休業損害証明書の基礎知識|記入例や休業損害を受け取る流れを解説
「保険会社から休業損害証明書が必要だと言われたけど、なんだかよくわからない」
「会社に書いてほしいと頼んだら、わからないと言われ、うまく説明できなかった」
そのような悩みはありませんか?
休業損害証明書は、交通事故による怪我が原因で仕事を休み、損害が発生したことを証明する書類です。
この書類で証明された収入や休業日数をもとに、休業損害の額(加害者側の保険会社による、被害者の休業で発生した損害への補償)が計算されます。
休業損害証明書は、加害者側の保険会社から書類が送られ、勤務先の会社に書いてもらうもので、被害者本人が記載するわけではありません。
しかし、会社の担当者によっては、このような書類の作成に慣れておらず、正しく書けない可能性があります。
不備のある内容で手続きを進めると、何度も修正を求められ、休業損害を受け取るまでに手間も時間もかかってしまうでしょう。
また、休業損害の金額は、この書類で形式的・画一的に決まるわけではありません。
計算基準によって、金額は倍以上異なる場合があります。
同じ日数の休業であっても、計算基準が違うと、数万円以上の差が出てしまうのです。
そのような事態を防ぐためにも、休業損害証明書とはどのような書類なのか、被害者本人も理解しておくことが大切です。
この記事では、交通事故の被害者が休業損害証明書の内容を理解できるように解説する他、休業損害の請求の手順や、適正な金額の休業損害を受け取るために必要な情報をまとめて解説します。
この記事でわかること |
・休業損害証明書の内容と書き方がわかる ・休業損害証明書を会社に書いてもらえないときの対処法がわかる ・休業損害を請求する方法が3ステップでわかる ・休業損害の計算基準とできるだけ多く受け取るためのポイントがわかる |
この記事の内容を参考に、休業損害証明書を作成し、適正な金額の休業損害の請求に向けて動き出してください。
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【略歴】
2014年 明治大学法科大学院卒業
2014年 司法試験合格
2015年 弁護士登録、弁護士法人サリュ入所
【獲得した画期的判決】
【2021年8月 自保ジャーナル2091号114頁に掲載】(交通事故事件)
【2022年 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻(赤い本)105頁に掲載】
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目次
1.休業損害証明書は、交通事故によって欠勤し損害が生じたことを証明するための書類
この記事を読んでいるあなたは、
「そもそも、休業損害証明書って何なのだろう?」
と疑問に思っていませんか?
保険会社から必要だと言われたけど、
「自分で書いていいの?」「絶対に必要?」
と、よくわからず悩まれている方もいるはずです。
ここでは、そのような方に向けて休業損害証明書についての基本的な部分を解説します。
1-1.休業損害証明書は、休業損害の請求のために使う
休業損害証明書は、休業損害の請求のために使う書類です。
休業損害は交通事故による怪我のせいで減った収入を補償するもの |
休業損害とは、交通事故による怪我で仕事を休んだり、遅刻や早退をしたことが原因で減った収入を補償するものです。 加害者側の自賠責保険や、任意保険から支払われます。 休業損害の金額は、請求する人の職業や収入、休んだ期間、計算基準などによって異なります。 参考として、最低限の基準である自賠責基準で計算した場合、日額6100円×休業日数が休業損害の額となります。実際に休業損害をもらうための流れは、5.【3ステップで解説】休業損害をもらうまでの流れで詳しく解説します。 |
提出先は、事故の加害者側の保険会社で、書類のテンプレートなどは保険会社が用意しています。
休業損害証明書には、交通事故で負った怪我のせいで欠勤・遅刻などをした日数や時間を記入します。
その内容をもとに、保険会社が休業損害を計算するのです。
1-2.送られてきたらすぐに書いて提出する
休業損害証明書は、提出が必要な時期になったら加害者側の保険会社から送られてきます。
休業損害の請求タイミングは、毎月or示談交渉時にまとめて、の2種類ある |
休業損害の請求のタイミングには、 ・毎月(会社の締め日ごと) ・示談交渉時にまとめて の2種類があります。 怪我による欠勤が多くなる場合や、有給休暇を使い切ってしまった場合には、給与が減り、生活が苦しくなることもあるでしょう。そのような場合は毎月請求がおすすめです。 |
請求のタイミングに合わせて、保険会社に提出しましょう。
次の項目で説明しますが、休業損害は自分で記入するのではなく、勤務先に提出して、書いてもらいます。
提出が遅れると、休業損害の支払いも後ろ倒しになってしまいます。
できるだけ早く受け取りたいあ場合には、早く記入してもらい、提出しましょう。
