交通事故の慰謝料は1日いくら?最高額を目指すコツ

交通事故に遭い、怪我をして通院したら1日いくら慰謝料をもらえる?

慰謝料は通院1日につき〇円、のように決まりがあるのだろうか?

このように、事故による怪我で通院して、慰謝料は1日いくらもらえるのか気になっていませんか?

交通事故の慰謝料について調べると、自賠責基準は1日〇円、弁護士基準は1ヶ月〇円、などと記載されているため、自賠責のほうが多くもらえると予想する方もいるでしょう。

結論、交通事故の慰謝料(入通院慰謝料)は、自賠責基準で通院1日あたり4,300円~または8,600円です。ただし、1ヶ月(30日)あたり129,000円が上限額とされます。他方で、弁護士基準の慰謝料は自賠責基準よりも高額になることが多いです。

計算方法1日あたりの入通院慰謝料
自賠責基準金額:4,300円または8,600円(ただし、通院期間ごとに上限額がある。)
自動車損害賠償責任保険で定められている、最低補償ラインの基準
任意保険基準金額:自賠責基準よりやや高いくらい
保険会社ごとに異なる基準
弁護士基準金額:通院1日あたり○円という基準によらない。
弁護士や裁判所が過去の事例を参考にして算出する基準
自賠責基準や任意保険基準と比べて高額になりやすい

金額に差があるのは、計算方法によって金額が変わるからです。

本来、事故の被害者は、最も高額な弁護士基準で計算した慰謝料を受け取るべき立場といえます。

しかし、保険会社が提示するのは、自賠責基準の安い慰謝料であることが多いのが実情です。

そのため、加害者の保険会社が提示する金額をそのまま受け入れると、不当に安い慰謝料で示談成立となってしまう可能性があるのです。

以下の図のように、自賠責基準と弁護士基準で、受け取れる入通院慰謝料の合計金額に約4倍近くの差が出ることもあります

【週2回、2ヶ月通院した場合の入通院慰謝料】

入通院慰謝料の違いグラフ

このような背景からいえるのは、加害者側に提示された慰謝料で納得するのではなく、弁護士に交渉を依頼して、請求することが大事ということです

そこでこの記事では、1日あたりの交通事故の慰謝料や、計算方法によって異なる金額例などをくわしく紹介します。

最後まで読めば、保険会社に提示された入通院慰謝料が正当かどうか判断できます。

不当に安い慰謝料で示談成立しないためにも、慰謝料の計算方法や、自分が受け取るべき金額を学んでいきましょう。

弁護士河村の写真

この記事の監修者
弁護士 河村 和貴

弁護士法人サリュ
大宮事務所
埼玉弁護士会

交通事故解決件数 600件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
中央大学法科大学院
【獲得した画期的判決、和解、示談等】
むち打ち自賠責14級認定も、訴訟により13級相当の労働能力喪失率が認定された勝訴的和解
保険会社から2250万円の賠償金提示を受けたものの、示談を提起し3600万円を認定させた勝訴的和解 など
【弁護士河村の弁護士法人サリュにおける解決事例(一部)】
事例332:事前提示賠償額2000万円から、交渉で3500万円まで増額解決した事例
事例335:専業主夫として休業損害を認定させ、後遺障害も異議申立で獲得した事例
事例345:相手方保険会社の提示額から500万円以上増額し、スピード解決事例

弁護士法人サリュは、交通事故の被害者側専門で20,000件以上の解決実績を誇る法律事務所です。

交通事故被害に遭われたら、できるだけ早期に、交通事故の被害者側専門弁護士に相談することをおすすめします。これは、弁護士のアドバイスを受けることで、もらえる損害賠償金が大きく変わる場合があるからです。
弁護士法人サリュは、創業20年を迎え、交通事故の被害者側専門の法律事務所として累計20,000件以上の解決実績があります。所属弁護士の多くが1人あたり500件~1000件以上の交通事故解決実績があり、あらゆる交通事故被害者を救済してきました。その確かな実績とノウハウで、あなたのために力を尽くします。
相談だけで解決できることもありますので、まずはお気軽に無料法律相談をご利用ください。

