バイク事故で脊髄損傷を負った方が知っておきたい治療とお金のこと

「バイク事故で脊髄損傷の重症を負ったが、回復して元の生活に戻ることはできるのか?」

「もし重い後遺症が残った場合、これから先どうすればいいのか?」

バイク事故にあい、脊髄損傷を負われた方へ、まずは心よりお見舞い申し上げます。

突然の事態に対する混乱や未来への不安で、苦しい日々をお過ごしの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

バイクの衝突事故や転倒事故によって脊髄を損傷すると、体に麻痺などの後遺障害が残る可能性が高く、現代の医療技術では研究が進んでいるものの損傷した脊髄の完全な修復・回復は難しいというのが現状です。

重大な後遺障害が残ってしまった場合、すぐに気持ちを切り替えて生活するのは難しいかと思いますが、バイク事故で脊髄損傷を負った方とその家族が前を向くためにできることは次の2つです。

バイク事故で脊髄損傷を負った方とその家族が前を向くためにできること
本人ができること早期リハビリに専念する  
日常生活再建に向けて、残された機能の訓練を行う
家族ができることもらえるお金はしっかり受け取る
  後遺障害認定を受け、保険金や賠償金を請求する

まずは日常生活の再建に向けてリハビリに専念することが重要ですが、症状が重い場合は事故前のように働けない・介護が必要なケースもあるため、当面の生活費や長期的な介護費用の確保が必要です。

本記事では、バイク事故で脊髄損傷された方とご家族に向けて

・バイク事故で脊髄損傷を負った人とその家族ができること

・バイク事故で脊髄損傷を負った被害者が受け取ることができる可能性のあるお金

・適正な損害賠償金を受けるために取るべき行動

といった、事故後の人生を少しでも心穏やかに過ごすための知識をわかりやすく解説します。

脊髄損傷というケガを負った今、「これからのこと」に向き合うのはお辛いかと思いますが、ご自身のペースで必要な情報を入手していただけると幸いです。

この記事の監修者
弁護士 栗山 裕平

弁護士法人サリュ
静岡事務所
静岡県弁護士会

交通事故解決件数 1,100件以上(2024年1月時点)
【略歴】
2013年 京都大学法科大学院修了
2013年 司法試験合格
2014年 弁護士登録 弁護士法人サリュ入所
【獲得した画期的判決】
・平成30年01月26日大阪高裁判決
歩行者との非接触事故につき,自動車運転者の過失責任が認められた事例(判例タイムズ1454号48頁他)
・平成27年7月3日大阪地裁判決
急制動措置をとって転倒滑走した原付自転車が同交差点に進入した加害車両に衝突した事故につき、加害車両運転者に過失責任が認められた事例(交通事故民事判例集48巻4号836頁他)
【弁護士栗山の弁護士法人サリュにおける解決事例(一部)】
事例337:後遺障害併合11級の認定を獲得し、逸失利益を満額回収した建設会社経営者
事例347:異議申立により外傷性ヘルニアの後遺障害併合12級を獲得した事例

1.バイク事故で脊髄損傷を負った方とその家族ができること

まずは、バイク事故で脊髄損傷を負った方とその家族ができることについてお話します。

・早期リハビリに専念する

・もらえるお金はしっかり受け取る

事故に遭った直後は、

「どこまで回復するのか」

「これからどう生活していけばいいのか」

など、さまざまな不安で何をすればいいかがわからなくなっている方も多いのではないでしょうか。

本章を読んで状況を整理しながら、これからのことを考えていきましょう。

1-1.早期リハビリに専念する

バイク事故で脊髄損傷を負った本人ができることは、早期リハビリに専念することです。

脳と体を繋ぐ神経である脊髄を損傷した場合、手足の麻痺や排尿・排便障害 といった後遺症が残る可能性があります。

脊髄損傷の治療は、再生医療の研究は進んでいるものの現代の医療技術では「完治が難しい」というのが現状であり、身体や内蔵の機能をどこまで回復できるかは早期のリハビリにかかっていると言っても過言ではありません。

