【弁護士解説】交通事故で大腿骨骨折したら知っておくべき4つのこと

「突然の交通事故で大腿骨骨折。痛みがひどく、治療も長引きそう…今後の仕事や生活はどうなるんだろう?」

「医師から後遺症が残るかもしれないと言われた。もし後遺症が残ったら、慰謝料はどれくらい受け取れるんだろうか?」

交通事故に遭い、大腿骨骨折という大けがを負ってしまった場合、痛みや不安など、身体的・精神的苦痛を抱えていることと思います。

さらに、慣れない手続きや保険会社とのやり取りで混乱し、「治療に専念できない…」と感じているのではないでしょうか。

大腿骨骨折は、入院や通院が長期化する傾向にあります。

加えて、治療後に何らかの症状(後遺症)が残る可能性も高く、日常生活で不便を感じることが多い外傷です。

大腿骨骨折という重傷を負った被害者は、まず以下の4つの基本知識を抑えておきましょう。

交通事故で大腿骨骨折したら知っておくべき4つのこと
①大腿骨骨折は後遺症が残る場合が多い
②後遺症には「後遺障害認定されるもの」と「されないもの」がある
③後遺障害に認定されると慰謝料が飛躍的に上がる
④正当な慰謝料をもらうなら早めに専門家へ相談したほうがいい

上記4つの基本知識を踏まえたうえで、

・大腿骨骨折で請求できるお金の種類や相場

・交通事故発生から賠償金受け取りまでの全体像

を理解すれば、正当な賠償金の相場感が把握でき、さらに保険会社とのやり取りがスムーズに進められます

「交通事故発生から賠償金受け取りまでの全体像」は以下のとおりです。参考にしてください。

今回は、交通事故被害者救済のプロであり、解決実績2万件以上のサリュ「正当な賠償金を得るために押さえるべきポイント」を徹底解説します。

この記事を読んでわかること
◎交通事故被害者が絶対に損をしないための基礎知識がわかる
◎賠償金の相場感や受け取りまでの流れがわかる
◎請求できるお金の種類がわかる
◎正当な賠償金請求のために、被害者側のやるべきことがわかる

この記事を読めば、交通事故による大腿骨骨折について「正当な賠償金請求をするために、被害者が押さえるポイントと手続きの全体像」が理解できます。

特に「保険会社の提示を真に受けて大丈夫なのだろうか?」「示談交渉で泣き寝入りしたくない」と考える方に役立つ内容です。

お金の不安や、保険会社との交渉に関する悩みを解消し、一日でも早く、安心して治療に専念できる環境を整えましょう。

この記事の監修者
弁護士 馬屋原 達矢

弁護士法人サリュ
大阪弁護士会

交通事故解決件数 900件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
2005年 4月 早稲田大学法学部 入学
2008年 3月 早稲田大学法学部 卒業(3年卒業)
2010年 3月 早稲田大学院法務研究科 修了(既習コース)
2011年  弁護士登録 弁護士法人サリュ入所
【著書・論文】
交通事故案件対応のベストプラクティス(共著:中央経済社・2020)等
【獲得した画期的判決】
【2015年10月 自保ジャーナル1961号69頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責非該当の足首の機能障害等について7級という等級を判決で獲得
【2016年1月 自保ジャーナル1970号77頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責非該当の腰椎の機能障害について8級相当という等級を判決で獲得
【2017年8月 自保ジャーナル1995号87頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責14級の仙骨部痛などの後遺障害について、18年間の労働能力喪失期間を判決で獲得
【2021年2月 自保ジャーナル2079号72頁に掲載】(交通事故事件)
歩道上での自転車同士の接触事故について相手方である加害者の過失割合を7割とする判決を獲得

1. 交通事故で大腿骨骨折したら知っておくべき4つのこと

交通事故で大腿骨骨折という重傷を負った場合、必ず知っておくべきことが4つあります。

交通事故で大腿骨骨折したら知っておくべき4つのこと
①大腿骨骨折は後遺症が残る場合が多い
②後遺症には「後遺障害認定されるもの」と「されないもの」がある
③後遺障害に認定されると慰謝料が飛躍的に上がる
④正当な慰謝料をもらうなら早めに専門家へ相談したほうがいい

