後遺障害認定されたら正しい慰謝料請求を!被害者がすべき3つのこと

「交通事故で負った怪我が治らず、後遺障害の申請をした。もし認定されたらどうなるの?」

「後遺障害認定はなんとかもらえたが、これから自分は何をすればいいの?」

交通事故に遭われ、後遺障害が残ってしまった方の中には、後遺障害認定に関してこのような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

結論から申し上げると、後遺障害認定を受けた際、あなたが「保険会社からしてもらうこと」と「あなた自身がすべきこと」は、以下のとおりです。

後遺障害が認定されたら…
保険会社からしてもらうこと
等級に応じた損害賠償金が支払われる
被害者自身がすべきこと

症状に見合った適正な損害賠償金を受け取れるよう行動する
【行動の一例】
・医師に後遺障害診断書を書き直してもらう
・認定結果に納得がいかなければ「異議申立」をする
・加害者側の保険会社と損害賠償金の示談交渉をする
→少しでも「おかしいな」と思ったら、速やかに弁護士に相談+サポートを受ける

事故に遭って間もない今のあなたは、元の体に戻れない悔しさ・加害者への怒り・将来への不安で、冷静に手続きを進める気になどなれないかもしれません。

しかし、事故でさまざまなものを失った被害者が、唯一加害者側へ請求できるものが「お金」です。

被害者側が「もらうべきお金はしっかりもらう!」という強い意志を持って行動しなければ、

・後遺障害診断書の内容が不十分で、実際の症状よりも軽い認定を受ける
・保険会社から相場よりも安い損害賠償金を提示される

などの理由から、被害に見合った損害賠償金を受け取れず泣き寝入りとなってしまう危険があります。

本記事では、これから後遺障害申請をする方・すでに認定を受けた方に向けて、

・後遺障害認定されたらどうなるのか
・適正な損賠賠償金を受け取れない危険について
・後遺障害認定をされた被害者がまずやるべき3つのこと
・適正な金額の損害賠償金を受け取るコツ
・「まずは弁護士に相談」の重要性

といった重要な知識をわかりやすく紹介します。

事故後の人生を少しでも心穏やかに過ごすために、被害に見合った賠償金を受け取れるよう、一緒に準備していきましょう。

「後遺障害って何?」「後遺障害認定って何?」などの根本的なことが知りたい方は、以下の記事を先にご覧ください。

>>後遺障害の基礎知識

この記事の監修者
弁護士 山田 洋斗

弁護士法人サリュ千葉事務所
千葉県弁護士会

交通事故解決件数 1,100件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
2014年 明治大学法科大学院卒業
2014年 司法試験合格
2015年 弁護士登録、弁護士法人サリュ入所
【獲得した画期的判決】
【2021年8月 自保ジャーナル2091号114頁に掲載】(交通事故事件)
【2022年 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻(赤い本)105頁に掲載】
会社の代表取締役が交通事故で受傷し、会社に営業損害が生じたケースで一部の外注費を事故と因果関係のある損害と認定した事例
【弁護士法人サリュにおける解決事例の一部】
事例333:弁護士基準の1.3倍の慰謝料が認められた事例
事例343:相手方自賠責保険、無保険車傷害保険と複数の保険を利用し、治療費も後遺障害も納得の解決へ
事例323:事故態様に争いがある事案で、依頼者の過失割合75%の一審判決を、控訴審で30%に覆した

1.後遺障害認定されたら、等級に応じた損害賠償金を請求できる

まずは、「後遺障害認定されたらどうなるの?」という疑問を解消していきましょう。

交通事故被害者が後遺障害認定された場合、保険会社へ等級に応じた損害賠償金を請求できます。

どのような賠償金がどのような仕組みでどのくらいもらえるのか、

・後遺障害の等級とは

・請求できる損害賠償金

の順に解説します。

1-1.後遺障害の等級とは

後遺障害の等級とは、事故によって残った後遺障害を部位や症状の重さに応じて

・要介護1・2級
・第1~14級

に細かく分類したものです。

後遺障害の申請をすると、提出した書類を元に専門機関の「損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)」が審査を行い、実際の症状に最も近い等級を認定します。

後遺障害等級と症状の一例

等級 症状の一例 認定者の割合※
要介護1級 ・脳や神経の障害・胸腹部の臓器の障害
※一人で身の回りの処理が行えない、常に介護を要する重い障害
1.7%
要介護2級 ・高次脳機能障害
・胸腹部の臓器の障害
※一人で身の回りの処理が行えないことがあり、随時介護を要する重い障害
0.86%
1級 ・両目の失明
・両ひじから上を失う
・両膝から下を失う
0.04%
2級 ・両目の視力が著しく低下(0.02以下)
・両腕を手首以上で失う
・両足を足首以上で失う
0.16%
3級 ・片目の失明
・もう片方の視力も低下(0.06以下)
・脳、神経、内蔵又は精神のいずれかに障害が残り、一生働けない
・両手の手指を全て失う
0.57%
4級 ・両目の視力低下(0.06以下)
・咀嚼+言語機能の障害
・片腕を肘関節以上で失う
・片足を膝関節以上で失う
0.37%
5級 ・片腕を手首以上で失う
・片を足首以上で失う
・脳、神経又は内臓のいずれかに障害が残り、極めて簡単な仕事しかできない
0.85%
6級 ・両耳の聴力の著しい低下(耳元で大声でなければ聞こえないなど)
・背骨の著しい変形又は運動障害
・咀嚼または言語機能の障害
1.07%
7級 ・顔などの人目に触れる場所に目立つ傷跡が残る
・脳、神経又は内臓のいずれかに障害が残り、簡単な仕事しかできない
・腕や足の骨がくっつかず、固定具をつけないと生活に支障が出る
1.96%
8級 ・片手の指の一部を失う(親指を含む場合は2本・含まない場合は3本)
・肩、ひじ又は手首の関節のいずれかが動かない
・股関節・膝・足首のいずれかが動かない
3.47%
9級 ・両目のまぶたに著しい欠損
・鼻の欠損(機能に著しい障害が残る場合)
・生殖器に著しい障害
3.64%
10級 ・複視(ものが二重に見える)の症状が残る
・歯が欠損し、14本以上に入れ歯やインプラントなどの処置をする
・片足が3センチメートル以上短縮する
3.37%
11級 ・背骨が変形する
・片手のひとさし指、中指又は薬指のいずれかを失う
・内臓に障害が残り、仕事に支障が出る
7.89%
12級 ・鎖骨や肋骨等が著しく変形する
・片手の小指を失う
・耳の欠損(耳殻の大部分)
16.33%
13級 ・片目の視野が狭まるなどの障害が残る
・片手の小指の用を廃する(感覚を失う・一部を失うなど)
・内臓の機能に障害が残る
0.89%
14級 ・体の一部に神経症状が残る(手足のしびれ、頭痛やめまいなど)
・腕や足に手のひら大の跡が残る
※交通事故で最も多い怪我「むちうち症」は、神経症状の重さによっては14級に認定されるケースがある
56.81%

