交通事故の高次脳機能障害を弁護士が解説(記憶障害・後遺症・慰謝料)

今回は、交通事故で高次脳機能障害となった場合の慰謝料や後遺症、後遺障害の認定基準などを解説します。

交通事故で高次脳機能障害となった場合、日常生活に甚大な影響を与えます。適切な賠償金を獲得しないと、大きな損をすることになります。本コラムでは、交通事故で高次脳機能障害となってしまった方やその家族向けに、有益な情報をまとめています。

ぜひ最後までご覧ください。

また、当法人では、交通時事故で高次脳機能障害となってしまった方の無料相談を受け付けています。「よく分からないのでとにかく弁護士に相談したい」という方は、お電話またはメールフォームなどで当法人の無料相談をお申し込みください。

この記事の監修者
弁護士 山田 洋斗

弁護士法人サリュ千葉事務所
千葉県弁護士会

【略歴】
2014年 明治大学法科大学院卒業
2014年 司法試験合格
2015年 弁護士登録、弁護士法人サリュ入所
【獲得した画期的判決】
【2021年8月 自保ジャーナル2091号114頁に掲載】(交通事故事件)
【2022年 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻(赤い本)105頁に掲載】
会社の代表取締役が交通事故で受傷し、会社に営業損害が生じたケースで一部の外注費を事故と因果関係のある損害と認定した事例
【これまでの交通事故解決件数】
950件以上(2022年9月現在)
【弁護士山田の弁護士法人サリュにおける解決事例の一部】
事例333:弁護士基準の1.3倍の慰謝料が認められた事例
事例343:相手方自賠責保険、無保険車傷害保険と複数の保険を利用し、治療費も後遺障害も納得の解決へ
事例323:事故態様に争いがある事案で、依頼者の過失割合75%の一審判決を、控訴審で30%に覆した

交通事故の高次脳機能障害について、よろしければ以下の動画もご覧ください。

1 交通事故の高次脳機能障害とは

高次脳機能障害とは、脳の損傷に起因する知的機能、記憶力、思考力、注意力などの高次脳機能に障害がある状態を指します。

交通事故により脳に外傷を負った方の中には、外見は普通でも、思考力、認知能力や集中力が交通事故前に比べて低下している場合があります。また、感情の起伏が激しくなり、人との交流に支障をきたす場合もあります。

脳は多様な能力から構成されていますが、知性、記憶、思考、集中力など、人間に近い適性は「高次脳機能」と呼ばれています。高次脳機能障害は、外見上は何の変化もないように見えるため、一般の方が外観から観察することが難しいという特徴があります。

2 高次脳機能障害の症状・日常生活への影響

次に、高次脳機能障害の典型的な症状や日常生活への影響について触れます。以下の表で、高次脳機能障害となった場合に生じる症状とその内容等をまとめました。
交通事故で頭部外傷を負った方は、自身で自覚することは難しい症状のため、家族など身近な方が当てはまると思った場合には、すぐに医師に伝え、必要な検査や治療を受けるようにしましょう。

項目 内容
記憶障害 以前知っていたことを思い出せない
新しいことを取り入れることができない
注意障害 すぐに疲れてしまい、すぐに眠ってしまう
よく脱線して、1つの活動に疲れを感じてしまう
遂行機能障害 マルチタスクができない
指示された内容を順番通りにできない
社会行動障害 言葉遣いが悪くなった
態度がコロコロ変わる
すぐにカッとなる