まずは、もっとも心配な「後遺症」について、ポイントを絞って説明します。

1-1. 大腿骨骨折は後遺症が残る場合が多い

大腿骨骨折は、後遺症の確率が高い外傷です。

後遺症とは、治療を終えたあとに完治せず、何かしらの症状が残る状態をさします。

大腿骨骨折の後遺症として多いのは、以下のような症状です。

大腿骨骨折の代表的な後遺症
痛みやしびれ
・体重をかけたとき、しゃがんだときなどに痛みが出る
・骨折部位にしびれが残る  

股関節の可動域制限
・股関節が曲げにくくなる
・曲げられる範囲が狭くなる
・曲げると痛みが出る  

歩行困難
・長距離を歩けなくなる
・歩くと痛みが出る  

脚の短縮
・骨折した方の脚が短くなる
・左右のバランスが崩れ歩きづらくなる

大腿骨は上半身を支える重要な部位です。

そのため、ひとたび後遺症が残ってしまうと、歩く・立つ・座るといった日常の動作に大きく影響します。

骨折した部位や状況によって後遺症の程度は人それぞれですが、たとえ軽度な後遺症であっても、本人にとっては、つらく苦しいことに違いありません。

一方、後遺症を「慰謝料」という観点からみた場合、後遺症は大きく2つに分けて考えることになります。

それは「後遺障害認定されるもの」と「されないもの(後遺障害非該当)」です。

次章で詳しく説明します。

1-2. 後遺症には「後遺障害認定されるもの」と「されないもの」がある

「後遺障害」とは、後遺障害等級表における等級(第1級から第14級)にあてはまる後遺症のことをさします。

後遺障害等級の認定を受けると、請求できる慰謝料が大幅にアップします。その為、後遺障害に認定されるかどうかは、被害者にとって大きな分かれ道といえるでしょう。

しかし、すべての後遺症が「後遺障害」に該当するわけではありません。

治療後に何かしらの症状が残ったとしても、「後遺障害等級表における等級(第1級から第14級)」にあてはまらなければ「後遺障害慰謝料」の対象にはならないのです。

分かりやすくいうと、「後遺障害(第1級から第14級)」は「後遺症」の一部という位置付けです。

大腿骨骨折の治療後に、何かしらの後遺症が残った場合は、加害者側の自賠責保険に対し、後遺障害等級の認定申請を行います

以下の図で「後遺障害認定」までの流れを確認してみましょう。

上記の通り「後遺障害等級に認定」されれば、等級に応じた「後遺障害慰謝料」が算定されます

一方、後遺症が残っても後遺障害等級に認定されなければ、後遺障害慰謝料の対象になりません。

1-3. 後遺障害に認定されると慰謝料が飛躍的に上がる

前述のとおり、後遺障害に認定される利点は、賠償額が一気に跳ね上がることです

「後遺障害に認定されるケース」と「されないケース(非該当)」では、どれくらい賠償額に差がでるのでしょうか?

実際にあった事例で見てみましょう。

下記は「後遺障害非該当」だった方が異議申立ての結果、後遺障害12級に認定されたケースを図にしたものです。

参考:サリュ「事例27:異議申立で非該当から12級に!逸失利益も増額!脛骨高原骨折」

上記の例では、当初、保険会社から提示された示談金は80万円でした。

その後、後遺障害認定について異議申立てをした結果、後遺障害12級に認定され、最終的に460万円(自賠責からの既払金等も含めると総額581万円)を受け取りました

このように、後遺障害に認定されると、受け取れる賠償金は大きく跳ね上がります

具体的には、治療費や入通院の慰謝料(傷害慰謝料)のほかに、「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」が上乗せされることが特徴です

請求できるお金後遺障害等級認定された場合非該当だった場合
後遺障害慰謝料  
・事故による怪我で後遺障害が残ってしまった場合に請求できる慰謝料
・第1級から第14級までの等級に応じた慰謝料が算定される

(請求できる)
×
(請求できない)
逸失利益  
・後遺障害がなければ将来に稼げたであろう収入
・減収を補てんするために、逸失利益という費目で賠償金が支払われる

(請求できる)
×
(請求できない)

以上のように、後遺障害等級に認定されれば「等級に応じた後遺障害慰謝料」「逸失利益」を請求できるようになるため、賠償金額は格段に大きくなります。

(後遺障害慰謝料の額については「交通事故で大腿骨を骨折した場合に請求できるお金一覧」で後述

1-4. 正当な賠償金をもらうなら早めに弁護士へ相談したほうがいい

結論、交通事故で大腿骨骨折という大ケガを負った方は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

なぜなら多くの場合、弁護士へ依頼する方が圧倒的に高い賠償金を獲得できるからです。

以下の図は、

・被害者が自分で示談交渉した場合

・弁護士に依頼した場合

の賠償金額を比較したものです。

出典:サリュ

上記の図の通り、治療の長期化や後遺障害の認定により、賠償金額に数百万円以上の差が出ることもあります。

では、なぜ弁護士へ依頼すると賠償金額が圧倒的に高くなるのでしょうか。

その理由は、以下の2つに集約されます。

弁護士に依頼すると賠償金が高くなる2つの理由
症状に見合った適正な後遺障害等級を受けられるから
弁護士は「後遺障害診断書」の内容や申請に添付する資料を精査し、残存する後遺症に対する適正な後遺障害等級の認定をサポートする。実際、弁護士のサポートによって「後遺障害認定非該当だったケースが該当になった」「等級が上がった」などの事例が多数ある。  

②慰謝料の算定基準のなかで、もっとも高い「弁護士基準」で算定するから
保険会社からの提示額が低い場合、さまざまな観点から根拠を見出し、「弁護士基準」による適正な賠償金に引き直して提示する。

