保険会社は不当な慰謝料を提示してくることが多い」でもお伝えしたとおり、加害者の保険会社がはじめから正当な金額を提示してくれることは、ほぼないからです。

怪我の程度や通院期間、後遺障害等級などがまったく同じでも、自賠責基準で計算する場合と、弁護士基準で計算する場合で、受け取れるお金は大きく変わります

入通院慰謝料を例に挙げ、自賠責基準と弁護士基準でどのくらい金額に差が出るのか、下記の表にまとめました。

【例】むちうちで月に8回整形外科に通院した場合

通院期間自賠責基準弁護士基準
1ヶ月68,800円190,000円
2ヶ月137,600円360,000円
3ヶ月206,400円530,000円

計算方法が違うだけで、受け取れるお金が数十万円~数百万円変わることもあります。

そのため、提示された慰謝料をそのまま受け入れず、弁護士基準で計算した金額を加害者側に請求してください。
※整形外科ではなく、医師の許可・指示なく整骨院に通院していた場合は、上記弁護士基準がそのまま適用されない場合がありますので注意しましょう。
以下の記事もご参考ください。

7-2. 正当な過失割合を算出する

交通事故に遭った方が正当な慰謝料を受け取るために、正当な過失割合を算出することも必要です。

過失割合とは、事故発生の原因がどちらにどれだけあるのかを割合で表したものです。

自分:加害者=0:10、自分:加害者=2:8などと表します。

自分の過失割合が0なら、賠償金を全額受け取れます。

しかし、もしあなたに30の過失があるなら、決定した賠償金の7割しかもらえません。

以下が、過失割合によって賠償金が変わる例です。

加害者の保険会社は、加害者に有利な過失割合を提示してくることがほとんどです。

そのため、基本割合や過去の事例をもとに正当な過失割合を出し、加害者側が提示する割合が間違っている場合は指摘して訂正を求めましょう。

過失割合の決め方や納得いかない場合の対処法については、以下の記事で解説しています。

7-3. 主治医の指示に従って通院する

主治医の指示に従って通院することも、交通事故の被害者が正当な慰謝料を含む賠償金を受け取るコツのひとつです。

主治医の指示に従って通院すれば、通院記録や怪我の回復記録などを証拠として残せます。

治療記録があることで、加害者側に治療の必要性や後遺障害の有無を疑われたとき、こちらの主張を受け入れてもらいやすくなるのです。

【例】
加害者側の保険会社「むちうちのような大したことがない怪我は、6ヶ月も通院する必要はないですよね。」

あなた「医師の指示で通院し、定期的に検査・治療をした記録が残っています。この治療により症状が緩和していますので、治療は必要かつ相当なものでした。そのため6ヶ月分の治療費と慰謝料を請求します」

もし医師の指示に従わず治療をやめたり、必要以上に通ったりすると、早々に治療費を打ち切られる恐れもあります。

また、通いすぎた結果、慰謝料の増額目的だと疑われ、減額される可能性もあるでしょう。

このような状況にならないため、そして治療の必要性や後遺障害が残ったことを証明するためにも、主治医の指示に従って通院することが大切です。

治療終了時期も自己判断してはいけない!
症状が残っている場合、医師から、完治または症状固定(これ以上通院しても回復が見込めない状態)と言われるまでは、通院を続けてください。
なぜなら、自己判断で治療をやめた後に後遺障害が残っても、事故による症状だと証明できなくなるからです。

また、「途中で治療をやめたから後遺障害が残った」と疑われれば、後遺障害認定を認めてもらうのが難しくなります。そのため、主治医の指示に従って通院するのはもちろん、もう来なくてよいと言われるまでは、通院を続けましょう。

