【チャートでわかる】交通事故で診断書を書いてくれない場合の対処法
「交通事故で怪我をしたのに、医者が診断書を書いてくれない」
「保険会社からは診断書が必要だと言われたのに、病院で断られてどうすればいいのか困っている」
あなたは今、こんな風に悩んでいませんか?
まず知っておいていただきたいのが、医師は、患者から診断書がほしいと言われた場合、診断書を作成・交付する義務がある(医師法19条2項)ということです。
つまり、あなたが診断書がほしいと言ったにも関わらず、正当な理由なく書いてもらえないというのは、本来は違法とされている状況です。
しかし、診断書を書いてもらえないのには、正当な理由がある場合もあります。
そうした理由の有無によって書いてもらうための対処法が異なるので、まずは医師に書いてくれない理由を聞いた上で対処していきましょう。
具体的にどのように対処していけば良いかというと、下記のチャートに沿って、行動してください。
このチャートに従って行動すれば、
「診断書を書いてもらえなくて困っている」
という方も、無事に診断書を書いてもらえるはずです。
こちらの記事では、診断書を書いてもらうタイミングや、断られた時の対処法など、診断書を書いてもらうために必要な情報を状況ごとに解説しているので、ぜひ参考にしてください。
また、書いてもらえないのは自分に理由がある場合もあります。
下記のようなケースでは、すぐに診断書がもらえないことが多いでしょう。
・事故から時間が経ってから病院に行って診断書をもらおうとしている ・通院期間が短いのに診断書をもらおうとしている ・整骨院などの、病院ではない施設に通院していた |
これらのケースに当てはまる場合は、記事に書いてある対処法を参考にして通院を続けてください。
この記事でわかること |
・診断書を書いてもらえないときにどうすればいいのか、チャートでわかる ・それぞれの状況でどのように対処するべきかわかる ・医者や病院に断られても、診断書を獲得する方法がわかる |
この記事の内容を参考にして、診断書の獲得を目指してください。
この記事の監修者
弁護士 馬屋原 達矢
弁護士法人サリュ
大阪弁護士会
交通事故解決件数 900件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
2005年 4月 早稲田大学法学部 入学
2008年 3月 早稲田大学法学部 卒業(3年卒業)
2010年 3月 早稲田大学院法務研究科 修了(既習コース)
2011年 弁護士登録 弁護士法人サリュ入所
【著書・論文】
交通事故案件対応のベストプラクティス(共著:中央経済社・2020)等
【獲得した画期的判決】
【2015年10月 自保ジャーナル1961号69頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責非該当の足首の機能障害等について7級という等級を判決で獲得
【2016年1月 自保ジャーナル1970号77頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責非該当の腰椎の機能障害について8級相当という等級を判決で獲得
【2017年8月 自保ジャーナル1995号87頁に掲載】(交通事故事件)
自賠責14級の仙骨部痛などの後遺障害について、18年間の労働能力喪失期間を判決で獲得
【2021年2月 自保ジャーナル2079号72頁に掲載】(交通事故事件)
歩道上での自転車同士の接触事故について相手方である加害者の過失割合を7割とする判決を獲得
交通事故被害に遭われたら、できるだけ早期に、交通事故の被害者側専門弁護士に相談することをおすすめします。これは、弁護士のアドバイスを受けることで、もらえる損害賠償金が大きく変わる場合があるからです。
弁護士法人サリュは、創業20年を迎え、交通事故の被害者側専門の法律事務所として累計20,000件以上の解決実績があります。所属弁護士の多くが1人あたり500件~1000件以上の交通事故解決実績があり、あらゆる交通事故被害者を救済してきました。その確かな実績とノウハウで、あなたのために力を尽くします。
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目次
1.医師に診断書を書いてくれない理由を聞く
まずはチャートの最初の部分にあたる、医師に診断書を書いてくれない理由を聞くことからスタートしてください。
医師に直接質問することで、なぜ診断書を書いてくれないのか理由がわかります。
その理由ごとに対処方法は変わってくるので、それぞれ見ていきましょう。
1-1.【診断書を出すタイミングではないと言われた】通院を続ける
診断書を書いてくれない理由を聞いたときに、
「診断書を出すタイミングではない」
と言われたら、通院を続けましょう。
そう回答された場合、下記のような理由で診断書を書いてもらえないと考えられます。
・通院期間が短く、怪我の経過などがわからないため、診断書が書けない ・まだ治療中のため、後遺障害診断書は発行できない |
