交通事故後は通院しよう!正しい通院手順や通う期間を解説
「交通事故で怪我をして病院に行ったら、次は10日後って言われたけれど、もっと通ったほうがいいのでは?」
「交通事故後は、いつまで通院すればいいの?」
このように、交通事故の後、どのように通院すれば良いのかわからず悩んでいませんか?
通院期間や通院回数が、慰謝料などの賠償金に影響するのではないかと考える方も多いでしょう。
毎日通院したり1日でも長く通院した方が良いのではないかと不安に思う方も少なくないはずです。
交通事故後は、医師の指示に従って通院しましょう。
自己判断で通院すると、次のような恐れがあります。
医師の指示に従わない場合 |
・治療費の打ち切りを提案されやすくなる ・入通院慰謝料を減額される可能性がある ・後遺障害が残っても、認められづらくなる |
入通院慰謝料の金額は、通院期間や通院回数・頻度が重視されます。
ただし、医師の指示に従わず、むやみに通院を増やしても、慰謝料を増額できるわけではありません。
また、医師の指示に従って通院しても、次の点に気をつけないと、慰謝料を含む賠償金が減額される可能性があります。
交通事故後、医師の指示に従って通院する際の注意点 |
・接骨院には、医師の指示のもと通院する ・治療費の打ち切りを提案された場合にも受け入れるかどうかは慎重に検討する ・転院するときは事前に加害者側の保険会社に伝える |
交通事故で怪我に対する適正な賠償金を受け取るのは、簡単なことではありません。
事故後の通院に関する知識があるかどうかで、受け取れる賠償金が大幅に変わってしまうこともあります。
この記事では次のことを解説します。
この記事でわかること |
・交通事故後の通院は医師に従うべき理由 ・適切に通院するために覚えておくべき3つの注意点 |
この記事を読めば、交通事故後、どのように通院すべきか理解できます。
納得いく金額を受け取るために、まずは医師に従って通院すべき理由から学んでいきましょう。
この記事の監修者
弁護士 馬屋原 達矢
弁護士法人サリュ
大阪弁護士会
交通事故解決件数 900件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
2005年 4月 早稲田大学法学部 入学
2008年 3月 早稲田大学法学部 卒業(3年卒業)
2010年 3月 早稲田大学院法務研究科 修了(既習コース)
2011年 弁護士登録 弁護士法人サリュ入所
【著書・論文】
交通事故案件対応のベストプラクティス(共著:中央経済社・2020)等
【獲得した画期的判決】
【2015年10月 自保ジャーナル1961号69頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責非該当の足首の機能障害等について7級という等級を判決で獲得
【2016年1月 自保ジャーナル1970号77頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責非該当の腰椎の機能障害について8級相当という等級を判決で獲得
【2017年8月 自保ジャーナル1995号87頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責14級の仙骨部痛などの後遺障害について、18年間の労働能力喪失期間を判決で獲得
【2021年2月 自保ジャーナル2079号72頁に掲載】(交通事故事件)
歩道上での自転車同士の接触事故について相手方である加害者の過失割合を7割とする判決を獲得
交通事故被害に遭われたら、できるだけ早期に、交通事故の被害者側専門弁護士に相談することをおすすめします。これは、弁護士のアドバイスを受けることで、もらえる損害賠償金が大きく変わる場合があるからです。
弁護士法人サリュは、創業20年を迎え、交通事故の被害者側専門の法律事務所として累計20,000件以上の解決実績があります。所属弁護士の多くが1人あたり500件~1000件以上の交通事故解決実績があり、あらゆる交通事故被害者を救済してきました。その確かな実績とノウハウで、あなたのために力を尽くします。
相談だけで解決できることもありますので、まずはお気軽に無料法律相談をご利用ください。
目次
1. 交通事故後の通院は医師に従うべき
記事冒頭でもお伝えしましたが、交通事故後の通院は医師の指示に従うのが基本です。
医師の指示に従わず、むやみに通院しても、症状は改善しませんし、慰謝料などの賠償金が増えるわけでもありません。
ただし、注意が必要なのは、医師の中には、特に捻挫や打撲の症状をことさら軽視し、治療やリハビリに熱心でない医師もいる点です。そうした場合は、セカンドオピニオンや転院をご検討ください。
この章では、交通事故後、医師に従って通院すべき理由をくわしく解説します。
・治療費の打ち切りを提案されやすくなるから ・入通院慰謝料を減額される可能性があるから ・後遺障害が残った場合に認定されづらくなるから |
1-1. 治療費の打ち切りを提案されやすくなるから