参考:e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法施行令」

保険会社から被害者へ支払われる賠償金の額は、法律によって具体的に定められているわけではないものの、症状が重ければ重いほど高くなります。

そのため、認定された等級は「賠償金の額を決める基準のひとつ」と考えておくと良いでしょう。

Q.14級よりも軽い症状の場合は後遺障害認定を受けられないの?
A.「非該当」となり、後遺障害認定されない

事故によって負った怪我の症状が14級の基準よりも軽い場合は、「非該当」と認定され、治療費や入通院費に対する慰謝料等以外の賠償金は受け取れない可能性が高いです。
後遺障害認定は申請すれば誰でも通るものではなく、損害保険料率算出機構の「自動車保険の概要」で公開されている統計データ※と照らし合わせると、認定される可能性はわずか5%程度です。
つまり、申請を出した交通事故被害者のうち、95%近くは「非該当」の結果が出ていることになります。
まだ後遺障害認定を受けていない方は、「申請しても非該当になる可能性は十分にある」ということを心に留めておきましょう。

※2021年度の自賠責保険の支払い件数が83万7,390件であるのにに対し、後遺障害認定件数は4万2,980件
後遺障害の等級についてより詳しく知りたい場合は、以下のページをご覧ください。
>>後遺障害の等級

1-2.請求できる損害賠償金

後遺障害認定された場合、請求できる損害賠償金は、大きく分けて以下の3種類です。

・後遺障害慰謝料
・後遺障害逸失利益
・その他の損害賠償金

それぞれの内容や等級に応じた相場を、ひとつずつ見ていきましょう。

1-2-1.後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料とは、事故によって後遺障害が残ってしまった被害者の精神的苦痛を補償する賠償金です。

後遺障害慰謝料の相場は、以下の表のように、等級が高くなるほど高額になります。

等級別・後遺障害慰謝料の相場
等級 後遺障害慰謝料の相場
自賠責基準 弁護士基準
要介護1級 1,650万円 2,800万円
要介護2級 1,230万円 2,370万円
1級 1,150万円 2,800万円
2級 998万円 2,370万円
3級 861万円 1,190万円
4級 737万円 1,670万円
5級 618万円 1,400万円
6級 512万円 1,180万円
7級 419万円 1,000万円
8級 331万円 830万円
9級 249万円 690万円
10級 190万円 550万円
11級 136万円 420万円
12級 94万円 290万円
13級 57万円 180万円
14級 32万円 110万円

ここで注意しておきたいのが、後遺障害慰謝料の相場には、「自賠責基準」「弁護士基準」といった異なる基準が存在することです。

自賠責基準とは?
車を運転する人全員に加入が義務付けられている「自賠責保険」が定める慰謝料の基準。被害者への最低限の補償を確保するために定められたものであるため、金額が低い。
弁護士基準とは?
慰謝料を巡って訴訟を起こした場合に裁判官が提示する慰謝料の基準のことで、「裁判基準」とも呼ばれる。保険会社との示談交渉を弁護士に依頼した場合、弁護士基準の金額をベースに交渉するため、受け取れる慰謝料が増額されるケースが多い。
「任意保険会社基準」という基準もある
交通事故加害者が任意保険に加入していた場合、その保険会社が自社の基準で慰謝料を提示してくるケースもある。提示された金額に被害者側が応じる義務はないため、納得できない場合は増額の交渉もできる

後遺障害慰謝料の相場は、自賠責基準・任意保険会社基準・弁護士基準の順に高くなります。

「保険会社から提示された慰謝料の金額が低く、自賠責相場とほとんど変わらない」

という場合は、弁護士に介入してもらうことで、受け取れる慰謝料が増額される可能性が高いです。

なお、後遺障害慰謝料についてさらに詳しく知りたいという方は、以下の記事を参考にしてください。

>>「後遺障害慰謝料【交通事故】等級相場・計算方法・もらい方を解説

1-2-2.後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、交通事故によって得られなくなってしまった将来の収入のことです。

逸失利益は慰謝料よりも金額が大きくなる傾向にあり、被害者の年齢・事故前の年収・後遺障害の等級によっては数千万円~1億円近くなるケースもあります。

後遺障害逸失利益の金額は、以下の方法で計算できます。

後遺障害逸失利益の計算式

1年あたりの基礎収入✕労働能力喪失率✕労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数
1年あたりの基礎収入とは?

