遷延性意識障害は弁護士に依頼すべき!慰謝料増額事例から依頼まで
「家族が遷延性意識障害になってしまったら弁護士に相談すべき?」
「遷延性意識障害で弁護士に依頼すると何が変わる?」
この記事を読んでいるあなたは、家族が交通事故でひどい怪我を負わされて意識不明の状態が続いており、弁護士への相談を検討しているのでしょう。
このまま目覚めないのではないか、なぜこんなひどい目に遭わされたのかと、不安や怒りでいっぱいのはずです。
結論、交通事故で遷延性意識障害になったら、弁護士に相談すべきです。
なぜなら、弁護士費用よりも最終的に受け取れる慰謝料が高くなる可能性があり、加害者側の主張に矛盾があった場合にすぐ気づける場合もあるからです。
弁護士に相談する場合としない場合では、受け取れる慰謝料の金額が大幅に変わります。
【後遺障害1級を獲得した場合の後遺障害慰謝料】
自賠責基準 | 弁護士に依頼する場合 (弁護士基準) | |
後遺障害慰謝料 | 1,650万円 | 2,800万円 |
家族が遷延性意識障害になったつらさはお金で解決できるものではありませんが、被害に遭った分は慰謝料や賠償金としてしっかり受け取るべきなのです。
しかし、遷延性意識障害という重い後遺症が残ったにもかかわらず、加害者側は不当に安い慰謝料を提示してくることがあるのを、ご存じでしょうか。
加害者側は被害者家族に寄り添うことはなく、少しでも支払額を減らそうとしてきます。
そのようなとき、医療と法律の知識がある弁護士がいれば、加害者側に納得いかない主張をされたとしても、証拠を集めて対等に戦えるため安心です。
弁護士費用はかかりますが、正当な慰謝料を請求して受け取ることができれば、最終的にもらえる金額は増えます。
サリュでも、弁護士が介入したことで、賠償金が5,500万円増額した事例がありました。
弁護士が介入していなければ、8,800万円受け取れることを、被害者家族が知らないまま示談成立していたでしょう。
そこで、この記事では以下について解説します。
この記事で分かること |
・家族が遷延性意識障害になったら弁護士に相談すべき理由 ・弁護士が被害者本人や家族の力になれる理由 ・弁護士の介入で5,500万円も賠償金が増額した事例 ・家族が遷延性意識障害になったときの後見人申請と弁護士への依頼の流れ ・どんな弁護士に相談すれば良いのか |
最後まで読めば、家族が遷延性意識障害になったときにどんな弁護士に依頼すべきか分かります。
加害者側の思い通りにならないためにも、まずは弁護士に依頼すべき理由を理解しておきましょう。
この記事の監修者
弁護士 馬屋原 達矢
弁護士法人サリュ
大阪弁護士会
交通事故解決件数 900件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
2005年 4月 早稲田大学法学部 入学
2008年 3月 早稲田大学法学部 卒業(3年卒業)
2010年 3月 早稲田大学院法務研究科 修了(既習コース)
2011年 弁護士登録 弁護士法人サリュ入所
【著書・論文】
交通事故案件対応のベストプラクティス(共著:中央経済社・2020)等
【獲得した画期的判決】
【2015年10月 自保ジャーナル1961号69頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責非該当の足首の機能障害等について7級という等級を判決で獲得
【2016年1月 自保ジャーナル1970号77頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責非該当の腰椎の機能障害について8級相当という等級を判決で獲得
【2017年8月 自保ジャーナル1995号87頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責14級の仙骨部痛などの後遺障害について、18年間の労働能力喪失期間を判決で獲得
【2021年2月 自保ジャーナル2079号72頁に掲載】(交通事故事件)
歩道上での自転車同士の接触事故について相手方である加害者の過失割合を7割とする判決を獲得
目次
1.遷延性意識障害になったら「症状固定前」に弁護士へ相談すべき
家族が交通事故に遭い、遷延性意識障害になってしまったら、症状固定前に弁護士へ相談すべきです。