3 高次脳機能障害の易怒性・記憶障害の対処法

高次脳機能障害が脳の損傷に基づく場合には、完全な回復は難しく、一定程度の回復が期待できるのみとなってしまいます。

しかし、以下のような対処法をとることで、日常生活の支障を最小限にすることができるでしょう。

(1)記憶障害の対処法

メモをする習慣を養い、日々の実践を厳格なルーティンに落とし込んで、記憶の負担を軽減するよう努力することが肝要です。

(2)注意障害の対処法

静かな環境を求め、過度な人との接触を控えることが効果的です。疲れやすく、集中力がない場合は、適度な休息をとらせ、徐々に複雑な作業に移行するようにしましょう。

(3)遂行機能障害の対処法

遂行機能障害の障害があると、たとえば、約束した仕事を終わらせない、途中で投げ出すなどの症状が出ます。

遂行機能障害の対処法としては、必要な行動を繰り返し実行することで、習慣化することで対応が可能です。また、家族の中で自分が重要な役割を担っており、家族から期待されていることを実感できるよう、日常生活で必要な役割を担う機会を提供することが肝要です。

(4)社会的行動の乱れの対処法

興奮する、大声を出す、すぐに怒り出すなどの社会的行動に乱れがある場合は、まず、人の少ない落ち着いた環境を作ることを心がけましょう。いたずらに疲弊させたり、活性化させたりしないことが重要です。

(5)病気の自覚がないときの対処法

被害者が高次脳機能障害の自覚がないことは往々にしてあります。その場合、相手のプライドを考え、毅然としすぎて信頼を失わないように注意しながら、不正確な行為を優しく示し、修正することが重要です。

4 交通事故の高次脳機能障害は脳損傷の存在が決め手

交通事故後に高次脳機能障害の症状が出ても、それゆえに直ちに高次脳機能障害として自賠責保険において後遺障害認定を受けられるわけではありません。

この点が、被害者が混乱する点です。

「なぜ、医師が高次脳機能障害と診断しているのに、高次脳機能障害としての賠償を受けられないのか」、このような疑問は被害者からよく聞かれることです。

これは、高次脳機能障害の診断基準の違いにあります。

我が国で使用される高次脳機能障害か否かの判断基準には主に以下のものがあります。

  • 行政的診断基準
  • WHOの診断基準
  • 自賠責保険の診断基準

通常、医師が高次脳機能障害と診断する場合、行政的診断基準を採用します。しかし、この基準で診断すると自賠責保険が採用する基準よりも広く高次脳機能障害であることを認定できるため、医師が「高次脳機能障害」と診断していても、自賠責保険の後遺障害認定においては高次脳機能障害と扱われないケースが多くあります。

以下で、それぞれの基準について説明します。

(1)行政的診断基準

厚生労働省の「高次脳機能障害支援モデル事業」の中で、国立障害者リハビリテーションセンターが策定した高次脳機能障害の診断基準を紹介します。この診断基準は行政的診断基準であり、この基準を満たすことで各種手帳(身体障害手帳や精神障害者保健福祉手帳)の交付を受け、行政サービスや優遇を受けることができます。

Ⅰ.主要症状等
1.脳の器質的病変の原因となる事故による受傷や疾病の発症の事実が確認されている。
2.現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などの認知障害である。
Ⅱ.検査所見
MRI、CT、脳波などにより認知障害の原因と考えられる脳の器質的病変の存在が確認されているか、あるいは診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できる。
Ⅲ.除外項目
1.脳の器質的病変に基づく認知障害のうち、身体障害として認定可能である症状を有するが上記主要症状(I-2)を欠く者は除外する。
2.診断にあたり、受傷または発症以前から有する症状と検査所見は除外する。
3.先天性疾患、周産期における脳損傷、発達障害、進行性疾患を原因とする者は除外する。
Ⅳ.診断
1.I〜IIIをすべて満たした場合に高次脳機能障害と診断する。
2.高次脳機能障害の診断は脳の器質的病変の原因となった外傷や疾病の急性期症状を脱した後において行う。
3.神経心理学的検査の所見を参考にすることができる。
なお、診断基準のIとIIIを満たす一方で、IIの検査所見で脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例については、慎重な評価により高次脳機能障害者として診断されることがあり得る。また、この診断基準については、今後の医学・医療の発展を踏まえ、適時、見直しを行うことが適当である。
(厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 国立障害者リハビリテーションセンターより引用)

基本的には、脳の器質的病変(脳挫傷の画像所見など、客観的な病変のこと)や、記憶障害や注意障害などの高次脳機能障害特有の神経心理学的異常の存在が必要とされております。