医師に従って通院するべき理由は、医師の指示に従わないと、加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを提案されやすくなるからです。
交通事故で怪我をして通院する際にかかった治療費(診察代など)は、加害者側に請求できます。
しかし、加害者側保険会社は少しでも支払う賠償金を減らそうと考え、治療費の打ち切りを打診してくることがあります。
特に、自己判断で通院回数を増やしたりむやみに通院すると、
「慰謝料のために通院しているのではないか」
と疑われて、治療費を打ち切られることもありえます。
そのため、通院の頻度などは医師にしっかりと相談することが大切です。
1-2. 入通院慰謝料を減額される可能性があるから
医師の指示に従わない場合に、入通院慰謝料を減額される可能性があるのも、医師に従って通院すべき理由のひとつです。
入通院慰謝料とは |
入通院による精神的苦痛に対して支払われる賠償金。金額は入通院の期間が長いほど高くなる。 |
入通院慰謝料は、捻挫の場合、1ヶ月なら19万円、3ヶ月なら53万円のように、通院期間が長いほど金額が上がります。
しかし、自己判断で必要以上に長い期間通院すると、
「軽傷なのに、こんなに通院する必要があったとは思えない」
「この程度の怪我で5ヶ月も通院している人は過去にいないから、意図的に通院を伸ばしたのだろう」
などと加害者の保険会社に疑われて、入通院慰謝料が減額される可能性があります。
そうならないためにも、医師の指示に従って通院すべきです。
1-3. 後遺障害が残った場合、認定されづらくなるから
医師に従って通院するべき3つ目の理由は、医師の指示に従わないと、後遺障害が残った場合に認定されづらくなるからです。
事故による怪我で症状が残った場合は、後遺障害申請をして、後遺障害が残っていることを認定してもらいます。
これは後遺障害慰謝料や逸失利益を受け取れるかどうかに関わる重要なことです。
医師の指示に従って通院せず、加害者側に
「医師の指示どおり通院していないから後遺障害が残ったのだろう」
「医師に従っていれば完治したはず」
などと指摘されたら、後遺障害慰謝料や逸失利益などを含めた賠償金を受け取れない可能性が出てきます。
後遺障害を適切に認定してもらうためにも、医師の指示に従って通院しましょう。
2. 交通事故後、適切に通院するための注意点3つ
交通事故後は、医師の指示に従って通院するべき理由をご理解いただけたでしょうか。
実は、適切に通院するためには、医師の指示に従うのはもちろん、ほかにも注意すべきことが3つあります。
1.接骨院(整骨院)には、医師の指示のもと通院する 2.治療費の打ち切りを提案されても受け入れるかどうかは慎重に検討する 3.転院するときは事前に加害者側の保険会社に伝える |
2-1. 接骨院(整骨院)には医師の指示のもと通院する
事故による怪我の治療で接骨院(整骨院)に通う際は、医師の指示のもと通院しましょう。
医師の指示なく接骨院(整骨院)に通院した場合、その施術費用は損害賠償として認められない可能性があります。
また、接骨院(整骨院)は施術費が高額になりがちで、加害者側の保険会社に治療費の打ち切りを提案されるのが早まるケースもあります。
接骨院での施術が、事故による怪我の治療に必要であると証明するためにも、医師の指示のもと通院することを忘れないでください。
2-2. 治療費の打ち切りを提案されても慎重に検討する
交通事故の怪我の治療で通院中に、加害者側の保険会社に治療費の打ち切りを提案されても、すぐに受け入れないでください。
治療やリハビリの効果が上がっている状態で治療費の打ち切りを提案されたら、医師にも相談し、「まだ治療が必要だ」「治療の効果が出ている」ということであれば、保険会社に治療費対応の延長をお願いしましょう。
それでも、保険会社が治療費を打ち切ってきた場合には、治療を終了して示談交渉に進めるか、健康保険や労災保険を使用して通院を続けるか決断することになります。
その前には、交通事故の解決実績が豊富な弁護士に相談すると良いでしょう。
2-3. 転院するときは事前に加害者側の保険会社に伝える
転院するときは、事前に加害者側の保険会社に伝えましょう。
事前に伝えておかないと、本当に転院が必要だったのか疑われ、転院後の治療費を支払ってもらえない場合があるからです。
保険会社との無用なトラブルを避けるためにも、自己判断で勝手に転院するのは避けましょう。
転院するなら紹介状を書いてもらおう |
転院前の病院から紹介状をもらっておくと、事故による怪我の治療で転院が必要だったことが保険会社に伝わりやすいです。 転院を考えているなら、現在の主治医に紹介状を書いてもらえるかどうか相談してみてください。 |
3. 適切に通院することで受け取れる慰謝料の金額の目安
気になるのは、通院によってどのくらいの慰謝料をもらえるのか、ではないでしょうか。
以下は、通院期間ごとの入通院慰謝料の目安です。
期間 |
弁護士基準 (むちうちのような軽傷の場合) |
弁護士基準 (骨折のような重傷の場合) |
1ヶ月 | 19万円 | 28万円 |
2ヶ月 | 36万円 | 52万円 |
3ヶ月 | 53万円 | 73万円 |