被害者が事故に遭わなければ受け取れていた年収のこと
・原則は「事故前年度の年収額」
・専業主婦、子ども及び学生の場合は、政府が発表した「賃金構造基本統計調査」の平均賃金を元に計算

労働能力喪失率とは? 後遺障害によって失われた労働能力をパーセンテージで表したもの
※等級が高いほど割合が大きくなる
労働能力喪失期間とは? 後遺障害によって働けなくなってしまった年数のこと
「67歳-症状固定時の年齢」で計算されるのが一般的
・14級で後遺障害が局所的な痛みやしびれのみの場合、5年程度に設定されることが多い
ライプニッツ係数とは?

逸失利益から「中間利息」を差し引くための係数
・中間利息とは:将来にわたるお金を前倒しで一括で受け取ることで、本来よりも余分に発生した利息
・労働能力喪失期間が長いほど高くなる

等級ごとの労働能力喪失率と、労働能力喪失期間ごとのライプニッツ係数は、以下の表のとおりです。

等級別・労働力喪失率
等級 労働力喪失率
要介護1級 100%
要介護2級
1級
2級
3級
4級 92%
5級 79%
6級 67%
7級 56%
8級 45%
9級 35%
10級 27%
11級 20%
12級 14%
13級 9%
14級 5%

労働能力喪失期間別・ライプニッツ係数

労働能力喪失期間 ライプニッツ係数 労働能力喪失期間 ライプニッツ係数
1年 0.971 11年 9.253
2年 1.913 12年 9.954
3年 2.829 13年 10.635
4年 3.717 14年 11.296
5年 4.580 15年 11.931
6年 5.417 16年 12.561
7年 6.230 17年 13.166
8年 7.020 18年 13.754
9年 7.786 19年 14.324
10年 8.530 20年 14.877

参考:国土交通省「就労可能年数とライプニッツ係数表」

ここまで説明した計算式を使って、実際にどのように逸失利益の金額を求めるのか、具体例を用いて算出してみましょう。

後遺障害12級に認定された50歳会社員・Aさんの場合


・事故前年度の年収:700万円
・労働能力喪失率:14%
・労働能力喪失期間:17年(67-50)
・ライプニッツ係数:13.166
「1年あたりの基礎収入✕労働能力喪失率✕労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数」に当てはめると…
700万円✕14%✕13.166=1,290万268円(受け取れる逸失利益)

 

後遺障害12級の慰謝料の相場(弁護士基準)は290万円であるため、上の例のAさんの場合、合計で1,500万円以上の損害賠償金が受け取れる可能性があることがわかります。

1-2-3.その他の損害賠償金

後遺障害認定された際、慰謝料と逸失利益以外で請求できる可能性のある賠償金には、次のようなものがあります。

後遺障害認定された被害者が請求できる可能性のある賠償金

休業損害

・交通事故で仕事を休んだことによって減った収入
・原則1日につき6,100円

入通院慰謝料

・入院や通院によって生じた精神的損害に対する慰謝料
1日につき4,300円(自賠責基準)

付添費 ・入院や自宅療養時の生活を被害者が1人で行えない場合、一時的な介助や看護にかかる費用
・1日あたりの目安は、入院付添は4,200円、通院及び自宅看護は2,100円(自賠責基準)
将来介護費 ・重度の後遺障害が残り、将来にわたって介護が必要になった場合にかかる費用
「将来介護費(日額)×365日×平均余命期間に応じたライプニッツ係数」で計算されるのが一般的

上記の賠償金を受け取るために注意すべきなのは、「弁護士の手を借りないと請求できない可能性も大いにある」という点です。

損害賠償金についての示談交渉の際、保険会社から「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」以外の賠償金を提示されないケースが多く、専門知識を持たない被害者が休業損害や付添費の請求をしても応じてもらえない可能性があります。

実際に、「保険会社が慰謝料や逸失利益は払うと言っているが、休業損害の請求は却下された」といった理由で弁護士へ相談を持ちかける被害者は少なくありません。

以上のことから、その他の損害賠償金に関しては、「弁護士を介せば受け取れる可能性がある賠償金」と考えておくと良いでしょう。

2.被害者側が受け身だと適正な損害賠償金を受け取れない危険がある

後遺障害認定をされた人や申請中の人が必ず知っておかなければならないのが、「被害者側が受け身だと適正な損害賠償金を受け取れない危険がある」ということです。

なぜこのようなことが起こってしまうかというと、後遺障害認定に携わる機関や人は、「被害者側が1円でも多くの賠償金を受け取れるよう尽力すること」が仕事ではないからです。

後遺障害認定に携わる機関とその役割

専門機関 役割
医療機関(医師) ・怪我の診察及び治療をし、「後遺障害診断書」を作成する
自賠責損害調査事務所 ・診断書を元に後遺障害の審査及び認定をする
保険会社

損害賠償金についての示談交渉をする
※被害者へ支払う賠償金が少ないほど、自社の金銭的負担は軽くなる

上記の三者は、損害賠償金増額のために動いてくれるわけではなく、被害者自身が弁護士に依頼しない限りは「被害者側の圧倒的な味方」が存在しないというのが現実です。

被害者が適正な損害賠償金を受け取れないケースとして、具体的には次のようなものがあります。

被害者が適正な損害賠償金を受け取れないケース
後遺障害診断書の内容が不十分で「非該当」(もしくは実際の症状よりも低い等級)に認定されてしまった

・後遺障害診断書を書き直してもらう
・異議申立をする
といった行動を起こさず受け身でいた場合、
損害賠償金は適正な金額よりも低く(非該当の場合は0円)なってしまう

保険会社から自賠責相場の慰謝料を提案された
そのまま示談に応じてしまうと、等級によっては数百万~1千万円単位※で損をしてしまう危険がある
→慰謝料の増額を交渉し、応じてもらえない場合は弁護士への相談も視野に入れる必要がある