しかし、厚生労働省の診断基準では、「検査所見で脳の器質的病変の存在を明らかにできない症例」についても、医師による「慎重な評価により高次脳機能障害者として診断」することができるということになります。この「慎重な評価」の具体的基準は明確ではなく、実際には画像所見が存在せずとも、主治医によって高次脳機能障害と診断されているケースはあります。

そのため、後述の自賠責保険の診断基準よりも少し広く、「高次脳機能障害」との診断名が付されることになります。

(2)WHOの診断基準(MTBIの定義)

世界保健機関(WHO)は、2004年に軽度外傷性脳損傷(MTBI)の定義を策定しました。軽度外傷性脳損傷とは、外傷により頭部に軽度な衝撃が加わったり、揺さぶられるなどして脳に損傷が生じたものをいいます。軽度外傷性脳損傷の症状は、高次脳機能障害の症状と同様であり、WHOの策定した軽度外傷性脳損傷の定義は参考になりますので、以下でご紹介します。

①外傷後30分の時点あるいはそれ以上経過している場合は急患室到着の時点でグラスゴー昏睡尺度得点が13-15であること
②以下のうち一つ以上に当てはまること
・混乱や失見当識
・30分あるいはそれ以下の意識喪失
・24時間以下の外傷性健忘期間
・一過性の神経学的異常(局所神経徴候、けいれん、手術を要しない頭蓋内病変)

ここでは、脳損傷の画像所見の存在は必ずしも求められていませんが、意識障害の存在は必要とされています。意識障害は、意識を失っている状態、あるいは混乱状態にあることを指します。「目を覚ましたら病院のベッドだった」という状態が典型です。

意識障害は、その持続時間、程度により、脳損傷の存在を推認できるといわれています。そのため、WHOの軽度外傷性脳損傷の定義では、意識障害の存在・程度を重要視しています。

(3)自賠責保険の診断基準

自賠責保険において高次脳機能障害を後遺障害と認定されるためには、以下のように一定の基準を満たす必要があるとされています。詳細は、自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会が発表している「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」(報告書)をご覧いただければと思います。

・初診時に頭部外傷の診断があったこと
・頭部外傷後に重い意識障害が6時間以上あったか、軽い意識障害が1週間以上継続したこと
・診断書に、高次脳機能障害、脳挫傷、びまん性軸索損傷等の記載があること
・診断書に、高次脳機能障害を示す典型的な症状の記載があり、知能検査、記憶検査等の神経心理学的検査で異常が明らかとなっていること
・頭部画像(CTまたはMRI)上、初診時の脳外傷が明らかな場合か、事故後およそ3か月経過後に脳質拡大・脳萎縮が確認されたこと
(参照:「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」(報告書))

このように、自賠責保険の高次脳機能障害の診断基準では、高次脳機能障害の典型的な症状の存在はもちろん、原則として受傷後の意識障害や画像所見の存在も必要とされます。

なお、前記報告書では、微細な脳損傷を検出するためにはCTでは不十分であり、時期が経過すると脳の器質的損傷所見が消失することがあるため、外傷後早期にMRI(T2強調画像、T2*、DWI、FLAIR、SWI)を撮影すべき旨指摘されています。また、DTI、fMRI、MRスペクトロスコピー、SPECT、PET等の脳波検査は、補助的な検査にとどまり、これらの検査のみでは高次脳機能障害と判断することができない旨も指摘されています。

ただし、前記報告書によると、画像所見が明らかではないものの、中等度以上の意識障害があった場合で、「頭部外傷後に症状が発現し、軽快しつつも症状が残存し、神経心理学的検査等に異常所見が認められる場合には、脳外傷による高次脳機能障害と判断されることがある」と指摘されており、画像所見がないケースでも交通事故による高次脳機能障害が認定される余地を残しています。したがって、仮に各種検査によって画像所見が明らかでないとしても、丁寧に証拠を収集することで高次脳機能障害の認定を得られるよう努力することが有益です。

