むちうちの後遺障害の基礎知識|認定条件・ポイント・流れを網羅解説
「交通事故でむちうちになり、今でも痛みやしびれが残っている」という方も多いのではないでしょうか。
車同士の事故で衝突された場合など、首を大きく揺さぶられたり、腰を伸ばされたりする状態になった場合に起こりやすいのがむちうちの症状です。
いわゆる「むちうち」とは、交通事故で車に追突されたなどが原因で、頚椎(首の骨)や腰椎などの上半身に強い衝撃がかかり、痛みやしびれなどの症状が出ることをいいます。人によって症状はさまざまであり、首や腰以外の部位(手足など)に症状が出ることも珍しくありません。
交通事故でむちうちになってしまった場合、一定の割合で、半年など長い期間通院を続けても症状が完治しないケースがあります。
このようなケースの場合、むちうちという比較的軽傷といえる後遺症であっても、後遺障害が認定されることはあります。
後遺障害等級認定を受けるためには、手続きをした後に審査に通る必要がありますが、認定されれば後遺障害に対する慰謝料や逸失利益を上乗せして請求できるようになります。
【むちうちの後遺障害慰謝料の相場】
等級 | 自賠責基準 加害者の自賠責保険から もらえる金額 | 弁護士基準 弁護士が介入して 請求していく金額 |
後遺障害等級12級が 認められた場合の慰謝料 | 94万円 (逸失利益と合わせて上限224万円) | 290万円 (別途、逸失利益を算定) |
後遺障害等級14級が 認められた場合の慰謝料 | 32万円 (逸失利益と合わせて上限75万円) | 110万円 (別途、逸失利益を算定) |
この記事では、むちうちの後遺症が残った場合に認定されやすい後遺障害の等級や、認定されるためのポイント、認定されるまでの流れなどを網羅的に解説していきます。
後遺症が残って日常生活や仕事に悪影響がある方、適切な補償をしてもらいたいと願う方は、ぜひこの記事を読んで参考になさってください。
目次
1. むちうちでも後遺障害が認定されることはある
「むちうちでも後遺障害って認定されるんだろうか?」という疑問をお持ちの方がいるかもしれません。
むちうちは、首・腰などの痛みや背中のコリ、頭痛、足先・手先の麻痺、めまい、吐き気など、本人にしか分からない自覚症状が出るものの、MRIなどでは所見が見つからないケースも多くあります。
そのため、画像検査で異常が認められなければ、後遺障害の認定がされないのではないか?と考える方も多いでしょう。しかし、結論から言えば、画像検査で異常が認められない場合のむちうちでも後遺障害が認定されることはあります。
交通事故でむちうちの後遺症が残った場合に、後遺障害の認定手続きをして認められる可能性があるのが12級または14級です。
【むちうちで多い後遺障害等級12級・14級の認定基準の違い】
後遺障害等級12級 | むちうちの存在が医学的に「証明」できることが必要 脊髄・神経根が圧迫されていることが画像検査から分かる必要がある |
後遺障害等級14級 | むちうちの存在が医学的に「説明」できることが必要 画像上の異常所見がなくても認められるケースがある |
12級(14級よりも重い後遺障害等級)はMRI画像などでの異常が認められる必要がありますが、14級(後遺障害で一番低い等級)の場合は、必ずしも画像上の異常所見がなくても認められるケースがあります。
実務的には、むちうちで後遺障害を認定される方のほとんどが14級となります。12級の認定を取るのはハードルが高いことを覚えておくと良いでしょう。
2. むちうちの後遺障害認定を受けるべき理由
むちうちでも後遺障害認定を受けられることをご理解いただいたところで、そもそも「なぜ後遺障害認定を受けるべきなのか」を解説していきます。
後遺障害認定を受けるべき理由には、主に3つの理由があります。
むちうちの後遺障害認定を受けるべき理由 (1)後遺障害に対する慰謝料を請求できる (2)後遺障害が残ったことによる逸失利益を請求できる (3)示談成立前に示談金の一部を受け取れる |
それぞれについて、さらに詳しく解説していきます。
2-1.後遺障害に対する慰謝料を請求できる
後遺障害認定を得るべき理由の1つ目は、事故のせいでむちうちになり、後遺障害が残ってしまったとして、後遺障害に対する慰謝料を請求できるというものです。
