交通事故の過失割合に納得いかないなら交渉可能!必要な証拠や解決事例

交通事故の過失割合に納得いかないときは、どうすることもできないの?

納得いく過失割合にする方法はある?

相手が完全に悪い事故で自分には過失がないはずなのに、加害者の保険会社に「過失割合は5:5です」「あなたにも過失があるので3:7です」などと言われたら、納得いかないのは当然です。

結論、交通事故の過失割合に納得いかないときは、加害者の保険会社と交渉するべきです。

過失割合は、加害者の保険会社が勝手に決めるものではありません。

提示された割合になるわけではないため、納得いかないなら受け入れる必要はないのです。

保険会社に、納得いかない過失割合を提示された理由として考えられることは、次のようなものです。

・加害者が保険会社に嘘の供述をし、あなたにも過失があると主張している

・加害者の保険会社が事故の状況を把握しておらず、あなたにも過失があると勘違いしている

・加害者の保険会社が損害賠償額を減らそうとしている

納得いかないままの過失割合を受け入れれば、あなたが受け取れる賠償金(慰謝料など)は減ります。

とはいえ、交渉なんて本当にできるのだろうか、自分の保険会社の担当者は頼りない……などと不安を感じている方もいるでしょう。

でも大丈夫です。この記事を読めば、交渉時のポイントや、交渉が難しいときの対処法などが分かります

この記事で分かること
・交通事故の過失割合に納得いかないときは保険会社と交渉すべき理由
・過失割合に納得いかないあなたが今後どのような手順で解決を目指すか
・過失割合の交渉に必要な2つのこと
・過失割合の交渉には弁護士が必要である理由
・納得いかない過失割合を修正できた事例

最後まで読めば、納得できる過失割合で決着をつけるための一歩が踏み出せます。

はじめに提示された過失割合を大きく覆せる可能性もあるので、諦めないでくださいね。

この記事の監修者
弁護士 山田 洋斗

弁護士法人サリュ千葉事務所
千葉県弁護士会

交通事故解決件数 1,100件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
2014年 明治大学法科大学院卒業
2014年 司法試験合格
2015年 弁護士登録、弁護士法人サリュ入所
【獲得した画期的判決】
【2021年8月 自保ジャーナル2091号114頁に掲載】(交通事故事件)
【2022年 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻(赤い本)105頁に掲載】
会社の代表取締役が交通事故で受傷し、会社に営業損害が生じたケースで一部の外注費を事故と因果関係のある損害と認定した事例
【弁護士法人サリュにおける解決事例の一部】
事例333:弁護士基準の1.3倍の慰謝料が認められた事例
事例343:相手方自賠責保険、無保険車傷害保険と複数の保険を利用し、治療費も後遺障害も納得の解決へ
事例323:事故態様に争いがある事案で、依頼者の過失割合75%の一審判決を、控訴審で30%に覆した

弁護士法人サリュは、交通事故の被害者側専門で20,000件以上の解決実績を誇る法律事務所です。

交通事故被害に遭われたら、できるだけ早期に、交通事故の被害者側専門弁護士に相談することをおすすめします。これは、弁護士のアドバイスを受けることで、もらえる損害賠償金が大きく変わる場合があるからです。
弁護士法人サリュは、創業20年を迎え、交通事故の被害者側専門の法律事務所として累計20,000件以上の解決実績があります。所属弁護士の多くが1人あたり500件~1000件以上の交通事故解決実績があり、あらゆる交通事故被害者を救済してきました。その確かな実績とノウハウで、あなたのために力を尽くします。
相談だけで解決できることもありますので、まずはお気軽に無料法律相談をご利用ください。

1.交通事故の過失割合に納得いかないときは保険会社と交渉できる!

交通事故の過失割合に納得いかないときは、保険会社と交渉できます

過失割合は、事故の当事者同士が納得したうえで決まるものです。

相手の保険会社に提示された過失割合で決定、というわけではありません。

過失割合は、慰謝料を含む損害賠償額を決める際に大きく影響します。

あなたの過失割合が多いほど、それだけ受け取れる金額は減ってしまいます

受け取れる賠償金が減るのを防ぐために、過失割合に少しでも納得いかないときは、保険会社と交渉するべきです。

2.交通事故の過失割合に納得いかない時の解決までの流れ

過失割合に納得いかないときは、保険会社と交渉するべきだとお伝えしました。

では、過失割合に納得いかないあなたが、今後どのように解決を目指していくのか、具体的な流れを解説します。

2-1.加害者の保険会社と交渉する

まずは、加害者の保険会社に過失割合が納得いかないことを伝え、交渉します

被害者のあなたが車両保険を付帯しており、物損について交渉をする場合、過失割合の交渉は保険会社同士でおこなうケースがほとんどのため、あなたの加入している保険会社の担当者が対応することになります。