1-3.自分の勤務先の会社で記入してもらう
相手の保険会社から休業損害証明書が送られてきたら、勤務先に提出して記入をお願いしましょう。
書いてもらう相手は会社によっても異なりますが、
・総務部・労務部・人事部 |
などの部署がある場合はそこに頼むことが多いです。
担当者がわからない場合には、上司などに聞いて対応する部署を確認しましょう。
また、派遣社員の場合は、派遣先の企業ではなく、派遣会社に書いてもらうことになります。
この場合は、派遣元の担当者に依頼するといいでしょう。
会社員(給与所得者)じゃなくても休業損害は請求できる! |
会社員やアルバイトなど、毎月会社から給料を受け取る給与所得者ではなくても、休業損害は請求できます。 その場合は勤務先に休業損害証明書を書いてもらうのではなく、別の方法をとることになります。 主婦・主夫などの家事従事者の場合の休業損害については、下記記事で詳しく説明しています。【休業損害 主婦】 また、自営業・フリーランスなどの場合の休業損害については、下記の項目で解説します。 8-4.Q.自営業(フリーランス)の場合は、休業損害証明書は自分で作成しますか? |
2.休業損害証明書に記載する内容と記入例
休業損害証明書についての基本がわかったところで、実際の内容や書き方についてを解説していきます。
休業損害証明書は被害者本人が書くわけではありませんが、書類の作成に慣れていない担当者任せにした場合、不備が発生してしまう可能性があります。
被害者本人であるあなたも、書き方について一通り理解しておきましょう。
休業損害証明書に記載する項目は、下記のとおりです。
・(1)仕事を休んだ(遅刻・早退も含む)期間 ・(2)休業日数とその内訳 ・(3)休業の状況を示すカレンダー ・(4)休業による給与支給の状況 ・(5)事故前の給与と勤務状況 ・(6)社会保険からの給付の有無 ・(7)勤務先の署名・捺印 ・(8)時間有給休暇・遅刻・早退の状況 |
それぞれの項目について、記載例と一緒に説明します。
2-1.(1)仕事を休んだ(遅刻・早退も含む)期間
遅刻や早退も含む、仕事を休んだ期間を記載します。
2-2.(2)休業日数とその内訳
1に記載した期間の内訳を記載します。
休業中に有給を使った場合、欠勤と有給休暇は扱いが異なります。
それぞれ別に書いてください。
2-3.(3)休業の状況を示すカレンダー
休んだ期間の状況をカレンダーに記号で記載します。
△で記入した時間有給休暇、遅刻、早退については、裏面の2-8.時間有給休暇・遅刻・早退の状況に時間を記載します。
2-4.(4)休業による給与支給の状況
休んでいた期間の給与の支払い状況を記載します。
2-5.(5)事故前の給与と勤務状況
事故前の給与と勤務状況を記載します。
給与に関しては、別途、源泉徴収票などの証明書類の添付を求められることがあります。
2-6.(6)社会保険からの給付の有無
社会保険から給付を受けたかどうかを記載します。
2-7.(7)勤務先の署名・捺印
勤務先の署名を記載し、捺印します。
2-8.(8)時間有給休暇・遅刻・早退の状況
時間有給休暇や遅刻、早退があった場合には、いつ、何時間あったのかを記載します。
3.休業損害証明書の提出前に確認するべきチェックポイント
休業損害証明書の記載は勤務先にお願いするのですが、保険会社に送付する前に自分でも確認しておくことで、書類の不備を防ぐことができます。
書類に不備があると、手続きが遅れ、休業損害を受け取るのが遅くなってしまうかもしれません。
スムーズに手続きを進めるためにも、提出前にしっかりチェックして、抜け漏れやミスのない書類の提出を行ってください。
提出前に確認しておきたいチェックポイントは、下記のシートのとおりです。
□前年度の源泉徴収票が貼られているか(提出を求められた場合) |
□休業期間は正しく記載されているか |
□欠勤・有給休暇・遅刻・早退が正しく記載されているか |
□カレンダーは正しく埋められているか |
□休んだ期間の給与は正しく記載されているか |
□事故前3か月の支給された給与額は正しく記載されているか |
□その他、必要事項に抜け漏れはないか |
4.休業損害証明書を会社が書いてくれないときの対処法
ここまでで、休業損害証明書は勤務先に記載してもらうということをお伝えしてきましたが、中には、
「会社にお願いしても書いてくれなかった」
「時間があるときに書いておく、とはぐらかされて、後回しにされそう」
という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それでも、休業損害証明書は、自分で書くことができません。必ず勤務先で書いてもらわないといけないのです。
とはいえ、一度断られてしまうと再度お願いするのは気まずいという方も多いはず。
そんなときに、できる限りスムーズに休業損害証明書を書いてもらうための方法をお伝えします。