1. 交通事故の慰謝料は自賠責基準で通院1日あたり4,300円~8,600円

交通事故で怪我を負い、入院や通院をした際に支払われる慰謝料(入通院慰謝料)は、通院1日あたり4,300円~8,600円です。

※通院のみ1ヶ月の場合

記事冒頭でもお伝えしましたが、金額に差が出る理由は、入通院慰謝料の計算方法が通院日数によって異なるからです。

また、弁護士基準の計算方法による場合、慰謝料の金額はさらに高額となることが多いです。

計算方法1日あたりの入通院慰謝料
自賠責基準金額:4,300円または8,600円
自動車損害賠償責任保険で定められている、最低補償ラインの基準
任意保険基準金額:自賠責基準よりやや高いくらい
保険会社ごとに異なる基準
弁護士基準金額:通院1日あたり○円という基準によらない
弁護士や裁判所が過去の事例を参考にして算出する基準
自賠責基準や任意保険基準と比べて高額になりやすい

まずは、3つの計算方法がどのようなものなのか見ていきましょう。

1-1. 自賠責基準の場合:1日あたり4,300円または8,600円

自賠責基準で計算する場合の、通院1日あたりの慰謝料は、4,300円または8,600円です。ただし、1ヶ月(30日)あたり129,000円が上限とされます。

※通院のみ1ヶ月の場合

自賠責基準とは、自動車損害賠償責任保険で定められているもので、最低補償ラインの金額です。

入院・通院・怪我の重さなどに関わらず、一律で1日4,300円または8,600円となっています。

計算方法は、次のとおりです。

4,300円×治療の対象日数

治療の対象日数とは、「治療期間」と「実際に通院した日数×2」のうち、少ないほうの日数のことです。

例えば、2ヶ月にわたり週3回通院した場合は、以下のように計算します。

・治療期間(1ヶ月30日×2=60日)

・実際に通院した日数(60日÷7日×3日×2ヶ月50日)

4,300円×50日=215,000円

1-2. 任意保険基準:自賠責基準よりやや高いくらいの金額

任意保険基準は、保険会社ごとに金額が定められているものです。

自賠責基準よりやや高いくらいの金額を提示する任意保険会社が、多い傾向にあります。

ただ、任意保険会社が自賠責基準より低い入通院慰謝料を提示することはできないため、自賠責基準のほうが高い場合はそちらが採用されます。

1-3. 弁護士基準の場合:原則として通院期間によって計算する

弁護士基準で計算する1ヶ月あたりの入通院慰謝料は、190,000〜280,000円とされております。

※通院のみ1ヶ月の場合

弁護士基準は、弁護士や裁判所が過去の事例を参考にして算出する基準です。

3つの計算方法のうち、最も高額になりやすく、怪我の状況も考慮されます

以下に、弁護士基準の入通院慰謝料をまとめました。

軽傷と重傷の場合で料金が変わりますが、基本的には1の表を使用します。

表1【重傷の場合】

通院/入院0ヶ月1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月
0ヶ月0530,0001,010,0001,450,0001,840,0002,170,0002,440,000
1ヶ月280,000770,0001,220,0001,620,0001,990,0002,280,0002,520,000
2ヶ月520,000980,0001,390,0001,770,0002,100,0002,360,0002,600,000
3ヶ月730,0001,150,0001,540,0001,880,0002,180,0002,440,0002,670,000
4ヶ月900,0001,300,0001,650,0001,960,0002,260,0002,510,0002,730,000
5ヶ月1,050,0001,410,0001,730,0002,040,0002,330,0002,570,0002,780,000
6ヶ月1,160,0001,490,0001,810,0002,110,0002,390,0002,620,0002,820,000

