後遺障害認定で納得の結果を得るための重要知識と手順【弁護士解説】
後遺障害の認定とは、交通事故によるケガを治療しても後遺症が残ってしまったことを、自賠責保険の認定機関から認めてもらう手続きをいいます。
後遺障害等級(レベル)は、一番重い第1級から第14級まであり、後遺障害の重さに応じた後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を加害者に請求できます。
後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益は、後遺障害が認定されなければもらえないため、認定されるかどうかは、事故の後遺症が残っている方にとって、非常に重要なポイントとなるのです。
【後遺障害等級1級の場合の損害賠償額の例】
後遺障害慰謝料 | 後遺障害逸失利益 |
2,800万円 | 1億円 |
※損害賠償額はケースバイケースであり、あくまで一例です。
しかしながら、後遺障害等級が認定されるのは、自賠責保険の支払件数全体の「たったの5%」です。誰でも簡単に認定される訳ではないのです。
そこでこの記事では、後遺障害が認定されるための条件や、認定される確率を上げるための申請の流れについて詳しく解説していきます。
たとえ後遺障害等級認定されるような後遺症が実際に存在していたとしても、申請書類からそれらが伝わらなければ認定されません。
このことをしっかり理解した上で、記事では「納得する後遺障害認定結果を得るためのおすすめの流れ」も具体的に解説していきます。
交通事故が原因の後遺症が残っているならば、後遺障害等級認定に強い弁護士や医師の力を借りて認定を勝ち取り、しっかりと後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を加害者に請求しましょう。
後遺障害等級の「非該当」の結果を受け取って後悔したくない方は、ぜひ最後までお読みください。
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【略歴】
2014年 明治大学法科大学院卒業
2014年 司法試験合格
2015年 弁護士登録、弁護士法人サリュ入所
【獲得した画期的判決】
【2021年8月 自保ジャーナル2091号114頁に掲載】(交通事故事件)
【2022年 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻(赤い本)105頁に掲載】
会社の代表取締役が交通事故で受傷し、会社に営業損害が生じたケースで一部の外注費を事故と因果関係のある損害と認定した事例
【弁護士法人サリュにおける解決事例の一部】
事例333:弁護士基準の1.3倍の慰謝料が認められた事例
事例343:相手方自賠責保険、無保険車傷害保険と複数の保険を利用し、治療費も後遺障害も納得の解決へ
事例323:事故態様に争いがある事案で、依頼者の過失割合75%の一審判決を、控訴審で30%に覆した
目次
1. 後遺障害等級認定についての4つの基礎知識
まずは、後遺障害等級認定とはなにか、基礎知識から理解していきましょう。
1-1. 後遺障害とは交通事故が原因で残った後遺症のこと
まずは、そもそも「後遺障害とはなにか」からしっかり理解していきましょう。
後遺障害とは、症状固定(これ以上良くも悪くもならない状態)時に残存する、ケガと相当因果関係を有し、かつ将来においても回復が困難と見込まれる精神的・身体的な毀損状態であって、その存在が医学的に認められ、労働能力の喪失を伴うものをいいます。
「後遺症」と呼ばれるものと状態は同じですが、「交通事故が原因であることが医学的に証明されたもの」が後遺障害です。
【後遺症と後遺障害の違い】
後遺症 | ケガや病気などを治療した後に残った、機能障害や神経症状のこと |
後遺障害 | 上記の原因が「交通事故であること」が医学的に証明され、労働能力の喪失を伴うもの |
1-2. 後遺障害等級を認定するのは自賠責保険の認定機関
後遺障害等級を認定するのは、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所という認定機関です。
医師に書いてもらった後遺障害診断書などの必要書類を認定機関が審査して、「どの等級に該当するか」を個別に判断します。一番下の等級である第14級に該当しない場合には「非該当」という判断がされます。