(4)診断基準まとめ

以上のような高次脳機能障害に関する診断基準を表にまとめると、以下のようになります。

  行政的診断基準 WHOの診断基準 自賠責保険の診断基準
画像所見の有無 不要 不要 必要(例外あり)
意識障害の有無 不要 必要 必要
神経心理学的異常の有無 必要 必要 必要

上記の表をみると、自賠責保険で求められる高次脳機能障害の診断基準は、他の診断基準に比べて厳しいことがわかります。すなわち、自覚症状として神経心理学的異常があったとしても、交通事故当初に意識障害がないか、MRIやCTなどの画像所見で脳損傷の有無が明らかでない場合、障害者手帳の交付等の行政上の優遇を受けることができても、原則として交通事故によって高次脳機能障害となったとは判断されず、高次脳機能障害を前提とした損害賠償を受けることができないということになります。

しかし、仮に自賠責保険で交通事故による高次脳機能障害と認定されなかったとしても、裁判では異なった判断になることがあります。たとえば、大阪高等裁判所平成28年3月24日判決では、交通事故後の意識障害が確認できず、頭部CTやMRI等の画像診断で有意な所見を見いだすことができないとしても、それらを絶対視して高次脳機能障害の存在を否定することは相当でないとして、交通事故による高次脳機能障害と判断しました。稀なケースではあるものの、この裁判例は、被害者の症状の推移や年齢、生活状況の変化など、他の証拠から交通事故と高次脳機能障害との因果関係を肯定しています。

5 高次脳機能障害の症状固定の時期

交通事故で高次脳機能障害となった場合、どの程度通院したら「症状固定」となるでしょうか。

症状固定とは、「一般的な治療方法では、これ以上症状の改善が見込まれない時期」のことを言います。通常、高次脳機能障害が残存するような外傷性の脳損傷となると、急速な急性期の症状回復が進んだあとは、目立った回復がみられなくなることが多いとされています。そのため、個人差があるものの、概ね受傷後1年程度で症状固定と判断されるケースが多いでしょう。

6 高次脳機能障害の後遺障害等級

交通事故で高次脳機能障害となった場合、症状の程度により、以下のとおり1級から12級までの後遺障害等級に該当する可能性があります。

等級症状の具体的内容
第1級1号身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの
第2級1号著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、一人で外出することが出来ず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことが出来ても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことが出来ないもの
第3級3号自宅周辺を一人で外出出来るなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全く出来ないか、困難なもの
第5級2号単純繰り返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習出来なかったり、環境が変わると作業を継続出来なくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことが出来ないもの
第7級4号一般就労を維持出来るが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことが出来ないもの
第9級10号一般就労を維持出来るが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの
第12級13号通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、多少の障害を残すもの

高次脳機能障害の後遺障害等級は、後遺障害診断書、頭部外傷後の意識障害についての所見、神経系統の障害に関する医学的意見、日常生活状況報告といった書面のほか、毎月医療機関が作成する自賠責保険用の診断書やレセプト、事故発生状況報告書等を参照し、決定されます。

交通事故で高次脳機能障害の後遺障害申請をする場合には、通常の後遺障害申請手続きよりも多くの書類を作成します。またすべての書類が後遺障害認定に重要な意味を持ちますので、慎重に作成するようにしましょう。

もし、自覚症状と認定された後遺障害等級に齟齬がある場合には、異議申し立て手続きをすることも有効です。

7 交通事故で高次脳機能障害となった場合の慰謝料・後遺障害慰謝料の金額

交通事故で高次脳機能障害となった場合、もらえる慰謝料は2種類あります。

  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料

です。以下で説明いたします。

(1)入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故によって受傷し、痛みや日常生活における支障、通院の煩わしさなどの精神的損害を補填する損害項目です。

この入通院慰謝料は、通院期間の長さ、傷病の程度などによって金額が異なります。また、いわゆる自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準(裁判基準)など、複数の算定基準が存在しており、どの基準を使用するかによって算定方法や金額が異なります。