バイク事故で脊髄損傷を負い病院に運ばれたとき、次のような流れで治療が進められます。

脊髄損傷の状態は大きく分けて「完全損傷」と「不完全損傷」の2種類があり、不完全損傷の場合は急性期~回復期にかけて早期リハビリを行い、残っている神経回路の再構築(麻痺の改善)を目指します 

脊髄損傷の種類
完全損傷脊髄の機能が完全に壊れ、回復できない状態
不完全損傷脊髄の一部が損傷した状態 残された機能を鍛えることで麻痺の改善が見込める

脊髄損傷のリハビリには、次のようなものがあります。

脊髄損傷のリハビリ(一例)
呼吸訓練呼吸機能が低下している場合、胸部など呼吸に必要な筋肉のトレーニングを行う  
→リハビリによって人工呼吸器が不要になるケースもある
関節可動域訓練 (ストレッチ)麻痺によって動きが制限されることで固まりやすくなった部位のストレッチを定期的に行う
筋力トレーニング・横たわっていた体を起こす・ベッドから車椅子へ移動する など、日常生活に必要な動作を中心に訓練する  
→機能している部位の筋力を鍛え、寝たきりになるのを防ぐ
歩行訓練歩行の機能が残されている場合は、自立歩行の訓練を行う 訓練用のロボットや専用機器を使用するケースも多い
補助機器の練習車椅子・歩行器・食事用自助具など、日常生活をサポートする機器の使い方を練習する

麻痺の残っていない部位でも、リハビリを行わずにいると筋力や関節の柔軟性が低下し、その後の日常生活の自立度が大きく下がってしまうおそれがあります。

事故後の生活を少しでも自由で心穏やかなものにしていくためには、医師や医療スタッフ指導のもと、自分の症状と向き合いながら積極的にリハビリへ参加することが重要です。

保険会社とのやり取りや今後の生活に必要な手続きなど、やらなければならないことは数多くありますが、これらの手続きは家族や弁護士などを頼りながら進めることができます。

事故にあった本人は、まずは何よりもリハビリを優先しましょう。

1-2.もらえるお金はしっかり受け取る

バイク事故で脊髄損傷を負った方とその家族ができること、2つめは「もらえるお金はしっかり受け取る

」です。

バイク事故で脊髄損傷を負った場合、保険会社から補償を受けられるのが一般的です。

また、前述したとおり脊髄損傷の回復には限界があり、リハビリに専念しても重い後遺障害が残り元通りの生活を送れなくなってしまう方も少なくはありません。

・仕事に復帰できず収入源がなくなる

・日常的に介護が必要になる

・治療や入院が長引き、医療費の支払いが難しくなる

といった場合は特に、今後の生活にかかるお金をきちんと確保して、金銭的な不安を解消することが重要になります。

具体的には、次のような請求の手続きを行います。

必要な手続き
自損事故の場合本人が加入している任意保険へ保険金を請求する   ※受け取ることのできる金額は、保険契約内容によって異なるが、加害者の保険会社から受け取ることのできる金額よりも低額なことも多い
自分が被害者の場合加害者が加入している保険会社へ損害賠償金を請求する   ※後遺症の重さによっては1億円を超えるケースもある