おそらく、加害者側に提示された過失割合も、あなたの保険会社の担当者をとおして告げられたはずです。

加害者側の主張を聞いたうえで、以下の内容を担当者に伝えましょう。

あなたが自分の保険会社の担当者に伝えるべきこと
・提示された過失割合に納得がいかないこと
・自分(あなた)は相手の過失が大きいと思っていること
・加害者に過失割合の交渉をしてほしいこと

過失割合の交渉時にやらなければいけないことは、「【重要】過失割合の交渉に役立つ2つのこと」でさらに詳しく解説します。

なお、理論上は、物損の交渉において合意した過失割合と、怪我などの人損における過失割合は全く別物であり、両者が異なる過失割合となることも多いのですが、保険会社は両者を一致するものとして交渉しようとします。そのため、物損における過失割合の合意は、人損においても事実上影響を与える場合があることを知っておきましょう。

2-2.交通事故に詳しい弁護士に相談し、保険会社と交渉する

交渉しても加害者側が主張を変えず、過失割合に納得いかない状態なら、交通事故に詳しい弁護士に相談しましょう

交通事故に詳しい弁護士は、さまざまな交通事故案件を解決した実績があります。

相手の主張に矛盾があればすぐに気づき、問い詰めることもできるのです。

また、あなたが納得いく過失割合にするための方法や、どのような証拠を提出すれば過失割合を覆せる可能性があるのかも知っています。

過失割合の交渉で重要なのは、事実の調査とそれを前提にした交渉力です。

加害者側の保険会社と対等に交渉するためにも、交通事故のプロである弁護士に交渉を任せることをおすすめします。

費用が不安な方もいるかもしれませんが、事故より前に弁護士特約に加入していれば、利用できる場合があります。

弁護士特約を使えば300万円までの費用が補償されるので、実質自己負担なしで弁護士に依頼できる可能性もあります。

今回の事故で使えるかどうか、ご自身の加入している保険会社に確認してみてください。

2-3.専門機関に示談のあっせんや審査を依頼する

弁護士が交渉しても、加害者側が頑なに提示した過失割合を変えない場合は、専門機関に示談のあっせんや審査を依頼できます。

以下は、交通事故に強い専門機関です。

交通事故に強い専門機関
・公益財団法人 交通事故紛争処理センター
・公益財団法人 日弁連交通事故相談センター

専門機関は、被害者と加害者の間に入り、

・被害者と加害者の意見を聞く

・提出された証拠を確認する

などの方法で、中立的な立場で示談のあっせんや審査をおこないます。

基本的に無料で利用できるため、直接の話し合いで解決できない場合は利用するのがおすすめです。

専門機関を利用しないケースもある!
上記のような専門機関を利用せず、裁判所の調停や訴訟に進んだほうが良いケースもあります。

例:証拠が十分にそろっている場合、お互いに争う意思がある場合

どのような方法で納得いく過失割合を目指すのかは、事故の状況で変わります。
弁護士と相談しながら、解決を目指しましょう。

2-4.調停や裁判で解決を目指す

弁護士による交渉や、専門機関のあっせんや審査をおこなっても過失割合が決まらない場合は、調停や裁判で解決を目指します

調停:裁判を起こさず、裁判所が介入して解決を目指し、双方が納得すれば解決となる
裁判:法廷で被害者と加害者がそれぞれ主張を述べ、証拠に基づき最終的に裁判官が過失割合を踏まえた判決を言い渡す

調停を選択すると、裁判官と調停委員によって、過失割合に関する調停案が作成されます。

その内容を見て、あなたと加害者は納得するかしないかを決めることができます。

一方裁判では、裁判官が下した判決により過失割合が決定します。

裁判が確定した場合、裁判官に言い渡された内容を変更することはできません。

裁判は、どれだけ交渉を続けても、過失割合の話がまとまらなかった場合の最終手段と考えておきましょう。

3.【重要】過失割合の交渉に役立つ2つのこと

過失割合に納得いかない場合は、まず加害者の保険会社に交渉すべきだと解説しました。

しかし、自分で交渉するといっても「本当にできるのかな」「難しいのではないか」と不安になりますよね。

過失割合に納得がいかない意思をただ主張するだけでは、保険会社はまともに聞いてくれないのが実情です。

そこで重要なのは、どれだけあなたの主張が正しいかを証明することです。

以下の2つをおこなえば、加害者の保険会社が提示する過失割合がおかしいと証明でき、こちらの主張が通りやすくなります

1.何に対して納得できないのか明確にする
2.加害者を納得させる証拠を集めて提出する

3-1.何に対して納得できないのか明確にする

1つ目は、あなたが何に対して納得できないのか、明確にすることです。

納得できないことによって、集めるべき証拠や交渉の仕方が変わります。

納得いかない対象
相手が主張する事故の状況・加害者が信号無視をしたのに、黄色信号だったと主張していること
・加害者が一時停止をしていなかったのに、一時停止をしたと主張していること
相手が主張する過失割合の数字・0:100だと思っているけれど、50:50を提示されたこと
・10:90だと思っているけれど、30:70を提示されたこと