交通事故の慰謝料には、(1)入通院慰謝料・(2)後遺障害慰謝料・(3)死亡慰謝料の3種類があります。2つ目の「後遺障害慰謝料」が、後遺障害認定を得ることでもらえるのです。
【むちうちの後遺障害慰謝料の相場】
等級 | 自賠責基準 (加害者の自賠責保険からもらえる金額) | 弁護士基準 (弁護士が介入して請求していく金額) |
後遺障害等級12級が認められた場合の慰謝料 | 94万円 (逸失利益と合わせて上限224万円) | 290万円 (別途、逸失利益を算定) |
後遺障害等級14級が認められた場合の慰謝料 | 32万円 (逸失利益と合わせて上限75万円) | 110万円 (別途、逸失利益を算定) |
※加害者の保険会社からは、自賠責基準と弁護士基準の中間の金額が提案されます。
認定が通らなければ後遺障害慰謝料がもらえないため、むちうちの後遺症が残る場合は、積極的に認定を目指していくべきです。
2-2. 後遺障害が残ったことによる逸失利益を請求できる
後遺障害認定が通れば、後遺障害慰謝料とともに「後遺障害が残ったことによる逸失利益」を請求していくことができます。
逸失利益とは、将来得られるはずだったけれども、後遺障害(後遺症)のために得られなくなってしまった収入のことをいいます。
逸失利益の金額は年齢や職業・年収によって異なりますが、年収が平均並みだと仮定すると以下が相場です。
【むちうちの後遺障害逸失利益の相場】
等級 | 逸失利益の相場 |
後遺障害等級12級13号が認められた場合の逸失利益 | 350万円〜800万円程度 (年収が平均並みの場合) |
後遺障害等級14級9号が認められた場合の逸失利益 | 70万円〜150万円 (年収が平均並みの場合) |
※被害者の事故前の年収が平均より高い場合には、逸失利益も上記よりも高い金額となります。
※自賠責保険からもらえる金額は上限が決まっているため、12級の場合224万円、14級の場合75万円までしかもらえません(慰謝料と合わせて)。
むちうちであっても、年収が高い方の場合、1千万円を超える逸失利益を請求できるケースもあります。
逸失利益を請求していくためには、後遺障害が認定されなければなりません。賠償金の金額を増額させるために、後遺障害認定がかなり重要となります。
※後遺障害逸失利益の詳細は相場については、「【早見表付き】後遺障害の逸失利益はいくら?ケースごとの金額を解説」の記事もぜひご覧ください。
2-3. 示談成立前に示談金の一部を受け取れる
治療を続けてもむちうちが残ってしまう場合に後遺障害認定を受けることで、示談成立前に示談金の一部を受け取れるというメリットもあります。
「被害者請求」という方法で、相手方の自賠責保険に直接、後遺障害の申請手続きをした場合、認定される等級が決まった時点で「自賠責保険からの賠償金(保険金)」を受け取ることができます。
具体的には、後遺障害12級の場合は上限224万円、14級の場合は上限75万円を受け取れます。
※後遺障害認定には2つの方法があり、もうひとつの「事前認定」(相手の任意保険会社に手続きを頼む方法)だと、先には受け取れないため注意しましょう。
※2つの方法の違いについては、5章の手続きの流れのところで詳しく説明します。
3. むちうちで認定されやすい12級・14級の認定基準
ここからは、むちうちで後遺障害認定を受けるために知っておきたい「認定基準」について解説していきます。
むちうちの後遺症が残った場合に認定される可能性があるのは、「12級13号」または「14級9号」です。
【むちうちの場合に認められうる後遺障害等級(12級・14級)】
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
それぞれ、どのような症状がある場合に後遺障害が認定されるのかについての基準をしっかり理解していきましょう。
3-1.【12級】局部に頑固な神経症状を残すもの
むちうちの後遺障害のうち、症状がより深刻な場合に認定されるのが「12級」です。12級に認定される症状は14種類あり、むち打ちの場合は「12級13号」に該当します。
【自賠責保険の後遺障害等級12級に該当する症状】
等級 | 後遺障害の内容 | |
