交通事故を弁護士に依頼するデメリットは3つ!損しない方法も解説
交通事故の被害に遭って弁護士への依頼を検討している方の中には、
「弁護士に依頼するデメリットって無いかな?」
「実は相当お金がかかって、損してしまうことがあるのではないだろうか?」
など不安に思っている方もいるかもしれません。
弁護士に依頼したほうが良いとは思いつつ、隠れたデメリットが無いかと考える方は、物事をとても慎重に考えていて素晴らしいですね。
この記事では、交通事故を弁護士に依頼する時に言われる「隠れたデメリット」について詳しく検証し、解説していきます。
もちろん状況にもよるのですが、デメリットを検証してみると、むしろ「弁護士に依頼しないことがデメリットとなる」ケースもあります。
なぜならば、ご存じない方も多いかもしれませんが、加害者側の保険会社が提示してくる示談金の金額は、過去の裁判と照らし合わせた適正な金額よりもかなり低いことがあるからです。
弁護士に依頼せずに、保険会社の提案を受け入れてしまうと、本来もらえたはずの金額の半分程度しかもらえないことがあるのです。弁護士に依頼すれば、「弁護士基準(裁判基準)」で算定しなおした適切な金額を請求することができ、これにより後遺障害等級が12級以上の事案によっては、示談金が1、5倍・2倍・3倍になることもあります。
また、むち打ちについても、後遺障害が認められずに数十万の賠償で終わるものが、後遺障害を認めさせることで200万、300万といった賠償金になることもあります。
【弁護士に依頼することで増額した事例】
保険会社から提案された 示談金の金額 | サリュが介入したことで得られた 示談金の金額 | |
事例365:保険会社の事前提示額を1.5倍以上に増額することに成功! | 114万円 | 175万円 |
事例345:相手方保険会社の提示額から500万円以上増額し、スピード解決 | 460万円 | 1,000万円 |
事例332:事前提示賠償額2000万円から、交渉で3500万円まで増額解決した事例 | 2,000万円 | 3,500万円 |
事例162:高齢者死亡事故訴訟|示談提示額から1400万円増額の判決獲得! | 約2,900万円 | 約4,300万円 |
※増額した事例はたくさんあり、上記はごく一部です。
「弁護士に依頼するのはお金がかかる」「依頼したって、大して増額しないだろう」などと思い込んでいる方は、ひとまずこの記事に目を通していただき、なぜ弁護士に依頼すると良いケースがあるのか確認してください。
弁護士に依頼すべきか依頼すべきでないかは、デメリットとメリットを両方知って、比較してから決めるべきです。弁護士に依頼するのをためらっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の監修者
弁護士 馬屋原 達矢
弁護士法人サリュ
大阪弁護士会
交通事故解決件数 900件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
2005年 4月 早稲田大学法学部 入学
2008年 3月 早稲田大学法学部 卒業(3年卒業)
2010年 3月 早稲田大学院法務研究科 修了(既習コース)
2011年 弁護士登録 弁護士法人サリュ入所
【著書・論文】
交通事故案件対応のベストプラクティス(共著:中央経済社・2020)等
【獲得した画期的判決】
【2015年10月 自保ジャーナル1961号69頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責非該当の足首の機能障害等について7級という等級を判決で獲得
【2016年1月 自保ジャーナル1970号77頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責非該当の腰椎の機能障害について8級相当という等級を判決で獲得
【2017年8月 自保ジャーナル1995号87頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責14級の仙骨部痛などの後遺障害について、18年間の労働能力喪失期間を判決で獲得