※弁護士基準と自賠責基準の相場の慰謝料の差額は「1-2-1.後遺障害慰謝料」を参考にしてください。

このように、被害者側が行動を起こさないことで適正な賠償金を受け取れない可能性は十分にあります。

交通事故で後遺障害が残った場合、最終的に受け取る賠償金の金額は、その後の生活を左右する重要な要素です。

「プロの医師が書いた後遺障害診断書だから、正確なものなのだろう」

「プロの保険会社が提示した金額だから、適正な金額なのだろう」

といった受け身の姿勢では危険だということを、心に留めておきましょう。

3.後遺障害認定されたらまずこれをして!被害者がやるべき3つのこと

ここからは、後遺障害認定された被害者がまずはじめにやるべきことを解説します。

・等級認定の結果を確認する

・異議申立をする(認定結果に納得がいかない場合)

・保険会社と損害賠償金の示談交渉をする

後遺障害認定をされた後、受け身にならずどんな行動をとればいいのか、身の振り方を順を追って確認していきましょう。

3-1.等級認定の結果を確認する

まずは、等級認定の結果を確認します。

保険会社から後遺障害認定の結果が通知されたら、自分の症状と認定された等級の症状を照らし合わせ、結果が正当なものかをチェックしましょう。

通知書内のチェックすべきポイントは、主に

・認定された等級

・認定理由

の2つです。

3-1-1.認定された等級をチェック

はじめに見るべきポイントは、認定された等級です。

1〜14級のいずれかに認定された場合は、「自動車損害賠償保障法」で定められた各等級に該当する障害と、実際のあなたの症状が合致しているかを確認しましょう。

【例】後遺障害10級と認定された場合
【自動車損害賠償保障法で定められている10級の後遺障害をチェック】
01. 1眼の視力が0.1以下になったもの
02. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
03. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
04. 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
05. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
06. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
07. 1手の親指又は親指以外の2の手指の用を廃したもの
08. 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
09. 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
10. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
11. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
【実際の症状と照らし合わせる】
右目の視力が著しく落ちており、治療打ち切りの際に病院で最後に行った視力検査では「0.1」との結果が出た。この症状は、上記の「01. 1眼の視力が0.1以下になったもの」に該当している。
→10級は妥当な認定結果であると言える

参考:e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法施行令」

「非該当」の認定結果が出た場合は、最も低い等級である14級に該当する障害と、実際のあなたの症状の方を照らし合わせてみましょう。

【例】非該当と認定された場合
【自動車損害賠償保障法で定められている14級の後遺障害をチェック】
01. 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
02. 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
03. 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
04. 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
05. 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
06. 1手の親指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
07. 1手の親指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
08. 1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
09. 局部に神経症状を残すもの
【実際の症状と照らし合わせる】
むち打ちによる右腕の痺れが取れず、回復が見込めない状態。これは「09. 局部に神経症状を残すもの」に該当するのではないか?
→「非該当」は妥当な認定結果ではない可能性がある

認定結果が妥当ではない可能性がある場合は、認定理由のチェックに進みます。

3-1-2.認定理由をチェック

後遺障害認定の通知書には、認定結果と併せて認定結果に至った理由まで説明されていることが一般的です。

3-1-1.認定された等級をチェック」の段階で認定結果に不満や違和感を感じた場合は、通知書内の理由をよく読んだうえで、「認定結果に納得した」「納得できない」の最終的なジャッジをしましょう。

【少しでも「あれ?」と思ったら弁護士に相談しておく】
認定結果の中に少しでも引っかかるものを感じた場合は、「自分は素人だからよくわからない」と自己完結せずに、できればこのタイミングで交通事故の問題に強い弁護士へ相談しておくことをおすすめします。
これまでの事故の経緯と認定結果を説明し、「この場合、非該当が妥当でしょうか?」と相談してみることで、似たような状況で認定結果が覆った過去の事例を聞けるかもしれません。
また、仮に結果が覆らない場合でも、法律のプロである弁護士から「これ以上の等級のアップは望めない」と客観的な意見をもらうことで心残りがなくなるというメリットがあります。
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3-2.異議申立をする(認定結果に納得がいかない場合)

認定結果に納得がいかない場合は、異議申立をします。

【異議申立とは?】
後遺障害認定の結果に納得できない被害者が、再度等級認定の申請手続きを行うこと。異議申立をした場合、自賠責損害調査事務所による再審査が行われる。

異議申立の方法には、加害者側の任意保険会社を介して申請する「事前認定」と、加害者側の自賠責保険会社へ直接申請する「被害者請求」の2種類があります。

それぞれの手法の特徴とメリット・デメリットを比較すると、以下の表のようになります。

事前認定・被害者請求比較表

  事前認定 被害者請求
特徴 提出書類の準備は基本的に任意保険会社にやってもらう
(被害者側が用意するのは後遺障害診断書のみ)
必要書類の準備はすべて自分で行う
(異議申立書・交通事故証明書・後遺障害診断書・日常生活の報告書など)
メリット 申請の手続きが簡単

提出書類をブラッシュアップして、認定対策に備えられる
後遺障害認定が出ると、先に自賠責保険金だけ受領することができる

デメリット 書類での認定対策がしにくい
後遺障害が認定されても、保険会社と示談が成立しない限り、自賠責保険金を受領することができない
申請の手続きに手間がかかる

異議申立では前回の審査結果を覆すことが重要であるため、症状の詳細や日常生活への支障などを詳しく伝えられる被害者請求がおすすめでしょう。

被害者請求での異議申立をする場合、次のような書類が必要です。

被害者請求の必要書類一覧
必須書類 異議申立書 自分で作成
委任状 弁護士などの代理人を立てる場合は必要
あると有利な書類

新たな後遺障害診断書
もしくは修正した後遺障害診断書
前回の診断書の内容に過不足がある場合は、主治医に新たに書いてもらうか修正してもらう
カルテ・医師の意見書 後遺障害の症状の説明を補強するもの(医師に依頼し作成してもらう)
CT・レントゲン・その他検査結果
日常生活の報告書 後遺障害によって日常生活で困っていることなどを、家族や被害者本人が記載
収入資料 事故前後で著しく収入が減少した場合には、源泉徴収票や確定申告書を提出することで就労に影響が出ていることを証明すると効果的