以下の表は、交通事故で高次脳機能障害となった場合に弁護士に依頼して保険会社に対して損害賠償請求をした場合に適用される基準(弁護士基準)で算定される金額です。

縦軸が通院期間、横軸が入院期間になります。単位は万円です。

※6か月以上の入院期間の場合は、さらに金額が加算されます。詳細は当事務所までお問い合わせください。

別表Ⅰ(2022年(令和4年)版)

  0か月 1か月 2か月 3か月 4か月 5か月 6か月
0か月   53 101 145 184 217 244
1か月 28 77 122 162 199 228 252
2か月 52 98 139 177 210 236 260
3か月 73 115 154 188 218 244 267
4か月 90 130 165 196 226 251 273
5か月 105 141 173 204 233 257 278
6か月 116 149 181 211 239 262 282
7か月 124 157 188 217 244 266 286
8か月 132 164 194 222 248 270 290
9か月 139 170 199 226 252 274 292
10か月 145 175 203 230 256 276 294
11か月 150 179 207 234 258 278 296
12か月 154 183 211 236 260 280 298
13か月 158 187 213 238 262 282 300
14か月 162 189 215 240 264 284 302
15か月 164 191 217 242 266 286  

例えば、入院1ヶ月、通院1年(12ヶ月)の場合は、183万円の慰謝料となります。

もっとも、交通事故で高次脳機能障害となる場合は、重大な事故であるケースがほとんどですから、他の部位の骨折なども併発している可能性があります。その場合、上記の算定基準よりも、割増(概ね1.3倍程度)された金額が認められるケースもあります。

弁護士基準の慰謝料についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

交通事故の慰謝料について
もっと詳しく

(2)後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)は、交通事故によって後遺障害が残存した場合に、将来にわたって残り続ける痛み、機能障害等による精神的苦痛を補填するものです。原則として後遺障害等級の認定を受けた場合にもらうことができます。また、金額は、後遺障害の等級ごとに算出されます。

下記の表は、弁護士基準と自賠責基準の後遺障害慰謝料を比較した表です。この表をみるとわかるとおり、両者には金額に大きな違いがあります。なお任意保険基準は、特に決まったものがあるわけではなく、概ね自賠責基準と弁護士基準の間くらいの金額となることが多いです。

  自賠責基準 弁護士基準
別表第1 別表第2
1級 1650万 1150万 2800万
2級 1203万 998万 2370万
3級   861万 1990万
4級   737万 1670万
5級   618万 1400万
6級   512万 1180万
7級   419万 1000万
8級   331万 830万
9級   249万 690万
10級   190万 550万
11級   136万 420万
12級   94万 290万
13級   57万 180万
14級   32万 110万

関連記事:後遺障害慰謝料【交通事故】等級相場・計算方法・もらい方を解説

8 高次脳機能障害でもらえる賠償金の種類

交通事故で高次脳機能障害となった場合、どのような損害に対して賠償してもらえるでしょうか。損害項目は、大きく分けると、

  • 交通事故の日から症状固定日までの賠償項目
  • 症状固定日以降、将来に渡って残存する損害に対する賠償項目

の二つに分けることができます。以下では、それぞれ説明していきます。

(1)交通事故の日から症状固定日までの賠償金項目

以下は、治療費、交通費、入院雑費、入通院付き添い費用、介護費用、休業損害、入通院慰謝料の項目を簡潔に定義し、一覧の表に整理したものです。

項目定義
治療費医療や健康に関連するサービスや処置にかかる費用。診察費用、検査費用、手術費用、処方箋費用などが含まれます。
交通費医療機関やリハビリ施設などへの通院や通勤に伴う交通手段の費用。公共交通機関の料金やガソリン代、駐車料金などが含まれます。
入院雑費入院中に発生する生活雑費や施設利用料などの費用。食事代、宿泊費、入浴料などが含まれる場合があります。
入通院付き添い費被害者の通院や入院に付き添うための費用。幼い子供や歩行障害のある高齢者に近親者が付き添う必要性が生じた場合に支払われます。
介護費用身体的な障害や疾病により介護が必要な場合の費用。介護サービスや介護用具、介護者の報酬などが含まれる場合があります。
休業損害事故や疾病により労働能力や収入が制約され、休業または収入が減少したことによる損失。
入通院慰謝料通院や入院に伴う苦痛や不便、精神的な苦悩を補償するための金額。傷病名や通院期間、通院日数などによって金額が異なります。