自損事故で任意保険に未加入の場合、治療費や入院費は自己負担となるため、労災保険や障害年金、その他社会保険や公的支援のサービスの活用を検討しましょう。

詳しくは、次章「2.バイク事故で脊髄損傷を負った被害者が受け取れる可能性のあるお金」でお話しします。

2.バイク事故で脊髄損傷を負った被害者が受け取れる可能性のあるお金

ここからは、バイク事故で脊髄損傷を負った被害者が受け取れる可能性のあるお金について解説します。

バイク事故で脊髄損傷を負った被害者が受け取れる可能性のあるお金一覧
種類内容受け取れる金額 (目安)
損害賠償金
(加害者がいる場合) ただし、加害者の過失分に限る
治療費全額
入院雑費全額
通院交通費全額
休業損害必要かつ相当な額
入通院慰謝料1日につき 4,300円  ※自賠責基準
後遺障害慰謝料110万円~2,800万円 ※弁護士基準
逸失利益高額の場合
数千万円 ~1億円
にのぼるケースもある
住宅や自動車の改造費 将来介護費 1日につき 8,000円
将来の治療費・手術費
人身傷害保険
(自損事故の場合)
自損事故によるケガの場合、交通事故被害者本人が加入している保険から保険金が支払われる3,000万円~数億円
労災保険
(仕事中・通勤中・帰宅中の事故の場合)
仕事中・通勤中・帰宅中に事故にあった場合、労災保険から補償を受けられる被害者の平均的な給与の80%
傷病手当金
(事故によって休業した場合)
事故によるケガで会社を休んだ場合、加入している健康保険から手当が支給される被害者の平均的な給与の3分の2
生命保険
(加入している場合)
契約内容によっては被害者が加入している保険会社から保険金が支払われる契約内容による
障害年金
(一定基準の後遺症が残った場合)
事故によって後遺症が残り、受給要件を満たしていれば、公的年金か等級に応じた年金が半永久的に支給される等級・加入期間による

脊髄損傷で重い後遺障害が残ってしまった場合、事故前のように働けないケースであったり、介護が必要になるケースもあります。

今後の生活に対する不安を解消し少しでも前向きに暮らしていくために、上記のうち自分が請求できるものはどれかを把握しておきましょう。

【賠償金や保険金はプロのサポートを受けながら請求するのがおすすめ】
  本章でご紹介する賠償金や保険金などは、請求先がバラバラで手続きも煩雑であるため、事故で重いケガを負った本人やその家族がすべて自力で請求するのは非常に困難です。  
ここではあくまで「どんなお金が受け取れるのかを把握する」を目標とし、実際の手続きは交通事故の解決に詳しい弁護士などの手を借りながら行いましょう。

2-1.損害賠償金(加害者がいる場合)

加害者がいるバイク事故の場合、相手の保険会社から損害賠償金を受け取ることができます。

損害賠償金は、主に以下の2つに分類されます。

・傷害(事故直後のケガ)に対する損害賠償金

・後遺障害(治療後に残った障害)に対する損害賠償金

それぞれどのような補償を受けられるのか、詳しく見ていきましょう。

2-1-1.傷害に対する損害賠償金

傷害に対する損害賠償金には、次のようなものが挙げられます。

傷害に対する損害賠償金
治療費・入院費・診察・検査・投薬・手術・入院にかかる費用は 必要性に応じて、加害者の過失分については加害者側が負担 
・被害者側が一時的に立て替えるケースもある  
・通院の場合は交通費も請求の対象となる  
・入院中に購入した日用品なども「入院雑費」として認められるケースがある
休業損害・交通事故で仕事を休んだことによって減った収入に対する賠償金
入通院慰謝料・入院や通院によって生じた精神的損害に対する慰謝料  

過失割合(事故を起こした双方の責任の割合)によっては減額・相殺されますが 、自分が被害者であった場合、これらの費用は賠償金として加害者側の保険会社へ請求する権利があります。

なお、保険会社によっては治療費の支払いを途中で打ち切るケースもあるため、少しでも「あれ?」と思う点があれば弁護士に相談することをおすすめします。

2-1-2.後遺障害に対する損害賠償金

事故によって受けた傷害が治療を続けても回復せず、「後遺障害」として残ってしまった場合には、次のような賠償金を受け取れる可能性があります。

傷害に対する損害賠償金
後遺障害慰謝料・事故によって後遺障害が残った被害者の精神的苦痛を補償する賠償金   ・金額は後遺障害の程度によって大きく異なり、110万円~2,800万円(裁判所基準の目安)と開きがある
後遺障害逸失利益・交通事故によって得られなくなってしまった将来の収入に対する賠償金   ・金額は被害者の年齢・事故前の年収・後遺障害の程度などを元に計算され、高額の場合は数千万円~1億円以上にもなるケースもある
将来の治療費・手術費退院後も定期的な検査や治療、将来的に手術が必要な場合は、それらの費用も賠償金として認められる可能性がある
将来介護費・事故後の生活に介護が必要になった場合、将来の介護費が賠償金として認められる可能性がある   ・後遺障害の程度や被害者の年齢(余命)などを元に計算されるのが一般的  
住宅や自動車の改造費事故による後遺障害で車椅子生活となり、自宅の玄関・浴室・トイレ・自動車などを改造する場合、必要かつ相当な範囲で賠償が認められるケースがある