認定するのは「医師」ではなく、自賠責保険の機関であることを心得ておきましょう。医師が後遺症を認めても、認定機関が「非該当」と判断したのなら、後遺障害としては認められません。
※例えば、後遺症の医学的根拠があっても、事故との因果関係が認められなければ非該当となる、というケースがあります。
1-3. 後遺障害には1級~14級までの等級がある
後遺障害には1級〜14級までの等級があり、どのような後遺障害がどの級に該当するかが細かく定められています。
▼自賠責の後遺障害(第13級・第14級)の抜粋
認定された後遺障害の等級によって、自賠責保険から支払われる保険金額の上限が変わります(上記画像の右側の欄)。
加害者との示談金額にも後遺障害等級が影響するので、「後遺障害が認定されるか」だけでなく「何級と認められるのか」はとても重要です。
1-4. 後遺障害が認められれば慰謝料や逸失利益を請求できる
自賠責保険の認定機関に後遺障害が認められれば、後遺障害に対する慰謝料と逸失利益を請求することができます。
【後遺障害が認められると請求できる2つの損害賠償】
(1)後遺障害慰謝料 | 交通事故によるケガで後遺障害が残った場合に、その精神的苦痛に対する補償 |
(2)後遺障害逸失利益(いっしつりえき) | 交通事故により後遺障害が残らなければ、将来得られたはずの収入のこと |
後遺障害慰謝料も後遺障害逸失利益も、認定機関から後遺障害が認められなければ加害者に請求できません。また、等級に応じて金額が変動し、後遺障害等級が高いほど高額の損害賠償金を得ることができます。
2つの損害賠償についてもう少し詳しく解説していきます。
(1)後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、交通事故によるケガで後遺障害が残った場合に、その精神的苦痛に対して支払われるものです。後遺障害等級認定で認められた場合に、加害者側に請求できます。
【後遺障害慰謝料の等級ごとの金額】
自賠責基準 | 弁護士基準 | ||
別表第1 | 別表第2 | ー | |
1級 | 1650万(1850万円※) | 1150万 | 2800万 |
2級 | 1203万(1373万円※) | 998万 | 2370万 |
3級 | 861万 | 1990万 | |
4級 | 737万 | 1670万 | |
5級 | 618万 | 1400万 | |
6級 | 512万 | 1180万 | |
7級 | 419万 | 1000万 | |
8級 | 331万 | 830万 | |
9級 | 249万 | 690万 | |
10級 | 190万 | 550万 | |
11級 | 136万 | 420万 | |
12級 | 94万 | 290万 | |
13級 | 57万 | 180万 | |
14級 | 32万 | 110万 |
※自賠責基準の別表第1(要介護)は、被害者に被扶養者がいる場合には、括弧内の慰謝料金額となります。
※自賠責基準とは、自賠責保険会社から損害賠償を受ける場合の最低限の算定基準です。弁護士基準は、判例を参考にした正当な算定基準で、弁護士が保険会社と交渉する場合に使用する基準です。
(2)後遺障害逸失利益
後遺障害逸失利益(いっしつりえき)とは、交通事故により後遺障害が残らなければ将来得られたはずの収入のことです。
後遺障害の等級や被害者の年齢や収入によって金額はかなり変わりますが、ケースによっては1億円を超える逸失利益を受け取れることもあります。後遺障害等級14級(むちうち等)だと、弁護士基準で100万円~200万円程度が一般的です。
後遺障害逸失利益の金額は、【基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数】という計算式で算出します。
基礎収入をどう判断するか、ライプニッツ係数とは何かなど、気になる方は「後遺障害逸失利益」の記事もぜひご覧ください。
2. 後遺障害が認定されるまでの流れ
ここからは、後遺障害が認定されるまでの流れを解説します。
後遺障害が認定されるまでの流れ STEP1:医師から症状固定の診断を受ける STEP2:必要書類を集めて後遺障害等級認定の申請手続きをする STEP3:認定機関にて審査が行われる STEP4:認定結果が通知される |
流れを読みながら、誰がどのように認定するのかのイメージを掴んでいただければ幸いです。
2-1. 医師から症状固定の診断を受ける
後遺障害等級認定の申請を出せるのは、医師から「症状固定」の診断を受けてからです。
症状固定とは、一定の症状が残存しているものの、これ以上治療を続けても症状が改善しない状態をいいます。
