SALUT 弁護士法人サリュ

遷延性意識障害(植物状態)について

脳の中でも、呼吸・循環などの生命維持に必要な機能の障害は免れたものの、
上部脳幹・視床下部・視床・大脳半球の広範囲に不可逆的な損傷が生じ、その結果、
下記の1から7に当てはまる場合を遷延性意識障害(植物状態)と言います。

  • ① 自力移動不可能
  • ② たとえ声を出しても、意味のある発語は不可能
  • ③ 簡単な命令にはかろうじて応じることはあるが、それ以上の意思疎通は全く不可能
  • ④ 眼でかろうじて物を追うことがあっても、それを認識することは不可能
  • ⑤ 自力接触不可能
  • ⑥ 糞・尿失禁がある
  • ⑦ 以上の状態が、治療にかかわらず3カ月以上続いていること

植物状態遷延性意識障害とは

 植物状態は治療方法が確立されていない

植物状態とは、遷延性意識障害とも言い、その定義については後述しますが、残念ながら、現在の医療技術では積極的な治療方法が確立されていないのが現状です。これまでのように被害者と和やかに会話をしたり、一緒に食事をしたりすることもできず、笑顔を交わすことさえもできなくなるでしょう。
もしかしたら、これから被害者の介助や介護が必要になるかもしれません。
もし、妻や夫、子供や親族等の親しい人が遷延性意識障害と診断され、回復の見込みがほとんどないと言われたら。ご家族の深い悲しみは想像するに余りあります。
このような被害者の現状に向き合い、それを受け入れることは、容易なことではないでしょう。

 遷延性意識障害の損害賠償請求をサポート

しかも、被害者のご家族が乗り越えなければならない壁は、これだけではありません。
法律的に損害賠償を請求する際にも、様々な困難が伴います。
時には、加害者(実際にはその保険会社)から、無神経な主張や反論がなされることすらあります。
「植物状態は長生きできないのだから、健常人と同じ平均寿命で、将来の介護費用等を計算してはならない」だとか、「植物状態では、食費や被服費等の生活費が安く済むのだから、その分を損害から控除すべきだ」等々。
私たちサリュは、弁護士から事務スタッフに至るまで、被害者やそのご家族のことを最優先に考え、被害者の損害を正当に評価するお手伝いができればと考えています。
被害者やそのご家族が、加害者側からの不合理な主張に翻弄されたり、ましてや泣き寝入りすることのないように、親身になってサポートして参ります。

後見申立の必要性

交通事故被害者が遷延性意識障害に陥った場合、被害者本人には意思能力がありません。
したがって,加害者側との交渉及び訴訟を行うためには、後見申立てを行い、後見人を立てることが必要になります。この後見申立てに要した費用については、損害賠償請求の中に含めることが可能です。

損害賠償請求できる項目

何もかもが損害として認められるわけではありません。法律的な表現を用いますと、事故と「相当因果関係」が認められるものに限定されます。
被害者には、この「相当因果関係」の立証という課題が課せられています。
そこで、以下では、一般的にどのような損害項目が挙げられるのかを説明するとともに、それが当該被害者の損害として認められるためのポイントについても若干触れたいと思います。

 事故から症状固定までに生じ得る損害項目

症状固定とは、簡単にいえば、それ以上の治療を続けても改善の見込みがない状態のことです。
症状固定した段階で、遷延性意識障害の定義に該当すれば、通常は後遺障害等級1級が認定されることになります。
そして、事故から症状固定までに要する治療費、付添看護費、入院雑費などが損害として認められます。遷延性意識障害において特に問題になりやすい損害としては、特別室使用料が挙げられ、(症状固定後の期間を含めて)特別室使用料を損害として認めた裁判例が複数存在します。