・「今まで書いたことがないからわからない」と言われた場合は、記載例を見せる ・担当者が応じてくれない場合は、社内の別の人に相談する ・どうしても書いてくれない場合は、他の資料を揃える |
4-1.「今まで書いたことがないからわからない」と言われた場合は、記載例を見せる
「今まで書いたことがないから書き方がわからない」
「よくわからないから書きたくない」
そんな理由で休業損害証明書を書いてもらえない場合には、記載例を示して、書いてもらいましょう。
・休業損害証明書の記入例・サンプル ・休業状況がわかるメモやタイムカードの記録 |
これらの情報をまとめて渡せば、今までに書いたことがない担当者でも簡単に書けるはずです。
記入例については、保険会社が添付してくれている場合にはそれを利用すると良いでしょう。
4-2.担当者が応じてくれない場合は、社内の別の人に相談する
上記の方法でも担当者が応じてくれない場合、社内の別の人に相談してみましょう。
・自分の直属の上司・社内の労務、人事などの相談窓口・担当部署の別の社員 |
このような相手に相談することで、別の人が休業損害証明書の記載を担当してくれるかもしれません。
また、小さい会社では社長や役員が直接記載することもあるので、上長に確認してみることで話が進む可能性もあります。
4-3.どうしても書いてくれない場合は、他の資料を揃える
ここまでの方法を試しても、どうしても書いてもらえない場合には、休業損害証明書の代わりとなる資料を集めましょう。
休業損害証明書の代わりとなる資料としては、休業期間・日付を証明するものと、給与を証明するものを準備する必要があります。
休業期間を証明する書類 | ・勤怠表 ・タイムカードの記録 ・診断書 |
給与を証明する書類 | ・給与明細 ・源泉徴収票(会社で経理部などに依頼して出してもらう) ・賃金台帳(会社で人事部・総務部などに依頼して出してもらう) |
これらの書類をできる限り集め、保険会社に「会社に休業損害証明書を書いてもらえなかった」と説明したうえで提出してください。
すべての書類を必ず集めなければいけないわけではありませんが、証拠となる書類が多いほど、正しく休業損害が認められる可能性が高まります。
ただし、保険会社によっては、休業損害証明書がないと休業損害を一切認めない、という場合もあります。
その点については、あらかじめ知っておいてください。
交通事故対応に強い弁護士なら、会社に交渉してくれる |
「会社がどうしても書類を書いてくれない」「相手の保険会社が準備した書類では証拠にならないと言ってくる」 そんな時には、交通事故の対応実績の多い、経験豊富な弁護士に相談してみてください。 弁護士に依頼すれば、必要な書類を書いてくれるよう会社に交渉してくれたり、難しい場合に準備するべき書類に関するアドバイスをくれたりと、手続きがスムーズに進められるようサポートしてくれます。 自分で手続きを進めることが難しいときには、休業損害を受け取るのを諦めず、弁護士に相談してみてください。 \被害者の救済に特化した交通事故解決のプロ/ 電話で無料相談する方は、下記をクリックしてください。 メールで無料相談する方は、下記をクリックしてください。 |
5.【3ステップで解説】休業損害をもらうまでの流れ
では、ここからは実際に休業損害をもらうために、あなたがどのように行動すればいいのか、やるべきことを3ステップで紹介します。
休業損害のもらい方がわからずに悩んでいる方も、この手順を参考に、休業損害を受け取ってください。
・【step1】必要書類を準備する ・【step2】加害者側の任意保険会社に書類を提出する ・【step3】提出後1週間~1か月程度、振込まれるのを待つ |
5-1.【step1】必要書類を準備する
まずは、加害者側の任意保険会社に提出する必要書類を準備します。
【休業損害の請求に必要な書類】
休業損害証明書 | 保険会社から受け取り、勤務先の会社に書いてもらう |
前年度の源泉徴収票(求められた場合) | 勤務先の給与担当者に発行してもらう |
これらの書類は、主に勤務先の会社で準備してもらうことになります。
休業損害の請求のために必要なことを伝え、できるだけ早く準備してもらってください。
5-2.【step2】加害者側の任意保険会社に書類を提出する
必要書類がすべて揃ったら、加害者側の任意保険会社へ提出します。
休業損害証明書が送られてきた際に指示された送付先へ郵送するケースが多いでしょう。
5-3.【step3】提出後1週間~1か月程度、振込まれるのを待つ
保険会社が確認を行い、審査が完了すれば休業損害が振り込まれます。
最初の1回は書類に不備があったり、審査に時間がかかることがあり、振込まで時間がかかる可能性があります。
書類の提出から1か月程度かかることもある点を理解しておきましょう。
2回目以降の請求では概ね1週間〜2週間程度で振り込まれるケースが多いです。
この後も、治療期間中は毎月1〜3のステップを繰り返すことになります。
6.休業損害は同じ期間・日数でも計算基準でもらえる金額が変わる!
