交通事故で膝蓋骨骨折|後遺障害等級や賠償金事例を紹介

「交通事故で膝蓋骨を骨折してしまった……これからどうしたらいいの?」

「歩きづらさや痛みが残ってしまったら、何か補償してもらえるのだろうか」

この記事を読んでいるあなたは事故で膝蓋骨骨折を負い、これから自分がどうなるのかわからず、漠然とした不安を抱えていることでしょう。

膝蓋骨骨折を負い、もしも後遺障害が残ってしまったら、症状次第で数百~数千万円の賠償金を受け取れる可能性があります。

以下は、サリュで実際に膝蓋骨骨折を負った方の、賠償金獲得事例です。

獲得できた賠償金:3,834万円
横断歩道を歩行中、右後方から曲がってきた乗用車と衝突。膝蓋骨骨折や骨盤骨折などの大怪我を負った。後遺障害が認められた結果、高額な賠償金を受け取ることができた。

このように、骨折して後遺障害が残ると、個別の症状などケースによりますが、比較的高額な賠償金を受け取れる可能性があります。

しかし、病院で必要な検査を受け、専門機関に後遺障害が残ったことを認めてもらい、後遺障害等級を獲得しないと、後遺障害慰謝料や逸失利益などを含めた賠償金は受け取れないのです

そこで、この記事では、膝蓋骨骨折を負った方がどのくらいの賠償金を受け取れるのか、賠償金を受け取るためにどうすれば良いのかを解説します。

ぜひ読み進めてください。

この記事の監修者
弁護士 山田 洋斗

弁護士法人サリュ千葉事務所
千葉県弁護士会

交通事故解決件数 1,100件以上
(2024年1月時点)
【略歴】
2014年 明治大学法科大学院卒業
2014年 司法試験合格
2015年 弁護士登録、弁護士法人サリュ入所
【獲得した画期的判決】
【2021年8月 自保ジャーナル2091号114頁に掲載】(交通事故事件)
【2022年 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準上巻(赤い本)105頁に掲載】
会社の代表取締役が交通事故で受傷し、会社に営業損害が生じたケースで一部の外注費を事故と因果関係のある損害と認定した事例
【弁護士法人サリュにおける解決事例の一部】
事例333:弁護士基準の1.3倍の慰謝料が認められた事例
事例343:相手方自賠責保険、無保険車傷害保険と複数の保険を利用し、治療費も後遺障害も納得の解決へ
事例323:事故態様に争いがある事案で、依頼者の過失割合75%の一審判決を、控訴審で30%に覆した

 

弁護士法人サリュは、交通事故の被害者側専門で20,000件以上の解決実績を誇る法律事務所です。

交通事故被害に遭われたら、できるだけ早期に、交通事故の被害者側専門弁護士に相談することをおすすめします。これは、弁護士のアドバイスを受けることで、もらえる損害賠償金が大きく変わる場合があるからです。
弁護士法人サリュは、創業20年を迎え、交通事故の被害者側専門の法律事務所として累計20,000件以上の解決実績があります。所属弁護士の多くが1人あたり500件~1000件以上の交通事故解決実績があり、あらゆる交通事故被害者を救済してきました。その確かな実績とノウハウで、あなたのために力を尽くします。
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1. 交通事故で膝蓋骨骨折になると症状次第で高額な賠償金を受け取れる可能性がある

先ほどもお伝えしましたが、交通事故で膝蓋骨骨折を負った方は、症状次第で高額な賠償金を受け取れる可能性があります。

骨折は、完治までに時間がかかり※、後遺障害が残りやすい怪我だからです。

※半年以上かかるケースもあります。

膝蓋骨骨折以外の場所も骨折していたり、怪我の程度が重くて治療が長引いたり、後遺障害が残ったりすると、受け取れる金額が上がります。

以下に、交通事故で膝蓋骨骨折を負った方が受け取れる賠償金項目をまとめました。

治療費膝蓋骨骨折の治療や検査にかかったお金
入通院慰謝料入通院による精神的損害に対するお金
休業損害膝蓋骨骨折の治療やリハビリで仕事を休んだ分のお金
後遺障害慰謝料膝蓋骨骨折の後遺障害による、身体的・精神的苦痛に対するお金
後遺障害逸失利益膝蓋骨骨折による後遺障害がなければ将来得られたはずの利益(収入)