【2021年2月 自保ジャーナル2079号72頁に掲載】(交通事故事件)
歩道上での自転車同士の接触事故について相手方である加害者の過失割合を7割とする判決を獲得
目次
1. よく言われるデメリット1:弁護士に依頼するとお金がかかる
交通事故を弁護士に依頼する一番のデメリットは、やはり「お金がかかること」です。
依頼せず自分で示談交渉や後遺障害の手続きなどを進めればお金はかかりませんが、弁護士に依頼すれば当然費用がかかります。ただし、費用がかかったとしても、以下の2つの理由から、これはデメリットにならないケースが多いです。
・デメリットにならない理由1:費用以上に得られる利益が大きいから ・デメリットにならない理由2:弁護士費用特約が使えれば費用負担はないから |
2つの理由をさらに詳しく解説します。
1-1. デメリットにならない理由1:費用以上に得られる利益が大きいから
弁護士に依頼することによる「お金がかかる」というデメリットは、デメリットにならないケースがほとんどです。なぜならば、弁護士へ支払う費用以上に「得られる利益(賠償金)」が大きくなるケースが多いからです。
交通事故に遭うと、被害が確定した時点(治療後など)で、加害者の保険会社から「当社から支払える示談金額は◯万円です」と連絡が来ます。
しかしながら、保険会社からの提案額は「任意保険基準」という独自の基準を基に算定されたものであり、弁護士から見ると低額すぎる金額と言わざるを得ません。この低すぎる金額を「裁判にもとづいた適正な価格」に近づけるのが弁護士の役割です。
例えば、弁護士に依頼しなかった場合に、保険会社から「示談金は32万円です」と提案があった場合、何もしなければ32万円しか受け取れません。しかし弁護士に依頼をして、「このケースでは後遺障害認定を取れそう」ということが分かり、裁判基準の賠償金+後遺障害逸失利益も手にすることが場合には、結果的に数百万円の賠償金を獲得できることがあります。
上記の例は、後遺障害でも最も等級が低い14級のケースですが、1級や2級といった等級が高いケースだと、1千万単位や億単位で金額が変わってくることもあります。
ケースバイケースですが、だいたい過失が10対0の事案で、4〜5カ月病院に通うようなケースでは、弁護士費用よりも獲得費用が上回るケースが多くなるでしょう。
弁護士に依頼することで示談金が大幅にアップして、弁護士に支払った以上の賠償金を手にできるならば、それはデメリットにはならないのです。
1-2. デメリットにならない理由2:弁護士費用特約が使えれば費用負担はないから
「お金がかかる」ことがデメリットにならない理由はもう1つあり、弁護士費用特約が使える場合、多くのケースでは「そもそも費用負担が発生しない」ケースも多くなります。
弁護士費用特約とは、自動車保険(任意保険)の特約で、万が一の場合に弁護士費用を負担してくれるものです。この特約は、自動車保険の加入者の約半数が付けているといわれています。自分がこの特約を付けているか確認してみてください。
着手金や報酬金が300万円までカバーできる弁護士費用特約が多く、その範囲内であれば、依頼者(交通事故被害者)の負担は変わらないことが多いです。弁護士に支払う費用は、依頼者の代わりに、特約を契約している保険会社が支払ってくれます。
300万円の弁護士費用を超えてしまうケース(おおむね賠償金が1,600万円を超えるようなケース)もありますが、この場合も、多額の賠償金を受け取れる訳ですから、弁護士費用を差し引いても大きな利益を手にしている状態となります。
まとめると、弁護士費用特約が使えるケースでは、弁護士費用は全くデメリットになることはありません。
1-3.【結論】費用がデメリットになるのは「特約なし+軽症」など一部のみ
1-1〜1-2で解説したような「賠償金が大幅に増額できるケース」または「弁護士費用特約に入っているケース」では、費用はデメリットになりません。唯一、費用がデメリットになりえるケースは、特約に入っておらず、軽症で後遺障害も残らないような軽微なケースや、過失割合が大きく自賠責基準の方が高くなってしまうようなケースです。