12級 | (1)一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの (2)一眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの (3)七歯以上に対し歯科補綴を加えたもの (4)一耳の耳殻の大部分を欠損したもの (5)鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの (6)一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの (7)一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの (8)長管骨に変形を残すもの (9)一手のこ指を失つたもの (10)一手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの (11)一足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの (12)一足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの (13)局部に頑固な神経症状を残すもの (14)外貌に醜状を残すもの |
12級13号の後遺障害の内容は、「局部に頑固な神経症状を残すもの」となっています。
12級13号は、むち打ちの存在が医学的に証明できる場合に認定されます。体の一部分に強い神経症状(痛みやしびれ、めまいなど)が出ており、そのことがMRIなどの画像診断結果からも明らかな場合に認められやすいです。
3-2.【14級】局部に神経症状を残すもの
むちうちの後遺障害のうち、症状が12級より軽いのが「14級」です。14級に認定される症状は9種類あり、むち打ちの場合は「14級9号」に該当します。
【自賠責保険の後遺障害等級14級に該当する症状】
等級 | 後遺障害の内容 | |
14級 | (1)一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの (2)三歯以上に対し歯科補綴を加えたもの (3)一耳の聴力が一メートル以上の距離では小声を解することができない程度になつたもの (4)上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの (5)下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの (6)一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの (7)一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの (8)一足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの (9)局部に神経症状を残すもの |
14級9号が認められる基準は、「局部に神経症状を残すもの」となっています。12級との違いは、「頑固な」という文言がない点です。
体の一部分に神経症状(痛みやしびれ、めまいなど)が出ており、そのことが医学的に説明できる場合に、認定されます。
12級13号とは違い、14級9号は、必ずしも画像所見がなくても認められる可能性があります。
4. むちうちの後遺障害が認定されるためのポイント
むちうちの後遺障害は、自覚症状だけで認められるわけではありません。さまざまな条件がクリアされていて初めて認定をもらうことができます。
むちうちの後遺障害が認定されるためのポイント ・ポイント1:後遺障害が生じるほどの事故態様であったか ・ポイント2:通院頻度が適切か ・ポイント3:事故から症状固定まで常に一貫した症状が続いているか |
それぞれ認定されるためのポイントを詳しく見ていきましょう。
4-1. ポイント1:後遺障害が生じるほどの事故態様であったか
後遺障害が認められるケースというのは、6ヶ月程度の時間をかけて治療を続けて、それでも症状が残ってしまうようなケースです。軽微な事故であればそこまでの後遺症が残らないだろう、と判断されてしまうことがあります。
例えば、事故車両の修理費が安い(20万円以下が目安)場合や、車体を擦っただけの事故だった場合、ドアミラー同士の事故などの場合は、「その事故が原因で起こったとは考えられない」とされてしまう可能性があります。
4-2. ポイント2:通院頻度が適切か