7-4. 交通事故に強い弁護士に依頼する

正当な慰謝料を含む賠償金受け取るなら、交通事故に強い弁護士に依頼しましょう。

同じ事故の案件でも、弁護士の交渉次第で最終的に受け取れる賠償金が数百万円以上変わることもあるのです。

交通事故に強い弁護士は、下記のようなことができます。

・不当な慰謝料を提示されていないか細かくチェックする

・後遺障害認定の申請をサポートする

・過失割合に納得がいかない場合、正当な過失割合を調べて交渉する

交通事故に精通していない弁護士だと、加害者側が強気な対応をしてきた際、こちらの意見を強く主張できず、納得いかないまま示談成立となってしまうかもしれません。

一度示談が成立すると、賠償金を変更することはできないため、交渉力の高い弁護士に依頼することが大切です。選び方は次の章で解説します。

8. 交通事故の慰謝料を正当に受け取るための弁護士の選び方

交通事故に遭った方が正当な慰謝料を受け取るには、弁護士の力が必要です。

7-4.交通事故に強い弁護士に依頼する」でお伝えしたように、弁護士の知識や経験値の違いで、最終的な賠償金が数百万円変わることもあります。

弁護士なら誰でもよい、というわけではないのです。

そこで、この章では弁護士の選び方を紹介します。どのような弁護士に依頼すればよいかわからず悩んでいる方は、参考にしてください。

・交通事故の解決実績が多い
・交通事故の知識と医療の知識が豊富にある
・粘り強く交渉してくれる

8-1. 交通事故の解決実績が多い

正当な慰謝料を受け取りたいなら、解決実績が豊富な弁護士を選びましょう。

なぜなら、交通事故の案件に多く携わり解決に導いてきた弁護士は、過去の事例をもとに適切な方法で加害者側と戦えるからです。

解決実績が多い弁護士は、「この怪我は後遺障害〇級が認められる」「この事故は過失割合〇:〇になるはず」などの知識を持っています。

そのため、加害者側がどれだけ理不尽な金額を提示してきても、具体的な根拠を示して強気の交渉ができるのです。

相談実績が多いかどうかでは、その弁護士に実力があるとはいえません。

必ず、「解決実績」を確認してください。

下記に当てはまる弁護士は、解決実績が豊富といえるでしょう。

・弁護士紹介ページに解決実績が記載されており、数百件以上の解決実績がある書いてある

・相談する際にどのような案件を解決してきたか聞くと、すぐに答えてくれる

8-2. 交通事故の知識と医療の知識が豊富にある

正当な慰謝料を受け取りたいなら、交通事故の知識だけでなく、医療の知識も豊富な弁護士に依頼しましょう。

通院の仕方や後遺障害の等級認定などの交渉をする際、医療の知識が必要だからです。

例えば、後遺障害等級の認定を適切に受けるためには、被害者の症状を証明する証拠を集める必要があります。

医療の知識がない弁護士に依頼すると、本来認められるべき後遺障害が見落とされ、慰謝料が少なくなってしまうことがあるのです。

特に、むちうちやしびれなど、画像では証明しにくい症状の場合は、後遺障害等級を認めてもらうのが難しい傾向にあります。

そのような場合、医療の知識がある弁護士なら、できる限り後遺障害を証明する証拠を集めることができるでしょう。下記に当てはまるのが、医療の知識がある弁護士です。

・後遺障害認定の申請経験があり、異議申し立てなどで等級を覆した実績がある

・顧問ドクターと連携している

・後遺障害認定について質問するとすぐに答えてくれる

8-3. 粘り強く交渉してくれる

正当な慰謝料を受け取るために、粘り強く交渉してくれる弁護士を選びましょう。

粘り強く交渉してくれる弁護士なら、加害者側がどのような態度で向かってきてもあきらめず、納得いく結果が出るまでこちらの主張を伝え続けることができるからです。

交通事故の示談交渉では、加害者側の保険会社は強気な態度で交渉してくることがほとんどです。

少しでも支払う慰謝料を減らそうとして、最低補償ラインの金額を提示してきたり、高圧的な態度で接してきたりします。

実力がなく、やる気のない弁護士の場合は、交渉が面倒という理由で、途中であきらめるかもしれません。

何度も交渉を続けて慰謝料が増額した実績がある弁護士や、相談時に熱量を感じる弁護士は、最後まで戦ってくれるでしょう。

粘り強く交渉してくれる弁護士は、下記に当てはまるでしょう。

・公式サイトに「被害者側専門」と書いてある

・保険会社のやり口を理解している

弁護士の選び方に悩む方は、以下の記事も参考にしてください。

9. 交通事故の慰謝料は被害者側専門の弁護士事務所「サリュ」にご相談ください