特に、慰謝料の算定には下記の3つの基準があり、どの基準で算定するかによって慰謝料の額は大きく上下するという点を押さえておきましょう。

出典:サリュ

結論、慰謝料がもっとも高額になるのは「弁護士基準」です。

「弁護士基準」とは、過去の裁判例をもとに定められた基準のことであり、「裁判基準」とも呼ばれています。

一方、保険会社から提示される慰謝料は、「自賠責基準」「任意基準」で算定されるため、正当な賠償金に比べて大幅に低いケースがあります。

事故の被害が重篤な方ほど「納得できない」と感じるはずです。

以上のように、交通事故の慰謝料に「定価」があるわけではなく、慰謝料は算定基準によって金額が大きく上下するのが現状です。

「絶対に妥協せず、弁護士基準で適正な慰謝料を請求したい」と思った方は、交通事故被害者のサポートに特化した弁護士へ相談してみましょう。

2. 交通事故で大腿骨を骨折した場合に請求できるお金一覧

ここまでの解説で、大腿骨骨折について、

・治療が長引く傾向にあること

・後遺障害が残る可能性が高いこと

をご理解いただけたと思います。

入院や通院が長引けば、当然、生活に多大な支障が出ます。身体的・精神的な負担に加え、被害者を悩ませるのが「経済的な負担」でしょう。

交通事故で大けがを負った場合に請求できるお金は、治療費だけではありません。

下記は「大腿骨骨折で請求できるお金の種類」を一覧表にしたものです。参考にしてください。

【交通事故】大腿骨骨折で請求できるお金の種類
加害者側へ
請求するお金
治療関連費
通院関連費
傷害慰謝料(入通院慰謝料)
外傷の苦痛や入院や通院に対する慰謝料のこと
休業損害
交通事故発生から症状固定までの期間の減収を補填するもの
診断書の作成料
後遺障害慰謝料
後遺障害として等級が認定された場合の慰謝料のこと  
※ただし、後遺障害等級認定されることが条件
逸失利益
後遺障害がなければ将来に稼げたであろう収入のこと  
※ただし、後遺障害等級認定されることが条件
上記以外被害者個人が加入している保険
労災関連

※ケガの治療や状況によって該当する項目が異なります

「大腿骨骨折」の場合、賠償金がいくら受け取れるのかが気になるところだと思います。

実際には個々のケースで賠償金額はマチマチなのですが、イメージをもっていただくために「大腿骨骨折の解決事例」を1つご紹介します。

下記の事例は「右大腿骨頚部内側骨折と右大腿骨骨幹部骨折、左肩関節脱臼の大怪我を負ったケース」です。

約3年弱の治療期間を経て、合計1,900万円の和解となりました(実際には、賠償額はケガの状況や治療期間、被害者の年齢や職業等によって大きく変動するため、参考としてご覧ください)。

参考:サリュ「事例43:大腿骨頚部内側骨折、肩関節脱臼。裁判基準で示談成立!」

上記事例は、大腿骨骨折を含む重傷であり、かつ重度の後遺障害が残った事例のため、1,000万円を超える大きな額となりました。

この章では、賠償金のなかでも、特に大きな割合を占める下記3つについて、相場や請求する際のポイントを掘り下げて解説します。

・後遺障害慰謝料の相場

・入通院の慰謝料相場

・休業損害の相場

2-1. 後遺障害慰謝料の相場

慰謝料のなかでも大きなウェイトを占めるのが「後遺障害慰謝料」です。

「後遺障害慰謝料」は、後遺障害等級の認定を受けた方のみが対象です

後遺障害の等級は「第1級から第14級」までのレベルに分かれています。

各等級における後遺障害慰謝料の相場は、以下の通りです。

【後遺障害慰謝料】(赤い本基準)

等級後遺症障害慰謝料の相場
(弁護士基準)
1級2,800万円
2級2,370万円
3級1,990万円
4級1,670万円
5級1,400万円
6級1,180万円
7級1,000万円
8級830万円
9級690万円
10級550万円
11級420万円
12級290万円
13級180万円
14級110万円
非該当0円

※上記金額の獲得をお約束するものではありません。

上記の通り、後遺障害慰謝料の相場は、等級によって大きく変動します。後遺症の程度が重いほど、後遺障害慰謝料は高額になります。

交通事故被害者や、そのご家族が、もっとも気になるのは、

「自分は後遺障害に認定されるのか」

「自分の場合、何級の後遺障害に認定されるか」

の2点なのではないでしょうか。

残念ながら、「大腿骨骨折」という同じ診断名であっても、治療の経過や後遺症の程度は人によってマチマチです。

そのため、「後遺障害に認定されるのか」「認定される場合は、何級に該当するか」という点は、実際に申請結果が出るまで分かりません。

ひとつの目安として、当事務所がサポートした案件のなかから「大腿骨骨折による後遺障害認定を受けた事例」を2つ紹介します。

事例①【大腿骨骨折による後遺障害認定を受けた事例】

賠償金額1,635万円  

※後遺障害慰謝料を含めた最終的な賠償額
後遺障害等級10級11号(関節の機能に著しい障害を残すもの)
ケガの診断名右大腿骨頚部骨折
症状固定までの期間2年3ヶ月
被害者の属性会社員(男性)
事故の状況・バイクで十字路の交差点を直進しようとした
・左方から交差点に進入してきた加害車両に衝突
・右大腿骨頚部骨折の受傷