整形外科への通院が月に1回だけなど通院頻度が少ない場合は、「支障が出るほどの症状では無いのではないか」と判断されることがあります。
4-3. ポイント3:事故から症状固定まで常に一貫した症状が続いているか
むちうちが後遺障害として認められるために、事故から症状固定まで、常時、一貫性のある症状が続いているかどうかもとても重要なポイントです。
むちうちの後遺障害が認定されやすい条件として、「症状が常時生じていること」があります。「何かをした時だけ痛い」「朝だけしびれる」というケースよりも、「ずっと痛みが続いている」「常にしびれている状態が続いている」というケースの方が認定されやすいといえます。
また、事故からずっと一貫して症状が続いていることも重要です。事故当初から医師に症状を伝えていれば良いのですが、例えば交通事故に遭って2ヶ月後に急に「首が痛いのです」と訴えたケースでは、認定されるのは難しくなります。
また、12級13号が認定されるためには、以上のポイント1から3に加えて、以下の2つのポイントも必要になります。
12級13号が認定されるためのポイント ・ポイント4:画像上の異常所見があるか ・ポイント5:画像上の異常所見に整合する神経学的所見があるか |
14級9号の場合は、むち打ちの存在が医学的に「説明」できれば、認定されます。
他方、12級13号は、むち打ちの存在が医学的に「証明」できてはじめて認定されます。 医学的に証明するためには、画像上の異常所見があり、その異常所見に整合する神経学的所見(可動域制限、反射異常、筋萎縮等)があることが必要であると考えられています。
5. むちうちの後遺障害が認定されるまでの流れ
むちうちが後遺障害認定されるポイントまで理解したところで、ここからは、むちうちの後遺障害の認定手続きの進め方について解説していきます。
現在むちうちの症状で通院中という方は、どのような手続きが今後必要になるかを事前に知っておき、対策を立てておくことをおすすめします。
5-1.「むちうち」の治療をスタートする
最初のステップは、交通事故によって発症した「むちうち」の治療を始めるところからです。
いわゆる「むちうち」とは、交通事故で車に追突されたなどが原因で、頸椎(首の骨)や腰椎に強い衝撃がかかり、痛みやしびれなどの症状が出ることをいいます。
痛みやしびれなどが出る部位は首や腰とは限らず、腰や背中、手足に症状が出ることもあります。
「むちうち」という傷病名はなく、一般的には「頸椎捻挫(けいついねんざ)」や「外傷性頸部症候群(がいしょうせいけいぶしょうこうぐん)」と診断されることが多いでしょう。
むちうちの後遺障害が認定されやすいのは、6ヶ月以上かつ週に2~3回以上整形外科に通うなど、しっかりと治療を続けてきたにもかかわらず症状が残ってしまうような場合です。
通院期間が短かったり、途中で通院を中断していたり、通院頻度が少なかったりすると、認定されないケースも少なくありません。
万が一、加害者側の保険会社に治療費の支払いを打ち切られたとしても、ご自身の健康保険や労災保険を使うなどして治療を継続することが大切です。通院の仕方に不安がある場合には、サリュなど交通事故に強い法律事務所に相談することをおすすめします。
5-2. 症状固定(これ以上治療しても完治しない状態)と診断される
後遺障害認定の申請手続きは、医師から「症状固定」と診断されてから行うことができます。
「症状固定」とは、これ以上治療しても良くならない状態のことをいいます。つまり、引き続き症状が残ってしまう状態です。
むちうちの場合、6ヶ月程度治療を続けても効果が得られない場合に、医師が「症状固定」と診断することが一般的です。
症状固定にするかどうかは、被害者の自覚症状と合わせて医師が判断するものです。万が一、加害者の保険会社から「そろそろ症状固定にしましょう」と言われても、従う必要はありません。
症状固定のタイミングが後遺障害認定の結果に関わってくることもあるので、慎重に判断することをおすすめします。
5-3. 医師に後遺障害診断書を書いてもらう
症状固定と診断されたら、後遺障害の申請手続きの準備段階として、医師に後遺障害診断書を書いてもらいましょう。
後遺障害診断書は、後遺障害の申請手続きをする際に必ず必要となる書類です。通院期間や傷病名、自覚症状、他覚症状、検査結果、障害が緩解する見通しがあるか(良くなるかどうか)などを、医師が記載します。