ここまで、休業損害証明書の記載内容や休業損害をもらうための方法を説明してきました。
「じゃあ、今から休業損害をもらうために手続きをしよう」
と思っている方に絶対に知っておいていただきたいのが、休業損害は、同じ休業期間や休業日数であっても、計算基準によって金額が異なるということです。
休業損害の計算基準には、下記の3種類があります。
任意保険基準は、詳しい計算方法が公開されておらず、保険会社によっても異なりますが、自賠責基準と同じか、少し高い程度の金額になるケースがほとんどです。
弁護士基準と自賠責基準、それぞれの基準の計算式は下記のようになります。
弁護士基準 | 被害者の給料日額×休業日数 |
自賠責基準 | 日額6,100円×休業日数 |
これによりどの程度金額が変わるのかというと、例えば、月収が27万円の会社員が90日休業した場合、下記のように差がでます。
※月収27万円、月の勤務日数20日として日割り額を計算
このように、計算基準が異なるだけで、倍以上金額に差が出ることがおわかりいただけたでしょうか。
もし、弁護士基準を知らないまま交渉を進めてしまうと、不当に低い金額で済まされてしまうかもしれません。
被害者が少ない金額で泣き寝入りをしないためにも、その点をしっかり押さえておきましょう。
そのうえで、休業損害をできるだけ多く受け取るためのポイントを次項で解説していきます。
7.【損しないために】休業損害を多くもらうためのポイント3つ
「怪我のせいで仕事を休むことになったのに補償されないなんて納得できない」
交通事故で怪我を負い、仕事に支障が出てしまったあなたがそんな気持ちを抱くのは、当たり前のことです。
しかし、先ほども説明したとおり、相手の対応に従っているだけでは、低い金額の休業損害しか受け取れない可能性が高まってしまいます。
仕事を休んだ損害に対し十分な補償を得るためには、知識を身に着けたうえで対応する必要があるのです。
休業損害をできるだけ多くもらうためには、下記のポイントに気を付けましょう。
・相手の保険会社が言うことを鵜呑みにしない ・証拠となる書類をしっかり準備する ・交通事故の解決実績が豊富な弁護士に相談する |
7-1.相手の保険会社が言うことを鵜呑みにしない
まず最初のポイントが、相手の保険会社が言うことを鵜呑みにしないことです。
相手の保険会社は、基本的に自社の利益を優先して行動します。
そのため、被害者への補償を手厚くするよりも、最低限の補償で済ませようと考えるのです。
ですから、相手の保険会社の提案をそのまま鵜呑みにしてしまうと、損害に対して十分な補償が得られない可能性があります。
7-2.証拠となる書類をしっかり準備する
次に重要なのが、証拠となる書類をしっかり準備することです。
保険会社の対応によっては、休業期間が満期で認められない可能性があります。
それを防ぐためには、
・交通事故によって怪我をしたこと
・怪我の影響で仕事を休み、収入が減少したこと
の2点を証明する必要があります。
これらを証明する書類としては、下記のようなものがあります。
【必須書類】
休業損害証明書 | 怪我の影響で会社を休業していたことを証明する |
前年度の源泉徴収票 | 前年度の収入を証明する |
【他にもあるとよい書類】
雇用契約書 | 事故発生時に会社に勤めていたことを証明する |
給与明細 | 収入を証明する |
医師の診断書 | 医師の判断で休業が必要だったことを証明する |
勤怠表・タイムカード | 治療中の勤務実態を証明する |
保険会社に疑われずに手続きを進めるためにも、【他にもあるとよい書類】も適宜準備しておくと良いでしょう。
7-3.交通事故の解決実績豊富な弁護士に相談する
最後に知っておいてほしいポイントが、交通事故の解決実績豊富な弁護士に相談することです。
相手の保険会社は、交通事故の対応に慣れています。
それに対して、あなたはおそらく初めて事故に遭って、あたふたと対応していませんか。
経験値に差があると、どうしても経験豊富な側に有利に話が進んでしまいがちです。
そこで頼りになるのが、弁護士です。
弁護士に依頼することで、被害者の立場に立ってアドバイスやフォローが受けられます。
保険会社が言っていることが正しいのかわからなくて不安というときにも、弁護士がこれまでの知見をもとに対処してくれるでしょう。
弁護士というとハードルが高く感じる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
交通事故の対応であれば、初回は無料で相談を行っている法律事務所も多くあります。
資金面での不安や、弁護士に依頼するメリット・デメリットなどを確認して納得してから依頼できるので、事故対応に悩みを抱えている方は、まずは相談してみてください。
8.休業損害証明書に関するQ&A
休業損害証明書に関するよくある質問と回答をまとめました。
記事の中で解決しきれなかった疑問がある方は、こちらも参考にしてください。
8-1.Q.実際に休んだ期間よりも長く申請してもバレませんか?