※縦軸が通院、横軸が入院

※1ヶ月30日として割った金額です

表2【軽傷の場合(むちうちや軽い打撲など)】

通院/入院0ヶ月1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月
0ヶ月0350,000660,000920,0001,160,0001,350,0001,520,000
1ヶ月190,000520,000830,0001,060,0001,280,0001,450,0001,600,000
2ヶ月360,000690,000970,0001,180,0001,380,0001,530,0001,660,000
3ヶ月530,000830,0001,090,0001,280,0001,460,0001,590,0001,720,000
4ヶ月670,000950,0001,190,0001,360,0001,520,0001,650,0001,760,000
5ヶ月790,0001,050,0001,270,0001,420,0001,580,0001,690,0001,800,000
6ヶ月890,0001,130,0001,330,0001,480,0001,620,0001,730,0001,820,000

※縦軸が通院、横軸が入院

例えば骨折を負い、入院1ヶ月+通院2ヶ月だった場合は、表1の横軸1ヶ月・縦軸2ヶ月のところを見るため、入通院慰謝料は980,000円となります。

弁護士基準だと、週1回のみの通院(月4回)で治療期間が1ヶ月だった場合でも、通院1ヶ月の慰謝料を受け取れるのが原則です。

2. 弁護士基準の慰謝料は症状や治療内容次第でさらに増える

1章では、入通院慰謝料の出し方や自賠責金額を紹介しました。

自賠責基準や任意保険基準と、過去の裁判例を参考にしている弁護士基準の慰謝料金額には、大きな差があるとご理解いただけたでしょう。

実は、「1-3.弁護士基準の場合:原則として通院期間によって計算する」でご紹介した弁護士基準の入通院慰謝料は、事故による怪我の症状や治療内容次第で金額がさらに上がる場合があります

以下に、慰謝料が上がる可能性があるケースをまとめました。

症状や治療内容で慰謝料が上がるケース(弁護士基準の入通院慰謝料)
・怪我の程度が重い場合例:右目を負傷し、視力低下が原因で日常生活がかなり不便になった
・命の危険がある状態が長く続いた例:約2年の入院期間中、生死が危ぶまれる状態が長く続いていた
・麻酔をせず手術して苦痛を味わった・何度も手術を繰り返した

参考:日弁連交通事故相談センター 東京支部「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)2024(令和6)p215

命にかかわるような大怪我を負わされたり、入通院する際に大きな苦痛を味わったりした場合は、その分の金額を請求できるのが、弁護士基準です。

また、骨折をしてギプス固定をしながら自宅で療養した場合、その期間を入通院期間として計算できる場合もあります。

このように、怪我の程度によって請求できる金額を変えられるのは、弁護士基準の大きな強みといえます。

3. 交通事故の被害者は弁護士基準で計算した慰謝料を受け取るべき!

2章では、弁護士基準だと怪我の症状や治療内容によって慰謝料が上がる可能性があることを解説しました。

金額に大きな差が出るため、交通事故の被害者は弁護士基準で計算した慰謝料を受け取るべきだとおわかりいただけたでしょう。

また、慰謝料の金額が自賠責基準より大幅に高くなる可能性があることも、弁護士基準で計算した慰謝料を受け取るべき理由です。

例えば、医師の指示で月に5日、3ヶ月間通院したとします。

自賠責基準だと、1日あたりの入通院慰謝料は、この場合8,600円です。つまり、自賠責基準の慰謝料は、129,000円となります。

一方、弁護士基準は通院期間で慰謝料金額が変わるため、例えば月に5回×3ヶ月=15回の通院でも、3ヶ月分の慰謝料730,000円を受け取れる可能性があります。

1日あたりの入通院慰謝料について自賠責基準と弁護士基準の違い

※あくまで一例です。実際にもらえる慰謝料が個別のケースにより異なります。

弁護士基準の通院3ヶ月の慰謝料は730,000円で、1日あたりで計算すると48,666円となり、大きな差が出ることがわかるでしょう。

そのため、交通事故で怪我をして通院するなら、弁護士基準で計算した慰謝料を受け取るべきなのです。

自賠責基準の慰謝料上限について
自賠責基準の賠償金には、120万円の上限があります。
重大な怪我をして治療に長期間かかったとしても、120万円以上受け取ることができません。
この上限額は、入通院慰謝料だけでなく休業損害や治療費など、その他の賠償金も含んでいますので、実際に受け取れる慰謝料の上限はさらに限られたものになってくるでしょう。
慰謝料を含む賠償金に一律の上限がないことも、弁護士基準で計算した金額を受け取るべき理由です。