この診断書は、後遺障害が認定されるか、非該当となるか、何級が認められるかを決めるためにとても重要な書類となります。
後遺障害診断書の書き方が悪かったり、記載漏れがあったりすると、本来認定されるべき症状があっても認定されないことがあるので注意が必要です。
後遺障害診断書についてさらに詳しく知りたい方は、「後遺障害診断書の書き方|等級認定に有利な記載例を弁護士が紹介」の記事もぜひご覧ください。
5-4. 後遺障害等級認定の申請手続きをする
後遺障害診断書を用意できたら、後遺障害等級認定の申請手続きを行います。
申請手続きの方法には、
(1)加害者の任意保険会社を経由する方法(事前認定)
(2)加害者の任意保険会社を経由せずに直接申請する方法(被害者請求)
の2つがあり、それぞれに一長一短があります。
【事前認定と被害者請求の比較表】
事前認定 | 被害者請求 | |
申請先 | 加害者の任意保険会社経由で、加害者の自賠責保険に申請 | 加害者の自賠責保険に 自分で申請 |
メリット | ◎手続きを任せられる◎診断書だけ用意すればいい | ◎自分で有利な書類を選んで提出できる |
デメリット | ✖任意保険会社がハンドルを握ることになるため信用して良いか不安が残る | ✖書類の準備や手続きが大変 |
通常、後遺障害等級認定は、加害者の任意保険会社経由で書類を出す「事前認定」が一般的です。この方法だと「後遺障害診断書」以外の書類は保険会社が用意して申請手続きを行ってくれるため、簡単に手続きを進められます。
しかし、事前認定だと、加害者側の保険会社に「後遺障害診断書」以外の書類の準備を任せることになるため、被害者に有利な書類を提出できるとは限らないのがデメリットです。納得できる後遺障害の認定結果を受け取りたいならば、保険会社を通さずに自分で直接提出する「被害者請求」がおすすめです。
「被害者請求」では自分で後遺障害診断書以外の書類も準備して手続きを進めなければならないため手間はかかりますが、有利な書類を自分で選べるのが大きなメリットとなります。そして、弁護士に依頼すれば、書類の準備や手続きを任せることができます。
書類の準備や手続きが大変という場合には、弁護士に依頼することも検討してみると良いでしょう。
5-5. 損害保険料率算出機構にて審査が行われる
後遺障害等級を認定するのは、損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所という認定機関です。
医師に書いてもらった後遺障害診断書などの必要書類を認定機関が審査して、「どの等級に該当するか」を個別に判断します。むちうちの場合は、12級または14級に該当するか、「非該当」という判断がされます。
認定するのは「医師」ではなく、自賠責保険の機関であることを心得ておきましょう。医師が後遺症を認めても、認定機関が「非該当」と判断したのなら、後遺障害としては認められません。
※例えば、後遺症の医学的根拠があっても、事故との因果関係が認められなければ非該当となる、というケースがあります。
5-6. 審査の結果が届く
審査の結果が出たら、その結果が封書で届きます。封書には、認定された後遺障害等級が何級であるかと、その理由が記載されます。
▼第14級9号が認定された場合の例
また「非該当」の場合には、その旨と理由が記載されますので、理由を確認しましょう。
▼非該当(後遺障害には該当しない)と判断された場合の例
認定結果に納得できない場合は、「異議申し立て」をして再審査してもらうことができます。しかしながら、一度下された認定結果を覆すのは簡単ではありません。
後遺障害認定に強い弁護士の力を借りて、「なぜ認定が通らなかったのか」「どうすれば通る可能性があるか」を十分に検討してから申し立てすることをおすすめします。
詳しくは、「後遺障害の異議申し立てのすべて|認定を覆すための全プロセス解説」の記事も参考にしてください。
6. むちうちの後遺障害認定は通院中から弁護士に相談するのがおすすめ
ここまで、むちうちでも後遺障害が認定される可能性があることや、どうすれば認められるのか、認定手続きの流れなどを解説してきました。
しかしながら、実は、「むちうちでの後遺障害認定は難易度が高い」と言われているのも事実です。
