交通事故の示談期間は約1ヶ月~1年|事故別目安と短縮のコツ

「交通事故の示談交渉の期間はどのくらい?」
「解決までに時間がかかりそう……」
交通事故の被害に遭い、これから示談交渉がはじまる方は、どのくらいの期間で解決に至るのか気になるでしょう。
なかには、示談交渉がはじまっているのに、相手側の保険会社や自分の弁護士から連絡が遅く、不安に思っている方もいるはずです。
結論、交通事故の示談交渉の期間は、事故のケースによって変わります。下記の表をご覧ください。
交通事故の示談交渉の期間 |
物損事故:1~2ヶ月 人身事故(後遺障害が残らなかった場合):3ヶ月~6ヶ月 人身事故(後遺障害が残った場合):3ヶ月~1年 死亡事故:6ヶ月~1年 |
上記の期間に幅がある理由は、事故のケースによって話し合う内容が異なるからです。
ただ、人身事故や死亡事故の場合は、「過失割合は〇:〇のはずだ」「その慰謝料は少なすぎる」などと争うケースが多いため、示談交渉期間が長引きやすいです。
とはいえ、示談交渉の期間について知りたいと考えているあなたは、1日でも早く示談を終わらせ、慰謝料などのお金を受け取りたいと考えているのではないでしょうか。
ここで注目すべきことは、示談交渉の期間=短かければ良い、というわけではないことです。
例えば、あなたの過失割合は本来0なのに、あなたに過失がある状態で示談成立すれば、短い期間で示談成立できたとしても受け取れるお金が減ってしまうのです。
そこで本記事では、事故のケース別に示談交渉の期間を解説します。後半では期間に加えて、納得できる内容で解決を目指す方法も紹介します。
最後まで読めば、示談交渉の期間だけにとらわれず、納得できる内容で示談を成立させることができるでしょう。

この記事の監修者
弁護士 河村 和貴
弁護士法人サリュ
大宮事務所
埼玉弁護士会
交通事故解決件数 600件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
中央大学法科大学院
【獲得した画期的判決、和解、示談等】
むち打ち自賠責14級認定も、訴訟により13級相当の労働能力喪失率が認定された勝訴的和解
保険会社から2250万円の賠償金提示を受けたものの、示談を提起し3600万円を認定させた勝訴的和解 など
【弁護士河村の弁護士法人サリュにおける解決事例(一部)】
事例332:事前提示賠償額2000万円から、交渉で3500万円まで増額解決した事例
事例335:専業主夫として休業損害を認定させ、後遺障害も異議申立で獲得した事例
事例345:相手方保険会社の提示額から500万円以上増額し、スピード解決事例
交通事故被害に遭われたら、できるだけ早期に、交通事故の被害者側専門弁護士に相談することをおすすめします。これは、弁護士のアドバイスを受けることで、もらえる損害賠償金が大きく変わる場合があるからです。
弁護士法人サリュは、創業20年を迎え、交通事故の被害者側専門の法律事務所として累計20,000件以上の解決実績があります。所属弁護士の多くが1人あたり500件~1000件以上の交通事故解決実績があり、あらゆる交通事故被害者を救済してきました。その確かな実績とノウハウで、あなたのために力を尽くします。
相談だけで解決できることもありますので、まずはお気軽に無料法律相談をご利用ください。
目次
1. 交通事故の示談交渉の期間は約1ヶ月~1年
冒頭でもお伝えしたとおり、交通事故の示談交渉の期間は、約1ヶ月~1年です。
物損事故や後遺症が残らない事故の場合は、話し合いで揉めることが少ない傾向にあります。
事故により怪我をして通院した場合は、通院終了から示談交渉がはじまり、期間は約3ヶ月~1年程度になります。
示談交渉の期間に幅がある理由は、示談交渉で話し合う内容や揉めるポイントが、事故によって異なるからです。
後遺症が残ったり被害者が死亡したりした場合は、話し合うべき内容が多数あるため、示談交渉が長引きやすくなります。
以下が、示談交渉で揉めるよくあるケースです。
【揉めるケースの例】
・加害者が信号無視をしていたのに、それを認めない ・怪我の治療で月に15回通院していたのに、そんなに通う必要はなかったはずだと責められる |
このような理由で加害者側と揉めたら、お互いが納得できるまで証拠を提出したり意見を主張したりしながら、話し合いを進めます。
そのため、場合によっては示談交渉の期間が1年以上になることもあるでしょう。
治療中・これから治療をはじめる方へ |
怪我や後遺症の程度によりますが、まだ治療が終わっていない場合、示談成立までの期間の見通しを立てることは困難です。 後遺障害が残った場合は、後遺障害認定を受け、結果が出てから示談交渉に入ります。 後遺障害認定とは、交通事故によるケガで後遺症が残ったことを、自賠責保険の認定機関から認めてもらう手続きのことです。事故による怪我の後遺症だと認められると、等級が認定されます。 実は、後遺障害認定を申請して等級を認めてもらうのは、簡単なことではありません。 ・後遺障害と事故の関係を証明する証拠を集める必要がある ・納得いかない結果だったら再度申請することがある などの理由で、後遺障害認定の申請に数ヶ月かかるケースもあるのです。 そのため、現在治療中の方、これから治療をはじめる方は、示談交渉開始時期が遅くなります。解決までに時間がかかると覚えておきましょう。 |