事例①の詳細をみる

事例②【大腿骨骨折による後遺障害認定を受けた事例】

賠償金額1,200万円  

※後遺障害慰謝料を含めた最終的な賠償額
後遺障害等級12級13号  

※後遺症:大腿骨骨頭壊死とそれによる股関節の神経症状
ケガの診断名大腿骨開放骨折
被害者の属性外国人留学生
事故の状況自転車で走行中に、交差点で乗用車と衝突する事故により、大腿骨開放骨折を負い、2ヶ月以上の入院を余儀なくされた

事例②の詳細をみる

上記2つの事例は、いずれも大腿骨骨折による後遺障害に認定されたケースです。

状況によって後遺障害等級や賠償額は大きく異なるものの、何かしらの後遺症が残った場合、後遺障害等級の認定を受けられる可能性はあります。

後遺障害が認定されると、賠償金は一気に上がります。

もし、残存する症状に対し「適正な後遺障害慰謝料を請求したい」とお考えなら、被害者サポート専門の弁護士に相談するのがおすすめです。

2-2. 入通院の慰謝料相場

続いて解説するのが、「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」です。

入通院慰謝料とは、外傷の苦痛や入院や通院に対する慰謝料をさします(入院費・通院費など病院へ支払う治療関係費とは別)。

対象になるのは、交通事故の被害者が入院や通院をして治療を受けた期間です。

入通院慰謝料の額は、入通院の期間・日数によって、下表をもとに算出します。

入通院慰謝料の計算方法について、具体例で確認しましょう。

【例】入通院慰謝料の計算方法(弁護士基準による相場)  

・大腿骨骨折で3ヶ月入院
・退院後、6ヶ月通院

上表から入院3ヶ月と通院6ヶ月がクロスする部分を参照
 
入通院慰謝料(傷害慰謝料)は211万円

以上のように、入通院慰謝料は、入院期間・通院期間が長くなるほど高額になることが、お分かりいただけたと思います。

大腿骨骨折の場合、入院・通院ともに長くなる傾向です。

治療に専念し、退院後も安心して生活できるよう、適正な慰謝料をしっかり請求しましょう。

【補足】必ずしも「入通院慰謝料算定表」の通りの入通院慰謝料が約束されるわけではありません。治療の状況や通院の頻度によって異なることもあるため、目安としてご覧ください。

2-3. 休業損害の相場

休業損害とは、交通事故が原因で仕事を休まざるを得なくなった場合に「減ってしまった収入のこと」です。

基本的に、交通事故によるケガの治療で入院・通院した日が対象になります。

休業損害を請求できるのは、以下の方々です。

休業損害を請求できる方
・給与収入を得ている方(会社員・アルバイト・パートなど)
・自営業の方
・専業主婦(主夫)、など

「専業主婦(主夫)」は収入を得ていないものの、家事や育児といった労働に従事しているとみなし、休業損害の対象となります。

一方、休業損害を請求できないのは「無職の方」など、事故前に労働の対価としての収入を得ていなかった方です。

では、休業損害の相場は、いくらなのでしょうか。

休業損害の相場は一定ではなく、事故前の収入をもとに算出します。

計算方法は職業によって異なるため、以下の表を参考にしてください。

請求できる人休業損害の計算方法請求に必要なもの
給与所得者事故にあう前の直近3ヶ月分の給与明細をもとに、平均給与を計算  
休業損害 = 基礎日額 × 休業日数
・休業損害証明書
・源泉徴収票
自営業者事故の前年度の確定申告書を元に、平均年間所得を計算・前年度の所得税確定申告書
専業主婦
(主夫)
賃金センサス(日本全国の労働者の平均賃金の統計)を用いて計算

2020年3月31日に発表された賃金センサスによると、全女性の全年齢の平均賃金は年間388万円のため、日額1万630円
 

給与所得者の休業損害について、下記の例で計算してみました。

例【給与所得者の休業損害の計算】

直近3ヶ月分の給与:120万円
出勤日数:60日
基礎日額:2万円
休業日数:100日  

休業損害:200万円

上記の例で分かる通り、入院・通院が長期化すれば、休業損害も高額になります。

大腿骨骨折は入院・通院が長期化することも多いケガです。

事故前に(労働の対価としての)収入を得ていた方、専業主婦(主夫)の方などは、忘れずに請求するようにしましょう。

【補足】「休業損害」についての疑問
給与所得者(会社員など)の場合
・有給休暇を使って休んだ場合も、休業損害として請求できる
・異動によって収入が減った場合も、事故との因果関係があれば請求できる  

自営業・フリーランスの場合
・年度ごとに収入が大きく変動する場合(たまたま前年度だけ極端に収入が少なかったなど、被害者にとって不利益な結果になる場合)は、事故前3~5年の申告書を元に計算することがある
・休業中に発生する必要経費のうち固定費(店の家賃・従業員の給与・光熱費・保険料・リース代など)も損害に含むことができる