これらの理由の場合、通院を続けることで適切な時期に診断書を書いてもらえるはずです。
ですので、医師の判断に従って、通院を続けてください。
本当に診断書を書いてもらえるか心配という場合には、
「どのくらい通院すれば診断書を出してもらえますか」
と事前に確認しておくと安心です。
1-2.【病院として診断書は出していないと言われた】医師に理由と根拠を伝える
「うちの病院は診断書は出さない方針だから」
「診断書の発行はサービスにない」
診断書を書いてくれない理由を聞いたときこのような回答をされたら、2.診断書が必要な理由と根拠を伝えるのように、必要な理由を伝えましょう。
このような回答をする病院や医師は、診断書の書き方をわかっていなかったり、対応してくれても雑になったりする可能性があります。
また、健康保険を使ったほうが被害者にとって有利になる場合でも、自由診療での高い治療費にこだわって、被害者の経済的な負担を気にしない病院である可能性もあります。
それらの懸念点がある場合には、説明することを諦めて3.転院して次の病院で通院し、診断書を書いてもらうに進んでもいいかもしれません。
2.診断書を発行するべきである根拠と必要な理由を伝える
医師が納得できない理由を言ってきた場合、発行するべきである根拠と、なぜ診断書が必要なのかという理由を具体的に伝えましょう。
最初にお伝えした通り、基本的に病院(医師)には診断書を出す義務があります。
患者が「診断書がほしい」と言った場合、断ることはできないのです。
まずはそのことを伝え、発行する義務があるということをわかってもらいましょう。
次に、必要としている理由を伝えます。
なぜ診断書が必要なのか理解してもらえれば、医師も協力的になるかもしれません。
・保険会社への手続きで使用する ・会社を休むために提出義務がある ・後遺障害の認定を受ける場合、そのためにも必要になる |
このように、
・病院(医師)には診断書を出す義務があること
・あなたは診断書を必要としていること
を十分に伝えれば、医師が納得して診断書を書いてくれるでしょう。
それでも書いてくれない場合には、その病院での発行は諦め、転院する方向に進みます。
関連記事:後遺障害診断書の書き方|等級認定に有利な記載例を弁護士が紹介
3.転院して次の病院で通院し、診断書を書いてもらう
ここまでの方法でも書いてくれない場合は、無理に交渉するよりも、諦めて転院したほうが話が早いかもしれません。
怪我から時間が経ってしまうと、診断書の発行も難しくなるので、転院する場合はできるだけ早く決断することをおすすめします。
時間がたって転院すると、転院先も病院も初期の状態がわからないという理由で、事故との因果関係を肯定してくれないかもしれません。
転院する場合は、急に他の病院に行くのではなく、下記のような手順で手続きを進めます。
・【step1】担当医に転院したいと伝える ・【step2】転院先の病院を探す ・【step3】紹介状などを作成してもらう ・【step4】保険会社に転院を伝える ・【step5】転院する |
3-1.【step1】担当医に転院したいと伝える
まずは、今通院している病院の担当医に、転院したいということを伝えましょう。
許可を得た上で転院したほうが、手続きやその後の治療がスムーズに進められます。
3-2.【step2】転院先の病院を探す
次に、転院先の病院を探します。
再度転院するのは難しいので、ここでしっかりと吟味しましょう。
転院先の病院は、下記のような基準で選んでください。
・交通事故の怪我の対応を行っている ・整形外科の専門医がいる ・診断書の発行を行っていることが確認できる ・リハビリにも対応している ・定期的に通院できる距離にある |
これらの条件を満たしているかどうかは、病院のホームページなどで確認することができます。
新規の患者を受け付けているか、診断書の発行をお願いできるかどうかなど、気になる点は事前に電話やメールで問い合わせておくと安心です。
3-3.【step3】紹介状などを作成してもらう
転院先が決まったら、担当医に依頼して、紹介状などを作成してもらいましょう。
事故直後からの記録を転院先の病院にも共有することで、診断書を作成してもらいやすくなります。
【転院時に用意できるとよい書類】
紹介状(診療情報提供書) | これまでの治療の経過や怪我の状況を共有するための書類です。 これまでの担当医に依頼して書いてもらいます。 |
画像検査データ | MRIやレントゲンなどの検査を受けていた場合は、それらのデータも共有できるよう病院に依頼します。 |
画像検査などの検査を行っていた場合は、その検査結果も一緒に共有できないか確認しておきましょう。
3-4.【step4】保険会社に転院を伝える
転院することが決まったら、保険会社にもそのことを連絡する必要があります。
この手順を怠ってしまうと、治療費などが請求できなくなるリスクがあるため、必ず転院前に連絡するようにしましょう。
伝える必要があるのは、
・転院先の病院名、住所、連絡先
など、最初に病院にかかったときと同じ、転院先の病院の基本情報です。
3-5.【step5】転院する