例えば、むちうちで1ヶ月(30日間)に週2回程度のペースで合計8回整形外科に通院した場合、保険会社から提案される慰謝料の相場は7万~15万程度です。一方、このケースで、弁護士基準で算定した慰謝料の相場は19万円となります。
よほど特殊なケースでなければ、弁護士に依頼しても数万か10万円の増額しかできないため、弁護士費用の方が高くなる可能性が高いといえます。
※弁護士費用特約がある場合には、特約を活用すれば費用負担がないため、上記のような軽症なケースでもぜひご依頼ください。
今回紹介したようなケースでは、弁護士に依頼することで「費用倒れ(赤字)」になってしまうデメリットがあります。それでも「手続きを一任してストレスから開放されたい」「加害者から謝罪の言葉をもらいたい」など別のメリットのために弁護士に依頼することは可能です。
特約がなく軽症なケースで依頼する場合には、費用倒れのデメリットがあることを念頭に置いたうえで、まずは無料相談を利用してみる選択肢をおすすめします。
2. よく言われるデメリット2:弁護士に依頼しても示談金は大して増額しない
交通事故を弁護士に依頼するデメリットとして「弁護士に依頼しても示談金はそれほど増額しないでしょ」と言われることがあります。
これは、明らかに勘違いです。1章でも示した通り、保険会社が提案してくる「任意保険基準」という低い水準で計算された示談金に対して、過去の裁判にもとづいて「適正な金額」とされている「裁判基準(弁護士基準)」を請求して、裁判になっても賠償金額を増額させるのが弁護士の仕事です。
当事務所サリュの場合にも、以下のように示談金を増額したケースがさまざまあります。
【弁護士に依頼することで増額した事例】
保険会社から提案された 示談金の金額 | サリュが介入したことで得られた 示談金の金額 | |
事例365:保険会社の事前提示額を1.5倍以上に増額することに成功! | 114万円 | 175万円 |
事例345:相手方保険会社の提示額から500万円以上増額し、スピード解決 | 460万円 | 1,000万円 |
事例332:事前提示賠償額2000万円から、交渉で3500万円まで増額解決した事例 | 2,000万円 | 3,500万円 |
事例162:高齢者死亡事故訴訟|示談提示額から1400万円増額の判決獲得! | 約2,900万円 | 約4,300万円 |
※増額した事例はたくさんあり、上記はごく一部です。
もしも、弁護士に依頼したのに示談金を大して増額できなかったというケースがあるとすると、以下の原因が隠れているはずです。
弁護士に依頼したのに増額できなかったケースで考えられる原因 (1)治療中のアドバイスを受けることまで弁護士の契約に含めていなかったから (2)初期に必要な検査がされていなかったなど、弁護士に依頼するタイミングが遅すぎたから (3)事故の被害が軽微など、そもそも大幅な増額を期待できる案件ではなかったから |
交通事故について弁護士に依頼して、賠償金の増額を実現するには、交通事故に強い弁護士に依頼すること、手遅れにならないようにできるだけ早期に弁護士に依頼することが大切です。
3. よく言われるデメリット3:弁護士に依頼すると余計な時間・手間がかかってしまう
交通事故被害者が弁護士に依頼するデメリットとして「弁護士に依頼すると余計な時間・手間がかかってしまう」というイメージがあるかもしれません。こちらも、完全に勘違いと考えられます。
弁護士に依頼することで、確かに、初回の面談や打ち合わせなどの時間は発生しますが、さまざまな手続きや示談交渉を弁護士に代わりにやってもらえるのです。自分で対応するよりも、格段に時間や手間がかからずに済みます。
例えば、示談交渉を弁護士に依頼せずに自分で対応するには、以下の時間と手間が発生します。
(1)保険会社からの示談の内容をチェックする
(2)示談金の項目に漏れがないか、適正か確認する
(3)示談金の金額が適切かどうか確認する
(4)保険会社から「被害者側の過失も2割あります」などと言われた場合には、過失がないことを自分で証明する
その他にも、警察の捜査記録を謄写する、後遺障害の不服申し立てをする、裁判をする等、