3. 【図解で分かる】交通事故発生から賠償金受け取りまでの流れ

ここまで、大腿骨を骨折した場合に請求できるお金(賠償金など)について、詳しく見てきました。

この章では、交通事故発生から賠償金受け取りまでの全体像を確認していきましょう。

交通事故発生から賠償金受け取りまでの流れは、以下の通りです。

図でわかる通り、事故解決までには、さまざまな手続きが絡んできます。

分岐点になるのは、

・治療終了後に後遺症が残るか
・後遺症が「後遺障害等級に認定」されるか
・示談交渉で折り合いがつくか

の3点です。

残念ながら、被害者側がしっかり主張しなければ、本来より低い賠償金額を受け入れる結果になりかねません。

被害者が事故解決までの全体像と交渉のポイントを理解しておけば、「いつ何をすべきか」がわかります。

最終的に、正当な賠償金を漏れなく請求できるはずです。

あとで「知らなかった!」「損をした!」と後悔することが無いよう、ここでしっかり確認しておきましょう。

3-1. 医師のもと治療に専念する

あたり前と思われるかもしれませんが、ケガが治るまでは、しっかり治療に専念することが大切です。

「ケガが治るまで」とは、一般的に「完治」または「症状固定」をさします。

たとえ退院して経過が順調であっても、医師から「完治」や「症状固定」と診断されるまでは、治療を継続しましょう。

特に注意すべきは、自己判断で通院を中断したり、通院回数を減らしたりしないということです。

なぜなら、自己判断で治療を中断すると、

・治るはずのケガが治らない

・「入通院慰謝料」が減額される

といったリスクが生じることもあるからです。

できる限り事故前の状態までケガを治すためにも、正当な賠償金を請求するためにも、「完治」または「症状固定」までは治療に専念しましょう。

【注意!】保険会社から症状固定を打診されても無理に応じる必要はない
基本的に、保険会社が治療費を負担するのは完治、または症状固定までの期間です。

保険会社は慰謝料などが増えることを防止するため、症状固定を打診してくることがあります。  

治療の終わりを判断するのは、あくまで主治医です。そのため、保険会社から打診があっても、無理に治療を打ち切る必要はありません。

もし保険会社への対応交渉に迷ったら、交通事故専門の弁護士へ相談してみましょう。

3-2. 後遺症が残ったら「後遺障害等級の認定」を申請する

医師の元、治療に専念した結果、残念ながら完治せず、なんらかの「後遺症」が残ることがあります。

後遺症が残ってしまった場合は「後遺障害等級の申請」を求める流れが一般的です。

後遺障害等級の認定を受けるための申請手続きは、どのように行なうのでしょうか?

大まかな流れを下記の図で見てみましょう。

後遺障害認定は、医師が作成した「後遺障害診断書」を元に「書面審査」で決定されます(ケースによっては直接面談を行なう場合もあります)。

申請後、「後遺障害」が認められれば、「第1級~第14級までの等級に応じた慰謝料」を算定する仕組みです。

以上のように、「後遺障害等級の認定」を受けられれば、「後遺障害慰謝料」のほか、逸失利益請求でき、賠償金は一気にアップします。

つまり、「後遺障害等級の認定」の有無は、被害者にとって大きな分かれ道になるのです。

さらにいうと、単に「後遺障害等級の認定」を受けられれば良いというわけではなく、症状に見合った適切な「後遺障害等級の認定」を受け、納得のいく慰謝料を請求することが重要になります。

後遺障害等級の申請は「被害者請求」がおすすめ!
後遺障害等級の申請には「事前認定」と「被害者請求」の2通りがあります。

事前認定とは、加害者側の任意保険会社を通じて後遺障害の申請をする方法です。いわば「保険会社お任せパック」です。手続きの手間はありませんが、半面、どのような書類が提出されたか分からないという不透明さが残ります。

一方「被害者請求」とは、被害者自身で申請を行う方法です。手続的な負担が生じますが、その分、認定に有利な資料を提出することができます。結果的に、適正な等級の認定を受けやすいのがメリットです。

また、後遺障害が認定された段階で、被害者へ直接「自賠責保険金」が支払われることも特徴です。

※詳しくはサリュの交通事故コラム「事前認定で14級の後遺障害申請をするデメリットとは」をチェックしてみてください。  

後遺障害等級の認定について「納得のいく結果を得たい」という方は「被害者請求」で進めましょう。手続きに不安がある方は、プロに相談するのがおすすめです。  

私たち弁護士は、顧問医の協力のもと、画像や各種検査結果を精査して、適切な後遺障害認定獲得のお手伝いをします。  

弁護士への相談をお考えなら、「【大腿骨骨折でお悩みの方へ】弁護士への依頼は早い方がいい!「サリュ」なら治療中からサポートできる」をご覧ください。

3-3. 治療が終わったら示談交渉を開始する

治療が終わったら、加害者側の保険会社と示談(任意交渉)を開始します。

示談とは、被害者と加害者(保険会社)の双方が話し合いの上、賠償金額を決定する方法です。

通常は、加害者の任意保険会社から賠償金の提示があります。

両者が賠償金額に合意した場合は、示談書を作成します。示談書に署名捺印をすれば、示談交渉成立です。

交通事故の多くは、示談交渉で解決されます。裁判や調停と比較して、早期に解決できるケースが多いからです。

とはいえ、示談交渉で進める場合でも、被害者側が絶対に抑えておくべきポイントが2あります。

示談後に「こんなつもりじゃなかった」「賠償金額に納得できない」と後悔しないよう、必ずチェックしておいてください。

示談交渉で押さえるべき重要ポイント
・保険会社の提示額に納得がいかない場合は、無理に合意する必要はない
示談書に署名捺印してしまうと、原則として賠償金額を変更できません。保険会社の提示額が低すぎて、合意できないと感じるなら、弁護士に相談することをおすすめします。  