つまり、もう治る見込みのない症状が残ってしまった状態、ともいえます。この状態になった場合に、後遺障害の認定申請ができます。
2-2. 必要書類を集めて後遺障害等級認定の申請手続きをする
治ることのない症状が残ってしまった場合は、適正な補償を受け取るために後遺障害等級認定の申請手続きを進めましょう。
加害者の保険会社経由で申請書類を出す場合(事前認定)には、医師に「後遺障害診断書」を書いてもらうだけで、その他の書類は保険会社が用意して申請手続きを行ってくれます。
一方、保険会社を通さずに自分で直接提出する「被害者請求」の場合には、自分で診断書以外の書類も準備して手続きを進めます。
詳しくは「5. 納得の行く認定結果を勝ち取る方法5ステップ」で解説しますが、後遺障害認定される確度を上げるためには、「被害者請求」で証拠を固めて手続きするのがおすすめです。
2-3. 損害保険料率算出機構にて審査が行われる
損害保険料率算出機構にて、提出した書類を基に、審査が行われます。審査の結果、後遺障害等級に該当するか、該当する場合は「何級に該当するか」が判断されます。
後遺障害等級の認定申請を行ってから認定されるまでの期間は、状況によっても異なりますが、通常であれば1~2カ月程度です。ただし、判断が難しいケースの場合には調査に時間がかかるため、6カ月以上かかる場合もあります。
2-4. 認定結果が通知される
認定結果が出たら、その結果が封書で届きます。封書には、認定された後遺障害等級が何級であるかと、その理由が記載されます。また「非該当」の場合には、その旨と理由が記載されますので、理由を確認しましょう。
認定された内容に不服があれば、不服申し立てをすることが可能です。詳しくは、「後遺障害 異議申し立て」の記事も参考にしてください。
上記が後遺障害等級認定の流れです。どのように認定手続きが進むか、少しイメージできたでしょうか。
3. 後遺障害等級が認定される確率は全体の5%とかなり低い
後遺障害等級が認定されれば、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益を請求できるため、損害賠償金の額をかなり増額することができます。
しかしながら、加害者の保険会社(自賠責保険含む)から保険金の支払いを受ける方の中で、後遺障害が認定されるケースは5%程度しかありません。
損害保険料率算出機構「自動車保険の概況 2022年度版(2021年度統計)」によると、 (1)2021年度の自賠責保険の支払件数:837,390件 (2)2021年度の後遺障害等級認定件数:42,980件 (2)÷(1)=約5.13% つまり、2021年度に自動車事故で保険会社から保険金の支払いを受けた方全体の中で、後遺障害等級認定を受けた方は約5.13%のみです。 |
上記の確率は、母数を「保険金の支払い件数」にしており、後遺障害の認定申請をした方に特化した認定率ではありませんが、認定されるには厳しい審査があり、誰でも認められるものではないということは分かっていただけるでしょうか。
後遺障害を認定してもらうためには、しっかりとした準備が必要となります。
4. 後遺障害が認定されるために必要な3つの条件
ここからは、審査を経て後遺障害を認定してもらうためにはどうしたら良いか、詳しく解説していきます。「認定を勝ち取って慰謝料や逸失利益を認めさせたい!」という方はぜひ参考にしてください。
認定機関に後遺障害を認定してもらうためには、以下の3つの条件が揃っている必要があります。
後遺障害が認定されるために必要な3つの条件 (1)「後遺障害等級表」に相当する症状・機能障害が残っていること (2)後遺障害を証明できる検査結果や所見があること (3) 上記のことが「申請書類」から伝わること |
それぞれ、ひとつずつ詳しく解説していきますね。
4-1. 後遺障害等級表に相当する症状が残っていること
条件の1つ目は、「後遺障害等級表に相当する症状が残っていること」です。
当たり前かもしれませんが、後遺障害が認められるためには、後遺障害等級表に相当する症状や機能障害が残っている必要があります。もし何かしらの後遺症があっても、それが後遺障害等級表で定められていなければ、後遺障害認定を受けることはできません。
また、後遺障害等級表に相当する症状があっても、それが治癒した場合や、今後症状が改善する見込みがある場合には、こちらも認定は下りません。
最新の後遺障害等級表は、交通国土省の自賠責・共済ポータルサイトの「自賠責保険・共済の限度額と補償内容」のページを確認してみてください。