異議申立をする際は、前回よりも具体的かつ詳細に症状について報告することで

・等級変更(14級から12級へ変更など)

・「非該当」から「認定」変更

など、審査結果が変わる可能性があります。

【知っておくべき異議申立の豆知識】
・異議申立には「時効」がある
原則として、症状固定から3年以内に異議申立をしなければ、認定結果を覆すことはできないので注意
・異議申立は何度でもできる
時効までの期間内であれば、異議申立の回数制限はない

3-3.保険会社と損害賠償金の示談交渉をする

続いては、保険会社と損害賠償金の示談交渉をします。

保険会社(加害者側の任意保険会社もしくは自賠責保険会社)から提示される示談案の内容を確認し、支払われる損害賠償金の額が適正かを検討しましょう。

損害賠償金の妥当性を検討する材料となるのが、「1-2.請求できる損害賠償金」でお伝えした、

・後遺障害慰謝料

・逸失利益

の相場です。

あなたの後遺障害等級・年齢・事故前年度の収入などに応じた相場を計算し、保険会社が提示する金額と照らし合わせることで、示談金が妥当かどうかを判断できます。

どのように計算・照合を行えばいいかわからない場合は、以下の例を参考にしてください。

後遺障害14級に認定された40歳会社員・Bさんの場合


・事故前年度の年収:500万円
・労働能力喪失率:27%
・労働能力喪失期間:27年(67-40歳)
・ライプニッツ係数:18.327
【状況】
・交通事故被害に遭い、後遺障害認定10級を受ける
・加害者側の自賠責保険会社から、「後遺障害に関する賠償金として461万円(総額)」で示談を持ちかけられた
自賠責保険基準 10級の場合、自賠責保険基準の上限金額は、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益を含めて461万円
弁護士基準 後遺障害慰謝料 550万円
後遺障害逸失利益500万円✕27%✕18.327=2474万円
後遺障害に関する賠償金の適正金額は、合計3024万円
示談金の妥当性 加害者側保険会社は、自賠責保険基準の上限額で提示してきている。
「弁護士基準で考えた場合、賠償金の額が少ない」として、Bさんは保険会社に増額を主張した

被害者が保険会社の提案に従わなければいけないというルールはないため、金額に納得がいかない場合は、上の例のように明確な根拠を提示して増額の交渉を持ちかけることができます。

Q.弁護士をつけずに弁護士基準の増額を主張した場合、保険会社は交渉に応じてくれるのか?
A.応じてもらえず「交渉不成立」となる可能性が高い
被害者側からすれば少しでも多くの賠償金を受け取りたいため、弁護士基準での後遺障害慰謝料を請求したいところですが、「弁護士なしで弁護士基準の額への増額は難しい」というのが現状です。
保険会社側でも、少しでも自社で負担する賠償金の額を下げたいという心理が働くため、基本的には弁護士相場よりも安い金額を提示してくるのが一般的です。
そのため、示談交渉で話がまとまらない場合は、専門知識を持つ弁護士に介入してもらうしかありません。

4.症状に見合った適正な等級認定を獲得するコツ

ここでは、症状に見合った適正な等級認定を獲得する3つのコツをご紹介します。

・症状固定のタイミングは保険会社ではなく医師に従う

・正確で詳細な「後遺障害診断書」を主治医に作成してもらう

・異議申立をする場合は弁護士にサポートを依頼する

損害賠償金で損をしないために、まずは「妥当な認定結果を勝ち取る」ことが重要です。

どのようなことに気をつければいいのか、具体的に見ていきましょう。

4-1.症状固定のタイミングは保険会社ではなく医師に従う

症状に見合った適正な等級認定を獲得するコツとして、最も重要とも言えるのが、症状固定のタイミングは保険会社ではなく医師に従うことです。

【症状固定とは?】
事故で負った怪我が、これ以上治療を続けても治癒する見込みがない状態のこと。
症状固定をした場合、怪我の治療は打ち切りとなるため、それ以降の治療費を加害者側へ請求することはできなくなります。

治療期間が長くなると、当然ながら加害者側の負担する治療費がかさむため、保険会社から「そろそろ症状固定をしてはどうか」と提案されるケースも少なくありません。

しかし、本当に治療を続けてもこれ以上回復しないのかどうかを判断するのは、保険会社ではなく医療のプロである医師です。

症状固定のタイミングは、その後の後遺障害認定の結果を大きく左右するため、素人が容易に見極められるものではありません。

症状固定のタイミングが悪いことによる弊害
症状固定が早すぎると… まだ回復の見込みがあるのに治療を打ち切られ、本来請求できるはずの治療費が請求できなくなる
症状固定が遅すぎると… 長期の治療によって症状が若干でも改善した場合、後遺障害等級が認定されにくくなる可能性がある