上記の賠償金を受け取るうえで鍵となるのが、「後遺障害の等級」です。


【後遺障害の等級とは?】 
事故によって残った後遺障害を部位や症状の重さに応じて第1~14級に分類したもの

認定された後遺障害の等級によって、最終的に受け取れる損害賠償金は大きく左右されます。

さらに、加害者側の保険会社は自社の基準で計算した慰謝料や逸失利益を提示してくる可能性も高いため、適正な金額を受け取るためには慎重な交渉が必要になります。

症状に見合った賠償金をしっかり受け取るためには、弁護士にサポートを受けながら

・適正な等級を認定してもらう

・保険会社としっかり交渉して適正な賠償金をもらう

ことが重要です。

具体的な手続きについては、次章「3.適正な損害賠償金を受けるために取るべき行動【5ステップで解説】」でお話しますので、ここでは「後遺障害の等級認定と保険会社との交渉が重要」ということだけ押さえておきましょう。

2-2.人身傷害保険(自損事故の場合)

自損事故によって脊髄損傷を負った場合、本人が加入している任意のバイク保険から「人身傷害保険」という補償が受けられる可能性があります。

人身傷害保険とは、契約しているバイクで事故にあいケガを負った場合、過失割合に関係なく治療費・休業損害・逸失利益・慰謝料などの保険金が支払われる補償のことであり、任意のバイク保険の基本補償として組み込まれているのが一般的です。

受け取れる保険金の金額は、契約時に設定した限度額によって異なり、一般的には3,000万円~数億円の間で設定しているドライバーが多いです。

例えば、人身傷害保険の保険金を5,000万円に設定した人がバイク事故にあった場合、治療費や逸失利益を合計した損害額が1億円であっても受け取れる保険金の上限は5,000万円となります。

その他、保険会社のルールや契約内容によっても保険金が増減するケースがあるため、まずは自分が加入している保険の種類や契約内容を確認しましょう。

【注意】任意のバイク保険に入っていない場合は保険金を受け取れない  
自損事故においては、自賠責保険からの保険金は支払われません。
つまり、任意のバイク保険に入っていない場合、治療やその後の生活にかかるお金はすべて自己負担となります。  
自賠責保険にしか加入しておらず、今後の生活に金銭面で強い不安を感じている方は、後述する「2-4.傷病手当金」や「2-6.障害年金」といった補償が受けられないか確認しましょう。

2-3.労災保険

仕事中・通勤中・帰宅中にバイク事故にあった場合、労災保険から補償を受けられます。

労災保険で受けられる補償には、次のようなものがあります。

労災保険で受けられる補償(一例)
休業給付給付基礎日額(被害者の1日あたりの平均的な給与)の60%が支給される
休業特別支給金給付基礎日額の20%が支給される
入院治療費過失割合に関係なく全額補償される  
→過失割合で争っている最中など、加害者側の保険会社から治療費を支払ってもらえない場合は労災保険を活用すると良い

事故によるケガで体を動かせず休業している間も、休業給付と休業特別支給金と合わせれば、通常の給与の約80%を受け取ることができるという心強い補償です。

業務中や通勤時の交通事故の場合は、職場の所在地を管轄する労働基準監督署に請求しましょう。

【注意】加害者の保険会社から休業損害を受け取っている場合は労災保険の休業給付を請求できない  
加害者の保険会社から「休業損害」(交通事故で仕事を休んだことによって減った収入に対する賠償金)を受け取っている場合、労災保険を使用しても「休業給付」 は保証内容が重複しているため受給できません。労災保険に限らず、交通事故の保険金においては「他の保険との二重受給はできない」というのが原則ですので、覚えておきましょう。なお、「休業特別支給金」は「休業給付」と性質を異にするため、加害者の保険会社から「休業損害」を受け取っていても、受け取ることができます。