4. 交通事故で怪我をした方は慰謝料以外の賠償金も受け取れる可能性がある

事故で怪我をして病院に通った場合、1日いくらの慰謝料がもらえるのか、どの基準で計算した慰謝料を受け取るべきなのかを解説してきました。

実は、交通事故で怪我をしたあなたは、本記事で紹介した入通院慰謝料以外にも、以下のような賠償金を受け取れる可能性があります

【入通院慰謝料以外に受け取れる可能性がある賠償金】

治療費・診察や検査、手術などの費用
・接骨院や整骨院通院代(医師の指示で通院した場合)
・治療器具や薬代
・入院中の個室代
・将来の治療費 
休業損害・事故による怪我が原因で仕事を休んだ分の補償
後遺障害慰謝料・事故による怪我で後遺症が残った被害者の身体的、精神的苦痛に対する補償
後遺障害逸失利益・事故による怪我で後遺症が残らなければ、本来受け取れたはずの利益
付き添い費・被害者が一人で入通院するのが難しく、家族などが付き添った際にかかる費用
将来の介護費・事故による後遺症で介護が必要な状態になった場合にかかる費用

事故の被害者は、事故が原因で発生したお金や、つらい思いをさせられた分の慰謝料などを適正に請求できる立場です。

しかしこれらは、自分でこまかく計算し請求しないと、見逃される可能性があります

例えば、医師の指示で整骨院に通院したのに、加害者側の保険会社が「整骨院への通院は治療として認めない」と判断し、治療費を少なく計算することもあるのです。

そのため、交通事故に遭い怪我をして通院することになったら、本来受け取れる慰謝料や賠償金を正しく計算し、請求することが大事です。

交通事故の慰謝料については弁護士法人サリュにご相談ください

「被害に遭った分の慰謝料をしっかり受け取りたい」「加害者側に提示された慰謝料が正しいかどうかわからない」
このように思うなら、交通事故にくわしい弁護士に相談しましょう。
多くの交通事故案件を解決した弁護士は、過去の事例を知っています。そのため、弁護士基準で算出した正当な慰謝料を加害者側に請求し、受け取りやすくなるのです。
私たち弁護士法人サリュは、被害者専門の事務所として、20,000件以上の案件を解決してきました。
加賀者側と慰謝料を含む賠償金を交渉することになっても、経験豊富な弁護士があなたをサポートいたします。
サリュは原則相談料や着手金の負担がないため、ぜひご相談ください。
電話で無料相談する方は、下記をクリックしてください。

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5. まとめ

本記事では、交通事故の慰謝料は様々な計算方法があり、それぞれいくらになるのかを解説しました。

最後に、重要なポイントをまとめます。

〇交通事故の入通院慰謝料は3種類あり、弁護士基準が最も高い

〇同じ頻度・期間で通院しても、自賠責基準と弁護士基準では受け取れる慰謝料が約4倍程度変わるケースもある

〇弁護士基準の慰謝料は症状や治療内容しだいでさらに増えることもある

〇交通事故の被害者は弁護士基準で計算した慰謝料を受け取るべき!

〇交通事故で怪我をした方は慰謝料以外の賠償金も受け取れる可能性がある

交通事故で1日あたり〇円、と決まっているのは、最低保証ラインの自賠責基準の入通院慰謝料です。

事故で怪我をしたあなたが受け取るべきなのは、上限なく、症状や治療内容で計算する弁護士基準で計算した慰謝料です。

正当な慰謝料を受け取るにはプロの力が必要なので、少しでも不安を感じているならぜひご相談ください。