治療を続けたことによって症状が改善されるのは喜ばしいことですが、中途半端に症状が改善して

「日常生活に支障を来す後遺障害が残っているのに、症状がギリギリ14級の基準に引っかからず、後遺障害認定は受けられなかった」

といった事態に陥る可能性もあります。

・このまま治療を続けて、自分が満足の行く形まで回復するのか

・後遺障害認定を受けられるよう、早期に症状固定して見切りを付けるのか

保険会社の提案はあくまで参考程度とし、医師からの客観的意見をもらいましょう。

4-2.正確で詳細な「後遺障害診断書」を主治医に作成してもらう

正確で詳細な「後遺障害診断書」を主治医に作成してもらうことも、症状に見合った適正な等級認定を獲得するのに効果的なコツです。

【後遺障害診断書とは?】
被害者の後遺障害の症状や生活への支障について、具体的に証明する書類のこと

後遺障害認定を受けるために被害者側が提供できる情報は限られており、後遺障害の等級は診断書の内容によって決まるといっても過言ではありません。

しかし、診断書を作成する医師の本来の仕事は怪我の診察と治療であるため、「後遺障害認定を受けられるような診断書の書き方」を熟知していない場合もあります。

被害者から医師へ診断書の書き方に注文をつけることは難しいですが、下の表に記載したような、できる範囲のことはすべてやっておきましょう。

正確で詳細な後遺障害診断書を書いてもらうために被害者側ができること
診断書作成前
・具体的な自覚症状、日常生活における支障及び将来の不安などについて日頃から医師と対話し、信頼関係を築いておく
・自覚症状は、医師に伝わりやすいようにメモ書きを作成して医師に渡すとよい
・必要な検査はすべて受ける
・関節の可動域は正確に測ってもらう
診断書作成後

【診断書作成後】

・症状からして必要な箇所について、空欄がないか確認する
・医師に伝えた自覚症状に過不足がないか確認する
・事故で負った怪我と後遺障害の関係を具体的に書いてもらう(外傷性であることの指摘をもらう)
・レントゲン、MRI、CT等の画像を添付する場合は、画像内の病変の有無、内容について詳細な説明を書いてもらう(症状に客観的な裏付けがあるか否かの指摘をもらう)
→診断書内に不足している箇所があれば、「後遺障害認定に響くかもしれないので念のため…」と主治医の気分を害さないよう注意して加筆修正を頼む

このように、正確で詳細な診断書を作成してもらえるよう行動することで、症状に見合った適正な等級認定を獲得できる可能性を高められるでしょう。

4-3.異議申立をする場合は弁護士にサポートを依頼する

症状に見合った適正な等級認定を獲得するコツ、最後は「異議申立をする場合は弁護士にサポートを依頼する」についてお話しします。

1回目の後遺障害認定の結果に納得がいかなかった場合、被害者には異議申立をする権利がありますが、専門知識を持たずに再挑戦しても結果が変わらないケースが多いというのが現状です。

異議申立は、手続き上は被害者自身で完了させることができます。

しかし、異議申立を成功させて前回の認定結果を覆すためには、後遺障害認定に関する高度な専門知識を必要とします。

異議申立を成功させるためにやるべきこと
・症状に見合った等級の認定が受けられなかった理由を分析する
・診断書の加筆修正を主治医に交渉する
・異議申立書を作成する(前回の認定結果が妥当ではないと主張する根拠を記載)
→いずれも後遺障害認定の高度な専門知識を必要とする

これらの作業を代理で行い、サポートしてくれるのが弁護士です。

弁護士に異議申立をサポートしてもらうと…
専門知識に基づいて、症状に見合った等級の認定が受けられなかった理由を分析

・交通事故被害に強い弁護士の場合、過去の事例から「こういう場合は通りやすい・通りにくい」というデータがたまっているため、的確な分析及び改善が期待できる
・認定結果の通知書は専門用語が多く、被害者だけではそもそも何が悪かったのかを分析できない可能性がある
後遺障害認定の可能性を高める視点から診断書の加筆修正を主治医に依頼
・医師が診断書の修正を拒絶している場合、後遺障害診断書の書き方を熟知している弁護士が間に入ることで、医師から加筆修正についての理解を得やすい
・医療知識のない被害者が医師に「診断書の内容が不十分だったので書き直してください」と持ちかけた場合、修正に応じてくれない可能性がある
明確な根拠に基づいた異議申立書の作成
・被害者の症状が後遺障害のどの等級に該当するのか、明確な根拠を交えて述べることができる
・主張に説得力を持たせるための根拠となる資料も的確に集められる

 

実際に、弁護士のサポートによって異議申立に成功したというケースは非常に多く、非該当から認定に至った事例や等級アップの事例もあります。

「非該当」から異議申立で「14級9号」を獲得した事例

むちうち症状の後遺障害等級を「第14級9号」から異議申立てで「第12級13号」へと覆した事例

以上のことから、症状に見合った適正な等級認定を獲得するためには、弁護士によるサポートのもと異議申立をすると良いでしょう。

5.適正な金額の損害賠償金を受け取るためのコツ

続いて、適正な金額の損害賠償金を受け取るためのコツを2つ紹介します。

・弁護士基準の相場で交渉してみる

・示談交渉で弁護士を立てる

症状に見合った等級を認定してもらえても、保険会社との交渉次第では十分な賠償金を受け取れない危険があります。

損をしないためにはどのようなことに気をつければいいのか、1つずつ見ていきましょう。

5-1.弁護士基準の相場で交渉してみる

適正な金額の損害賠償金を受け取るために、まずはじめにやっておきたいのが、弁護士基準(裁判基準)の相場で交渉してみることです。

あなたが「相場について何も知らない被害者」ではないことを保険会社にアピールすることで、慰謝料が増額される可能性があります。

一体どういうことか、詳しくお話しします。

後遺障害に対する損害賠償金のうち、安く見積もられてしまいやすいのが、明確な計算式を持たない「後遺障害慰謝料」です。

【おさらい】後遺障害慰謝料とは?
・事故によって後遺障害が残ってしまった被害者の精神的苦痛を補償する賠償金のこと・後遺障害慰謝料の相場には、「自賠責基準」「任意保険会社基準」「弁護士基準」の3つの基準がある

※等級ごとの慰謝料の相場は、記事内「1-2-1.後遺障害慰謝料」の一覧表をご覧ください。

ここで「自賠責基準より高いなら妥当なのだろう」と示談に応じるのではなく、「本来支払われるべきは弁護士基準の金額だ」と主張してみることで、増額に応じてもらえる可能性があります。