2. 【事故のケース別】示談交渉の期間
1章では、交通事故の示談交渉の期間が1ヶ月~1年程度だとお伝えしました。
次に気になるのは、自分の事故の示談交渉がどのくらいの期間かかるのか、ではないでしょうか。
そこで2章では、事故のケース別に示談交渉の期間を紹介します。
・物損事故:1~2ヶ月 ・人身事故(後遺障害が残らなかった場合):3~6ヶ月 ・人身事故(後遺障害が残った場合):3ヶ月~1年 ・死亡事故:6ヶ月~1年 |
2-1. 物損事故:1~2ヶ月
示談交渉が長引かないパターン | 長引くパターン |
・過失割合に対する意見が一致している ・修理費に対する意見が一致している | ・どちらか一方が過失割合に納得していない ・加害者側に車修理の必要性を認めてもらえない |
物損事故の示談交渉の期間は、1~2ヶ月程度です。
物損事故は話し合う項目が少ないため、比較的短期間で示談成立となる傾向にあります。
話し合う内容は、
・過失割合(事故発生の原因がどちらにどれだけあるのかを割合で表したもの)
・車の修理費
などです。
ただ、修理費の見積金額や、修理の必要性などで意見が対立した場合は、2ヶ月以上かかることもあるでしょう。
2-2. 人身事故(後遺障害が残らなかった場合):3~6ヶ月
示談交渉が長引かないパターン | 長引くパターン |
・過失割合に対する意見が一致している ・治療費や慰謝料などを含む賠償金に対する意見が一致している | ・どちらか一方が過失割合に納得していない ・賠償金に対する意見が合わない |
人身事故で怪我をしたけれど、後遺障害(事故による後遺症)が残らなかった場合の示談交渉期間は、3~6ヶ月程度です。
交通事故による怪我が治療によって完治したら、示談交渉に進みます。
後遺障害がない場合、示談交渉で話し合う項目が少ないため、スムーズにいけば3ヶ月程度で終わることもあるでしょう。
【示談交渉で話し合う項目例】
・過失割合 ・治療費 ・入通院慰謝料 ・休業損害 |
ただ過失割合や治療費など、少ない項目でも双方の意見が対立した場合は、6ヶ月またはそれ以上かかる場合もあります。
2-3. 人身事故(後遺障害が残った場合):3ヶ月~1年
示談交渉が長引かないパターン | 長引くパターン |
・過失割合に対する意見が一致している ・治療費や慰謝料などを含む賠償金に対する意見が一致している | ・どちらか一方が過失割合に納得していない ・賠償金に対する意見が合わない ・後遺障害の有無や等級について意見が合わない |
人身事故に遭い、後遺障害が残った場合の示談交渉期間は、3ヶ月~1年程度です。
後遺障害がない人身事故よりも示談期間が長くなる理由は、話し合う項目が多くなるからです。
【示談交渉で話し合う項目】
後遺障害が残らなかった場合 | 後遺障害が残った場合 |
・過失割合 ・治療費 ・入通院慰謝料 ・休業損害 | ・過失割合 ・治療費 ・入通院慰謝料 ・休業損害 + ・後遺障害慰謝料 ・後遺障害逸失利益 ・将来介護費 ・器具等購入費 |
後遺障害認定で等級が認められたら、後遺障害に対する慰謝料(後遺障害慰謝料)や、後遺障害が残らなければ将来受け取れた利益(後遺障害逸失利益)なども請求できます。
後遺障害認定とは |
交通事故によるケガを治療しても後遺症が残ったことを、自賠責保険の認定機関から認めてもらう手続き。症状の重さによって1~14級が認定され、数字が小さいほど症状が重いことを意味する。申請すれば必ず認定されるものではなく、後遺障害を証明できる証拠を提出しなければならない。 |
後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益は、数百~数千万円にもなる可能性がある、金額が大きなものです。
そもそも等級が認められなかったり、被害者と加害者で意見が対立しやすかったりする一面があります。
そのため、示談成立までに1年ほどかかるケースは珍しくありません。
また、示談で解決に至らなかった場合は裁判になり、解決までの期間がさらに長くなります。
2-4. 死亡事故:6ヶ月~1年
示談交渉が長引かないパターン | 長引くパターン |
・過失割合に対する意見が一致している ・治療費や慰謝料などを含む賠償金に対する意見が一致している | ・どちらか一方が過失割合に納得していない ・賠償金に対する意見が合わない ・後遺障害の有無や等級について意見が合わない |
死亡事故の場合は、葬儀や四十九日が終わってから、示談交渉に入ります。
死亡事故の示談交渉にかかる期間は、6ヶ月~1年程度です。