ここまでの手順が完了したら、転院します。
初診のタイミングで、紹介状や検査結果などの書類があれば提出しましょう。
転院先では診断書を書いてもらえるよう、新しい担当医の指示に従って通院を続けてください。
4.交通事故の診断書を書いてもらうのが難しいケース
ここまで、チャートに沿って診断書を書いてもらうための方法をお伝えしてきました。
一度断られてしまった場合でも、この手順に従えば診断書を書いてもらいやすくなるはずです。
しかし、実は、患者側の状況によっては診断書を書いてもらうのが難しいケースというのも存在します。
これらの条件に当てはまる場合には、すぐに診断書を書いてもらうことはできないかもしれません。
それぞれ、なぜ書いてもらえないのかを説明します。
4-1.事故から時間が経ってから病院に行って診断書をもらおうとしている
最初に紹介する、診断書を書いてもらうのが難しいケースは、事故から時間が経ってから病院に行って診断書をもらおうとしているケースです。
交通事故の場合、事故に遭ってから時間が経ってから発覚した怪我については、事故と怪我の関連性が認められないケースが多くなっています。
怪我をしてから2週間以上経って、病院に行った場合、事故と怪我の関連性はなかなか認められないでしょう。
診断書の発行自体は可能ですが、怪我の原因が交通事故であったことまでは証明しにくいので、注意が必要です。
4-2.通院期間が短いのに診断書をもらおうとしている
次に紹介する、診断書を書いてもらうのが難しいケースは、通院期間が短いのに診断書をもらおうとしているケースです。
診断書というのは、病院に一定期間通院して、治療の経過を記録することで作成できます。
そのため、「今日初診ですが、すぐに診断書をください」と言っても、なかなか応じてもらえないケースがほとんどです。
また、
「初診で診察を受けてから期間をあけて、完治したころにもう一度来て診断書を書いてもらう」
というようなケースでも、診断書を書いてもらうのは難しいでしょう。
適正な頻度での通院記録がないと、怪我自体が軽傷であったと判断され、診断書を書いてもらえない可能性があります。
最悪の場合、保険金などを目当てとした詐病ととらえられてしまう可能性もあるため、診断書を作成してもらう前には、医師の指示通りに通院を続けてください。
4-3.整骨院などの、病院ではない施設に通院していた
最後に紹介するケースは、整骨院などの、病院ではない施設に通院していたケースです。
診断書の作成は、病院でしか行うことができません。
そのため、整骨院のみに通院していても、診断書は出してもらえないのです。
整骨院は、リハビリや痛みの緩和などには良いですが、医療機関ではありません。
診断書を書いてもらうためには、きちんと病院へと通院を行いましょう。
5.対処を実践しても診断書を書いてくれなくて困った時は交通事故対応に強い弁護士に相談しよう
「チャートに沿って対処を試みたけど医師とのやりとりがうまく進まなくて、困っている」
「転院するべきか悩んでいるけど、また納得できない病院に当たってしまったらどうしよう」
そんな風に悩んでいる方は、一度、交通事故対応に強い弁護士に相談することをおすすめします。
医師の中にも、診断書の作成に不慣れな人は少なくありません。
・診断書の書き方をあまりわかっていない
・交通事故の場合の記述のポイントを知らない
このような医師に依頼した場合、せっかく説得して書いてもらっても、診断書を十分に有効活用できないかもしれません。
こんな時には、交通事故対応に強い弁護士に相談してください。
弁護士への依頼には、下記のようなメリットがあります。
・どのように診断書を書けばいいのか、医師へ依頼書を書いてくれる ・診断書の必要性を代わりに説明してくれる ・転院する際にどのような病院を選べばいいのか、選び方のアドバイスをしてくれる ・後遺障害の認定のサポートを受けられる |
場合によっては、医師の希望に沿って、自由診療で治療をすることを条件に診断書の発行を求めるべき場合もあり、その判断は難しいときがあります。
医師とのやりとりに悩んでいる方や、今後の手続きや交渉に不安があるという方は、まずは弁護士に相談してみてください。
電話で無料相談する方は、下記をクリックしてください。
6.まとめ
この記事では、交通事故で怪我をしたのに診断書を書いてもらえない時の対処法について解説しました。
内容のまとめは、以下の通りです。
●診断書を書いてくれないときは、下記のチャートにしたがって対処する
●転院するときは下記のステップで手続きを進める
・【step1】担当医に転院したいと伝える ・【step2】転院先の病院を探す ・【step3】紹介状などを作成してもらう ・【step4】保険会社に転院を伝える ・【step5】転院する |
●下記のケースでは診断書を書いてもらうのが難しい
・事故から時間が経ってから病院に行って診断書をもらおうとしている ・通院期間が短いのに診断書をもらおうとしている ・整骨院などの、病院ではない施設に通院していた |
これらの内容を参考に、交通事故の怪我の診断書を獲得してください。