4-2. 後遺障害を証明できる検査結果・所見・事故態様があること
条件の2つ目は、「後遺障害を証明できる検査結果や所見、事故態様があること」です。
もし後遺障害等級表に相当する症状が実際に残っているとしても、それを証明できる検査結果や所見、事故態様がなければ、後遺障害認定は認められません。
※事故態様とは、事故の状況という意味で使われる言葉です。交通事故の後遺障害等級認定や過失割合などを議論する場合に頻出する言葉なので、覚えておくといいかもしれません。
自覚症状だけあっても、「それを裏付ける証拠」がなければ認められないということです。その証拠となるのが、検査結果や医師の所見、事故態様、通院実績、症状の一貫性です。
例えば、交通事故でむちうちになり、症状固定後にも症状が残った場合、12級または14級の後遺障害等級が認められる可能性があります。しかしながら、かなり遅い速度で追突されたなど事故態様が軽微だったり、通院実績が少なかったり、症状の一貫性がなかったりすると「非該当」になることも少なくないのです。
後遺障害の認定申請をする時には、症状を訴えるだけでなく、それを裏付ける証拠が必要となります。
4-3. 上記のことが「申請書類」から伝わること
条件の2つ目は、4-1と4-2で説明したことが申請書類からちゃんと伝わること、です。
つまり、「後遺障害等級表に相当する症状が残っていること」と「後遺障害を証明できる検査結果・所見・事故態様があること」が、しっかりと申請書類に記載されている状態になっていて、審査する担当者に伝わることが重要です。
なぜならば、後遺障害等級認定手続きは原則として書類審査であり、書類から読み取れないことは考慮されないからです。
例えば、むちうちで「局部に頑固な神経症状を残すもの」と判断されれば後遺障害等級12級と認定されます。しかし、もし仮に、実際に頑固な神経症状が残っていて、神経学的検査によりその症状の裏付けができていたとしても、その検査結果について申請書類に記載されていなければ、認定は下りません。
いくら後遺障害等級表に相当する症状が残っており、後遺障害を証明できる証拠があっても、後遺障害診断書の書き方が悪ければ、申請書類から読み取ることができないので認定されないのです。
後遺障害診断書を書いてくれる医師の書き方次第では、本来ならば認定される後遺障害も認定されない可能性があります。認定を勝ち取るためには、医師の協力も重要ということです。
5. 納得の行く認定結果を勝ち取る方法5ステップ
ここからは、被害者が納得できる後遺障害の認定結果を得るためのステップを解説していきます。
交通事故に巻き込まれて後遺症が残存してしまうと、生活に支障が出たり働けなくなったりとさまざまな悪影響を感じていらっしゃるでしょう。その分の償いとして、後遺障害認定を得て加害者からしっかり損害賠償金をもらいたいと考えるのは当然のことです。
希望通り、というと少しおかしいですが、できるだけ納得できる後遺障害等級の認定結果を勝ち取るためには、以下の流れをおすすめします。
5-1. 後遺障害等級認定に強く提携医師がいる弁護士に相談する
後遺障害の認定を有利にすすめるためには、できるだけ早い段階から弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士なら誰でも良いわけではなく、後遺障害等級認定に強く、提携医師がいる弁護士事務所がベストです。
前章でも解説した通り、後遺障害が認められるためには、後遺症の状態や経過が分かるような診断書の記述はもちろん、必要に応じて適切な検査を行ったり、事故態様の大きさが伝わる報告書を用意したりする必要があります。
後遺障害認定が初めての被害者は、認定されるために「どんな検査や証拠が必要なのか」が分からないはずです。そして、後遺障害等級認定に慣れていない医師もまた、同様に、分からないのです。認定に必要な情報が分からないまま、診断書を書いてもらって提出しても、納得する結果にならないのは当然のことです。
多くの交通事故被害者の相談にのり、後遺障害等級認定を勝ち取ってきた経験が豊富な弁護士なら、被害者の状況に応じて、認定されやすい診断書の書き方や必要な検査・書類についてアドバイスすることが可能です。
また、場合によっては提携している医師と連携して、後遺障害の認定申請に必要な診断書や検査、書類をアドバイスすることもできます。その結果、後遺障害が認められる可能性をアップさせることが可能です。