・損害額はモレのないように計算する
請求できるお金は「治療費」「休業損害」「傷害慰謝料」のほか、後遺障害等級に認定された場合は「後遺障害慰謝料」「逸失利益」を加算します。特に計算のモレが出やすいのは「通院時の交通費」や「入院雑費」などです。さらに「看護料」が認められる場合は、忘れずに加算しましょう。

もし、示談を進めるなかで「賠償金の正当な請求額が判断できない」などお困りのことがあれば、交通事故の解決事例が多い弁護士に相談するのがおすすめです。

3-4. 示談交渉が決裂する場合は裁判や調停の選択肢もある

保険会社との示談交渉がまとまらず決裂した場合、最終的には裁判や調停という解決方法もあります。

裁判とは
裁判官が法と証拠に基づいて評決を下し、強制力を持った解決を図る制度。示談や調停と異なり、裁判を行なうには費用がかかる。また、手続きも複雑になるため、実際には弁護士に依頼するケースが大半。  

調停とは
裁判所の調停委員会に両当事者が出頭し、中立な立場の調停委員が間に入って話し合いを重ね、円満な解決を図る制度。調停が成立しなければ、結局は裁判に進むことになる。また、示談交渉より長期化する傾向にある。

裁判や調停になると、厳格な立証が必要になったり、難しい手続きが増えたりと、被害者だけで対応するのは厳しいのが現状です。

さらに、裁判や調停は、示談交渉より長期化する傾向にあります。被害者にとっても、できれば示談で解決することが望ましいでしょう

示談交渉で困ったらサリュにご相談ください!
サリュは交通事故被害者のサポート実績が豊富です。示談交渉の相談はもちろん、裁判の方が有利となる場合は、最善の訴訟活動をさせていただきます。  

「保険会社との交渉がスムーズに進まない」「保険会社の提示額が低すぎると感じる」などの場合は、「年間相談件数3,000件以上のサリュ」にお問合せください。

4. 納得いく慰謝料を受け取るためにやるべき4つのこと

これまでの解説で、

・大腿骨を骨折した人が知っておくべきこと

・大腿骨骨折で請求できるお金

・賠償金の請求方法

について、理解いただけたと思います。

ここからは、「事故発生から解決までの期間に被害者自身がやるべきこと」を解説していきます。

事故発生から解決までの期間に被害者自身がやるべき4つのこと
①事故直後に画像検査を受けておく
②気になる自覚症状があれば日付や症状を具体的に記録しておく
③治療にかかった費用の領収書はすべて保管しておく
④保険会社の提示額に納得できない場合は早めに専門家に相談する

納得いく慰謝料を受け取るために大切なことばかりですので、ぜひチェックしておいてください。

4-1. 事故直後に画像検査を受けておく

事故直後に画像検査を受けておきましょう。

特に大腿骨骨折の場合は、レントゲンやCT検査などの画像検査が有効です

事故直後の画像検査が必要な理由は、「残存した症状と事故の因果関係を証明するため」です。

特に後遺障害等級の申請を行なう際は、

・事故直後はどのような状態だったのか

・治療でどこまで回復したのか

・残存する症状はどのようなものなのか

を明確にする必要があります。

「事故を原因とする後遺障害である」と主張するためにも、事故直後の画像検査は必ず受けておきましょう。

4-2. 気になる自覚症状があれば日付や症状を具体的に記録しておく

自分で気になる症状があれば、日付とともにメモを残しておきましょう。

「なんとなく気になる…」といった、些細なことでも結構です。具体的な自覚症状のメモは、後遺障害を申請する際に役立ちます。

メモをしておくべき自覚症状の具体例
・事故前にはできていたのに、事故後にできなくなったこと
・痛みやしびれなど、見た目には分かりづらい自覚症状
・日常生活において支障を感じていること、など

後遺障害等級を申請する際は、医師が作成する「後遺障害診断書」の「自覚症状記入欄」に、漏れなくしっかり記入してもらうことが大切です。

そのためにも、自覚症状について日付と症状をメモしておけば安心です。

もちろんメモした内容は、診察のたびに担当医師へ伝えましょう。

もし被害者自身が記録できない状況であれば、家族が詳細を聞き取り、まとめておくことがポイントです。

4-3. 治療にかかった費用の領収書はすべて保管しておく

治療にかかった費用は、被害者側の保険会社へ請求できます。

入院費や治療費に限らず、下表のような細かい費用も、原則として請求可能です。

転院・通院にかかった 交通費・公共交通機関の利用で領収書が無い場合は「利用日・区間・金額」をメモに残しておく
・タクシー利用時は、領収書の保管とともに「どこからどこまでの移動か」をメモに残しておく
※タクシー利用が認められる場合のみ
診断書の作成料後遺障害診断書等の作成料など
器具・装具の費用サポーター、下肢装具などにかかる費用