どのように交渉すれば良いか、例を見てイメージしてみましょう。

後遺障害12級を取得したCさんの場合
【状況】
加害者側の任意保険会社から、後遺障害慰謝料として150万円を提示された
【交渉内容】
Cさんは12級の慰謝料の相場が自賠責基準で94万円・弁護士基準で290万円であることを示し、自分が受け取る権利のある慰謝料は290万円だと主張。裁判も視野に入れていることを伝える
【結果】
Cさんの主張を受け、保険会社は「200万円以上は支払えない。納得できないようなら弁護士を通して話し合いを」と改めて提案。弁護士費用の負担や裁判の手間を考え、Cさんは示談案を承諾。後遺障害慰謝料200万円で示談が成立し、50万円の増額に成功した。

弁護士基準の相場はあくまで「裁判を起こした際に請求できる可能性のある金額」であるため、被害者個人の主張で満額受け取ることは難しいというのが現状です。

しかし、上の例のように「被害者側にも多少の知識がある」ということが保険会社に伝わることで、増額に応じてもらえる可能性もあります。

交通事故被害者の方の中には「このトラブルから早く解放されたい」という思いから、はじめに提示された金額で承諾してしまう方も少なくありませんが、一度成立した示談はその後内容の変更ができません。

後になって後悔しないために、実際に弁護士をつけて裁判するつもりがない方でも、まずは弁護士基準の相場で交渉してみることをおすすめします。

5-2示談交渉で弁護士を立てる

適正な金額の損害賠償金を受け取るためのコツ、2つめは「示談交渉で弁護士を立てる」です。

加害者側の保険会社と被害者間での示談交渉では、どうしても専門知識を持つ相手側に分があるため、損害賠償金の増額に応じてもらえない可能性は十分にあります。

対等な示談交渉をするためには、被害者側にも弁護士という専門家にサポートしてもらうのが最も効果的です。

示談交渉で弁護士を立てた場合にやってもらえること
法的な根拠に基づいた適正な損害賠償金の交渉
・裁判に発展した場合の各種手続き

損害賠償金をめぐっての保険会社との交渉は、事故に遭って心身を負傷した被害者が一人で行おうとすると、多くのエネルギーを消耗します。

「自分の手には負えない」と感じたら、早めにプロの手を借りることをおすすめします。

【こんな人は弁護士への依頼をおすすめ】
・お金のことを勉強したり保険会社とやり取りする精神的、時間的余裕がない
・押しに弱い性格で、保険会社と対等に交渉できる自信がない
・保険会社の対応が悪く(主張が一方的など)、話し合いが進まない

上記のような方の場合は特に、適正な金額の損害賠償金を受け取るために、弁護士の協力が必要だと言えるでしょう。

6.「まずは弁護士に相談・元が取れそうなら依頼」が一番の近道

後遺障害を認定されたら「まずは弁護士に相談・元が取れそうなら依頼」が一番の近道です。

本章では、後遺障害認定をされた方の運命を左右すると言っても過言ではない「弁護士のサポート」について、

・後遺障害認定に関する相談、依頼を弁護士にした方がいい理由

・弁護士に依頼して元が取れるかどうかの判断基準

・弁護士の選び方

の順に解説します。

6-1.後遺障害認定に関する相談・依頼を弁護士にした方がいい理由

後遺障害認定に関する相談・依頼を弁護士にした方がいい理由は、ひと言で言えば、交通事故において100%被害者の味方になってくれる存在が他にいないためです。

被害者と加害者の窓口となる保険会社は、加害者が支払うべき賠償金を肩代わりするような形になるため、後遺障害の損害賠償金は適正金額よりも低く見積もられやすいという性質があります。

法律のプロ・金銭的な問題解決のプロである弁護士に依頼することで、保険会社の担当者と専門知識に基づいた対等な示談交渉ができるようになり、被害者一人ではもらえなかったはずの賠償金を受け取れる可能性があります。

具体的には、弁護士に相談・依頼することで、次のようなサポートが受けられます。

弁護士に相談・依頼して受けられるサポートの一例
後遺障害認定の結果に納得がいかない場合
・結果が妥当かどうかの判断・異議申立の代行
→非該当から認定への変更・等級アップを目指して動いてくれる
保険会社から提示された損害賠償金の金額に納得がいかない場合

・示談を持ちかけられた金額が正当かどうかの判断
・後遺障害慰謝料を弁護士基準の金額で請求
・休業損害や将来介護費など、複雑な計算を必要とする賠償金の請求
・被害者の症状、年齢及び事故前の収入に基づいた適正な逸失利益の計算と請求
→賠償金の増額・最大化に尽力してくれる

依頼主の味方になり、依頼主にとっての最善の結果を目指すというのが弁護士の仕事です。

交通事故の解決実績を持つ弁護士事務所は多く、無料の相談などを受け付けているところもあるため、少しでも迷っている場合は「まずは相談」をおすすめします。

6-2.弁護士に依頼して元が取れるかどうかの判断基準

弁護士に依頼しようか迷っている方にとって、最大のネックとなるのが「元が取れるかどうか」ではないでしょうか。

弁護士に依頼して元が取れるかどうかの判断基準は、ひと言で言えば

「弁護士をつけたことによって増額される損害賠償金が、弁護士費用よりも多いかどうか」

です。

具体的には、以下のような手順で弁護士に依頼するかどうかを判断すると良いでしょう。

弁護士に依頼するかどうかを判断する4ステップ
STEP1.無料相談
交通事故に強い弁護士に現在の状況を伝え、損害賠償金増額の見込みがあるかを確認する
STEP2.弁護士事務所の料金体系を調べる
STEP1.で弁護士から「増額できる可能性は十分にある」と回答があった場合、その弁護士に依頼することで費用がいくら発生するかを大まかに計算する
STEP3.弁護士に依頼していくらの増額が見込めるかを計算する
すでに保険会社から損害賠償金の金額を提示されている場合は、提示額と弁護士基準の相場の差額を計算
※おおよその損害賠償金の計算方法は「1-2.請求できる損害賠償金」の一覧表や計算式をご覧ください。