症状固定とは:これ以上の治療を続けても回復が期待できない状態 |
症状固定前に弁護士に相談すべき理由は、症状固定のタイミングが賠償金の金額を大きく左右するからです。
事故で遷延性意識障害になった場合、症状固定と言われるまでにかかったお金を損害賠償として請求できます。
遷延性意識障害で症状固定となるのは、以下の状態(意識不明)になってから症状が変わらない状況になったときです。
遷延性意識障害で症状固定と診断される基準 |
・自力で移動できない ・自力で食事ができない ・自力で排泄できない ・意味のある言葉を話せない ・意思疎通ができない ・動くものを目で追えない |
交通事故に遭ってから遷延性意識障害で症状固定と診断されるまでの、一般的な期間は3ヶ月~1年ですが、1年以上治療するケースが多い傾向にあります。
しかし、症状固定までの期間が短いほど賠償金額を減らせるため、加害者側の保険会社は早めに症状固定を提案してくることもあります。
症状固定の時期を間違えると、症状固定後にかかった治療費や通院費を加害者に請求できず、被害者がすべて負担しなければなりません。
ひどい目に遭わされ、大事な家族がこのまま目覚めない可能性もあるのに、慰謝料を減らそうとされるのは許せないですよね。
ここで弁護士がいれば、保険会社が症状固定を促してきたとしても、相手の主張に折れることなく治療を続ける必要性を証明し、交渉できます。
加害者の保険会社に症状固定を促されても、急ぐ必要はありません。 遷延性意識障害になったら後遺障害認定を申請する必要がありますが、時効は症状固定から5年間のため、早く症状固定をしなければならない理由がないからです。 |
2.遷延性意識障害になったら「弁護士への依頼」がベストである2つの理由
家族が遷延性意識障害になってしまったら、保険会社にひどい扱いをされないためにも、弁護士に相談すべきだと理解していただけたはずです。
ほかにも、弁護士が遷延性意識障害になった方や苦しんでいる家族の力になれる理由があります。
ここでは、その理由を2つ解説します。
1.弁護士費用よりももらえる慰謝料が高くなる可能性があるから 2.加害者側の主張に矛盾があった場合、気づいて交渉できるから |
2-1.弁護士費用よりももらえる慰謝料が高くなる可能性があるから
1つ目の理由は、弁護士に依頼したほうが、弁護士費用よりももらえる慰謝料が高くなる可能性があるからです。
弁護士への依頼を悩んでいる方は、「弁護士費用が高そう」「弁護士費用が高ければ結局もらえる金額も減りそう」などと不安を感じているのではないでしょうか。
実は、遷延性意識障害で正当な慰謝料を請求し受け取れた場合、最終的に受け取れる金額のほうが多いです。
※裁判や調停、異議申立てなどにかかった費用もかかるため、実際に手元に残る金額は変わります
賠償金が8,800万円だった場合、弁護士費用が990万円に対して受け取れるのが7,810万円のため、マイナスになることはありません。
被害者が弁護士特約に加入していた場合は、300万円までの弁護士費用を保険会社に支払ってもらえるため、負担額はもっと減ります。
また、弁護士に依頼すると、最も高額な基準で計算された慰謝料を受け取れる可能性が高くなるのも、弁護士が力になれる理由です。
保険会社は最も安い自賠責基準で慰謝料を提示してくることもあり、弁護士は不当に安い金額だと気づき、弁護士基準で受け取るべきだと主張します。
遷延性意識障害で後遺障害1級を獲得できた場合、自賠責基準と弁護士基準では、慰謝料の差額は1,000万円以上にもなりますよ。
【後遺障害1級を獲得した場合の後遺障害慰謝料】
自賠責基準 | 弁護士基準 | |
後遺障害慰謝料 | 1,650万円 | 2,800万円 |
2-2.加害者側の主張に矛盾があった場合、気づいて交渉できるから
加害者側の主張に矛盾があった場合、すぐに気づいて交渉できるのも、弁護士が力になれる理由の一つです。
遷延性意識障害になってしまった場合、本人の口から事故の状況を説明することはできませんよね。
実は、被害者の意識がないのをいいことに、加害者側が嘘の供述をして慰謝料を減らそうとしてくることもあります。
【例】加害者が信号無視をして追突したのに、被害者が信号無視をしたと嘘をつく |
しかし、交通事故にくわしい多くの事案を解決してきた弁護士なら、事故の状況や怪我の状態などから相手の主張の矛盾に気づける場合があるのです。