上記の賠償金のうち、治療が長引いた場合は、治療費・入通院慰謝料・休業損害が増額する可能性があります。

後遺障害が残った場合は、さらに後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益を請求できるようになり、後遺障害が重いほど増額する可能性があります。

2. 交通事故で膝蓋骨骨折(膝の骨折)を負った場合の賠償金事例

ここでは、弁護士法人サリュで実際に扱った、膝蓋骨骨折や膝の骨折を負った方の賠償金獲得事例を紹介します。

【ケース1】賠償金3,834万円・後遺障害8級が認定された事故
【ケース2】賠償金1,100万円・後遺障害12級が認定された事故
【ケース3】賠償金1,500万円・後遺障害12級が認定された事故

※本事例は膝蓋骨骨折以外の怪我を含んだ事例です。あくまで参考として、ご覧ください。

2-1. 【ケース1】賠償金3,834万円・後遺障害8級が認定された事故

賠償金3,834万円
後遺障害等級8級
事故の状況横断歩道を歩行中、右後方から曲がってきた乗用車と衝突した

※後遺障害等級とは、交通事故による怪我の後遺障害の程度を、1~14級に分類したものです。くわしくは、「3.膝蓋骨骨折を負った人に認定される可能性がある後遺障害等級」で解説します。

Yさんは、通勤時に横断歩道を歩行中、乗用車と衝突して左膝蓋骨骨折、骨盤骨折、右大腿骨頚部骨折などの大怪我を負いました。

特に右大腿骨頚部骨折の怪我がひどく、4ヶ月も入院やリハビリを続けることになってしまいます。

事故発生から約1年後、サリュにご相談いただき、弁護士のサポートのもと後遺障害申請をおこなったところ、後遺障害を認めてもらうことができました。

その後、弁護士が加害者側の保険会社と交渉を続けて慰謝料や逸失利益を満額で認めさせ、Yさんは最終的に3,834万円の賠償金を受け取ることができました。

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2-2. 【ケース2】賠償金1,100万円・後遺障害12級が認定された事故

賠償金1,100万円
後遺障害等級12級
事故の状況歩行中に自動車に衝突された

Bさんは、歩行中に自動車に衝突され、右膝を骨折しました。

まだ治療中にもかかわらず、加害者の保険会社に賠償金は75万円程度になると伝えられました。

その後、後遺障害を認めてもらうことができましたが、Bさんの怪我の程度に見合っていないと感じたサリュの弁護士は、顧問医の協力のもと、検査画像を精査しました。すると、後遺障害認定を行う自賠責調査事務所が見落とした骨折痕を見つけることができました。その後、サリュはBさんの後遺障害について再申請(異議申し立て)をしました。

その結果、右膝の可動域制限について、当初より重い後遺障害があると認められたのです。

最終的にBさんは、約1,100万円の賠償金を獲得できました。

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2-3. 【ケース3】賠償金1,500万円・後遺障害12級が認定された事故

賠償金1,500万円
後遺障害等級12級
事故の状況バイクで道路を直進、対向自動車に巻き込まれた

Gさんは、バイクで道路を直進中、右折しようとした対向車に巻き込まれて転倒し、膝を骨折しました。

長期にわたり通院とリハビリを続けましたが、痛みが残ってしまったので、サリュにご相談くださいました。

サリュの弁護士は診断書等を取り寄せて、後遺障害を認めてもらうために準備し、申請します。結果は12級より低い14級でしたが、サリュの弁護士は諦めず再度申請し、12級を獲得しました。

その後、加害者側との賠償金を交渉し、最終的に1,500万円で示談成立できました。

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3. 膝蓋骨骨折を負った人に認定される可能性がある後遺障害等級

交通事故で膝蓋骨骨折(膝の骨折)を負った場合の賠償金事例でご紹介した方は、すべて後遺障害が残った方でした。

ここで気になるのは、「自分に後遺障害が残った場合、何級に該当するのか?」という点ではないでしょうか。

膝蓋骨骨折の後遺障害で認定される可能性があるのは、7・8・10・12・14級です。

この章では、どのような後遺障害がどれくらいの等級に認定されるのか、くわしく紹介します。

偽関節の後遺障害がある場合:7・8級
可動域制限の後遺障害がある場合:8・10・12級
動揺関節の後遺障害がある場合:8・10・12級
神経障害の後遺障害がある場合:12級・14級