2-4.傷病手当金

傷病手当金とは、病気やケガで会社を休んだ場合、加入している健康保険から手当が支給されるという制度です。

傷病手当は交通事故によるケガにおいても適用されるものであり、以下の条件にすべて当てはまれば手当金を受け取ることができます。

傷病手当金を受け取れる条件
・連続する3日間を含み、4日以上会社を休んでいる  
・事業者から給与を受け取っていない(有給休暇や会社の福利厚生を利用した休業の場合は認められない)
・保険金・給付金の二重受給に該当しない(労災保険の給付金・加害者の保険会社からの休業損害など)

傷病手当金の支給額は

「標準報酬日額(事故被害者の1日あたりの標準的な給料)✕3分の2✕会社を休んだ日数」

で算出され、最長1年6ヵ月間受け取ることができます。

他の保険に比べて限定的な補償ではありますが、

「プライベートな運転中の自損事故で、任意保険にも入っていなかった」

といった労災保険・任意保険・加害者側の自賠責保険の補償がどれも受けられない場合は積極的に活用したい補償です。

2-5.生命保険・医療保険

生命保険や医療保険に加入している場合、契約内容によっては保険金が支払われるケースがあります。

生命保険・医療保険から保険金が支払われるケースの例
・傷害特約
・災害入院特約と特定損傷特約  
→これらの特約のいずれかを付けていた場合、契約で決められた保険金が支払われる

なお、生命保険や医療保険の保険金は「これまで支払ってきた保険料の対価」として受け取るお金であるため、加害者側の保険会社からの損害賠償金と二重で受け取ることができます。

2-6.障害年金

バイク事故で脊髄損傷を負った方が、保険金や賠償金以外に受け取れる可能性のあるものが、障害年金です。

障害年金とは重度の障害を負った場合に受給できる年金のことで、事故で負った後遺障害が受給要件を満たしていれば、障害の等級に応じた年金が半永久的に支給されます。

障害年金の受給基準と受給額
等級※1基準受給額※2
1他人の介助を受けなければ日常生活のことがほとんどできないほどの障害の状態基礎年金: 約100万円+子の加算額+ 厚生年金:加入期間等によって異なる
2日常生活は極めて困難で、労働によって収入を得ることができないほどの障害の状態基礎年金:約80万円+子の加算額 + 厚生年金:加入期間等によって異なる
3労働が著しい制限を受ける、または、労働に著しい制限を加えることを必要とするような状態基礎年金:なし 厚生年金:加入期間等によって異なる(最低保証は約60万円)

出典:日本年金機構「障害年金(受給要件・請求時期・年金額)

※1:障害年金の等級は、「2-1-2.後遺障害に対する損害賠償金」で解説した後遺障害の等級とは基準が異なるため、混同しないよう注意しましょう。

※2:令和6年4月分時点の金額

障害年金のメリットは、なんと言っても継続的・長期的にお金が受け取れることです。

加害者から多額の損害賠償金を受け取ることができても、脊髄損傷という後遺障害を抱えながら今後どのような生活が待っているかはわからず、安心して暮らすためにも長期的な補償を受けることが重要です。

優先順位としては保険会社との賠償金のやり取りが先決ですが、一通りの手続きに区切りがついたタイミングで、年金事務所に障害年金の申請をすることをおすすめします。

3.適正な損害賠償金を受けるために取るべき行動【5ステップで解説】

ここからは、適正な損害賠償金を受けるために取るべき行動を5つのステップで紹介します。

・STEP1.交通事故に強い弁護士に相談・依頼する

・STEP2.症状固定のタイミングを決める

・STEP3.主治医に診断書を書いてもらう

・STEP4.後遺障害等級認定の申請をする

・STEP5.加害者側の保険会社と示談交渉する

なお本記事では、バイク事故で脊髄損傷を負ったすべての方が症状に見合った適正な損害賠償金を確実に受け取る方法として、「まずは弁護士に相談・依頼」という手法をおすすめしています。