4ヶ月 | 67万円 | 90万円 |
5ヶ月 | 79万円 | 105万円 |
6ヶ月 | 89万円 | 116万円 |
7ヶ月 | 97万円 | 124万円 |
8ヶ月 | 103万円 | 132万円 |
9ヶ月 | 109万円 | 139万円 |
10ヶ月 | 113万円 | 145万円 |
11ヶ月 | 117万円 | 150万円 |
12ヶ月 | 119万円 | 154万円 |
このように、通院期間が長くなるほど慰謝料の金額も上がります。
適切な慰謝料をきちんと受け取るためにも、医師の指示に従い、注意点を守りながら通院しましょう。
また、先ほどの表では弁護士基準の金額を紹介しましたが、実は慰謝料には3つの算定基準があります。
算定基準 | 概要と計算方法 |
自賠責基準 | ・最低保証の金額 ・日額4300円 ・通院期間か実際の通院日数×2のうち、少ないほうで計算する 【例】むちうちで通院期間は1ヶ月(30日)、実際の通院日数は12日だった場合 12日×2=24日 4,300円×24日=103,200円 |
任意基準 | ・保険会社によって金額や計算方法が異なる ・自賠責基準と同じくらいか多少の上積みがある |
弁護士基準(裁判基準) | ・もっとも高額な基準 ・過去の事例や裁判例をもとに決められている |
本来、事故の被害者は、弁護士基準で計算される慰謝料を受け取るべきです。
しかし、保険会社は支払金額を抑えようとして、自賠責基準の慰謝料を提示することも多いのが実情です。
自賠責基準と弁護士基準の金額は大きな差が出るため、適正な慰謝料を請求するために、弁護士への依頼を検討しましょう。
数回しか通院しなかった場合の慰謝料について |
週に1回程度の通院でも、医師の指示であれば1ヶ月分の入通院慰謝料を受け取れる場合があります。 しかし、基本的には数回程度の通院の場合には、当該通院回数に鑑みた少額な慰謝料にとどまるケースも多くあります。 入通院慰謝料の金額は、事故状況や怪我の程度、医師の指示の内容などによって異なります。 ご自身の慰謝料についてくわしく知りたい方は、弁護士に相談することおすすめします。 |
4. 交通事故で通院するときは事前に弁護士へ相談しよう
交通事故で通院するときは、事前に弁護士へ相談しましょう。
交通事故に強い弁護士に相談すれば、慰謝料の交渉以外の場面でも、心強いサポートを受けることができます。
ここでは、弁護士に相談すべき理由を解説します。
・弁護士基準で計算した慰謝料を請求できるから ・通院期間や受けるべき検査などのアドバイスをもらえるから ・慰謝料以外の賠償金獲得に向けたサポートが受けられるから |
4-1. 弁護士基準で計算した慰謝料を請求できるから
弁護士に相談・依頼すべき理由は、弁護士基準で請求した慰謝料を請求できるからです。
被害者自身が弁護士基準で慰謝料を計算し請求したとしても、保険会社は通常は認めてくれません。
弁護士に依頼し、弁護士が交渉することでようやく弁護士基準に引き上がるケースが大半です。
そのため、弁護士基準で計算した正当な慰謝料を請求したい場合には、弁護士の力が必要になります。
4-2. 通院期間や受けるべき検査のアドバイスをしてもらえるから
弁護士の役割は、慰謝料の計算や加害者側との交渉だけではありません。
正当な慰謝料を請求したり、適正な後遺障害認定を受けるため、通院期間や受けるべき検査などのアドバイスを受けることもできます。
もし、主治医が交通事故に慣れていない場合、受けるべき検査や後遺障害診断書に書くべき内容などを理解しておらず、慰謝料の請求時に不利になる可能性もあります。
交通事故に強い弁護士は、あなたの事案に即した適切なサポートをしてくれるでしょう。
4-3.慰謝料以外の賠償金獲得に向けたサポートも受けられるから
弁護士に相談すると、慰謝料以外の賠償金獲得に向けたサポートも受けられます。
交通事故の損害賠償請求では、後遺障害慰謝料のほかにも受け取れる金銭が数多くあります。
弁護士に相談すれば、サポートを受けながら正当な賠償金の獲得を目指せるでしょう。
5. まとめ
この記事では、交通事故の通院について解説しました。
重要なポイントをまとめます。
【交通事故の通院は医師に従うべき理由】
・治療費の打ち切りを提案されやすくなるから ・入通院慰謝料を減額される可能性があるから ・後遺障害が残った場合、認定されづらくなるから |
【適切に通院して慰謝料を受け取るための注意点】
・接骨院(整骨院)には、医師の指示のもと通院する ・治療費の打ち切りを提案された場合は受け入れるかどうか慎重に検討する ・転院するときは事前に加害者側の保険会社に伝える |
【正当な慰謝料を受け取るためには弁護士が必要な理由】
・弁護士基準で計算した慰謝料を請求できるから ・通院期間や受けるべき検査のアドバイスをしてもらえるから ・慰謝料以外の賠償金獲得に向けたサポートも受けられるから |
交通事故の通院で正当な慰謝料を受け取るためには、医師の指示に従って通院すること、弁護士に依頼して弁護士基準で慰謝料を計算することが大事です。
通院に関して少しでも不安があるなら、早めに弁護士に相談しアドバイスをもらいましょう。