弁護士に依頼せず加害者の嘘に気づかないまま示談が成立したら、相手の思うつぼです。
また、相手が嘘をついていると分かっても、嘘を証明できなければ、相手の主張を覆すことはできません。
知識と経験のある弁護士がいれば、泣き寝入りする前に、証拠を集めて対峙できます。
3.【慰謝料増額事例】弁護士により5,500万増額できたケース
ここでは実際にサリュの弁護士が介入し、慰謝料などの賠償金を増額できた事例を紹介します。
賠償金額 | 8,800万円 |
事故の状況 | 軽トラックで優先道路を走行中、加害者の自動車と衝突 |
怪我の種類 | 右大腿骨解放骨折、左下腿骨開放性骨折、右下腿骨折、両側多発骨折、低酸素脳症、脳梗塞等 |
後遺障害 | 1級 |
60代のNさんは、交差点の優先道路を軽トラックで走行中に、加害者の自動車と出会い頭に衝突して大怪我を負いました。
遷延性意識障害になり、事故から11ヶ月後に症状固定と診断され、後遺障害等級は1級を獲得できました。
加害者の保険会社から提示されたのは3,300万円で、Nさんの家族は示談された金額が適正か分からず、サリュに相談しにきてくれました。
サリュの弁護士は、保険会社の提示した金額が、本来Nさんが受け取るべき金額より安いことに気づきます。
その旨をNさんの家族に説明し、納得したうえで依頼してもらい、加害者側と示談交渉を進めました。
当初保険会社が提示してきた金額は、Nさんの将来治療費を健康保険が適用される前提で計算されたものでした。
しかし、サリュの弁護士は、健康保険制度がこの先なくなる可能性を考え、将来治療費は自由診療で計算すべきだと考えたのです。
粘り強く交渉を続けた結果、サリュの弁護士の主張が認められ、当初の提示金額より5,500万円高い8,800万円で示談成立となりました。
4.遷延性意識障害になった場合の後見人申請・弁護士への依頼の流れ
3章で紹介したのは、保険会社から慰謝料を提示されたタイミングで弁護士に依頼し、最終的に5,500万円も慰謝料等の賠償金を増額できたケースです。
ここで気になるのは、家族が交通事故で遷延性意識障害になってしまったとき、どのような流れで後見人の申請や弁護士への依頼をすれば良いのか、ではないでしょうか。
以下に、家族が遷延性意識障害になった後の基本の流れをまとめました。
上記の図のように後見人を選任してから弁護士に保険会社との交渉業務の依頼することが原則です。
しかし、後見人の選任申立ては、手続きは容易ですが、上手に候補者としての適性を説明できないと、家族が後見人になれないこともありますので、家族が後見人になれるように、後見人の選任の段階から弁護士に依頼するのがよいでしょう。後見人は、一度選任されると死亡時まで継続しますので、ご家族の中で候補者となるべき方がいる場合には、積極的に立候補してください。
後見人の申請は時間がかかる場合があるため、家族が遷延性意識障害になったらすぐに申請することをおすすめします。
また、保険会社との交渉業務の弁護士への依頼も、「1.家族が遷延性意識障害になったら症状固定前に弁護士へ相談すべき」で解説したとおり、症状固定前が理想です。
弁護士は、後遺障害等級が不当な場合に不服申し立てを行ったり、示談交渉で決着がつかなかった場合に裁判を提起することもできます。
家族が遷延性意識障害になったら後見人はどうする? |
意識がない被害者に代わって示談交渉する後見人は、弁護士・家族どちらでも良いです。 そもそも、後見人を最終的に決定するのは家庭裁判所のため、自分の意思だけで選ぶことはできません。 しかし、弁護士以外が後見人になった場合でも、示談交渉のサポートとして弁護士への依頼は必要です。 被害者本人の財産状況の報告や損害賠償請求手続きなどを、知識がない状態でこなすのは難しいでしょう。 後見人報酬は、加害者に請求できるため安心してください。 |
5.家族が遷延性意識障害になったら頼るべき弁護士の特徴
弁護士に依頼すべき理由や依頼するタイミングを解説しましたが、実は弁護士なら誰でもいいわけではありません。
遷延性意識障害になった本人や家族をどれだけサポートできるかは、弁護士によって違うのです。
弁護士の腕しだいで、受け取れる示談金が2~3倍変わることもあります。
家族が遷延性意識障害になってしまったなら、以下に当てはまる弁護士を頼りましょう。