3-1. 偽関節の後遺障害がある場合:7・8級

等級認定基準
7級一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級一下肢に偽関節を残すもの

引用:国土交通省「自賠責保険・共済の限度額と補償内容」

偽関節の後遺障害がある場合は、7級または8級に該当する可能性があります。

偽関節とは、治療を続けても骨がうまくつながらず、関節ではない部分が関節のようになってしまう状態のことです。

偽関節が認められると8級、さらに著しく運動障害を残すと7級が認定されます。

3-2.可動域制限の後遺障害がある場合:8・10・12級

等級認定基準
8級一下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
10級一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
12級一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの

引用:国土交通省「自賠責保険・共済の限度額と補償内容」

可動域制限の後遺障害がある場合は、8・10・12級に該当する可能性があります。

可動域制限とは、正常な状態と比較して曲げづらい状態のことです。

目安として、通常時の3/4以下しか動かせないと認められると12級、通常時の1/2以下しか動かせないと認められると10級が認定されます。

さらに、ほぼ関節を動かせず、健康な足と比べて10%程度しか動かせない状態だと、8級が認定される可能性があります。

3-3.動揺関節の後遺障害がある場合:8級・10級・12級

等級認定基準
8級常に硬性補装具を必要とする場合
10級時々硬性補装具を必要とする場合
12級重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないもの

膝蓋骨骨折となると、膝付近に甚大な外力が加わることから、膝関節周囲の靭帯(前十字靭帯など)の損傷も併発している場合があります。その場合、靭帯に緩みが生じ、膝関節に不安定性が残ることがあります。このような状態を動揺関節といいます。

動揺関節は、ストレスレントゲンなどで不安定性を確認し、装具の必要性に応じて、上記表のとおり後遺障害等級が認定されます。

3-4. 神経障害の後遺障害がある場合:12級・14級

等級認定基準
12級局部にがん固な神経症状を残すもの
14級局部に神経症状を残すもの

引用:国土交通省「自賠責保険・共済の限度額と補償内容」

神経障害の後遺障害がある場合は、12級または14級に該当する可能性があります。

神経症状とは、膝に痛みや痺れが残っている状態のことです。

痛みやしびれがあると合理的に認められると14級、検査結果や画像所見などで症状を医学的に証明できる場合は、12級を認定される可能性が高いでしょう。

4. 適正な賠償金を受け取るには症状に見合った後遺障害等級を獲得することが重要

膝蓋骨骨折を負って後遺障害が残ってしまったら、正当な後遺障害等級の獲得を目指しましょう

なぜなら、後遺障害等級を獲得できた場合、できなかった場合で、数百~数千万円も差が出ることもあるからです。

後遺障害等級は、申請すれば必ず認定されるものではありません。

膝蓋骨骨折による後遺障害であると証明する証拠を用意して提出するなど、等級を獲得する準備を適切に進めなければ、症状に見合う等級を獲得できなくなります

そのためにも、症状に見合った後遺障害等級の獲得を目指しましょう。

5. 膝蓋骨骨折を負った方が後遺障害等級を獲得するまでの流れ

膝蓋骨骨折でもし後遺障害が残った場合、重要なのは、後遺障害に見合う等級を獲得することだとお伝えしてきました。

そこで、この章では膝蓋骨骨折を負った方が後遺障害等級を獲得するまでの流れを、くわしく解説します。

1.適切な検査を受ける
2.適切なタイミングで症状固定の診断を受ける
3.後遺障害診断書を準備する
4.後遺障害認定を申請し等級を獲得する

5-1. CT検査などの適切な検査を受ける

膝蓋骨骨折による後遺障害が残る可能性が高いなら、

・関節面のズレ(転位)