示談が長くなりやすい理由は、死亡事故の示談交渉で話し合う「死亡慰謝料」や「死亡逸失利益」の金額が、数百~数千万円と高い傾向にあるからです。
金額が大きい賠償金の項目は、被害者と加害者で意見が一致しないことが多く、スムーズに話し合いが進みません。
【死亡事故の示談交渉で話し合う項目】
・過失割合 ・休業損害 ・死亡慰謝料 ・死亡逸失利益 |
3. 示談書が届き示談金が振り込まれるまでの期間:約2週間
2章では、事故のケース別に示談交渉にかかる期間を解説しました。
示談成立となったら、話し合って決定した内容が記載された示談書が送られてきます。
その後、示談書にサインして返送すると、約2週間で示談金が振り込まれます。
事故のケースによって、振り込みまでの期間が短くなったり長くなったりすることは、基本的にありません。
そのため、示談成立から2週間以上経っても振り込まれない場合は、加害者側の保険会社に確認してみましょう。
4. 【重要】示談交渉は期間よりも内容重視で進めることが大事
ここまで、示談交渉の期間について解説してきました。
場合によっては1年、またはそれ以上かかる可能性があると知り、「そんなに時間がかかるのか……」と暗い気持ちになった方もいるのではないでしょうか。
ただ、示談交渉は期間よりも内容重視で進めることが大事であることを、忘れないでください。
なぜなら、早期解決だけを考えて示談成立した場合、本来受け取れるはずのお金を受け取れなくる可能性があるからです。
例えば、加害者側の保険会社に「今回の事故の過失割合は、あなた:被害者=2:8です」と言われているとしましょう。
加害者側の提示する内容をそのまま受け入れれば、揉めることなく示談成立となり、慰謝料を含む賠償金がすぐに振り込まれます。
しかし本当は、あなたに過失がない事故で、「あなた:加害者=0:10」の可能性もあるのです。
本当は過失がないのに1:9や2:8の過失割合にされたら、それだけ受け取れるお金が変わってしまいます。
このような事態にならないためにも、早く終わらせることだけでなく、正当な内容で示談成立させることが大切なのです。
今回挙げた例のように、過失割合で揉める場合、双方の話し合いだけでは解決に至らず長引くケースが多いです。その場合は訴訟を起こし、裁判になることもあります。
示談交渉が長引く原因は、過失割合だけではありません。示談交渉が長引く原因について知りたい方は、「交通事故の示談が長引くのはなぜ?4つの原因と早期解決策」の記事もご覧ください。
5. 交通事故に強い弁護士に依頼すれば示談の内容も期間も納得いく状態で進めやすい
交通事故の示談は、期間ではなく内容重視で進めるべきことを、解説しました。
ただ、自分ひとりで加害者の保険会社とやりとりし、示談を進めていくのは不安が大きいでしょう。
そこであなたの力になれるのが、交通事故に強い弁護士です。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士がいれば、示談交渉がスムーズに進み、自分ですべて行うよりも早く終わる可能性が高まります。
なぜなら弁護士は、
・示談書の内容に不備があればすぐに気づく
・あなたの代わりに加害者側の保険会社と交渉する
などができるからです。
加害者の保険会社に、不当な内容の示談書が送られてきても、知識がなければ違和感に気づかないかもしれません。
弁護士なら、「慰謝料が少なすぎる」「この過失割合はおかしい」などと気づき、正当な示談内容を主張できるのです。
また、交通事故に強い弁護士をつければ、加害者側の保険会社に高圧的な態度を取られたりすることも防げます。
さらに、示談で話し合いがまとまらず裁判を起こす場合も、準備をサポートしてもらえるため安心でしょう。
示談の内容も期間も、どちらも納得いく状態で進めたいなら、交通事故に強い弁護士に依頼することがおすすめです。
6. まとめ
本記事では、交通事故の示談交渉の期間について解説しました。
最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。
〇交通事故の示談交渉の期間は約1ヶ月~1年で事故のケースによって変わる
交通事故の示談交渉の期間 |
物損事故:1~2ヶ月 人身事故(後遺障害が残らなかった場合):3ヶ月~6ヶ月 人身事故(後遺障害が残った場合):3ヶ月~1年 死亡事故:6ヶ月~1年 |
〇示談書が届き示談金が振り込まれるまでの期間:約2週間
〇示談交渉は期間よりも内容重視で進めることが大事
〇交通事故に強い弁護士に依頼すれば示談の内容も期間も納得いく状態で進めやすい
怪我をしたり後遺障害が残ったりした場合は、加害者側と話し合う項目が増えます。金額が大きい賠償金項目は双方で意見が対立しやすいため、示談の期間も長引きやすいでしょう。
ただ、示談成立までの期間が早ければ良い、というわけではありません。
納得のいく内容で解決できなければ、正当な賠償金を受け取れない点に注意してください。
示談交渉について、少しでも不安がある方は私たちサリュにご相談ください。