 症状固定後に生じ得る損害項目

ここでは、遷延性意識障害に特有の問題について説明します。

<将来の付添看護費>

交通事故被害者が遷延性意識障害に陥ってしまった場合、将来に亘って介護が必要となり、当然、介護費用も必要となります。
交通事故事件における裁判実務においても、将来の介護費用を被害者の損害として認めています。
実務上の基準とされている「赤い本」によると、職業付添人は実費全額、近親者付添人は1日につき8000円という基準が提示されていますが、もちろん、具体的看護の状況により増減しますから、介護の必要性・相当性を個別具体的に主張することが必要にはなります。
将来の介護費用は平均余命まで認められるとする裁判例が多数を占めていますので、将来の介護費用はかなり高額になることが一般的です。たとえば、11歳の子供が遷延性意識障害に陥った事案において、看護師1名と家政婦又は近親者の合計2名による介護が必要であるとして、平均余命まで日額2万円、合計1億3375円余の介護費用が損害として認められています(大阪地裁岸和田支部平成14年7月30日判決)。
介護費用に関しては、加害者の側から、被害者が入院中の場合で、かつ、完全看護体制がとられている場合、看護師以外の看護は必要ではないから、近親者付添人の介護費用は認められないという主張がなされることがあります。
しかしながら、完全看護体制のもとにおいても、実際には家族の補助が必要になる場合があり、そのような事案においては、近親者付添人の介護費用も損害として認められています。

<逸失利益>

簡単にいいますと、遷延性意識障害にならなければ、将来働くことによって得られたはずの利益をいいます。遷延性意識障害になった交通事故被害者は、労働能力を100パーセント喪失しますから、年齢や収入状況によっては、逸失利益はかなり高額なものになるのが通常です。
逸失利益に関しては、加害者の側から、「植物状態(遷延性意識障害)になったのだから、将来の付添看護費が認められる反面、健康な人よりも生活費がかからないはずである。
したがって、逸失利益から健康な人より節約できた生活費相当額を控除すべきである。」という主張がなされることがあります。
このような生活費相当額の控除は認めないという裁判例が多数出ていますが、一方で、逸失利益のうちの35パーセント程度を生活費控除として減額した裁判例も一部存在します。
しかしながら、同じ遷延性意識障害とはいっても、その状態は様々であり、当然に生活費控除がされるというわけではありません。人によっては介護者による外出が可能な方もいらっしゃるわけですから、被服費、交通費などの生活費を要する場合も考えられます。
被害者側の弁護士としては、実際に必要な生活費を証拠に基づき主張することにより、加害者からの不当な生活費控除の主張を排斥するように努める必要があります。

<近親者の後遺障害慰謝料>

交通事故被害者本人の慰謝料が発生することは勿論ですが、近親者にも別途慰謝料請求権が認められる場合があります。具体的には「死亡に比肩するような精神的苦痛を受けた場合」に近親者の慰謝料請求が認められます(最高裁昭和33年8月5日判決)。
そのような観点から、交通事故被害者が遷延性意識障害になった場合に、近親者に慰謝料請求権を認めている裁判例が多数出ています。

<将来の雑費>

おむつ代、人工的な導尿のためのカテーテルなどの用具代、食事中のエプロンなど介護に必要な雑費についても、必要かつ相当な範囲で損害として認められます。
赤い本によると、入院雑費としては、1日1500円を基準としていますが、それ以上を認めている裁判例もあり、事案ごとに検討する必要があります。
将来雑費についても、平均余命まで必要であるとすると、かなり高額なものになります。

<将来の治療費>

遷延性意識障害の交通事故被害者について、現状維持のため医師による往診と投薬の続行の必要性を認め、将来の治療費と自宅療養雑費として、1017万円余を損害と認めた裁判例も存在します(東京地裁平成8年2月20日判決)。

その他

症状固定の前後を問わず、介護のために家屋や自動車などを改造したり、転居をしたりすることが必要になることがあります。そのような費用についても、交通事故被害者の状態を個別具体的に検討し、必要かつ相当な範囲で損害として認められます。
たとえば、

  • 家屋建替費等(家屋・私道改造費、引越し費用、登記費用など)として1560万円余、乗用車改造費として81万円余を損害と認めたもの(横浜地裁平成4年8月20日判決)
  • 既存の浴槽などを改装する費用として、1218万円余を認めたもの
    (名古屋高裁平成18年6月8日判決)
  • トイレ・浴室・居室・玄関等の改造費用、昇降リフトの設置費用・買換費用・点検費用などを認めたもの
    (東京地裁平成17年3月17日)
  • など多数の裁判例が存在します。

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