これらの時間がかかる上に、一般の方が「示談金の項目に漏れがないか」「示談金の金額が適切かどうか」判断するのはとても骨の折れる作業となります。プロである弁護士に依頼すれば、金額の確認も面倒な示談交渉も一任することができます。
4.【ケース別】交通事故を弁護士に依頼するデメリット
1章〜3章で解説した通り、交通事故について弁護士に依頼するデメリットとして言われるものの多くは、蓋を開けてみるとデメリットではないことがほとんどです。
改めて、ケース別に、弁護士に依頼するデメリットをまとめると以下の通りになります。
ケース | デメリット |
弁護士費用保険が使える+ 特約でカバーできる(300万円以内)ケース | デメリット無し 費用負担はないため、「お金がかかる」というデメリットはない |
弁護士費用保険が使える+ 特約の上限を超える(300万円超)ケース | デメリット無し 弁護士費用は発生するが、それ以上に多額の賠償金をもらえるためデメリットはない |
弁護士費用保険が使えない+ 増額できる金額が少額となるケース | デメリット有り 費用倒れになるデメリットがある |
弁護士費用保険が使えない+ 増額できる金額が大きいケース | デメリット無し 弁護士費用は発生するが、それ以上に多額の賠償金をもらえるためデメリットはない |
それぞれのケースについて、もう少し補足して解説していきます。
※ただし、いずれの場合においても、「交通事故に詳しくない弁護士」に依頼してしまうと、納得の行く増額や後遺障害等級認定に至らず、後悔につながる危険性があります。交通事故に詳しい弁護士に依頼することが大前提ですので、そのつもりで読み進めてください。
4-1. 弁護士費用特約が使える+特約でカバーできるケース
弁護士費用特約が使える場合かつ特約の範囲内(通常300万円が上限)で弁護士費用をカバーできるケースでは、依頼者は弁護士にお金を払う必要がないため、デメリットは全くありません。
つまり、弁護士に依頼するデメリットは一切なく、以下の各種のメリットだけを教授することができます。
交通事故について弁護士に依頼するメリット (1)弁護士基準で示談金を「増額」できる可能性が高い (2)適切な後遺障害の認定を得ることができる (3)法律のプロが自分の味方になって示談交渉を進めてくれる (4)被害者側の過失を減らすことができる (5)治療費の打ち切りにも適切に対処できる |
例えばケガの程度が軽症で、それほど多くの金額の増額が期待できないケースであっても、弁護士費用は特約でカバーできるためデメリットは一切ありません。
弁護士費用特約を使える場合はデメリットがないため、できるだけ早いタイミングで弁護士に依頼しましょう。
4-2. 弁護士費用特約が使える+特約の上限(300万円)を超えるケース
弁護士費用特約でカバーできる300万円の弁護士費用を超えてしまうケースでも、依頼することでの依頼者のデメリットは無いと考えられます。
300万円の上限を超えた弁護士費用は支払うことになりますが、それはつまり、賠償金の金額を大幅にアップできた状況なので、依頼者の元には利益が多く残るはずです。
なお、弁護士費用特約でカバーできる300万円の弁護士費用を超えてしまうケースというのは、賠償金がおおむね1,600万円~1,700万円を超えるようなケースです。特約の上限を超えた分の弁護士費用は、獲得した賠償金の中から支払います。
4-3. 弁護士費用特約が使えない+増額できる金額が少額のケース
弁護士費用特約を付けていなかった場合(または使えない場合)で、弁護士が介入しても増額できる金額が少額の場合には、「費用倒れ(赤字)」となる可能性があるため、弁護士に依頼することがデメリットとなることがあります。
交通事故被害者が弁護士に依頼する場合、ほとんどデメリットがないケースが多いのですが、唯一例外としたらこのケースです。
ケガが軽傷で通院期間も短い場合、保険会社が提案する慰謝料(任意保険基準)を弁護士基準で請求できたとしても、数十万円しか増額できないことがあります。弁護士費用は最低でも数十万円はかかることが多いので、弁護士に依頼してもそれほど恩恵を受けられないことになります。