5-2. 後遺障害を裏付けるための検査を実施してもらう
納得する後遺障害認定結果を得るための2ステップ目は、後遺障害を裏付けるための検査を実施するということです。
どのような後遺障害が残っているかにもよりますが、症状によっては、決められた検査を行わなければ、いくら症状があっても後遺障害等級認定が下りないケースがあります。
例えば、むちうちで後遺障害等級12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」の認定をもらうためには、14級よりも程度が重いことに加えて、他覚的所見が必要となります。具体的には画像所見(CT・MRI・レントゲン)が必須となるので、画像検査を受ける必要があるのです。
これを知らずに、必要な検査を行わないまま自覚症状だけを書類上で訴えても、14級と判断されることはあっても、12級を獲得することは難しいでしょう。
前のステップで、後遺障害等級認定に強く提携医師がいる弁護士に相談することで、必要な検査のアドバイスをもらうことができるため、病院に頼んで必要な検査を実施してもらうことが可能です。
5-3. 残存している症状を明確に示す診断書を書いてもらう
後遺障害等級認定に必要なステップ3つ目は、残存した症状を明確に示す診断書を書いてもらうことです。
前述した通り、いくら自覚症状や他覚的所見があったとしても、それが書類から伝わってこなければ、後遺障害は認められません。
残存している症状を明確に記載する後遺障害診断書を、医師に作ってもらうことが重要です。
医師の本業は病気やケガを治すことなので、後遺障害診断書を書くのがみんな上手いとはいえません。中には、診断書を書くのを嫌がったりめんどくさがったりする医師もいます。そうした医師に書いてもらうと、不備や記載漏れにつながり、正しい後遺障害等級を認定してもらえない危険性があります。
ここでも、後遺障害等級認定に強く提携医師がいる弁護士に助言をもらって、診断書にどのような記載してもらうべきか被害者がしっかり理解しておくことが大切です。
後遺障害診断書についてさらに詳しく理解したい方は、「後遺障害診断書 書き方」の記事もぜひ参考にしてください。
5-4. 後遺障害認定に有利になる証拠を用意する
その他に後遺障害の認定に有利になる証拠が必要であれば、用意することが大切です。
いくら症状があってその裏付けとなる医学的所見があったとしても、交通事故との因果関係を否定されて認定が下りないケースがあります。
例えば、先ほども例として挙げましたが、むちうちの後遺症があっても、車の損傷が少ない場合、「こんな遅いスピードで追突されてもむちうちにならないのではないか」と却下されてしまうケースがあるのです。
上記のケースのように交通事故との因果関係が否定されかねない事案なら、当時の事故状況が分かる報告書を用意して、時速何キロで衝突したのかなどを提示することで、認定される確率が高くなります。
このように、その事案ごとに、認定されやすくなる証拠を用意して申請書類に添付することで、後遺障害等級認定が認められる可能性を高めることができます。
5-5. 事前認定ではなく被害者請求で認定申請を行う
5-4とも関連しますが、後遺障害が認められる可能性を上げるには、「事前認定」ではなく「被害者請求」で認定申請を行うべきです。
【事前認定と被害者請求の比較表】
事前認定 | 被害者請求 | |
申請先 | 加害者の任意保険会社経由で、認定機関に申請 | 加害者の自賠責保険に自分で申請 |
メリット | 手続きを任せられる 診断書だけ用意すればいい |
自分で有利な書類を選んで提出できる |
デメリット | 任意保険会社がハンドルを握ることになるため信用して良いか不安が残る | 書類の準備や手続きが大変 |
通常、後遺障害等級認定は、加害者の保険会社経由で書類を出す「事前認定」が一般的です。この方法だと「後遺障害診断書」以外の書類は保険会社が用意して申請手続きを行ってくれるため、簡単に手続きを進められます。
しかし、納得できる後遺障害の認定結果を受け取りたいならば、保険会社を通さずに自分で直接提出する「被害者請求」がおすすめです。自分で診断書以外の書類も準備して手続きを進めなければならないため手間はかかりますが、自分に有利な書類を出せるメリットがあるからです。
サリュが後遺障害の申請を行う場合には、「事前認定」ではなく「被害者請求」で手続きを進めていきます。認定に有利になる書類を用意して、納得できる後遺障害等級を勝ち取るためです。
「事前認定」より書類の準備や手続きが大変になりますが、サリュがサポートしますのでぜひお任せください。