(2)症状固定後、将来にわたって残存する損害に対する賠償項目

以下は、症状固定後の損害である後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、将来治療費、将来介護費用、将来介護雑費、自宅改造費、車両改造費、成年後見人申立費用の項目を簡潔に定義し、一覧の表に整理したものです。

項目定義
後遺障害慰謝料交通事故や疾病により生じた身体的・精神的な障害や後遺症を将来にわたって抱え続けなければいけないという精神的苦痛に対する賠償金。後遺障害の程度や影響に応じて評価されます。
後遺障害逸失利益事故や疾病により生じた後遺障害による労働能力の制約によって受けた収入の損失に対する賠償です。
後遺障害逸失利益は、
事故前年度の収入×労働能力喪失率×就労可能年数に対応するライプニッツ係数
で算出します。
将来治療費事故や疾病により将来的に必要となる治療や医療費用の費用です。
将来介護費用事故や疾病により将来的に必要となる介護にかかる費用です。将来の介護サービスや介護費用を補償するための金額。
将来介護雑費事故や疾病により将来的に必要となる介護に伴う追加的な費用や経費です。おむつや褥瘡防止クッション等の介護雑費等を指します。

自宅改造費身体的な障害や後遺症により自宅で生活しにくい環境となっている場合に、生活環境を改善するための自宅の改造や修繕費用です。バリアフリー化や補助具の導入などを含みます。
車両改造費身体的な障害や後遺症により自動車の運転や乗車が困難な場合のための車両の改造や装備の費用です。バリアフリー化や手制御装置なども含まれます。
成年後見人申立費用成年後見制度を利用する際に発生する費用です。
成年後見制度は、身体的・精神的な障害や高齢により、自己の財産や権利を適切に管理・行使できない人のために、裁判所が後見人を指定する制度です。
後見人は、被後見人の利益を保護し、財産管理や日常生活のサポートを行う責任を持ちます。 成年後見人申立費用は、成年後見制度を利用するために発生する手続きや申立に伴う費用を指します。

交通事故で高次脳機能障害となった場合には、保険会社から提示される損害賠償項目に漏れがないか、上記の一覧表をみて確認してみましょう。

もし、不足がある場合や、金額に納得いかない場合には、弁護士に示談交渉を依頼することも有益です。

9 交通事故で高次脳機能障害になった場合に弁護士に依頼するメリット

交通事故で高次脳機能障害となった場合、弁護士に依頼することにはいくつかのメリットがあります。弁護士への依頼はご家族の負担を減らすことに繋がります。

(1)法的知識と経験がある

弁護士は法的な専門知識と経験を持っており、交通事故や個人損害に関する法律や制度に精通しています。高次脳機能障害の賠償請求は、法的手続きや証拠の収集、請求の妥当性の評価などが必要です。弁護士はこれらの面で専門的な助言やサポートを提供することができます。

(2)妥当な後遺障害等級の獲得

交通事故で高次脳機能障害となった場合、適切な賠償金を獲得するためには、その前提として、適切な後遺障害等級の認定を獲得する必要があります。しかし、自賠責保険調査事務所は、必ずしも全ての案件で適切な後遺障害等級を認定するわけではありません。不当な後遺障害等級が認定されてしまった場合には、異議申し立て手続きや、紛争処理機構への申し立て、訴訟手続きなどを選択するべきケースもあります。