Q.いきなり弁護士をつけるのはハードルが高い…自力で手続きするのはNG?
A.自分1人ですべての手続きを行うにはさまざまなリスクがあります。
相談だけでも必ずしましょう。  
交通事故のお金の問題には明確な「正解」がないため、専門知識にもとづいた根気強い交渉が必要です。
専門知識を持たない被害者が手続きをすべて1人で行った場合、さまざまなリスクがあります。
・精神的負担を負うリスク
情報収集・事務手続き・保険会社との交渉で精神的に疲弊し、その後の生活がままならなくなる  
・二度手間のリスク
はじめは自分1人でやるつもりだったが、途中で手に負えないことに気づき結局弁護士に依頼する  
・泣き寝入りのリスク
納得できない賠償金を提示されたが、保険会社の圧に負けて承諾してしまう   事故にあったご自身をいたわるためにも、頼れる第三者という存在は重要です。 実際に依頼するかどうかは一度置いておいて、まずは無料相談を利用してみてはいかがでしょうか。

交通事故の損害賠償金は、法律で詳細な金額が定められているものではないため、本章で紹介するステップを経なければ相場よりも低い金額を見積もられてしまう危険があります。

事故後の生活基盤を整えるために、適正な金額の賠償金をしっかり請求しましょう。

3-1.STEP1.交通事故に強い弁護士に相談・依頼する

まずは、交通事故に強い弁護士に相談・依頼をします。

交通事故解決のプロである弁護士は、

・適正な後遺障害等級を取得する方法

・保険会社に適正な賠償金を請求する交渉の方法

を熟知しているため、被害者自身で手続きするよりも最終的に受け取れる賠償金が多くなる可能性が高いです。

賠償金相場は症状の重さやその後の生活への影響によって異なりますが、実際に「加害者側の保険会社から持ちかけられた賠償金の金額があまりに低すぎて不審に思い、弁護士に依頼したところ1,000万円以上もの増額が実現した」といったケースは少なくありません。

事故にあってすぐのタイミングや、まだ後遺障害の症状が確定していない治療中のタイミングなど、できるだけ早い段階で弁護士を探して相談しましょう。

交通事故に強い弁護士の選び方のポイントは、主に以下の3点です。

交通事故に強い弁護士の選び方
①交通事故の解決実績が多数ある  
バイク事故や脊髄損傷など、自分の状況に近い解決実績があるとなお良い
②サポートの範囲が広い
  診断書作成時のアドバイス・事故やケガの資料の収集・各種手続きの代行など、賠償金の交渉以外のサービスも充実している弁護士を選ぶほど、被害者自身の負担が少なくなる
③顧問医がいる  
法的視点に加え、医療の視点から問題解決をサポートしてくれるため、より適切な解決ができる可能性がある

無料相談を受け付けている弁護士も数多く存在するため、いくつか候補を絞ってから相談してみることをおすすめします。

「治療や今後の生活に備えるのに精一杯で、弁護士を選ぶ気力がない」

「結局どの弁護士事務所が良いか判断できず決められない」

という方は、記事後半の「5.バイク事故・脊髄損傷の賠償金増額実績あり!初期費用のかからない「弁護士法人サリュ」にご相談ください」をご覧ください。

3-2.STEP2.症状固定のタイミングを決める

続いて、症状固定のタイミングを決めます。

【症状固定とは?】
  ケガや病気の症状が、これ以上治療を行っても回復を期待できない状態になること

症状固定を決定して治療を打ち切るのは主治医の役割ですが、タイミングに関しては

・主治医

・被害者

・弁護士

の3者で相談しながら決めることが重要です。

症状固定のタイミングは非常に重要かつ判断が難しく、早すぎても遅すぎてもデメリットがあるため、慎重に決める必要があります。

症状固定のタイミングを誤ることによるデメリット
早すぎると…遅すぎると…
後から症状改善の可能性が出てきた場合、追加で治療を行っても保険会社に治療費を請求できない保険会社との示談交渉が進まず、いつまでも損害賠償金を受け取れない