相手が主張する事故の状況に納得がいかない場合は、事故の状況を明確にするためにも、加害者の主張をしっかり理解しておかなければなりません

3-2.加害者の主張を覆す証拠を集めて提出する

2つ目は、加害者の主張を覆す証拠を集めて提出することです。

「過失割合は〇:〇ではない!△:△のはずだ!」と強く伝えても、根拠がなければ相手は主張を変えないでしょう。

集めるべき証拠は、「何に対して納得できないのか明確にする」で触れたとおり、納得いかない対象によって異なるため、それぞれ解説します。

【事故の状況に納得いかない】事故の状況を示す証拠を提出する
【過失割合に納得いかない】今回の事故に似ている事例や裁判例を提示する

3-2-1.【事故の状況に納得いかない】事故の状況を示す証拠を提出する

相手が主張する事故の状況に納得がいかない場合は、事故の状況を示す証拠を集めて提出しましょう。

証拠となるものの例を、以下にまとめました。

事故の状況を示す証拠となるもの
【自分で用意できる証拠】
・ドライブレコーダー
・事故現場の写真
・事故で破損した自動車の写真(自動車事故の場合)

【自分で用意できない証拠】
・実況見分調書:弁護士を通して入手することが多い
・事故現場付近の監視カメラ:店舗やビルの管理者に自分で映像を請求するか、弁護士を通して入手する
・信号サイクル表:自分で各都道府県の警察本部に開示請求するか、弁護士を通して入手する

これらを集めて提出すれば、あなたが記憶や主観ではなく、事実をもとに主張していることを証明できます

【架空の事例】

交通事故の過失割合に納得いかない時の対処法に関する画像

あなたが理由もなく「過失割合に納得がいかない」と言っているわけではないと証明できれば、加害者側は反論が難しくなってきます。

3-2-2.【過失割合に納得いかない】今回の事故に似ている事例や裁判例を提示する

過失割合の数字に納得がいかない場合は、今回の事故に似ている過去の事例や、裁判例を集めて提示しましょう。

過失割合は、基準となる基本割合や、過去の事例をもとに算出されるものです。

今回の事故と似たような事例が過去にあれば、

「今回の事故と同じ状況で〇:〇の過失割合なので、近い過失割合にすべきだ」

と主張できます。

加害者側の提示する過失割合に納得いかないのはなぜか、事例を提示しながら交渉すれば、過失割合を覆せる可能性が高くなります

過去の事例を探す際は、過失割合の専門書と呼ばれる「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版]別冊判例タイムズ38号 別冊38号」を参考にするケースが多いです。

4.過失割合の交渉が困難だと感じるなら弁護士に相談するべき

3章では、交通事故の過失割合の交渉をする際、何に対して納得できないのかを明確にし、証拠を提出することが大事だと解説しました。

しかし、加害者側の保険会社もプロなので、あなたが交渉しても強気で反論したり、言いくるめようとしてきたりすることもあります。

過失割合を覆すための証拠集めや準備を、あなた一人でおこなうのは簡単なことではありません。

そのように大変な準備をして交渉に挑んでも言い負かされてしまい、損をするのは悲しいですよね。

これ以上悔しい思いをしないためにも、一度弁護士に相談することをおすすめします

あなたの保険会社の担当者は、あなたに代わって加害者側と交渉してくれますが、過失割合については詳しくない可能性もあります。

証拠を集めることができても、相手を納得させる交渉ができなければ、過失割合を覆せません。

一方、弁護士は、以下のように正しい過失割合を算出するためのサポートができます。

弁護士ができること
・加害者の主張に矛盾があれば、法律のプロとして矛盾を指摘し反論する
・個人では集めるのが困難な証拠を警察から入手する
・裁判例を調査し、近い事例の過失割合を詳細に主張できる