以上のように、治療にかかった費用を漏れなく請求するために、金額の大小に関わらず、領収書は必ず保管しておきましょう。

4-4. 保険会社の提示額に納得できない場合は早めに専門家に相談する

実は、加害者側の保険会社から提示される賠償金の額は、弁護士が算定する額より大幅に低いケースが大半です。

出典:サリュ

もし、保険会社の提示額で示談に応じてしまった場合、適正な賠償金を受け取れないことになります

さらに、示談に応じてしまったあと、賠償金額が低かったとわかっても、その結果を覆すことは非常に困難です。

以上のことから、適正な賠償金を請求するためには、なるべく早く弁護士へ依頼することをおすすめします

次の章では、「弁護士へ依頼することのメリット」を詳しく紹介しています。ぜひ引き続き、読み進めてください。

5. 【大腿骨骨折でお悩みの方へ】弁護士法人「サリュ」は治療中のサポートで正当な賠償金を手にできます

交通事故で重傷を負い、賠償金請求や加害者側との交渉でお悩みなら、なるべく早く弁護士へ相談することをおすすめします。

残念ながら、弁護士事務所のなかには「治療中の法律相談は受けられない」という事務所も少なくありません。

しかし、サリュは治療中の早い時期から解決まで、お客様をフルサポートします

事故後、早期に弁護士へ相談することで、以下の3つのメリットがあります。

弁護士への依頼は早い方がいい理由
①保険会社とのやり取りを一任できる
②後遺障害等級の申請を全面的にサポートしてもらえる
③正当な賠償金を請求できる

5-1. 保険会社とのやり取りを一任できる

弁護士へ依頼する大きなメリットのひとつは、「保険会社とのやり取りを一任できること」です。

交通事故被害者のなかには、

「突然の事故に加え、慣れない保険会社とのやり取りが頻繁にあり、心身ともに参ってしまった…」

「保険会社の担当者が高圧的な態度で困っている」

という方も少なくありません。

ましてや大腿骨骨折という大けがを負い、今後の不安ばかりがつのるという方がほとんどではないでしょうか。

弁護士に依頼することで、

・保険会社からの連絡はすべて弁護士宛になる

・保険会社との交渉に時間をかけなくて済む

といったメリットがあります。

つまり、交渉や面倒な手続きは、すべて代行してもらえるのです。

「ストレスを感じることなく、治療だけに専念したい」と思う方は、早めに弁護士へ依頼しましょう。

交通事故の解決実績2万件以上のサリュにご相談ください!
サリュは被害者救済のプロとして、年間相談件数は3,000件以上、解決件数2万件以上の実績があります。同業他社のなかでもトップクラスの実績です。  

保険会社の戦略を知り尽くしているサリュだからこそ、先手を打って有利に交渉の準備を進められます。  
「面倒な交渉を任せたい」
「交渉で泣き寝入りしたくない」  

という方は、ぜひお早めに、私たちサリュへご相談ください。

5-2. 後遺障害等級の申請を全面的にサポートしてもらえる

後遺障害の申請手続きで全面サポートを受けられるのも、弁護士へ依頼するメリットのひとつです。

弁護士へ依頼すれば、後遺障害の認定を有利にすすめられます。

後遺障害に認定されると慰謝料が飛躍的に上がる」で解説した通り「後遺障害に認定されるかどうか」、また「何級に認定されるか」によって、損害賠償金額は大きく変わります。