ただし、弁護士に依頼するメリットは、示談金増額だけではありません。面倒な示談交渉を代行してもらったり、過失がないことを証明してもらったり、加害者の謝罪を引き出したりが目的の場合には、弁護士に依頼するメリットは十分にあるでしょう。
費用のデメリットが気になる方は、まずは初回相談で状況を聞いてもらって、依頼するかを含めて今後の進め方についてアドバイスをもらうことをおすすめします。
4-4. 弁護士費用特約が使えない+示談金を大幅に増額できるケース
弁護士費用特約が使えない状況でも、弁護士に依頼することで示談金を大幅に増額できるケースであれば、金銭的なデメリットはありません。なぜならば、弁護士費用を支払っても、最終的に獲得できる金額の方が多くなるからです。
例えば、相手の保険会社から提案された示談金の金額が30万円だったとします。このケースで弁護士費用30万円を支払って示談金の金額が100万円になったとしたら、トータル40万円が利益となります。
弁護士に依頼しないまま示談交渉を進めても、示談金額の30万円から大幅に増額することは難しいでしょう。このようなケースでは、特約がなくて弁護士費用を支払ってでも、裁判基準(弁護士基準)で交渉を進められる方が有利です。
そうはいっても、示談金を大幅に増額できる可能性がどのくらいあるか、一般の方には判断しづらいでしょう。まずは弁護士の初回相談を受けて、弁護士が介入するとどの程度の経済的利益を受けられそうなのか聞いてみることをおすすめします。その際に、裁判をしない場合に早期に解決するとしたらどの程度まで増額できるか、裁判までするのであればどれくらい期間がかかるのかなども確認しましょう。
5. 弁護士に依頼するデメリットをゼロにする3ステップ
4章でまとめた通り、多くの交通事故被害者は、弁護士に依頼するデメリットはほとんどないと言えます。ここからは、あらためてデメリットをゼロにする方法(3ステップ)を解説します。
ステップごとに解説していきます。
5-1. 初回相談無料の弁護士に相談する
弁護士に依頼するデメリット(費用倒れになる可能性)をゼロにするためには、まずは初回相談無料の弁護士に相談しましょう。
法律事務所によっては、30分5,000円~1万円程度の相談料がかかるところもあります。できれば初回の方向性の相談だけでも無料でしっかりアドバイスしてくれる弁護士がおすすめです。
サリュのように、初回相談を電話相談やオンライン(ネット上)で行える事務所ならさらに安心です。交通費を掛けずに、自宅から気軽に相談できます。
5-2. 相談時に「依頼すると賠償金が増額できそうか」を確認する
初回相談時には、「依頼した場合にどの程度の賠償金増額が期待できるか」をしっかり確認しましょう。
交通事故は、案件ごとにかなり状況が違うため、個々の状況によって増額の可能性も変わってきます。後遺障害が残るかどうか、被害者にも過失が認められるのかなどによっても、賠償金の金額は大幅に変わります。
交通事故に強い弁護士であれば、それぞれの状況に応じて、どの程度増額の可能性があるのか、今から準備しておくことがあるのか、明確な回答が得られるはずです。
逆に、相談時に回答を濁すような弁護士は、交通事故についての知識や経験が足りない可能性があるので、しっかり見極めましょう。
また、サリュの場合、ご依頼いただいても相談者の利益に繋がらないようなケースの場合、相談時点で正直にお伝えするようにしています。
5-3. 弁護士に依頼するメリットが上回るなら依頼する
相談した結果を聞いて、弁護士に依頼するメリットが上回ると判断できた場合には、依頼を決定しましょう。
ここでしっかりと「依頼するかしないか」を自分の意思で判断することで、後悔してしまう未来を回避できるでしょう。
6. 交通事故被害者が弁護士に依頼するメリット
最後に、交通事故を弁護士に依頼するメリットを改めて解説していきます。
弁護士費用特約が使える人は費用負担なく弁護士に相談できる可能性大なので、ぜひ早期に依頼して多くのメリットを享受することをおすすめします。
6-1. 賠償金を増額できる可能性が高い
1-1でも解説しましたが、保険会社から提案される示談金の金額よりも高い賠償金を得られる可能性が高いのが、弁護士に依頼すべきメリットです。