交渉に不安を感じている、交渉してもこちらの主張を聞いてくれない、などと悩んでいる方は、弁護士を頼ってください。

弁護士費用については「交通事故に詳しい弁護士に相談し、保険会社と交渉する」でも軽く触れましたが、弁護士特約に加入していると300万円までの補償を受けられます。

特約に入っていなくても無料相談ができる場合もあるので、一度問い合わせだけでもしてみてくださいね。

5.弁護士の介入で納得いかない過失割合を修正できた2つの事例

過失割合の交渉には弁護士の力が必要だと、ご理解いただけましたでしょうか。

ここでは、弁護士の介入によって、納得いかない過失割合を修正できた事例を2つ紹介します。

1.過失割合「30:70」から「5:95」になった事例
2.過失割合「30:70」から「10:90」になった事例

5-1.過失割合「30:70」から「5:95」になった事例

過失割合30:70→5:95
事故の状況片側3車線の道路で信号が青になり右折したところ、信号無視をして進入してきた対向車と衝突

Iさんは、片側3車線の道路で信号が青になったのを確認して右折した際、進入してきた対向車と衝突しました。

事故直後、加害者は信号無視を認めていましたが、実況見分では加害者が有利になる説明をしていました。

Iさんは過失が3割あると保険会社に言われて納得できず、サリュにご相談くださいました。

サリュの弁護士は、事故状況の確認・警察に書類を取り寄せ・加害者側が依頼した調査資料の取り寄せなどをおこないます。

調べた結果、加害者が嘘の供述をしていることが分かったので、証拠を集めて指摘しました。

その結果、当初30:70だった過失割合を、5:95で認めさせることができたのです。

事故の詳細を見る

5-2.過失割合「30:70」から「10:90」になった事例

過失割合30:70→10:90
事故の状況高速道路のパーキングエリア内で横断歩道付近を歩いていたところ、前方不注意の自動車に衝突された

Hさんは、高速道路のパーキングエリア内で横断歩道付近を歩いていたところ、前方不注意の自動車に衝突されました。

Hさんは打撲と外傷後ストレス障害(PTSD)の診断を受け、今後が不安になりサリュにご相談くださいました。

加害者は、横断歩道から少し離れた場所だったことを理由に、Hさんにも過失が3割あると主張してきました。

しかし、駐車場内では、運転者が歩行者に注意するべきです。

サリュの弁護士は、駐車場内の過失割合に関する裁判例や文献を徹底的に調査。

その結果、Hさんの過失は1割であるという、こちらの主張が認められました。

事故の詳細を見る

6.交通事故の過失割合に納得いかないなら弁護士法人サリュにご相談ください

交通事故の過失割合に納得いかず、どうにか覆したいという場合は、弁護士法人サリュにご相談ください

サリュが過失割合に悩むあなたをサポートできる理由は、損害保険会社側のやり口を知っているからです。

サリュの創業者は、損害保険会社側の弁護士経験があるため、以下の知識があります。

サリュの弁護士が知っていること
・加害者の保険会社がどのような意図で過失割合を提示しているのか
・過失割合を交渉するときにどのような対応をされるのか

損保側のやり口を知っている弁護士が在籍しているサリュだからこそ、先回りして証拠を集めたり、交渉の準備をしたりできます。

弁護士法人サリュは、交通事故の解決実績が約20,000件もある、被害者側専門の弁護士事務所です。

過失割合に納得いかないあなたに寄り添い、納得いく方法を考えてサポートいたしますので、ぜひご相談ください。

電話で無料相談する方は、下記をクリックしてください。

メールで無料相談する方は、下記をクリックしてください。

7.まとめ

この記事では、交通事故の過失割合に納得いかないときにどうするべきなのか、解説しました。

交通事故の過失割合は加害者側が勝手に決めるものではないため、納得いかないなら交渉できます

過失割合の交渉をして解決を目指す流れは、以下のとおりです。

過失割合に納得いかない!解決までの流れ
・加害者の保険会社と交渉する
・交通事故に詳しい弁護士に相談し、保険会社と交渉する
・専門機関に示談あっせんや審査を依頼する
・調停や裁判で解決を目指す

過失割合の交渉であなたの主張を信じてもらうためには、以下をする必要があります。

・何に対して納得できないのか明確にする
・加害者を納得させる証拠を集めて提出する

しかし、あなた一人で過失割合の交渉に役立つ証拠を集めたり、交渉したりするのは難しい場合もあります。

交渉に不安を感じる方は、弁護士を頼ってください

弁護士ができること
・加害者の主張に矛盾があれば、法律のプロとして矛盾を指摘し反論する
・個人では集めるのが困難な証拠を警察から入手する
・裁判例を調査して、同様の事例の詳細な過失割合を主張できる

私たちは法律のプロとして、過失割合に納得がいかないあなたを全力でサポートいたします。

サリュは、原則相談料や着手金の負担がない弁護士事務所なので、お気軽にご相談ください。