・関節面の欠損

などを証明するために、レントゲンだけでなく、CT検査を受けたほうが良いといわれています。

CTで関節面のズレを証明できなければ、痛みや痺れが残っていても後遺障害等級を獲得しづらい可能性があります。

まだCT検査を受けていないなら、主治医に検査をしてもらえないか相談してみましょう。

また、膝蓋骨骨折となった場合、周囲の前十字靭帯などの靭帯も損傷している可能性があります。そのような靭帯損傷の状況を確認するためには、MRI検査が有用とされています。そのため、CT検査のほか、必要に応じてMRI検査についても主治医と相談し、実施しましょう。

5-2. 適切なタイミングで症状固定の診断を受ける

次に、適切なタイミングで症状固定の診断を受けます。

症状固定とは、「これ以上治療やリハビリを続けても状態が良くなる見込みがない状態のこと」です。

膝蓋骨骨折の場合、手術やリハビリの期間を含め、最低でも6か月程度は治療が必要となると思われます。
早すぎる時期に治療を中断し、後遺障害申請をしても、将来の後遺障害の有無や程度を自賠責損害調査事務所が判断することが困難になり、適切な後遺障害等級が認定されないケースもあります。

また、症状固定日以後は、治療費や入通院慰謝料の算定期間外となってしまうため、十分な治療を受けてから後遺障害申請にはいることが重要です。

そのため、症状固定時期は慎重に判断しましょう。

重要ポイント
交通事故にくわしくない主治医の場合、適切な症状固定時期を知らない可能性があります。
まだ治療が必要な気がするけれど症状固定と言われてしまったなど、心配なことがあるなら、一度弁護士に相談することをおすすめします。

5-3. 後遺障害診断書を準備する

症状固定を診断されたら、後遺障害認定の申請準備に入ります。

後遺障害認定の申請に必要なのは、主治医が作成する後遺障害診断書です。

後遺障害診断書に書くべき内容は、以下のようなことです。

・自覚症状に対応する傷病名
・膝の痛みや痺れなどの残存する症状
・CTの検査結果
・関節の可動域
・将来の症状の残存可能性

診断書に記載がないことは、後遺障害認定の審査の際に考慮されません。

あなたのこれまでの治療経過や現在の状態を細かく記載した診断書を、主治医に作成してもらいましょう。

5-4. 後遺障害認定を申請し等級を獲得する

後遺障害診断書を準備できたら、後遺障害認定を申請し等級の獲得を目指します。

後遺障害認定の申請手順は、次のとおりです。

後遺障害認定の申請から等級決定までの流れ
加害者の自賠責保険に、後遺障害診断書や必要な証拠を提出する
          ↓
自賠責保険が内容を確認し、調査会社に書類を提出する
          ↓
調査会社による審査がおこなわれ、等級が決定する

上記のように、直接加害者の自賠責保険に申請する方法を「被害者請求」といいます。

一方、加害者側の任意保険会社に申請を任せる「事前認定」という方法もあります。

被害者請求は事前認定よりも手間はかかりますが、必要な証拠を自分で集めて提出できるので、等級を認定されやすいメリットがあります。

そのため、ここで紹介した被害者請求で申請する方法がおすすめです。

6. 膝蓋骨骨折で正当な賠償金の獲得を目指すなら弁護士を頼ろう

膝蓋骨骨折を負ったあなたが、後遺障害等級を獲得するまでの流れを解説しました。

ただ、上記で紹介した重要なポイントを意識しながら、後遺障害申請をして等級を獲得するまでの一連の流れを、あなたひとりでおこなうのは不安でしょう。

そこでおすすめなのが、交通事故に強い弁護士を頼ることです。

怪我が完治せず膝に重い後遺障害が残っても、検査結果や診断書の内容などに少しでも不備があると、等級が下がる可能性もあります。

弁護士は、膝蓋骨骨折を負った方が受けるべき検査や、後遺障害診断書に書くべき内容などを知っているため、治療中からあなたをサポートできます。

すでに治療が進んでいる方も、示談成立前なら遅くないので、少しでも不安があるなら相談してみることをおすすめします。

7. まとめ

この記事では、交通事故で膝蓋骨骨折を負った方が、これから安心して暮らすために必要な情報を解説しました。

適正な賠償金を受け取るには、症状に見合った後遺障害等級を獲得することが何よりも重要です。

万が一後遺障害が残ったときのためにも、治療中から準備を進めておきましょう。

少しでも不安なことがあるなら、ぜひ私たち弁護士を頼ってください。