ご存じない方も多いかもしれませんが、過失が10対の0の事案で、加害者の保険会社が提案してくる示談金の金額は、裁判に照らし合わせた基準より低い金額で提示されていることが多いです。
任意保険基準は、各保険会社が内部で定めた自社ルールで、国が決めた自賠責基準を下回ることはありませんが、自賠責基準をそのまま提示してくる担当者や、自賠責基準より少しだけ上乗せした低額な計算をしている担当者も存在します。
下の表は、自賠責基準と裁判基準の比較表です。
【自賠責基準と裁判基準(弁護士基準)の一例】
自賠責基準 | 裁判基準(弁護士基準) | |
14級の後遺障害が認定された場合にもらえる後遺障害慰謝料 | 32万円が相場 (自賠責基準並の場合) | 110万円が相場 (3.4倍) |
10級の後遺障害が認定された場合の後遺障害慰謝料 | 190万円が相場 (自賠責基準並の場合) | 550万円が相場 (2.9倍) |
4級の後遺障害が認定された場合の後遺障害慰謝料 | 737万円が相場 (自賠責基準並の場合) | 1,670万円が相場 (2.26倍) |
保険会社の提示額を鵜呑みにして示談を受け入れてしまうと、適正な金額の賠償金を受け取ることはできません。かといって、弁護士なしで独断で個人が裁判基準で交渉しようとしても、保険会社が聞き入れてくれる可能性は低いでしょう。増額するためには弁護士の介入が必要なのです。
さらに、認定されるのが難しい後遺障害等級認定を獲得したり、過失割合を修正させたり、相手の重過失を認めさせたりすることで、賠償金の金額を倍増できるケースもあります。
重度の後遺障害が残ったケースなどでは、逸失利益も含めると、保険会社の提示額と裁判基準での賠償額が億単位や1千万単位で違ってくることもあります。
6-2. 精神的・身体的負担が軽減される
交通事故被害者が弁護士に依頼するメリットは金銭面以外にもあり、精神的・身体的負担が軽減されるという点があります。
ある日突然事故に巻き込まれてしまい、ケガをして入院や通院をしている間にも、加害者側の保険会社とのやり取りは発生します。思うように体を動かせなかったり会社を休まなければならなくなったり、ストレスが多い中で加害者側と話さなければならないのは、精神的にも負担が大きなものです。
弁護士に依頼すれば、加害者側とのやり取りを任せることができるため、精神的な負担が軽減されます。
さらに、さまざまな手続きや作業についても代行してもらえます。
弁護士に依頼することで、治療費請求や後遺障害等級認定の手続き、過失割合を修正するための証拠集め、裁判基準に照らし合わせた適正な賠償金の計算など、さまざまな作業を任せることができます。
法律に詳しくない方が調べながら手続きを進めるのは大きな負担となりますので、弁護士にさまざまな手続きを任せられるのも大きなメリットとなるでしょう。
6-3. 後遺障害の認定の準備・申請も任せられる
後遺障害等級認定の準備や申請を任せられるのも、弁護士に依頼して得られるメリットのひとつです。
後遺障害等級認定とは、交通事故によるケガを治療しても後遺症が残ってしまったことを、自賠責保険の認定機関から認めてもらう手続きをいいます。
後遺障害が認められると、後遺障害に対する慰謝料と逸失利益(将来得られたはずの収入)を請求できるため、示談金の金額がかなり増額できます。後遺障害等級によっては、数百万から数千万単位で示談金が変わってきます。
治療中の早い段階から弁護士に依頼することで、病院に通う回数や受けるべき検査の種類やタイミングなど具体的なアドバイスをもらえるため、適切な後遺障害等級を獲得しやすくなります。
というのも、相当する症状が残っていても、検査が不足していたり医師の診断書の書き方が悪かったりすると認定が降りないことがあるからです。
後遺障害の認定手続きや異議申し立てに強い弁護士に依頼することで、認定が通りやすくなるポイントを押さえることができ、認定を得やすくなります。
6-4. 被害者側の過失を減らすことができる
弁護士に依頼するメリットとして、被害者と加害者の過失割合の交渉もお願いできる点があります。