6. 後遺障害認定サポートならサリュにお任せください
前章で解説した通り、適切な後遺障害等級認定を得るためには、どうしたら認定が通るのかを熟知した専門家の手を借りるのが確実です。
後遺障害が認定される状況が揃っていたとしても、それらを裏付ける証拠がなければ、また書類から伝わらなければ、認定が下りることはないからです。書類の不備や診断書の書き方が悪いことにより、本来ならば認定される状況なのに「非該当」となるケースは多くあります。
特に、「後遺障害診断書」の内容は重要であり、診断書に不備があれば納得のいく認定結果を受け取ることはできません。
後遺障害診断書でよくある失敗例 ・腰痛の自覚症状があるのに、後遺障害診断書の自覚症状欄に記載されていない ・自覚症状の程度が記載されていないため、等級認定が下りない ・自覚症状を裏付ける客観的な所見が記載されていない ・聴力障害があるのに、聴力測定の結果が記載されていない ・「予後不明」など、今後良くなる可能性を含んだ記載がある、などなど |
納得のいく後遺障害の認定結果を受け取るためには、障害認定の実績が豊富な弁護士+その弁護士の顧問医師にお願いする方法がベストです。
後遺障害認定の申請実績が十分にある弁護士ならば、「このケースならばこういう資料が裏付けに使えそうだ」「あの検査を行うと良さそう」など、認定に有利になりそうなポイントを見つけることができます。
見つけたポイントを顧問医師に引き継いでくれるため、必要な検査や意見書、交通事故記録なども踏まえたうえで、充実した後遺障害申請書類の用意が可能となります。
サリュでは、提携している顧問医師と連携を取りながら、後遺障害申請者の希望に最大限寄り添って、申請を進めていくことができます。
弁護士法人サリュはここが強い! ①後遺障害等級認定や、非該当から14級獲得したケースなど異議申し立ての解決事例が多い ②提携している顧問ドクターが複数おり、正しい結果を導く診断書作成のアドバイスが可能 ③既にある医療証拠の収集や事故の実況見分調書なども取り寄せが可能 |
弁護士法人サリュの後遺障害認定の事例(ほんの一部です) 事例352:治療が打ち切られても、健康保険で治療を継続。後遺障害認定を受けにくい若年者でも、治療実績を重ねたことで後遺障害認定を受けた事例 事例373:過去の事故による受傷部が悪化、新たに後遺障害申請を行い、併合7級を獲得した事例 事例348:高次脳機能障害で後遺障害等級7級認定、自賠責保険金を含め損害賠償金2351万円を獲得 |
後遺障害認定について不安がある場合は、まずはお気軽にご相談ください。
また、サリュの顧問ドクターによるサポートのページもぜひ参考にしてください。
7.まとめ
本記事では「後遺障害の認定」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
後遺障害等級認定についての基礎知識
・後遺障害とは交通事故が原因で残った後遺症のこと ・後遺障害等級を認定するのは自賠責保険の認定機関 ・後遺障害には1級~14級までの等級がある ・後遺障害が認められれば慰謝料や逸失利益を請求できる |
後遺障害が認定されるまでの流れ
・医師から症状固定の診断を受ける ・必要書類を集めて後遺障害等級認定の申請手続きをする ・損害保険料率算出機構にて審査が行われる ・認定結果が通知される |
後遺障害等級が認定される確率は全体の5%とかなり低い
(1)2021年度の自賠責保険の支払件数:837,390件 (2)2021年度の後遺障害等級認定件数:42,980件 (2)÷(1)=約5.13% |
後遺障害が認定されるために必要な3つの条件
(1)「後遺障害等級表」に相当する症状・機能障害が残っていること (2)後遺障害を証明できる検査結果や所見があること (3) 上記のことが「申請書類」から伝わること |
納得の行く後遺障害認定結果を勝ち取る方法5ステップ
・後遺障害等級認定に強く提携医師がいる弁護士に相談する ・後遺障害を裏付けるための検査を実施してもらう ・残存している症状を明確に示す診断書を書いてもらう ・後遺障害認定に有利になる証拠を用意する ・事前認定ではなく被害者請求で認定申請を行う |
後遺障害の認定で納得のいく結果を受け取るためには、該当する後遺症が存在していることはもちろんですが、診断書の書き方や必要な書類の準備がとても重要です。
書類の不備によって「非該当」になったり、等級が低くなったりすることのないよう、しっかりと準備を進めましょう。