「チームで戦う強さ」 被害者への思いを共有できた準備書面
サリュでは、弁護士とリーガルスタッフがタッグを組んで事件解決にあたります。
裁判所に提出する書面も、もちろん最終的なチェックは弁護士が行いますが、能力が高く意欲もあるリーガルスタッフは、その第一稿を作成することがあります。
リーガルスタッフは依頼者と密に連絡をとり合い、証拠収集の最前線にいますから、弁護士とともに書面の作成に関わることで、当然充実した主張ができることになります。
この書面作成についてのエピソードを一つご紹介します。
交通事故で高次脳機能障害になってしまった被害者は、若い女性でした。
裁判になっていたのですが、相手方の反論に対する再反論を検討するため、弁護士と担当のリーガルスタッフは、被害者の主治医に意見を聞くために病院を訪問しました。
病院での待ち時間に、持っていた看護記録を見ていた弁護士は、「結婚するのはあきらめている。彼氏にもふられてしまった。こんな身体で、受け入れてくれる人はいるのかな…」という彼女のつぶやきを見つけました。
「自分たちは損害賠償請求というやりかたで彼女のお手伝いをしているけども、それで彼女の障害が治るわけでもない。今後長く続いていく彼女の人生は、どのようなものになるのだろうか。今はお母さんが付き添って日常生活をサポートしてくれているけど、将来、お母さんが居なくなったらどうなるんだろう。」弁護士はそんなことを考えました。
そこで弁護士は、「こういう彼女の叫びは、裁判所にも、相手方にも伝えたい。金額の話に直接関係はないだろうけれども、伝えるべきではないか。」と担当リーガルスタッフに相談しました。それを聞いたリーガルスタッフは「そうですね。準備書面に書きましょう。」と返事をしました。
今回の再反論書面は、さしあたって第一稿をリーガルスタッフが作成するという話になっていたのですが、この医師面談以降、弁護士もリーガルスタッフもお互いに立て込んでいて、準備書面の内容について改めて話し合う機会がありませんでした。
そのため弁護士は、「病院ではあんなことを言ったけれど、特にメモを取っていた様子でもなかったから、忘れているかもしれないな。書かれていなくても、法律論に直接関連する話でもないし、特に付け加える必要はないだろう。」などと考えていました。
しかし、リーガルスタッフが作ってくれた準備書面を見てみると、しっかり、このときの内容が反映されていました。
弁護士は嬉しくなってリーガルスタッフに、「よく覚えていてくださいました。」と言ったところ、リーガルスタッフは、「こちらも、あんな指摘をもらえて嬉しかったし、やる気になりました。ありがとうございました。」という言葉を返しました。
弁護士は、口頭で指示したことについて、リーガルスタッフがしっかり記憶していたことが嬉しかったのではなく、お互いに、彼女のことを考えて、賠償云々の話だけではなく、伝えなければいけないこと、考えてもらわなければいけないことがあるのではないか、そういった考えを二人でしっかり共有できていたことが嬉しかったのです。
サリュはただ単に効率化のために仕事を分配しているわけではありません。チームで臨むことで強くなるその理由は、分業して効率を上げているからではなく、弁護士とリーガルスタッフ、2人の人間が思いをひとつにして、熱い気持ちで取り組むからなのです。