脊髄損傷は麻痺の状態に変化がなくなるまで1年以上[50] のリハビリ期間がかかるケースもあるので、特に早すぎる打ち切りには注意が必要です。

加害者側の保険会社としては、 早い段階で症状固定を促してくるケースもありますが、医師の意見や弁護士の意見を参考にしましょう。

3-3.STEP3.主治医に診断書を書いてもらう

症状固定をしたら、主治医に「後遺障害診断書」を書いてもらいます。

【後遺障害診断書とは?】
  被害者の後遺障害の症状や生活への支障について、具体的に証明する書類のこと
後遺障害の等級が決まる際の重要な資料になる  

出典:株式会社 創耕舎「交通事故診療 第6版 書式データ

後遺障害の等級は診断書を元に決まると言っても過言ではなく、診断書の内容によって最終的に受け取れる賠償金の額が左右されるため、診断書は非常に重要な資料です。

ここで注意したいのが、「主治医はあなた(被害者)が後遺障害の高い等級を取得するために全力を尽くしてくれるとは限らない」という点です。

医師の本来の仕事は治療や診察だからです。

そこで、主治医が作成した診断書の内容を弁護士にチェックしてもらい、修正の必要があれば主治医にかけあいましょう。

【被害者本人が主治医とかけあって診断書の修正依頼をするのはおすすめしない】
  主治医が作成した診断書に納得のいかない部分があっても、被害者本人が弁護士を通さず主治医に修正依頼するのはおすすめしません。
  医師の誤りを正しく指摘するのは、素人である被害者にとっては非常に難易度が高く、修正に応じてもらえない可能性が高いです。  

3-4.STEP4.後遺障害等級認定の申請をする

続いては、後遺障害認定の申請をします。

【後遺障害等級認定とは?】  
交通事故被害者の後遺障害を「損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)」が審査し、部位や症状の重さに応じて1~14級の等級を認定すること(最も低い14級の基準に満たない場合は、「非該当」となる)。
  後遺障害の等級は賠償金の金額を計算する際の基準になるため、後遺障害についての補償を受けるためには、必ず後遺障害等級認定の手続きが必要になる。

後遺障害等級認定の申請方法は、以下のとおりです。

・必要書類(診断書・事故発生状況報告書・レントゲン写真など)を作成する

・作成した書類を保険会社に提出する

・損害保険料率算出機構の審査を待つ

認定される等級は症状の重さ等によって大きな個人差がありますが、一般的に脊髄損傷を負った方は次のような等級が認定される可能性があります。

脊髄損傷者に予想される後遺障害認定等級
等級症状の程度慰謝料の目安
裁判所基準
第1級生命維持に必要な身のまわりの処理の動作について常時介護を要するもの2,800万円
第2級生命維持に必要な身のまわりの処理の動作について随時介護を要するもの2,370万円
第3級生命維持に必要な身のまわりの処理の動作は可能であるが、労務に服することができないもの1,990万円
第5級極めて軽易な労務にしか服することができないもの1,400万円
第7級簡易な労務にしか服することができないもの1,000万円
第9級通常の労務に服することはできるが、就労可能な職種が相当程度に制約されるもの690万円
第12級通常の労務に服することはでき、職種制限も認められないが、時には労務に支障が生じる場合があるもの290万円

上の表を見て分かるとおり、後遺障害等級認定で何級を取得できるかによって、最終的に受け取れる損害賠償の金額は大きく左右されます。

認定の結果に納得がいかない場合は、「異議申立」をして再度審査してもらうことも可能ですので、弁護士のサポートを受けながら慎重に手続きを進めましょう。

3-5.STEP5.加害者側の保険会社と示談交渉する

最後は、いよいよ加害者側の保険会社と示談交渉をします。

示談交渉の流れは、一般的に以下のとおりです。

・被害者側が適切であると考える損害賠償案を提示し 、示談交渉する(電話や書面)

・話がまとまれば示談書を取り交わし示談成立となる

・話がまとまらない場合は裁判等で解決を目指す

弁護士に依頼した場合、示談交渉は保険会社と弁護士の間で行われるため、弁護士から何か指示がない限りは被害者自身が動くことはありません。

加害者側の保険会社と被害者側の弁護士では、それぞれ次のような立場で交渉を行います。

示談交渉における保険会社と弁護士の立場
保険会社弁護士
必要以上に多くの賠償金を支払うことは避けたい被害者の味方としてできる限り高い金額で示談したい

示談交渉の争点となるのは、主に以下の3つです。

・過失割合(車とバイクの事故では車の過失が大きくなることが多い )