交通事故の慰謝料について気になることがある方は、弁護士法人サリュにご相談ください。

サリュは、被害者側専門の弁護士事務所です。

交通事故に遭い不安な思いを抱えている中で、加害者側と示談交渉に進むあなたを、交通事故のプロが全力でサポートいたします

サリュにご依頼いただけましたら、下記のことをお約束します。

・2万件以上の解決実績を元に加害者の保険会社と交渉します
・被害者側専門!交渉術で加害者側の保険会社に立ち向かいます

9-1. 2万件以上の解決実績を元に加害者の保険会社と交渉します

サリュの弁護士は、豊富な実績を元に、あなたに代わって加害者側の保険会社と交渉します。

サリュは、業界でもトップクラスの解決実績20,000件以上を誇る弁護士事務所です。

在籍している弁護士約20名のうち、個人の実績として1,000件以上の解決実績を誇る弁護士も多数います。

【サリュの弁護士(一部)の交通事故解決実績(2025年9月現在)】

・梅澤 匠弁護士→2,000件以上
・河村 和貴弁護士→800件以上
・山田 洋斗弁護士→1,200件以上

解決実績が豊富な弁護士・弁護士事務所には、交通事故に特化したノウハウが蓄積されています。

そのため、一つ一つ状況が異なる複雑な交通事故の案件にも、問題なく対応できるのです。

・慰謝料が正しいかどうかわからない

・後遺障害認定を再申請したい

・加害者側の対応が悪くて困っている

など、どのような内容のご相談も可能なので、ぜひお問い合わせください。

9-2. 被害者側専門!交渉術で加害者側の保険会社に立ち向かいます

サリュの弁護士は、被害者側専門の弁護士事務所として、加害者側の保険会社に立ち向かいます。

サリュの創業者である谷は、もともと損保側の弁護士だったため、加害者側の保険会社がどのような態度で交渉に挑んでくるのか・何を考えているのかなどを知っています。

そのため、加害者側の考えを予測し、先回りして交渉の準備を進められるのです。

私たちは、事故に遭いつらい思いをしている被害者が、これ以上理不尽な思いをすることを、許せません。

被害者が納得いく慰謝料を受け取り、安心して今後の生活を送るために、粘り強く交渉します。

また、

・手術代や入院費用、修理費など、すべての賠償金を漏れなく請求する

・提示された慰謝料に違和感があればすぐに指摘し、正当な金額を計算して請求する

などを徹底的に行い、あなたが受け取れるお金に漏れがないか、細かくチェックします。

被害に遭ったあなたの心に寄り添い、最後までサポートいたしますので、ぜひ私たちを頼ってください。

電話で無料相談する方は、下記をクリックしてください。

メールで無料相談する方は、下記をクリックしてください。

10. まとめ

本記事では、交通事故の慰謝料について解説しました。

最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。

〇交通事故の慰謝料相場は19万円~2,800万円以上

入通院慰謝料
(19万~)
怪我の治療による入通院で生じた精神的損害に対するお金
後遺障害慰謝料
(110万~2,800万円)
後遺障害が残り、精神的苦痛を感じたことに対して支払われるお金
死亡慰謝料の相場
(2,000万~2,800万円)
交通事故によって被害者が命を失うことになった場合に、その亡くなった本人の無念さを補填するもの

〇【種類別】交通事故の慰謝料相場と計算方法(弁護士基準)

入通院慰謝料傷病、通院期間によって変わる
後遺障害慰謝料後遺障害等級によって変わる
死亡慰謝料の相場被害者が扶養している子供の人数や、配偶者の有無などで変わる

〇交通事故の慰謝料を受け取るまでの流れ

1.事故発生
2.入院、通院
3.治療終了
4.後遺障害認定の申請
5.示談交渉開始
6.示談成立

〇交通事故の慰謝料を受け取れる時期は事故から3ヶ月〜1年以上

〇加害者の保険会社は不当な慰謝料を提示してくることが多い

〇交通事故に遭った方が正当な慰謝料を受け取るためのコツ

・弁護士基準で慰謝料を計算して保険会社へ伝える
・正当な過失割合を算出する
・主治医の指示に従って通院する
・交通事故に強い弁護士に依頼する

〇交通事故の慰謝料を正当に受け取るための弁護士の選び方

・交通事故の解決実績が多い
・交通事故の知識と医療の知識が豊富にある
・粘り強く交渉してくれる

交通事故の慰謝料は、怪我の程度や後遺障害の有無などによって、金額が変わるものです。

あなたが気づいていないだけで、不当な金額にされている可能性もあるため、不安な方は交通事故に強い弁護士に相談してください。