A.バレる可能性が高く、最悪の場合詐欺罪などの犯罪行為として訴えられるリスクがあります。
保険会社は、勤務先への内容照会や源泉徴収票の確認など、提出した書類の内容に齟齬がないかを色々な方法で確かめています。
そのため、虚偽の内容を書いてしまうと、発覚するリスクは高いでしょう。
また、保険会社への金銭を目的とした詐称は、犯罪行為に当たります。
最悪の場合、休業損害が受け取れないだけではなく、罪に問われる可能性もあるので、嘘の内容で申請するのは絶対にやめましょう。
8-2.Q.欠勤ではなく有給休暇をとりましたが、休業損害はもらえますか?
A.有給休暇しかとっていない場合も休業損害はもらえます。
休業損害証明書に有給休暇を取得した旨を記載してもらいましょう。
有給休暇の場合は、収入の減少がありませんが、休業損害として認められます。
8-3.Q.会社に言いづらいので自分で書いてもいいですか?
A.ダメです。休業損害証明書は必ず会社に書いてもらいましょう。
「会社の担当者が忙しそうだから」などの理由で、自分で休業損害証明書を書くのはNGです。
休業損害証明書は会社で書いてもらうべき書類です。自分で書いてしまうと内容が正しくても不正となり、休業損害が受け取れなくなってしまう可能性があります。
もし、会社で書いてもらいづらい場合には、4.休業損害証明書を会社が書いてくれないときの対処法を参考にしてみてください。
8-4.Q.自営業(フリーランス)の場合は、休業損害証明書は自分で作成しますか?
A.自営業(フリーランス)は休業損害証明書ではなく、別の書類で休業を証明することになります。
自営業やフリーランスの場合、給与所得という形で収入があるわけではありません。
そのため、休業損害証明書ではなく、下記のような書類で休業や損害額を証明することになります。
確定申告書 | 前年度の確定申告書をもとに、収入を算出します。売上の変動が激しい場合などは、過去数年分の確定申告書が必要となる場合もあります。 |
医師の診断書 | 怪我をして仕事ができなかったことを証明します。診断書に記載された治療期間をもとに、休業期間を算出します。 |
9.まとめ
この記事では、休業損害証明書の書き方や会社に書いてもらう方法、休業損害を受け取るための手順などについて解説しました。
内容のまとめは、以下のとおりです。
●休業損害証明書は休業損害の請求のために使う書類で、勤務先の会社に記入してもらい、事故の加害者側の保険会社に提出する
●休業損害証明書の内容は下記のとおり
・仕事を休んだ(遅刻・早退も含む)期間・休業日数とその内訳 ・休業の状況を示すカレンダー ・休業による給与支給の状況 ・事故前の給与と勤務状況 ・社会保険からの給付の有無 ・勤務先の署名・捺印 ・時間有給休暇・遅刻・早退の状況 |
●会社が損害証明書を書いてくれないときの対処法は下記の3つ
・「今まで書いたことがないからわからない」と言われた場合は、記載例を見せる ・担当者が応じてくれない場合は、社内の別の人に相談する ・どうしても書いてくれない場合は、他の資料を揃える |
●休業損害をもらうまでの流れは下記のとおり
【step1】必要書類を準備する 【step2】加害者側の任意保険会社に書類を提出する 【step3】提出後1週間~1か月程度、振込まれるのを待つ |
●適正な金額の休業損害を受け取るために重要なポイントは下記の3つ
・相手の保険会社が言うことを鵜呑みにしない ・証拠となる書類をしっかり準備する ・交通事故の解決実績が豊富な弁護士に相談する |
これらの内容を参考に、休業損害証明書を会社に書いてもらい、適正な金額の休業損害を受け取れるように行動してください。