STEP4.STEP2.とSTEP3.の金額を比較
・STEP2.の金額(弁護士費用)の方が多い場合:依頼しない(元が取れない可能性が高い)

・STEP3.の金額(増額されるかもしれない賠償金)の方が多い場合:依頼する(元が取れる可能性が高い)

このように、弁護士費用と弁護士をつけたことによって増額される損害賠償金を天秤にかけることで、元が取れるかどうかのおおよその判断ができるようになります。

6-3.弁護士のサポートによって受け取れる損害賠償金が増額された事例

ここまでの内容を読んで、気になってくるのが

「実際、弁護士に依頼することでいくら増額されるの?」

という点ではないでしょうか。

ここでは、弁護士のサポートによって受け取れる損害賠償金が増額された事例を紹介します。

事例1.不当に低く見積もられた賠償金を計算し直し114万円の増額
交通事故によって怪我を負い、後遺障害認定を受けたYさん。加害者側の保険会社から97万円の賠償金を提示されたが、金額に納得がいかず弁護士へ依頼。
弁護士が改めて計算してみたところ、保険会社が休業損害や通院慰謝料を不当に低く計算していたことが判明。実態に見合った数値で計算し直し、保険会社と交渉したところ、最終的には211万円での示談が成立。114万円の増額となった。

事例315:ご相談から解決までの1ヶ月で、賠償額が倍額になった事例

事例2.逸失利益を見直して600万円の増額
交通事故により脳に損傷を負い、後遺障害認定12級を取得したAさん。加害者の任意保険会社から600万円の損害賠償金を提示され、後遺障害が今後の生活に及ぼす影響と金額が釣り合わないと感じたため、弁護士事務所へ相談。
保険会社の「後遺障害によって生活に影響が出るのは10年程度」という主張に対し、弁護士は「医師は生涯にわたっててんかん等を発症するリスクがあると診断している」と主張し、労働能力喪失率を引き上げることに成功。逸失利益が大幅に増額され、1,200万円で示談成立。総額600万円の増額となった

事例354:逸失利益について、労働能力喪失率14%、労働能力喪失期間10年に加え、その後67歳までの27年間についても労働能力喪失率を5%として交渉。事前提示賠償額600万円から、1200万円まで増額した事例

事例3.等級変更+示談交渉により1,091万円の増額
交通事故で肩鎖関節を脱臼し、後遺障害等級11級に認定されたSさん。保険会社から提示された損害賠償金は380万円。弁護士に相談したところ、後遺障害診断書の内容に誤りがあったことが判明し、示談交渉の前に異議申立をすることに。結果、後遺障害等級は10級に引き上げとなり、その後保険会社との示談交渉で損害賠償金は1,471万円となった。相談当初の金額と比べて、1,091万円の増額となった。

このように、100万円程度~1,000万円近くまで、さまざまな弁護士のサポートによる増額事例が存在します。

実際に受け取れる金額は、被害者の置かれている状況や弁護士の能力によって変わるため、ここで紹介した事例はあくまで目安として押さえておきましょう。

6-4.弁護士の選び方

依頼する弁護士の選び方として最も重要なポイントは、「交通事故に強い弁護士」を選ぶことです。

世の中のあらゆるトラブルに対処するためには、法律以外の専門知識が必要であるため、弁護によって得意分野は違います。

そのため、「弁護士として優れているか」ではなく「交通事故の後遺障害を巡るトラブルに強い弁護士かどうか」で選ぶことが重要です。

具体的には、次のような特徴を持つ弁護士を選ぶと良いでしょう。

交通事故に強い弁護士の特徴
交通事故の豊富な解決実績がある
※「等級変更」や「逸失利益の増額」など、自分の状況に近い解決実績があるとなお良い
症状固定前~示談成立までフルサポートしてくれる
医師との連携・資料の収集・手続きの代行など、損害賠償金の交渉以外にも幅広い知識を持った弁護士である可能性が高い
医学知識が豊富
診断書の修正提案など、異議申立に強い弁護士である可能性が高い

最終的に受け取れる金額の決め手となるのは「どの弁護士を選ぶか」であるため、無料相談などを有効に活用し、慎重に比較検討しましょう。

7.弁護士選びに迷ったら、交通事故の解決実績2万件以上の「弁護士法人サリュ」にご相談ください

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前章では、交通事故被害に関する弁護士選びのポイントとして

・交通事故の豊富な解決実績がある

・症状固定前~示談成立までフルサポートしてくれる

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8.まとめ

最後に、本記事の重要ポイントをおさらいします。

▼後遺障害認定されたら、等級に応じた損害賠償金を請求できる

【後遺障害の等級とは】
事故によって残った後遺障害を部位や症状の重さに応じて「要介護1・2級/第1~14級」に細かく分類したもの
【請求できる損害賠償金】
・後遺障害慰謝料:被害者の精神的苦痛を補償する賠償金
・後遺障害逸失利益:交通事故によって得られなくなってしまった将来の収入を補償するもの
・その他の損害賠償金:休業損害・入通院慰謝料・将来介護費など
→弁護士に介入してもらうことで受け取れる慰謝料等が増額される可能性が高い

▼後遺障害認定されたらまずこれをして!被害者がやるべき3つのこと

・等級認定の結果を確認する
・異議申立をする(認定結果に納得がいかない場合)
・保険会社と損害賠償金の示談交渉をする
→被害者側が受け身だと適正な損害賠償金を受け取れない危険があるので、自ら行動を起こすことが重要

▼症状に見合った正当な賠償金を得るために

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・症状固定のタイミングは保険会社ではなく医師に従う
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・裁判基準の相場で交渉してみる
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