・医療と法律の知識が豊富 ・被害者本人や家族のために最後まで粘る |
5-1.医療と法律の知識が豊富
交通事故の被害者家族の力になれるのは、医療と法律の知識が豊富な弁護士です。
交通事故の案件では、被害者が事故による怪我で苦しんでいることを、しっかり証明しなければなりません。
そのため、遷延性意識障害になってしまった方と家族が納得いく慰謝料を獲得するために、
「今後、将来にわたって、どのような治療費がかかるのか」
「診断書に何を記載すべきなのか」
などを知っているかどうかが、重要なのです。
交通事故の案件は1件1件、状況がまったく異なります。
同じケースがないからこそ、これまでの実績から得た知識を最大限に使える弁護士でないと、家族の介護にかかる賠償金が不足したり、施設費用が不足することもあります。
そのため、家族が遷延性意識障害になってしまったら、交通事故案件に強く、医療と法律の知識が豊富な弁護士に依頼すべきです。
5-2.被害者本人や家族のために最後まで粘る
被害者本人や家族のために、どのような状況になっても最後まで粘る弁護士を頼りましょう。
弁護士しだいで、以下のように、後遺障害認定の結果や被害者家族が受け取れる慰謝料などの賠償金は大幅に変動します。
・後遺障害認定で1級、2級のどちらに認定されるか ・休業損害や逸失利益、治療費をどのくらいもらえるか |
遷延性意識障害は、交通事故で最も重いといわれる後遺症です。
被害者がこのまま目を覚まさないかもしれない絶望的な状況にもかかわらず、本来受け取れる金額よりも低く提示されたり、治療費を打ち切られたりするのは悔しいでしょう。
しかし、加害者の保険会社が強気な態度で主張・交渉してきたとしても、諦めずに最後まで粘り交渉を続けられる弁護士なら、納得のいかない条件で示談成立することを防げます。
「3.【慰謝料増額事例】弁護士により5,500万増額できたケース」で紹介したサリュの事例でも、弁護士が最後まで粘って交渉を続けていなければ、5,500万円の増額はできなかったはずです。
6.サリュは遷延性意識障害になりつらい思いをしているご家族をサポートします
医療と法律の知識がある弁護士や、最後まで粘って交渉を続ける弁護士を頼るべき理由が分かったでしょう。
私たち弁護士法人サリュには、遷延性意識障害になりつらい思いをしているご家族をサポートできる弁護士が在籍しています。
「弁護士に依頼してみようかな」という思いが少しでもあるなら、ぜひ私たちにご相談ください。
サリュの事務所全体の解決実績は20,000件以上もあり、実績を活かしてどんなに難しい交渉でも最後まで諦めません。
また、顧問ドクターがいるので、交渉に有利な医療証拠を集めることも可能です。
サリュにご依頼いただけたら、事故の状況や怪我の経緯をヒアリングしたうえで、見逃している医療証拠がないか診断結果を隅々まで見直し、ご家族が納得のいく結果を目指して示談を進めます。
治療終了前は相談できない弁護士事務所もありますが、サリュは治療終了前も相談可能なので、ぜひ一度、今抱えている不安をお聞かせください。
\交通事故2万件の解決実績/
7.まとめ
家族が交通事故で遷延性意識障害になってしまったら、症状固定前に弁護士へ依頼しましょう。
症状固定前に弁護士へ依頼すべき理由は、症状固定のタイミングを間違えると受け取れる慰謝料が減る可能性があるからです。
費用が心配で依頼を悩む方もいますが、弁護士に依頼して正当な慰謝料を受け取れたら、弁護士費用よりも最終的に受け取れる金額のほうが高くなるケースが多いため、安心してください。
弁護士への依頼がベストな理由 |
1.弁護士費用よりももらえる慰謝料が高くなる可能性があるから 2.加害者側の主張に矛盾があった場合、気づいて交渉できるから |
遷延性意識障害になると被害者本人が示談交渉できないため、家族が以下の流れで後見人の申請や弁護士への依頼をする必要があります。
後見人申請と弁護士への依頼の流れ |
1.後見人の申請をする 2.弁護士への依頼をする 3.症状固定の診断をもらう 4.後遺障害認定を受ける 5.示談交渉・示談成立 |
遷延性意識障害は交通事故の後遺症で最も重いものなので、被害者本人のためにもしっかり慰謝料を受け取るべきです。 私たちは、被害者本人とご家族がこれ以上つらい思いをせずに過ごせることを、願っています。