弁護士は、後遺障害認定手続きの全ての場面で、妥当な後遺障害等級を認定するためのサポートをすることができます。

(3)妥当な賠償金の交渉

弁護士は、交通事故被害者の利益を最大化するために賠償金の交渉を行います。高次脳機能障害によって生じる身体的・精神的な苦痛や制約、医療費やリハビリテーション費用、減収など、さまざまな損害があります。弁護士は、診断書や医療報告書、専門家の意見などをもとに、適切な賠償金を求めるための交渉を行います。

特に慰謝料については、多くの場合は弁護士に依頼してはじめて弁護士基準(裁判基準)による高い金額で示談できますので、弁護士に依頼するメリットは大きいです。

また、過失割合が争いになる場合には、弁護士が交通事故の刑事記録を取得することで、有利な過失割合に変更されるケースは多くあります。

(4)証拠の収集と主張の裏付け

高次脳機能障害の診断や障害の程度を示すためには、適切な証拠が必要です。弁護士は、必要な証拠の収集や専門家の意見を取り入れることで、主張を裏付けることができます。

(5)法的手続きの代理

弁護士は、法的手続きや書類の作成などを代行しますこれにより、複雑な手続きや時間的制約に対処することができます。

(6)ストレス軽減

高次脳機能障害によって日常生活が制約されている場合、法的手続きや交渉に関わることは負担になることがあります。弁護士に依頼することで、負担を軽減し、ストレスを減らすことができます。

以上のように、交通事故で高次脳機能障害となった場合には、早い段階で弁護士へ依頼することが有益です。

なお、交通事故で高次脳機能障害となった場合は、賠償額が高額になるケースが多く、弁護士費用を考慮してもメリットがあることが多いため、費用面が心配な方は、まずは弁護士の無料相談を利用することをおすすめします。

10 交通事故の高次脳機能障害では弁護士選びを慎重に

高次脳機能障害を弁護士に依頼する際には、以下の点に注意することが重要です

(1)専門知識と経験があるか

弁護士を選ぶ際には、高次脳機能障害や交通事故に関する専門知識と経験を持っているかを確認しましょう。関連する法律や制度に精通していることが重要です。

(2)適切にコミュニケーションをとれるか

弁護士とのコミュニケーションがスムーズにとれることも重要です。交通事故被害者の状況や要望を正確に理解し、適切なアドバイスやサポートを提供してくれる弁護士を選ぶことが重要です。

(3)信頼できる実績、口コミがあるか

弁護士に信頼できる実績があるか、確認しましょう。交通事故の高次脳機能障害については、特殊な経験と知識が必要です。弁護士会の所属や過去の実績、口コミなどの評判を調査することも有益です。

(4)費用に関する明確な説明があるか

弁護士の費用について明確な情報を得ることも重要です。初回相談料や報酬体系、費用の見積もりなどを確認し、納得できる範囲で進めることが望ましいです。弁護士との契約においては、サービスの範囲や責任、報酬などについて明確な契約を締結しましょう。契約書に目を通し、納得した上で署名するようにしましょう。

(5)進捗状況を適切に報告してくれるか

弁護士との連絡や進捗状況の確認を定期的できる弁護士かどうかを確認しましょう。依頼者側も、訴訟や交渉の進展についての情報の提供を依頼し、必要に応じて相談や説明を求めることが大切です。

高次脳機能障害について弁護士に依頼する場合には、上記の注意点に留意することで、弁護士から適切なサポートを受けることができます。

11 弁護士法人サリュの高次脳機能障害の解決事例

以下では、サリュが獲得した高次脳機能障害に関する画期的な解決事例をご紹介します。

より詳細な情報はそれぞれのリンク先をご覧ください。

事例348:高次脳機能障害で後遺障害等級7級認定、自賠責保険金を含め損害賠償金2351万円を獲得

事例293:高次脳機能障害をサリュが立証し、約3000万円の賠償金を獲得!

事例137:高次脳機能障害の被害者の成年後見人選任までサポート。死亡後はご遺族の相談にのり、適切な賠償金を獲得

高次脳機能障害の解決事例を
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