一方で、後遺障害等級の認定を受けるのは、簡単ではありません。後遺症があるからといって、誰でも後遺障害に認定されるわけではないのです。

納得できる後遺障害等級を認めてもらうには、

・どんな検査を受けるべきか

・どんな画像を取得しておくべきか

といった「事故直後からの戦略的な準備」が必須となります。

そのためには、治療中のできるだけ早い段階で弁護士に相談するのが重要です。

具体的には「症状固定となる前」の段階がベストです。

症状固定前なら、後遺障害の見込みを立てつつ、必要な資料集めなどを効率よく進められます。

弁護士に依頼するなら、後遺障害等級認定に強く、被害者側案件を専門にしている弁護士事務所を選ぶことが最重要です。

後遺障害申請のサポートなら「サリュ」にお任せください!
弁護士法人サリュは、交通事故の被害者側専門の弁護士事務所です。

解決実績2万件以上と業界でもトップクラスの実績を誇ります。いわば保険会社の手口を知り尽くすエキスパートです。  

適切な後遺障害認定を受けるために、お客様を解決までフルサポートします。  

・症状に見合った正当な等級を受けたい
・後遺障害等級に認定されるか申請前に見当をつけたい  

という方は、私たちサリュにご相談ください。

5-3. 正当な賠償金を請求できる

弁護士へ依頼することの最大のメリットは「正当な賠償金を請求できること」です。

とくに大腿骨骨折という重傷を負った場合、治療期間も長くなる傾向にあり、後遺症が残ることもあります。

ただし、一般的に保険会社が提示してくる慰謝料は、最低限の額であることがほとんどです。重傷であるほど、納得できないと感じるでしょう。

被害者が受けた精神的・身体的苦痛を、正当な慰謝料として算定できるのは、交通事故の被害者サポートに特化した弁護士だけです。

特に、弁護士に依頼すれば、慰謝料算定基準のなかでもっとも高い「裁判基準(最大基準)」で算定するため、正当な額を請求できます

【慰謝料算定の3つの基準のイメージ図】

出典:サリュ

弁護士が介入することで、最終的な賠償金額の差が、数百万円以上上がるケースもあります。

保険会社との交渉で泣き寝入りしたくないと考える方は、なるべく早く弁護士へ相談してみましょう。

納得いく賠償金請求は交通事故救済のプロ「サリュ」にお任せください!
ここまで、弁護士に依頼するメリットを解説してきました。  

弁護士に依頼することで、賠償金額に数百万円以上の差が出ることもあることは、ご理解いただけたと思います。  

ただし、弁護士であれば誰でもいいわけではありません。なぜなら、依頼する弁護士によって、賠償金額が2〜3倍になったり、金額が一桁変わったりすることもあるからです。  

私たちサリュは、業界トップクラスの2万件以上の解決実績を持っている交通事故救済のプロです。  

納得いく賠償金を受け取りたいとお考えの方は、私たちサリュにご相談ください。

6. 【交通事故】大腿骨骨折に関するよくある質問まとめ

最後に、交通事故による大腿骨骨折について、よくあるご質問をまとめました。

交通事故による大腿骨骨折について、よくあるご質問
Q1.入院の個室代や通院のタクシー代は請求できる?
Q2.示談金はいつ支払われる?
Q3.後遺障害等級認定の結果に納得できない場合はどうすべき?

6-1. 【Q1】入院の個室代や通院のタクシー代は請求できる?

A.入院の個室代や通院のタクシー代を支払ってもらえるかは、ケースバイケースです。

入院時の個室利用代を請求できるのは、「個室を利用するよう医師から指示が出ている」といったケースです。

大部屋でも治療できる状況や、「個室を利用したいから」という個人的な理由の場合、保険会社は個室代を払ってくれない可能性が高いでしょう。

タクシー代も同様に、あくまで例外的な扱いです。通院時のタクシー代が認められるのは、医師からタクシーでの通院を指示されているようなケースに限られます。

とはいえ、大腿骨骨折は重傷ですから、医師の指示等があれば、個室利用や通院のタクシー利用は妥当と判断される可能性もあります。

6-2. 【Q2】示談金はいつ支払われる?

A.示談金が振り込まれる時期は示談交渉成立後、2週間~1ヶ月くらいが目安です。

示談成立後に、示談書の作成や郵送のやり取りなどが必要になるため、スムーズに進んだとしても2週間以上はかかります。

場合によっては、示談交渉が長期化するケースも想定されるため、ある程度余裕をもって生活費を準備しておく必要があります。

6-3. 【Q3】後遺障害等級認定の結果に納得できない場合はどうすべき?

A.後遺障害等級の結果に納得できない場合は、「異議申立て」ができます。

ただし、異議申立てをしても、初回の認定結果が変わる可能性は低いのが現実です。

もし、異議申立てをするなら、初回の申請時に出た結果の分析や、異議申立てをするための医学的根拠などをそろえることが必須となります。

戦略的に進める必要があるため、「後遺障害認定」について相当な知見がないと難しいでしょう。

「後遺障害等級認定の結果に納得できない」と感じている方は、認定結果が妥当か、妥当ではないか、弁護士に相談してみることをおすすめします。

7. まとめ

本記事では、交通事故による大腿骨骨折について解説しました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。

交通事故で大腿骨骨折という重傷を負った場合、必ず知っておくべきことは以下の4つです。

交通事故で大腿骨骨折したら知っておくべき4つのこと
①大腿骨骨折は後遺症が残る場合が多い
②後遺症には「後遺障害認定されるもの」と「されないもの」がある
③後遺障害に認定されると慰謝料が飛躍的に上がる
④正当な慰謝料をもらうなら早めに専門家へ相談したほうがいい

一般的に「交通事故被害者が請求できるお金」は以下の通りです。

【交通事故】大腿骨骨折で請求できるお金の種類
加害者側へ
請求するお金
治療関連費
通院関連費
傷害慰謝料(入通院慰謝料)
外傷の苦痛や入院や通院に対する慰謝料のこと
休業損害
交通事故発生から症状固定までの期間の減収を補填するもの
診断書の作成料
後遺障害慰謝料
後遺障害として等級が認定された場合の慰謝料のこと  
※ただし、後遺障害等級認定されることが条件
逸失利益
後遺障害がなければ将来に稼げたであろう収入のこと  
※ただし、後遺障害等級認定されることが条件
上記以外被害者個人が加入している保険
労災関連

※ケガの治療や状況によって該当する項目が異なります

交通事故発生から賠償金受け取りまでの流れは、以下の通りです。

「事故発生から解決までの期間に被害者自身がやるべきこと」は以下の4つです。

事故発生から解決までの期間に被害者自身がやるべき4つのこと
①事故直後に画像検査を受けておく
②気になる自覚症状があれば日付や症状を具体的に記録しておく
③治療にかかった費用の領収書はすべて保管しておく
④保険会社の提示額に納得できない場合は早めに専門家に相談する

交通事故で重傷を負い、賠償金請求や加害者側との交渉でお悩みなら、なるべく早く弁護士へ相談することをおすすめします。

もし「交通事故に強い弁護士がどこにいるか分からない」という方がいたら、ぜひサリュにご連絡ください。