むちうちの後遺症の認定が難しいと言われる理由5つ (1)自覚症状だけでは認定されるのが難しいから (2)医師が適切に書いてくれないと認定されるのが難しいから (3)事故が原因だと伝わらないと認定されるのが難しいから (4)適切に通院していなければ認定されないから (5)症状の継続性がわからないと認定されるのが難しいから |
むちうちは、自覚症状はあっても他覚的所見が見つかりにくいこともあり、認定を得るのが難しいのです。後遺障害等級認定の審査を行う機関も、認定に必要な条件が揃っていなければ認定してくれません。
さらに、後遺障害診断書の記載漏れや記載ミス、病院への通い方、症状の伝え方を間違ってしまったことで、適切な等級が認定されないケースもあります。
そのため、適切な認定結果を手にするためには、どうしたら認定が通るのかを熟知した専門家の手を借りて、早いタイミング(できれば治療中)から対策をしておくことが大切です。
後遺障害認定の知識や経験が豊富な弁護士に頼めば、適切な結果を得るために、以下のようなサポートを受けられます。
むちうちの後遺症で後遺障害認定を目指す場合に弁護士ができること ・後遺障害認定が認められやすい後遺障害診断書のアドバイスをくれる ・自分で直接申請する方法(被害者請求)の手続きをサポートしてくれる ・後遺障害が認められやすい通院のペースなどを教えてもらえる ・後遺障害が認められるために受けるべき検査のアドバイスをしてくれる ・後遺障害が適切に認められるために必要な添付書類を用意してくれる ・ケースによっては、提携している顧問ドクターの見解を聞いてくれる ・症状固定までしっかり治療できるよう、相手方と交渉してくれる ・後遺障害認定が認められない原因となるミスを避けられる |
ただし、弁護士ならだれでも良いではありません。これまでに後遺障害認定で結果を出してきた「交通事故に本当に強い」弁護士に依頼することをおすすめします。
サリュでは、提携している顧問医師と連携を取りながら、後遺障害申請者の希望に最大限寄り添って、申請を進めていくことが可能です。また、後遺障害認定で適切な結果を得た実績が多くあり、できるだけ適切な認定結果を受け取るためのアドバイスが可能です。
弁護士法人サリュはここが強い! ①後遺障害等級認定や、非該当から14級獲得したケースなど異議申立ての解決事例が多い ②提携している顧問ドクターが全国に存在しており、正しい結果を導く後遺障害診断書の提出のサポートが可能 ③医療証拠の収集や事故の状況見分調書などを取り寄せ、徹底的に検討する |
後遺障害認定について不安がある場合は、まずはお気軽にご相談ください。
また、サリュの顧問ドクターによるサポートのページもぜひ参考にしてください。
まとめ
本記事では「むちうちの後遺障害認定」について解説してきました。最後に、要点を簡単にまとめておきます。
▼むちうちの後遺障害認定はされる?
・むちうちでも後遺障害が認定されることはある ・後遺障害の認定手続きをして認められる可能性があるのは12級または14級 |
むちうちの後遺障害認定を受けるべき理由
(1)後遺障害に対する慰謝料を請求できる (2)後遺障害が残ったことによる逸失利益を請求できる (3)示談成立前に示談金の一部を受け取れる |
むちうちで認定されやすい12級・14級の認定基準
・12級13号:局部に頑固な神経症状を残すもの (むち打ちの存在が医学的に「説明」できる場合に認められる。) ・14級9号:局部に神経症状を残すもの (むち打ちの存在が医学的に「証明」できる場合に認められる。) |
むちうちの後遺障害が認定されるためのポイント(12級、14級共通)
・ポイント1:後遺障害が生じるほどの事故態様であったか ・ポイント2:通院頻度が適切か ・ポイント3:事故から症状固定まで常に一貫した症状が続いているか |
12級が認定されるためのポイント
・ポイント4:画像上の異常所見があるか ・ポイント5:画像上の異常所見に整合する神経学的所見があるか |
むちうちという比較的軽傷な後遺症であっても、後遺障害等級が認定されることはあります。しかしながら、認定機関も厳しくチェックしますので、記載ミスなどがあれば「非該当」となるケースも多くあります。
後遺障害等級認定を適切に勝ち取りたいという方は、ぜひ早い段階でサリュにご相談ください。適切な結果を受け取るためのさまざまなアドバイスさせていただきます。ぜひまずはお気軽にご連絡お待ちしております。