過失割合とは、「発生した交通事故に対する責任の割合」のことをいいます。状況によっては保険会社から「あなたにも過失がありますよね?過失割合は7:3でどうしょう?」などと言われることがあります。
例えば、動いている車同士の事故の場合、「過失は100:0にはならない(被害者側にも過失がある)」と保険会社が主張してくるケースがあるのです。(実際には、被害者が予測・回避できない事故だったと考えられる場合には、被害者側の過失はゼロと判断されるケースはあります。)
被害者側の過失を認めてしまうと、示談金の金額が、過失割合に応じて減額されてしまいます。例えば、過失ゼロだと損害賠償金が1,000万円だったケースで、被害者の過失が3割認められてしまうと、もらえる示談金は700万円になってしまうのです。
交通事故に強い弁護士に依頼すれば、警察の捜査記録を確認して、統計的な過失割合から修正できる要素をないかを検証することで、被害者側の過失を減らすための交渉が可能です。
7. 弁護士への相談・依頼はできるだけ早いタイミングがおすすめ
交通事故被害者が弁護士に依頼するデメリット、そしてメリットについて解説しました。
ここまで読んだ方ならば、「依頼した方がもらえる金額が増えそうだし、自分にメリットが大きそうだな」と感じたのではないでしょうか。特に、弁護士費用特約が使える方は、費用面でのデメリットもないため、圧倒的にメリットが大きいと言えます。
そうなってくると、気になるのが、「弁護士に依頼するタイミングはいつが良いの?」という点ではないでしょうか。
結論から言えば、最初の無料相談のタイミングは早ければ早いほど良いです。なぜならば、事故直後・治療中・症状固定後(完治後)・示談交渉開始後で弁護士はそれぞれにアドバイスできることがあり、早めに相談すればするほど、よいアドバイスを受けられるからです。実際に、保険会社との交渉業務などをいつから依頼するかは、治療状況や保険会社の対応に応じて判断をすることになります。
特に、弁護士費用特約が使える場合には、着手金や報酬金が300万円までカバーできるケースが多いため、どのタイミングで依頼しても依頼者(交通事故被害者)の負担は変わらないことがほとんどです。
まとめ
本記事では「交通事故を弁護士に相談・依頼するデメリット」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
よく言われるデメリット(1):弁護士に依頼するとお金がかかる
・費用以上に得られる利益が大きいから、デメリットにならないケースが多い ・弁護士費用特約が使えれば費用負担はないから、デメリットにならないケースが多い ・【結論】費用がデメリットになるのは「特約なし+軽症」など一部のみ |
よく言われるデメリット(2):弁護士に依頼しても示談金は大して増額しない
・これは、明らかに勘違い ・過去の裁判にもとづいて「適正な金額」とされている「裁判基準(弁護士基準)」を請求して、賠償金額を増額させるのが弁護士の仕事。軽微事故では増額できる額が少額の可能性もあるが、初回の無料相談で増額の見通しをきちんと確認することが重要 |
よく言われるデメリット(3):弁護士に依頼すると余計な時間・手間がかかってしまう
・こちらも、完全に勘違い ・保険会社の言い値で決めるよりは時間がかかるが、さまざまな手続きや示談交渉を弁護士に代わりにやってもらえる |
【ケース別】交通事故を弁護士に依頼するデメリット
・弁護士費用が使えない+増額できる金額が少額となるケースのみ、「費用倒れ」になるデメリットがありえる |
交通事故被害者が弁護士に依頼するメリット
・賠償金を増額できる可能性が高い ・精神的・身体的負担が軽減される ・後遺障害の認定の準備・申請も任せられる ・被害者側の過失を減らすことができる |
本記事で解説したとおり、弁護士に依頼することによるデメリットは、ほとんどありません。一方で、依頼することで金銭面だけでなく手続きから解放され、精神的にも負担が減るため、メリットはかなり大きいものになるでしょう。
弁護士費用特約がある場合は特にですが、「弁護士に依頼しないことがデメリットになる」とも言えます。ぜひできれば早いタイミングで、交通事故に強い弁護士に依頼することをおすすめします。