・事故による仕事や私生活への影響

・慰謝料の基準(弁護士と保険会社では使う慰謝料の基準が異なるため、慰謝料の額に差が生まれる )

弁護士は法や制度に関する知識や過去の事例にもとづいて、症状に見合った金額を算出し、保険会社との交渉を行います。

保険会社の提示する賠償金の額は低く見積もられやすい傾向にあるため、弁護士の示談交渉によって増額されるケースも珍しくありません。

賠償金の計算や交渉を被害者自身で行うのは極めて困難であるため、賠償金を増額したいのであれば弁護士への依頼は必須と言えるでしょう。

4.バイク事故・脊髄損傷の賠償金増額実績あり!初期費用のかからない「弁護士法人サリュ」にご相談ください

バイク事故で脊髄損傷を負い、

「保険会社から提示された損害賠償金に納得が行かず、交通事故に強い弁護士に相談したい」

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といったお悩みを抱えている場合は、交通事故トラブル解決のプロフェッショナル「弁護士法人サリュ」にご相談ください。

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解決事例2万件以上!バイク事故・脊髄損傷を負った方の増額実績もあり
交通事故の賠償金を巡るトラブルを解決へと導いた事例は2万件以上に渡り、
バイク事故や脊髄損傷を負った方の増額実績もあります。  
【バイク事故・脊髄損傷の解決実績(一例)】
・脊髄損傷とその他の後遺障害で併合2級を取得。損害賠償金を2億円獲得した事例
・車と原付の事故で後遺障害5級の脊髄損傷。損害賠償金を2,700万円獲得した事例
・車対バイクの衝突事故で後遺障害12級に認定。損害賠償金を1,300万円獲得した事例  
異議申立による等級変更・保険会社との示談交渉・裁判など、あらゆるケースに対応します。
医療知識が豊富な「顧問ドクター」が全国各地に在籍
サリュには、法律だけではなく医療の視点から適正な権利を主張できるよう、
全国各地に顧問ドクターが存在しています。  
・後遺障害認定獲得のために必要な検査の提案
・診断書のチェック
・資料の収集  
などを顧問ドクターとも相談しながら進めることにより、
症状に見合った適正な認定結果へと導きます。
  >>サリュの顧問ドクターによるサポートについて詳しく見る

バイク事故で脊髄損傷を負った場合、後遺障害の重さによっては高額な損害賠償金を獲得できる可能性があります。

交通事故被害者が加害者に対する怒りや悔しさを少しでも和らげて前向きに生活していくためには、専門家の力を借りて適正な賠償金を受け取ることが重要です。

まずはご来所不要・初回無料の「オンライン無料相談」をご活用ください。

サリュの実績や詳しいサービスについて知りたい場合は、以下のページをご覧ください。

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5.まとめ

最後に、本記事の重要ポイントをおさらいします。

▼バイク事故で脊髄損傷を負った方とその家族ができること

・早期リハビリに専念する
・もらえるお金はしっかり受け取る  
→脊髄損傷の完治は難しく後遺症が残る可能性があるため、残された身体機能の回復と今後の生活基盤を固めることが重要

▼バイク事故で脊髄損傷を負った被害者が受け取れる可能性のあるお金

・損害賠償金(加害者がいる場合)
・人身傷害保険(自損事故の場合)
・労災保険
・傷病手当金
・生命保険
・障害年金  
→自分(家族)の保険の加入状況を確認し、請求できるものは速やかにする

▼適正な損害賠償金を受けるために取るべき行動

STEP1.交通事故に強い弁護士に相談・依頼する
STEP2.症状固定のタイミングを決め主治医に診断書を書いてもらう
STEP3.後遺障害を申請する
STEP4.加害者側の保険会社と示談交渉する  
→すべての手続を自力で行うのは難しいため、弁護士のサポートを受けながら行う

本記事の内容を参考に、あなたやあなたのご家族が事故の後遺症と向き合い、少しでも前向きに今後の生活を送れることを祈っています。